ペラン数列とは?フィボナッチ数列の「いとこ」が持つ不思議な素数との関係

数学

「3、0、2、3、2、5、5、7、10、12…」

この数列、何か規則性が見えますか?

実はこれ、ペラン数列という、フィボナッチ数列と似た性質を持つ魅力的な数列なんです。この数列には、素数を見分けるという驚くべき性質が隠されています。

今回は、知る人ぞ知るペラン数列の世界を、分かりやすく紹介していきましょう。

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ペラン数列ってどんな数列?

ペラン数列は、以下のルールで作られる整数の並びです。

基本のルール

  • 最初の3つの数:P(0) = 3、P(1) = 0、P(2) = 2
  • 4つ目以降:P(n) = P(n-2) + P(n-3)

つまり、「2つ前の数」と「3つ前の数」を足すと次の数になるんですね。

実際に計算してみましょう

  • P(3) = P(1) + P(0) = 0 + 3 = 3
  • P(4) = P(2) + P(1) = 2 + 0 = 2
  • P(5) = P(3) + P(2) = 3 + 2 = 5
  • P(6) = P(4) + P(3) = 2 + 3 = 5

このように続けていくと、3, 0, 2, 3, 2, 5, 5, 7, 10, 12, 17, 22, 29, 39…という数列ができあがります。

フィボナッチ数列は「1つ前」と「2つ前」を足すのに対し、ペラン数列は「2つ前」と「3つ前」を足すという違いがあります。

ペラン数列の誕生秘話

この数列、実は140年以上の歴史があるんです。

発見の経緯

  • 1876年:フランスの数学者エドゥアール・リュカが最初に言及
  • 1899年:フランスの技術者ラウル・ペランが詳しく研究
  • 1982年:アダムスとシャンクスが本格的に調査し「ペラン数列」と命名

リュカといえば、フィボナッチ数列と密接に関係する「リュカ数列」を研究した人物としても知られています。ペラン数列も、その研究の流れの中で注目されるようになりました。

名前の由来となったラウル・ペラン(1841-1910)は数学者ではなく技術者でしたが、この数列の不思議な性質に魅了され、研究を行ったそうです。

素数を見つける魔法のような性質

ペラン数列の最も興味深い点は、素数との不思議な関係です。

驚くべき性質

nが素数のとき、P(n)はnで割り切れる

これは「フェルマー性質」と呼ばれる特性で、素数判定に利用できる可能性があるんです。

具体例で確認してみましょう

  • n = 2(素数):P(2) = 2 → 2 ÷ 2 = 1(割り切れる)
  • n = 3(素数):P(3) = 3 → 3 ÷ 3 = 1(割り切れる)
  • n = 5(素数):P(5) = 5 → 5 ÷ 5 = 1(割り切れる)
  • n = 7(素数):P(7) = 7 → 7 ÷ 7 = 1(割り切れる)

見事に、素数のときだけP(n)がnで割り切れていますね!

この性質を使えば、ある数nが素数かどうかを判定できそうですよね。しかし、ここには落とし穴があるんです。

「ペラン擬素数」という例外の存在

実は、逆は必ずしも成り立ちません

つまり、P(n)がnで割り切れても、nが素数とは限らないケースがあるんです。

ペラン擬素数とは

P(n)がnで割り切れるのに、nが素数ではない(合成数である)ような数のこと。

最小のペラン擬素数は271441(= 521²)で、1982年にアダムスとシャンクスによって発見されました。この発見までに約80年もかかったんです。

ペランやマロ、エスコット、ヤーデンといった数学者たちが長年探しても見つからなかったこの数を、コンピュータを使った計算でようやく突き止めました。

10億以下のペラン擬素数

10億(10⁹)以下には、わずか17個しかペラン擬素数が存在しません。

  • 271441
  • 904631
  • 16532714
  • 24658561
  • 27422714
    (以下省略)

