数学の授業で「>」や「<」といった記号を見たことがありますよね。これらは「大なり」「小なり」と呼ばれる不等号です。
「3 > 1」「x < 5」のような式は日常的に使いますが、「≥」と「>」の違いや、「以上」と「より大きい」の使い分けで混乱したことはありませんか?
この記事では、不等号の正しい読み方から使い分け、不等式の解き方まで、分かりやすく解説していきます!
不等号とは?【基本を押さえよう】

不等号の意味
不等号とは、2つの数や式の大小関係を表す記号のことです。英語では「inequality sign」や「inequality symbol」といいます。
数学では「等しい(=)」だけでなく、「大きい」「小さい」という関係も頻繁に扱います。そのときに使うのが不等号なんです。
不等号を使う理由
等号(=)だけでは表現できない関係を表すために不等号を使います。
例えば:
- 「身長は150cm以上」
- 「テストの点数が80点未満」
- 「速度は時速50km以下」
このように、ぴったりの値ではなく「範囲」を表すときに不等号が活躍します。
4つの不等号の種類【記号と読み方】
不等号には基本的に4種類あります。それぞれ意味が違うので、しっかり区別しましょう。
大なり「>」
記号: >
読み方: 「だいなり」「大なり」「より大きい」「greater than」
意味: 左側が右側より大きい
例:
- 5 > 3(5は3より大きい)
- x > 2(xは2より大きい)
小なり「<」
記号: <
読み方: 「しょうなり」「小なり」「より小さい」「less than」
意味: 左側が右側より小さい
例:
- 2 < 7(2は7より小さい)
- y < 10(yは10より小さい)
以上「≥」
記号: ≥
読み方: 「いじょう」「以上」「greater than or equal to」
意味: 左側が右側より大きいか等しい
例:
- x ≥ 5(xは5以上)
- a ≥ 0(aは0以上)
以下「≤」
記号: ≤
読み方: 「いか」「以下」「less than or equal to」
意味: 左側が右側より小さいか等しい
例:
- y ≤ 8(yは8以下)
- b ≤ 100(bは100以下)
不等号の覚え方【間違えないコツ】
口が開いている方が大きい
不等号の覚え方で一番簡単なのがこれです。
- 「>」は左側に口が開いている → 左側が大きい
- 「<」は右側に口が開いている → 右側が大きい
「大きい数の方を食べたがっている」とイメージすると覚えやすいですよ。
数直線で考える
数直線を思い浮かべると分かりやすくなります。
... -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 ...
←小さい 大きい→
右に行くほど数が大きくなるので:
- 3 < 5(3は5より左、つまり小さい)
- 7 > 2(7は2より右、つまり大きい)
「山」と「谷」で覚える
「>」は山の形、「<」は谷の形に見えます。
- 山「>」:左が高い(左が大きい)
- 谷「<」:右が高い(右が大きい)
「以上」「以下」と「より大きい」「より小さい」の違い
ここが一番混乱しやすいポイントです。しっかり区別しましょう!
「以上」と「より大きい」の違い
「以上(≥)」:その数を含む
- x ≥ 5:xは5、6、7、8…のどれか(5を含む)
- 「5以上」には5が入る
「より大きい(>)」:その数を含まない
- x > 5:xは6、7、8…のどれか(5は含まない)
- 「5より大きい」には5が入らない
「以下」と「より小さい」の違い
「以下(≤)」:その数を含む
- x ≤ 10:xは10、9、8、7…のどれか(10を含む)
- 「10以下」には10が入る
「より小さい(未満)(<)」:その数を含まない
- x < 10:xは9、8、7…のどれか(10は含まない)
- 「10より小さい」「10未満」には10が入らない
日常生活での例
映画の年齢制限:
- 「15歳以上」→ 15歳の人も見られる
- 「15歳より上」→ 16歳からしか見られない
テストの合格ライン:
- 「60点以上で合格」→ 60点でも合格
- 「60点より上で合格」→ 61点から合格
「未満」という言葉
「より小さい(<)」のことを「未満」ともいいます。
- 「18歳未満」= 「18歳より小さい」= 18歳は含まない
- x < 18と同じ意味
不等号の向きの変え方
不等式を計算するとき、不等号の向きが変わる場合があります。
そのままの場合
両辺に同じ正の数を足す・引く・かける・割るとき、不等号の向きは変わりません。
例:
x > 3
両辺に2を足す
x + 2 > 3 + 2
x + 2 > 5
x < 8
両辺に3をかける
3x < 24
向きが逆になる場合
両辺に負の数をかける・割るとき、不等号の向きが逆になります。
例:
x > 2
両辺に-1をかける
-x < -2 (向きが逆転)
-2x < 6
両辺を-2で割る
x > -3 (向きが逆転)
なぜ逆になるの?
