「メジアンって何?」「平均との違いは?」
中学1年生の数学で習う「メジアン(中央値)」ですが、意外と理解があいまいな人も多いのではないでしょうか。
でも実は、メジアンは私たちの生活にとても役立つ考え方なんです。特に年収や不動産価格など、データにばらつきがある場合にメジアンを使うと、実態がよく見えてきます。
この記事では、メジアンの基本から求め方、平均値や最頻値との違い、実生活での使われ方まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。
数学が苦手な人でも大丈夫!たくさんの具体例を使って説明しますね。
メジアン(中央値)とは?

基本的な定義
メジアン(中央値)とは…
「データを小さい順(または大きい順)に並べたとき、ちょうど真ん中にくる値」
のことです。
英語では「median(メディアン)」といいます。
わかりやすい例
例:5人のテストの点数
A君:70点
B君:80点
C君:60点
D君:90点
E君:75点
これを小さい順に並べると…
60点、70点、75点、80点、90点
真ん中は75点ですね。これがメジアン(中央値)です!
メジアンの読み方
- 日本語:中央値(ちゅうおうち)、中位数
- 英語:median(メディアン、メジアン)
「M(ミディアム)サイズ」の「medium」と「median」は同じ語源で、どちらも「中央」を意味します。
メジアンの求め方
メジアンの求め方は、データの個数が奇数か偶数かで変わります。
基本の3ステップ
- データを小さい順に並べる
- データの個数が奇数か偶数か確認する
- 真ん中の値を見つける
それぞれ詳しく見ていきましょう。
データが奇数個の場合
データの個数が奇数の場合、真ん中の値は1つだけです。
公式
メジアン = (n + 1) ÷ 2 番目の値
※nはデータの個数
例題1:5個のデータ
問題
次のテストの点数のメジアンを求めなさい。
82点、65点、90点、78点、73点
解き方
ステップ1:小さい順に並べる
65点、73点、78点、82点、90点
ステップ2:データの個数を確認
データは5個(奇数)
ステップ3:真ん中の値を見つける
(5 + 1) ÷ 2 = 3番目
3番目の値は78点
答え:メジアンは78点
真ん中の78点の左に2個、右に2個のデータがありますね。
例題2:7個のデータ
問題
7人の身長のメジアンを求めなさい。
158cm、165cm、170cm、162cm、175cm、168cm、172cm
解き方
小さい順に並べる
158cm、162cm、165cm、168cm、170cm、172cm、175cm
データの個数を確認
データは7個(奇数)
真ん中の値を見つける
(7 + 1) ÷ 2 = 4番目
4番目の値は168cm
答え:メジアンは168cm
データが偶数個の場合

データの個数が偶数の場合、真ん中の値は2つあります。
この場合は、真ん中の2つの値の平均を取ります。
公式
メジアン = {(n ÷ 2)番目の値 + (n ÷ 2 + 1)番目の値} ÷ 2
例題3:6個のデータ
問題
次のテストの点数のメジアンを求めなさい。
80点、55点、64点、71点、90点、68点
解き方
ステップ1:小さい順に並べる
55点、64点、68点、71点、80点、90点
ステップ2:データの個数を確認
データは6個(偶数)
ステップ3:真ん中の2つの値を見つける
6 ÷ 2 = 3番目と4番目
3番目:68点
4番目:71点
ステップ4:2つの値の平均を計算
(68 + 71) ÷ 2 = 139 ÷ 2 = 69.5点
答え:メジアンは69.5点
例題4:10個のデータ
問題
10人の生徒の砲丸投げの記録のメジアンを求めなさい。
7m、4m、5m、9m、11m、3m、4m、12m、6m、7m
解き方
小さい順に並べる
3m、4m、4m、5m、6m、7m、7m、9m、11m、12m
真ん中の2つの値
10 ÷ 2 = 5番目と6番目
5番目:6m
6番目:7m
平均を計算
(6 + 7) ÷ 2 = 6.5m
答え:メジアンは6.5m
平均値との違い
メジアンと平均値、どちらもデータの「代表的な値」ですが、大きな違いがあります。
平均値とは
平均値 = (データの合計)÷(データの個数)
平均値の弱点
平均値は、極端に大きい値や小さい値(外れ値)の影響を受けやすいんです。
具体例で比較
問題:ある会社の5人の年収
Aさん:400万円
Bさん:500万円
Cさん:500万円
Dさん:500万円
Eさん:600万円
平均値を計算
(400 + 500 + 500 + 500 + 600) ÷ 5 = 500万円
メジアンを求める
小さい順に並べる(すでに並んでいる)
400万円、500万円、500万円、500万円、600万円
真ん中は500万円
この場合、平均もメジアンも500万円で同じですね。
外れ値がある場合
ところが、社長の年収が入ると…
6人の年収
Aさん:400万円
Bさん:500万円
Cさん:500万円
Dさん:500万円
Eさん:600万円
社長:3000万円
平均値を計算
(400 + 500 + 500 + 500 + 600 + 3000) ÷ 6 = 916万円
メジアンを求める
400万円、500万円、500万円、500万円、600万円、3000万円
真ん中の2つ:500万円と500万円
(500 + 500) ÷ 2 = 500万円
結果の比較
- 平均値:916万円
- メジアン:500万円
平均値は916万円ですが、実際には5人中4人が500万円前後です。
この場合、メジアンの500万円の方が実態を正しく表しているといえます。
メジアンの強み
メジアンは外れ値の影響をほとんど受けません!
だから、次のようなデータに適しています。
- 年収
- 不動産価格
- テストの点数(極端に高い・低い人がいる場合)
- 売上データ
最頻値(モード)との違い