このように、ペラン擬素数は極めてまれな存在です。2010年にジョン・グランサムが「ペラン擬素数は無限に存在する」ことを証明しましたが、その数は非常に少ないため、素数判定の補助的な方法として今でも研究されています。

プラスチック数との美しい関係

フィボナッチ数列には「黄金比」(約1.618)という美しい比率が隠されていますが、ペラン数列にも特別な数との関係があります。

プラスチック数

ペラン数列の連続する項の比(P(n+1) ÷ P(n))は、nが大きくなるにつれてプラスチック数(約1.324718)に近づいていきます。

プラスチック数は、方程式 x³ = x + 1 の唯一の実数解として定義される数です。

比の変化を見てみましょう

  • P(10) ÷ P(9) = 17 ÷ 12 ≈ 1.417
  • P(15) ÷ P(14) = 68 ÷ 51 ≈ 1.333
  • P(20) ÷ P(19) = 277 ÷ 209 ≈ 1.325
  • P(25) ÷ P(24) = 1130 ÷ 853 ≈ 1.325

このように、だんだんとプラスチック数(約1.324718)に近づいていくんですね。

この性質により、大きなnに対するP(n)の値を、プラスチック数を使って素早く計算する方法も知られています。

パドヴァン数列という双子の兄弟

ペラン数列には、パドヴァン数列という「双子の兄弟」のような存在があります。

パドヴァン数列の定義

  • 最初の3つの数:1、1、1
  • 4つ目以降:P(n) = P(n-2) + P(n-3)(ペラン数列と同じルール!)

漸化式(数列の作り方)は全く同じで、最初の3つの数だけが違うんです。

これは、フィボナッチ数列とリュカ数列の関係に似ています。同じ規則性を持ちながら、スタート地点が違うことで、異なる性質を持つ数列が生まれるわけですね。

グラフ理論での意外な活躍

ペラン数列は、グラフ理論という数学の分野でも重要な役割を果たしています。

n頂点の閉路グラフ

円周上にn個の点を配置し、隣り合う点を線で結んだ図形を「閉路グラフ」といいます。

このグラフにおいて、どの辺も隣り合わない辺の集まり(極大独立集合)の個数は、ちょうどn番目のペラン数と一致するんです。

例えば、5つの点で作った閉路グラフの極大独立集合の個数は、P(5) = 5個になります。

このように、一見関係なさそうな組み合わせの問題とペラン数列が結びつくのは、数学の面白さの一つですね。

ペラン数列の計算方法

実際にペラン数列を計算したい場合、いくつかの方法があります。

基本的な計算方法

定義に従って、P(n) = P(n-2) + P(n-3)を順番に計算していく方法です。プログラミングでも簡単に実装できます。

行列を使った方法

数学的には、行列の累乗を使って効率的に計算する方法も知られています。この方法を使うと、大きなnに対しても比較的高速に計算できます。

プラスチック数を使った近似

nが十分大きい場合、プラスチック数のn乗を使った公式で近似値を素早く求められます。

まとめ:数列が教えてくれる数学の深さ

ペラン数列は、シンプルなルールから生まれながら、素数判定、プラスチック数、グラフ理論など、さまざまな数学の分野と関わりを持つ興味深い数列です。

ペラン数列のポイント

  • P(0) = 3、P(1) = 0、P(2) = 2から始まり、P(n) = P(n-2) + P(n-3)で続く
  • nが素数のとき、P(n)はnで割り切れる(逆は成り立たない)
  • 連続する項の比はプラスチック数に近づく
  • パドヴァン数列と漸化式を共有する
  • グラフ理論など、さまざまな分野で応用される

フィボナッチ数列ほど有名ではありませんが、ペラン数列もまた、数学の美しさと奥深さを教えてくれる存在なんですね。

数列という一見単純な数の並びの中に、これほど豊かな性質が隠されているとは驚きです。数学の世界には、まだまだ探求すべき面白いテーマがたくさんあります。

ペラン数列のような「隠れた名作」を見つけるのも、数学を楽しむ醍醐味の一つかもしれませんね。

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