「平均値を見ても、なんだか実感とずれている気がする…」
そんな経験はありませんか?そんなときに注目すべきなのが中央値(ちゅうおうち)です。
この記事では、中央値の意味や計算方法、実際の使い方について、身近な例を使ってわかりやすく説明します。
統計やデータ分析の基礎として、日常生活でも役立つ知識をお伝えします。
中央値とは何か?

中央値の基本的な意味
中央値とは、データを小さい順に並べたときの真ん中にある値のことです。
英語では「メディアン(Median)」と呼ばれます。
たとえば、5人の身長データがあるとします: 150cm、160cm、165cm、170cm、180cm
この場合、真ん中の3番目にある「165cm」が中央値になります。
中央値の特徴とメリット
中央値には以下のような特徴があります:
外れ値に強い
極端に大きい値や小さい値があっても、中央値はほとんど変わりません。
これを「ロバスト性」と呼びます。
データの分布を表現
全体の半分が中央値より小さく、残りの半分が中央値より大きいという性質があります。
直感的にわかりやすい
「真ん中の値」という概念は、数学が苦手な人でも理解しやすいものです。
平均値との違いを理解しよう
平均値(算術平均)は、すべての数値を足して個数で割ったものです。
一方、中央値は順序だけを重視します。
例:年収のデータ
- A社員:300万円
- B社員:400万円
- C社員:500万円
- D社員:600万円
- E社員:3000万円(社長)
平均値の計算 (300 + 400 + 500 + 600 + 3000)÷ 5 = 960万円
中央値の計算 真ん中の値:500万円
この例では、社長の高い年収が平均値を大きく押し上げています。
しかし、中央値は500万円で、一般的な社員の年収により近い値を示しています。
中央値の計算方法

データの個数が奇数の場合
手順
- データを小さい順に並び替える
- 真ん中の位置にある値を見つける
例:テストの点数(7人分) 元のデータ:85点、92点、78点、88点、95点、82点、90点
- ステップ1:
並び替え 78点、82点、85点、88点、90点、92点、95点 - ステップ2:
真ん中を特定 7個のデータなので、4番目(真ん中)が中央値
答え:88点
データの個数が偶数の場合
手順
- データを小さい順に並び替える
- 真ん中の2つの値を見つける
- その2つの平均を計算する
例:月の支出額(6ヶ月分) 元のデータ:12万円、8万円、15万円、10万円、11万円、9万円
ステップ1:並び替え 8万円、9万円、10万円、11万円、12万円、15万円
ステップ2:真ん中の2つを特定 6個のデータなので、3番目と4番目が対象 10万円と11万円
ステップ3:平均を計算 (10 + 11)÷ 2 = 10.5万円 答え:10.5万円
計算時の注意点
- 必ず並び替えを行う 元のデータの順序のまま計算すると、間違った結果になります。
- 同じ値がある場合 同じ数値が複数あっても、それぞれを1つのデータとして数えます。
- 小数点の扱い 偶数個のデータで中央値を求めるとき、小数点が出ることがあります。これは正常な結果です。
中央値が活躍する場面
収入や家計の統計
なぜ平均値だけでは不十分? 一部の高所得者が平均を大きく引き上げてしまうため、一般的な収入水準がわからなくなります。
中央値の活用例
- 世帯年収の中央値:約430万円(2019年厚生労働省調査)
- 家賃相場の中央値:地域の実情をより正確に反映
学校のテスト分析
成績の分布を把握 平均点だけでは、クラス全体の学力分布がわかりません。
中央値を併用することで、より詳しい分析が可能になります。
例:数学のテスト結果
- 平均点:72点
- 中央値:68点
この場合、高得点の生徒が平均を押し上げており、多くの生徒は平均より低い点数だったことがわかります。
不動産や物価の調査
- マンション価格の分析 超高級マンションが平均価格を押し上げても、中央値なら一般的な価格帯を知ることができます。
- 生活費の実態調査 極端に高い支出や低い支出の影響を受けにくく、標準的な生活費を把握できます。
アンケート調査やマーケティング
- 顧客満足度の分析 極端に低い評価や高い評価の影響を除いて、一般的な顧客の声を聞くことができます。
- 商品価格の設定 ターゲット層の購買力を正確に把握し、適切な価格設定に活用できます。
平均値と中央値の使い分け

平均値が適している場面
- データが正規分布に近い場合 値が中心付近に集まっており、極端な外れ値がない状況では、平均値が有効です。
- 総量を知りたい場合 売上総額や人口総数など、全体の合計値が重要な分析では平均値を使います。
中央値が適している場合
- 外れ値が存在する場合 極端に大きい値や小さい値がデータに含まれているときは、中央値の方が実態を表します。
- 分布が偏っている場合 データが一方向に偏って分布している場合、中央値の方が代表値として適切です。
両方を併用する効果
データの特性を理解 平均値と中央値を比較することで、データの分布の形や外れ値の存在を推測できます。
- 平均値 > 中央値:高い値に偏った分布
- 平均値 ≈ 中央値:バランスの取れた分布
- 平均値 < 中央値:低い値に偏った分布
まとめ:データの真実を見抜く力を身につけよう
中央値は、極端な値の影響を避けて、データの真ん中の状況を把握するための重要な統計指標です。
中央値を活用するメリット
- 外れ値に惑わされない分析ができる
- 一般的な水準や標準的な状況がわかる
- より現実に即した判断材料になる
日常生活での活用
- ニュースで見る統計データの理解
- 家計管理や投資判断
- 仕事でのデータ分析や報告
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