代表値には、メジアンと平均値のほかに、もう1つ最頻値(モード)があります。
最頻値とは
最頻値(モード) = データの中で最も多く出てくる値
英語では「mode(モード)」といいます。
例
テストの点数:60点、70点、70点、70点、80点、90点
最頻値は70点(3回出てくる)
3つの代表値の比較
データ:60点、70点、70点、70点、80点、90点
平均値
(60 + 70 + 70 + 70 + 80 + 90) ÷ 6 = 73.3点
メジアン
60点、70点、70点、70点、80点、90点
真ん中の2つ:70点と70点
(70 + 70) ÷ 2 = 70点
最頻値
70点(最も多く出現)
それぞれの特徴
| 代表値 | 特徴 | 向いているデータ |
|---|---|---|
| 平均値 | すべてのデータを使う | 外れ値が少ない、対称的な分布 |
| メジアン | 外れ値に強い | 偏った分布、外れ値がある |
| 最頻値 | 最も多い値がわかる | 離散的なデータ、カテゴリー |
エクセルでの求め方
大量のデータがある場合、エクセルを使うと便利です。
MEDIAN関数
エクセルには、メジアンを自動で計算してくれる関数があります。
使い方
ステップ1:データを入力
A列にデータを入力します(例:A1からA10)
ステップ2:関数を入力
別のセルに以下を入力
=MEDIAN(A1:A10)
ステップ3:Enterキーを押す
メジアンが自動で計算されます!
具体例
データ:60、70、65、80、75、90、85、72、68、78
=MEDIAN(A1:A10)
結果:73.5
エクセルが自動でデータを並べ替えて、真ん中の2つの値(72と75)の平均を計算してくれます。
実生活での使われ方

メジアンは、実は私たちの生活のあちこちで使われています。
1. 年収の統計
日本の年収の中央値
国税庁の調査では、平均年収と中央値が発表されます。
- 平均年収:約460万円
- 中央値:約370万円
平均と中央値の差が大きいのは、高収入の人に引っ張られているから。
中央値の370万円の方が、より多くの人の実態に近いといえます。
2. 不動産価格
マンション価格
- 平均価格:5000万円
- 中央値:3500万円
超高級マンションがあると平均が上がりますが、中央値は影響を受けません。
3. テストの成績
クラスの点数
0点の人や100点の人がいても、メジアンを使えば「真ん中の実力」がわかります。
4. 企業の給与情報
求人情報で「平均年収」だけでなく「年収中央値」も見ると、実態がよくわかります。
よくある間違い
間違い1:並べ替えを忘れる
×間違い
データ:80、55、64、71、90、68
そのまま真ん中を見て...64と71?
○正しい
まず小さい順に並べる!
55、64、68、71、80、90
真ん中は68と71
間違い2:偶数の場合に平均を取らない
×間違い
データ:55、64、68、71、80、90
真ん中は68!
○正しい
偶数の場合は、真ん中の2つ(68と71)の平均を取る!
(68 + 71) ÷ 2 = 69.5
間違い3:平均値と混同する
メジアン ≠ 平均値
- メジアン:真ん中の値
- 平均値:合計 ÷ 個数
まったく違う計算方法です!
練習問題にチャレンジ!
理解を深めるために、いくつか問題を解いてみましょう。
問題1(奇数)
次のデータのメジアンを求めなさい。
12、18、15、22、20、14、25
答えを見る
答え:18
解き方
小さい順に並べる
12、14、15、18、20、22、25
データは7個(奇数)なので、4番目の値がメジアン
メジアンは18
問題2(偶数)
次のデータのメジアンを求めなさい。
8、12、15、10、18、14
答えを見る
答え:13
解き方
小さい順に並べる
8、10、12、14、15、18
データは6個(偶数)なので、3番目と4番目の平均
(12 + 14) ÷ 2 = 13
メジアンは13
問題3(平均値との比較)
次のデータについて、平均値とメジアンの両方を求めなさい。
5、7、8、9、10、11、50
答えを見る
平均値:約14.3
メジアン:9
解き方
平均値
(5 + 7 + 8 + 9 + 10 + 11 + 50) ÷ 7 = 100 ÷ 7 ≒ 14.3
メジアン
データはすでに小さい順に並んでいる
5、7、8、9、10、11、50
7個(奇数)なので、4番目の値
メジアンは9
考察
50という外れ値のせいで、平均値は14.3と高くなっています。
一方、メジアンは9で、多くのデータ(5〜11)の実態をよく表しています。
まとめ
メジアン(中央値)について、重要なポイントをおさらいしましょう。
✓ メジアンは「データを並べたときの真ん中の値」
✓ データが奇数個:真ん中の1つの値
✓ データが偶数個:真ん中の2つの値の平均
✓ 必ず最初にデータを並べ替える!
✓ 外れ値の影響を受けにくい
✓ 年収や不動産価格など、偏った分布に適している
✓ 代表値には他に平均値と最頻値がある
✓ エクセルではMEDIAN関数で簡単に求められる
メジアンは、平均値よりも「実態を表す」ことが多い、とても実用的な統計値です。
特に、外れ値があるデータや、偏った分布のデータでは、平均値よりもメジアンの方が適切な場合が多いんです。
ニュースで「平均年収」を聞いたときに、「中央値はいくらだろう?」と考えてみると、より正確な理解ができますよ。
この記事でメジアンの基本をしっかり理解できたら、実際の問題にたくさん挑戦してみてください。
データを見る目が養われること、間違いなしです!

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