数直線上で考えると分かります。例えば「3 > 1」は正しいですが、両方にマイナスをつけると「-3」と「-1」では「-3 < -1」になります。マイナスをかけると数直線上で左右が反転するイメージです。
不等式の解き方【基本から応用まで】
不等式を解くとは、不等式を満たすxの範囲を求めることです。
基本形:一次不等式
例題1: x + 3 > 7を解く
解き方:
x + 3 > 7
両辺から3を引く
x > 4
答え:x > 4
例題2: 2x – 5 ≤ 9を解く
解き方:
2x - 5 ≤ 9
両辺に5を足す
2x ≤ 14
両辺を2で割る
x ≤ 7
答え:x ≤ 7
例題3: -3x + 6 > 0を解く
解き方:
-3x + 6 > 0
両辺から6を引く
-3x > -6
両辺を-3で割る(向きが逆転)
x < 2
答え:x < 2
連立不等式
2つ以上の不等式を同時に満たす範囲を求めます。
例題: 次の連立不等式を解く
x + 2 > 5
x - 1 ≤ 6
解き方:
不等式1を解く
x + 2 > 5
x > 3
不等式2を解く
x - 1 ≤ 6
x ≤ 7
2つを同時に満たす範囲
3 < x ≤ 7
数直線で表すと、3より大きく7以下の範囲です。
カッコを含む不等式
例題: 3(x – 2) ≥ 2x + 4を解く
解き方:
3(x - 2) ≥ 2x + 4
カッコを展開
3x - 6 ≥ 2x + 4
両辺から2xを引く
x - 6 ≥ 4
両辺に6を足す
x ≥ 10
答え:x ≥ 10
数直線での表し方
不等式の解を数直線上に表すことができます。
白丸と黒丸の使い分け
白丸(○):その点を含まない
- x > 3:3の位置に白丸
- x < 5:5の位置に白丸
黒丸(●):その点を含む
- x ≥ 3:3の位置に黒丸
- x ≤ 5:5の位置に黒丸
矢印の向き
条件を満たす範囲に矢印を引きます。
例1: x > 2
○────→
... 0 1 2 3 4 ...
2より大きい範囲なので、2に白丸をつけて右に矢印。
例2: x ≤ -1
←────●
... -3 -2 -1 0 1 ...
-1以下なので、-1に黒丸をつけて左に矢印。
例3: -1 < x ≤ 3
○─────●
... -2 -1 0 1 2 3 4 ...
-1より大きく3以下なので、-1に白丸、3に黒丸。
よくある間違いと注意点
間違い1:「以上」と「より大きい」の混同
❌ 間違い:「x ≥ 5」を「xは5より大きい」と読む
⭕ 正しい:「x ≥ 5」は「xは5以上」
境界の値が含まれるかどうかをしっかり確認しましょう。
間違い2:負の数での計算ミス
❌ 間違い:
-2x > 6
x > -3 (向きを変え忘れ)
⭕ 正しい:
-2x > 6
x < -3 (負の数で割るので向きが逆転)
間違い3:不等号の向きの逆読み
❌ 間違い:「5 > x」を「5はxより小さい」と読む
⭕ 正しい:「5 > x」は「5はxより大きい」または「xは5より小さい」
左から右へ読むか、右から左へ読むかで表現が変わります。
間違い4:両辺の入れ替えミス
不等式の左右を入れ替えるときは、不等号の向きも逆にします。
例:
x < 5
↓ 左右を入れ替える
5 > x
不等式の性質【覚えておきたいルール】
推移律
a > bかつb > cならば、a > c
例:
- 7 > 5かつ5 > 3ならば、7 > 3
両辺に同じものを足す・引く
a > bならば、a + c > b + c
例:
- 5 > 3ならば、5 + 2 > 3 + 2(つまり7 > 5)
両辺に正の数をかける・割る
a > bかつc > 0ならば、ac > bc
例:
- 4 > 2かつ3 > 0ならば、4×3 > 2×3(つまり12 > 6)
両辺に負の数をかける・割る
a > bかつc < 0ならば、ac < bc(向きが逆転)
例:
- 3 > 1かつ-2 < 0ならば、3×(-2) < 1×(-2)(つまり-6 < -2)
実践問題で理解度チェック
問題1:次の不等式を解け
(1) x – 4 > 2
(2) 3x ≤ 15
(3) -x + 5 ≥ 8
解答
(1) x > 6
(2) x ≤ 5
(3) x ≤ -3
問題2:次の連立不等式を解け
2x + 1 > 5
x - 3 ≤ 1
解答
2x + 1 > 5 → 2x > 4 → x > 2
x – 3 ≤ 1 → x ≤ 4
答え:2 < x ≤ 4
問題3:次の不等式を解け
5(x – 1) < 3x + 7
解答
5(x - 1) < 3x + 7
5x - 5 < 3x + 7
2x < 12
x < 6
答え:x < 6
日常生活での不等号の使い方
不等号は数学の授業だけでなく、日常生活でもたくさん使われています。
年齢制限
- 「13歳以上推奨」:13歳から使える
- 「18歳未満入場禁止」:17歳以下は入れない
商品の重量表示
- 「内容量100g以上」:100gより軽いことはない
- 「100g未満」:100gはない
交通標識
- 「制限速度50km/h」:50km/h以下で走る必要がある
- 「最低速度50km/h」:50km/h以上で走る必要がある
プログラミング
コンピュータのプログラムでも不等号は頻繁に使います。
if (age >= 18) {
// 18歳以上の処理
}
まとめ
不等号は数学の基礎であり、日常生活でも役立つ重要な概念です。
この記事のポイント
- 不等号には4種類ある:「>」「<」「≥」「≤」
- 「以上・以下」はその数を含む、「より大きい・小さい(未満)」は含まない
- 口が開いている方が大きい数と覚える
- 負の数をかける・割るときは不等号の向きが逆になる
- 数直線で視覚的に理解すると分かりやすい
- 白丸は含まない、黒丸は含む
不等号の使い分けをマスターすれば、数学の問題がグッと解きやすくなります。特に「以上」と「より大きい」の違いは、テストでもよく問われるポイントなので、しっかり覚えておきましょう!

