「5から3を引くと2」という計算、みなさんもよく使いますよね。
実はこの「2」という答えを、数学では「差(さ)」と呼びます。小学校から使っている引き算ですが、数学的にきちんと理解すると、もっと深い世界が見えてくるんです。
この記事では、数学の「差」について、基本的な意味から実際の計算方法、さらには応用まで、わかりやすく解説していきます。
数学における「差」の基本的な意味

数学における「差(さ)」とは、引き算(減法)の結果のことを指します。
簡単に言えば、ある数から別の数を引いたときに得られる答えが「差」です。例えば次の計算を見てください。
8 – 3 = 5
この式で、答えの「5」が差にあたります。
差が表すもの
差は「2つの数の間にどれだけの違いがあるか」を示す数値です。身近な例で考えてみましょう:
- 兄の身長が160cm、弟の身長が150cmなら、2人の身長の差は10cm
- 500円持っていて、300円使ったら、残りは200円(元の金額との差)
- 今日の最高気温が25℃、最低気温が18℃なら、気温差は7℃
このように、差は私たちの日常生活でも頻繁に使われている概念なんです。
引き算の用語:差・被減数・減数
引き算には、それぞれの数に専門的な名前がついています。
基本的な引き算の構造
A – B = C
この式において:
- A(被減数:ひげんすう):引かれる数
- B(減数:げんすう):引く数
- C(差:さ):引き算の結果
具体例で理解しよう
12 – 5 = 7
- 12が被減数(引かれる側の数)
- 5が減数(引く側の数)
- 7が差(計算結果)
英語では被減数を「minuend(ミニュエンド)」、減数を「subtrahend(サブトラヘンド)」、差を「difference(ディファレンス)」と呼びます。
和・差・積・商:四則演算の結果の呼び方
数学では、基本的な計算の結果にそれぞれ専門の名前があります。
四則演算の結果
- 和(わ):足し算(加法)の結果
- 例:3 + 4 = 7 → 7が和
- 差(さ):引き算(減法)の結果
- 例:10 – 6 = 4 → 4が差
- 積(せき):掛け算(乗法)の結果
- 例:5 × 3 = 15 → 15が積
- 商(しょう):割り算(除法)の結果
- 例:12 ÷ 3 = 4 → 4が商
これらの用語は小学4年生で学習しますが、中学生以降の数学では当然知っているものとして扱われます。特に文章題では「2つの数の差を求めなさい」といった表現が頻繁に出てくるため、しっかり覚えておきましょう。
差の計算方法
基本的な差の計算
整数同士の引き算は、比較的シンプルです。
一桁の数の引き算
9 – 4 = 5
これは「9個のものから4個取り除くと、5個残る」と考えられます。
大きな数の引き算
356 – 142 = 214
桁の大きな数を引き算するときは、位(くらい)を揃えて計算します。
356
- 142
-----
214
一の位から順番に引いていきます。
繰り下がりのある引き算
引かれる数より引く数の方が大きい位がある場合、繰り下がり(借りる)が必要です。
例:523 – 178を計算してみましょう
523
- 178
-----
- 一の位:3 – 8はできないので、十の位から10を借ります
- 一の位が13になり、13 – 8 = 5
- 十の位:借りたので2 – 1 = 1、そこから7を引くとまた足りないので百の位から借ります
- 十の位が11になり、11 – 7 = 4
- 百の位:借りたので5 – 1 = 4、そこから1を引いて4 – 1 = 3
答え:345
繰り下がりは最初は難しく感じますが、練習すれば必ずできるようになります。
負の数を含む差の計算
中学生になると、負の数(マイナスの数)が登場します。
例題
- 5 – (-3) = 5 + 3 = 8
- (-7) – 2 = -7 + (-2) = -9
- (-4) – (-6) = -4 + 6 = 2
覚えておきたいルール
- 負の数を引くことは、正の数を足すことと同じ
- 「マイナスのマイナスはプラス」という規則
小数の差の計算
小数を引き算するときは、小数点の位置を揃えることが重要です。
例:15.7 – 8.25
15.70
- 8.25
-------
7.45
小数点をそろえて、整数と同じように計算します。必要に応じて0を補って位を揃えましょう。
分数の差の計算
分数の引き算では、分母を揃える必要があります。
同じ分母の場合
3/5 – 1/5 = (3-1)/5 = 2/5
分母はそのままで、分子同士を引きます。
異なる分母の場合
2/3 – 1/4 を計算してみましょう。
- 分母の最小公倍数を見つける:3と4の最小公倍数は12
- 通分する:2/3 = 8/12、1/4 = 3/12
- 分子を引く:8/12 – 3/12 = 5/12
答え:5/12
数列における「階差」という考え方

