数学の問題で「定数項を答えなさい」って聞かれたこと、ありませんか?
式を見てもどれが定数項なのか迷ってしまう、そんな経験をした人も多いはず。でも、定数項の意味さえ理解すれば、意外と簡単に見つけられるようになるんです。
この記事では、定数項とは何か、どうやって見つければいいのか、係数との違いは何かを分かりやすく説明していきます。
定数項とは何か

まず、定数項の基本的な意味から見ていきましょう。
定数項(ていすうこう)とは、文字を含まない項のことです。
つまり、数だけで表されている項が定数項なんですね。
定数項の具体例
例を見れば、すぐに理解できますよ。
次の式を見てください。
3x² + 2x + 5
この式には3つの項があります。それぞれ「3x²」「2x」「5」です。
この中で、文字(x)を含んでいないのは「5」だけですよね。だから、定数項は5になります。
もう一つ例を見てみましょう。
4a + 3b – 7
この式の定数項は「-7」です。マイナスの符号も含めて一つの項として考えるので、注意してくださいね。
なぜ「定数」と呼ぶのか
定数項の「定数」には「定まった数」という意味があります。
文字を含む項は、文字にどんな数を代入するかによって値が変わります。でも、定数項は文字を含まないので、いつでも同じ値なんですね。
だから「定数」と呼ばれているわけです。
定数項の次数は0
定数項について、もう一つ重要な特徴があります。
それは、定数項の次数は0だということ。
次数とは
ここで、次数について簡単に説明しておきましょう。
次数(じすう)とは、その項で掛け合わせている文字の個数のことです。
例えば:
- xの次数は1(文字が1個)
- x²の次数は2(xが2回掛けられている)
- xyの次数は2(文字が2個)
- abcの次数は3(文字が3個)
定数項の次数が0になる理由
定数項は文字を含まないので、掛け合わせている文字の個数は0個です。
だから、定数項の次数は0になるわけですね。
別の見方をすると、数字の「5」は「5x⁰」と書くこともできます。x⁰は1なので、5x⁰ = 5 × 1 = 5となります。この考え方からも、定数項の次数は0だと分かるんです。
定数項と係数の違い
定数項と混同しやすいのが「係数」です。この違いをしっかり理解しておきましょう。
係数とは
係数(けいすう)とは、文字に掛けられている数のことです。
例えば、3xという項では、「3」が係数になります。xに3が掛けられているわけですね。
定数項と係数の違い
では、具体例で違いを確認してみましょう。
5x² + 3x + 7という式を考えます。
- 5x²の係数は「5」
- 3xの係数は「3」
- 定数項は「7」
係数は文字に掛けられている数字の部分を指し、定数項は文字を含まない項そのものを指します。
つまり、係数は「文字の相棒」で、定数項は「一人ぼっちの数」と考えると分かりやすいかもしれませんね。
定数項に係数はあるのか
「定数項の係数は何ですか?」と聞かれたら、どう答えればいいでしょうか。
定数項は文字を含まないので、基本的に係数という概念は使いません。ただし、数学的には定数項を「1 × 定数項」と考えて、係数は1とみなすこともあります。
でも、通常は「定数項には係数がない」と理解しておけば問題ありませんよ。
特定の文字に着目した定数項
ここからは少し応用的な内容です。
「xに着目する」とは
問題で「xに着目して定数項を求めなさい」と指示されることがあります。
これは、「xだけを文字とみなし、他の文字は数として扱う」という意味なんです。
着目したときの定数項の見つけ方
具体例で見てみましょう。
2x² + 3xy + 4y + 5という式があるとします。
全体として見た場合の定数項は「5」です。
でも、xに着目した場合はどうでしょうか?
この場合、yは文字ではなく数として扱います。すると:
- 2x² → xを含む(定数項ではない)
- 3xy → xを含む(定数項ではない)
- 4y → xを含まない(定数項になる)
- 5 → xを含まない(定数項になる)
つまり、xに着目すると、定数項は「4y」と「5」、または「4y + 5」となります。
着目すると次数も変わる
着目する文字を変えると、次数も変わることに注意してください。
3x²yという項を考えてみましょう。
- 全体としての次数は3(xが2個、yが1個)
- xに着目した次数は2(xが2個)
- yに着目した次数は1(yが1個)
このように、どの文字に着目するかによって、定数項だけでなく次数も変わってくるんですね。
定数項の見つけ方のコツ
定数項を確実に見つけるためのコツを紹介します。
コツ1:文字があるかチェック
各項を一つずつ見て、文字が含まれているかチェックしましょう。
文字(x、y、a、bなど)が一つも含まれていない項が定数項です。
コツ2:符号に注意する
マイナスの符号も項の一部です。
2x – 3という式なら、定数項は「-3」であって「3」ではありません。符号を忘れないように気をつけてくださいね。
コツ3:分数や小数も定数項になる
定数項は整数だけではありません。
x + 0.5なら定数項は「0.5」、2x + 1/3なら定数項は「1/3」です。
コツ4:定数項がない場合もある
すべての式に定数項があるわけではありません。
3x² + 2xという式には、文字を含まない項がないので、定数項はありません。こういう場合は「定数項は0」と考えることもできます。
定数項の計算における役割

定数項は、式の計算でどんな役割を果たすのでしょうか。
同類項の整理
式を整理するとき、定数項同士はまとめることができます。
(2x + 3) + (5x + 7)を計算すると:
2x + 3 + 5x + 7
= (2x + 5x) + (3 + 7)
= 7x + 10
文字を含む項同士、定数項同士をそれぞれまとめるわけですね。
方程式を解くとき
方程式を解くとき、定数項を移項することがよくあります。
3x + 5 = 14を解く場合:
3x = 14 – 5
3x = 9
x = 3
定数項の「5」を右辺に移項して、xの値を求めることができました。
関数のグラフ
一次関数y = 2x + 3では、定数項の「3」はy切片を表します。
つまり、グラフがy軸と交わる点のy座標が定数項になるんです。定数項は、グラフの位置を決める重要な役割を果たしているんですね。
よくある間違いと注意点
定数項を見つけるときに、よくある間違いをいくつか紹介します。
間違い1:係数を定数項と混同する
5x + 3で、「5」を定数項と間違える人がいます。
でも、「5」は係数であって定数項ではありません。定数項は「3」です。
間違い2:符号を忘れる
x – 4で、定数項を「4」と答えてしまう間違いです。
正しくは「-4」です。マイナスの符号も含めて覚えておきましょう。
間違い3:分数の扱いを間違える
x/3 + 2という式があるとき、定数項は「2」です。
「x/3」は文字xを含んでいるので、定数項ではありません。分数だからといって迷わないようにしてくださいね。
まとめ
定数項とは、文字を含まない項のことで、次数は0になります。
式の中で数だけで表されている部分を探せば、それが定数項です。例えば、3x² + 2x + 5なら、定数項は5ですね。
係数は文字に掛けられている数のことで、定数項とは異なります。係数は「文字の相棒」、定数項は「一人ぼっちの数」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
特定の文字に着目する問題では、その文字だけを変数として扱い、他の文字は数とみなします。すると、着目していない文字を含む項も定数項になるんです。
定数項を見つけるコツは、各項に文字が含まれているかチェックすること。符号も忘れずに、分数や小数も定数項になることを覚えておいてください。
定数項は式の整理や方程式を解くとき、グラフの位置を決めるときなど、様々な場面で重要な役割を果たしています。しっかり理解して、数学の問題に活用してくださいね。


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