数列(すうれつ)とは、規則的に並んだ数の列のことです。そして、隣り合う項の差を「階差(かいさ)」と呼びます。
階差数列の例
数列:2, 5, 9, 14, 20, …
各項の差(階差)を求めると:
- 5 – 2 = 3
- 9 – 5 = 4
- 14 – 9 = 5
- 20 – 14 = 6
階差:3, 4, 5, 6, …
この階差自体も数列になっており、これを「階差数列」といいます。階差数列を見ることで、元の数列の規則性が見えてくることがあります。
高校数学では、この階差数列を使って複雑な数列の一般項(n番目の数を表す式)を求める方法を学びます。
集合における「差集合」
数学の集合論では、「差」という概念が別の意味でも使われます。
差集合とは
集合Aから集合Bに含まれる要素を取り除いた集合を「差集合」といい、A – BまたはA \ Bと表記します。
具体例
- A = {1, 2, 3, 4, 5}
- B = {3, 4, 5, 6, 7}
このとき、A – B = {1, 2}
つまり、「Aには含まれるけれど、Bには含まれない要素」を集めたものが差集合です。
差集合は、データベースの検索やプログラミングなど、実用的な場面でも活用されています。
差を求める3つの意味:求残・求差・求部分
算数の教育では、引き算を3つの場面に分けて教えることがあります。
求残(きゅうざん)
「あったものの一部を取り去って、残りを求める」場面です。
例:
りんごが8個ありました。3個食べたら、残りは何個でしょうか?
8 – 3 = 5(個)
これが最も基本的な引き算のイメージですね。
求差(きゅうさ)
「2つの数量を比べて、その違い(差)を求める」場面です。
例:
兄は15歳、弟は9歳です。2人の年齢の差は何歳でしょうか?
15 – 9 = 6(歳)
2つのものが同時に存在していて、その違いを比べるのが求差です。
求部分(きゅうぶぶん)
「全体とその一部分がわかっていて、もう一方の部分を求める」場面です。
例:
クラス全体で30人います。そのうち男子が18人です。女子は何人でしょうか?
30 – 18 = 12(人)
全体から既知の部分を引いて、未知の部分を求めます。
これらは計算としてはどれも引き算ですが、意味する場面が異なります。文章題を解くときは、どの場面なのかを理解することが大切です。
差を使った日常生活の例
差の計算は、私たちの生活のあらゆる場面で活用されています。
買い物での計算
- 1000円出して650円の商品を買ったら、おつりは?
- 1000 – 650 = 350円
時間の計算
- 午後3時15分から午後5時40分まで勉強した時間は?
- 5時40分 – 3時15分 = 2時間25分
距離の計算
- 東京から大阪までの距離が約400km、東京から名古屋までが約350kmなら、名古屋から大阪までは?
- 400 – 350 = 約50km
成績の変化
- 前回のテストが75点、今回が88点なら、何点上がった?
- 88 – 75 = 13点
在庫管理
- 商品が100個あって、今日50個売れたら残りは?
- 100 – 50 = 50個
このように、差の概念は私たちの問題解決に欠かせないツールなんです。
差に関するよくある間違い
間違い1:引く順番を逆にする
誤: 小さい数から大きい数を引く
- 3 – 7 = 4(間違い)
正: 正しく計算すると
- 3 – 7 = -4(正しい)
大きい数から小さい数を引けば必ず正の数になりますが、逆の場合は負の数になります。
間違い2:「差」と「和」を混同する
- 「2つの数の差を求めなさい」→ 引き算
- 「2つの数の和を求めなさい」→ 足し算
似た言葉なので注意が必要です。
間違い3:文章題で式の順番を間違える
「AよりBの方が5大きい」という文を式にするとき:
- 誤:A – B = 5
- 正:B – A = 5
文章をよく読んで、何から何を引くのか正確に判断しましょう。
まとめ
数学における「差」は、引き算の結果を表す重要な用語です。
この記事で学んだ重要ポイント:
- 差の定義:引き算(減法)の結果のこと
- 四則演算の結果:和(足し算)、差(引き算)、積(掛け算)、商(割り算)
- 引き算の用語:被減数 – 減数 = 差
- 様々な数の差:整数、小数、分数、負の数それぞれに計算方法がある
- 階差数列:数列の隣り合う項の差から規則性を見つける
- 差集合:集合論における差の概念
- 3つの場面:求残、求差、求部分
差の計算は数学の基礎中の基礎ですが、小学校から高校、さらには大学数学に至るまで、形を変えながら登場し続けます。
また、日常生活でも「おつりの計算」「時間の計算」「点数の変化」など、あらゆる場面で差の概念を使っています。基本をしっかり理解しておけば、より複雑な数学の問題にも対応できるようになりますよ。
数学は積み重ねの学問です。差の意味と計算方法をマスターして、次のステップへ進んでいきましょう!

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