数学の部分集合とは?真部分集合との違いから個数の求め方まで徹底解説

数学

「部分集合って何?」「真部分集合とどう違うの?」

集合論を学ぶとき、必ず出てくるのが「部分集合」という概念です。

この記事では、部分集合の基本的な意味から、真部分集合との違い、記号の使い方、部分集合の個数の求め方まで、具体例を豊富に使って分かりやすく解説していきます。

記号の流儀が複数あって混乱しやすい部分もありますが、一つ一つ丁寧に見ていきましょう。


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  1. 部分集合とは何か
    1. 基本的な定義
    2. 簡単な例で理解しよう
    3. 部分集合の条件
  2. 部分集合の記号と読み方
    1. 基本的な記号
    2. 記号の注意点
  3. 真部分集合とは
    1. 真部分集合の定義
    2. 部分集合と真部分集合の違い
    3. 例で比較
  4. 部分集合の具体例
    1. 例1:数の集合
    2. 例2:偶数と整数
    3. 例3:地域の包含関係
  5. 空集合と部分集合
    1. 空集合とは
    2. 空集合は常に部分集合
    3. なぜ空集合はすべての集合の部分集合なのか
    4. 空集合と真部分集合
  6. 集合自身と部分集合
    1. 集合自身は部分集合
    2. 集合自身は真部分集合ではない
  7. 部分集合の個数
    1. 部分集合の個数の公式
    2. なぜ2^nになるのか
    3. 例:3個の要素を持つ集合
    4. 真部分集合の個数の公式
    5. 例:真部分集合の個数
  8. 部分集合の判定方法
    1. 判定の手順
    2. 例題1:部分集合の判定
    3. 例題2:真部分集合の判定
  9. ベン図で理解する部分集合
    1. ベン図とは
    2. 部分集合のベン図
    3. 真部分集合のベン図
    4. 部分集合でない場合
  10. 部分集合の性質
    1. 性質1:反射律(はんしゃりつ)
    2. 性質2:推移律(すいいりつ)
    3. 性質3:反対称律(はんたいしょうりつ)
    4. 性質4:空集合の性質
  11. 部分集合の応用例
    1. 例1:条件を満たす要素の集合
    2. 例2:データベースの検索結果
    3. 例3:プログラミングでの配列
  12. よくある間違いと注意点
    1. 間違い1:要素と部分集合の混同
    2. 間違い2:空集合の扱い
    3. 間違い3:記号の混同
    4. 間違い4:集合自身を忘れる
  13. 部分集合の練習問題
    1. 問題1:部分集合の個数
    2. 問題2:真部分集合の個数
    3. 問題3:部分集合の列挙
    4. 問題4:部分集合の判定
    5. 問題5:真部分集合の判定
  14. まとめ

部分集合とは何か

部分集合(ぶぶんしゅうごう)とは、ある集合の要素が、別の集合の要素にすべて含まれているとき、その関係を表す概念です。

英語では「subset(サブセット)」と言います。

基本的な定義

集合Aのすべての要素が集合Bの要素でもあるとき、「AはBの部分集合である」と言います。

記号では A ⊆ B と表します(読み方:「AはBに含まれる」)。

簡単な例で理解しよう

例1:

  • 集合A = {1, 2}
  • 集合B = {1, 2, 3, 4}

Aのすべての要素(1と2)は、Bにも含まれています。
だから、AはBの部分集合です。

例2:

  • 集合C = {犬、猫}
  • 集合D = {犬、猫、うさぎ、ハムスター}

Cのすべての要素は、Dにも含まれています。
だから、CはDの部分集合です。

部分集合の条件

AがBの部分集合であるための条件は:

「Aの要素xのどれを取っても、必ずBの要素である」

言い換えると:

  • Aに入っている要素は、全部Bにも入っている
  • Bに入っているけどAには入っていない要素があっても良い

部分集合の記号と読み方

部分集合を表す記号にはいくつかの流儀があるので、注意が必要です。

基本的な記号

A ⊆ B

  • 読み方:「AはBの部分集合である」「AはBに含まれる」
  • 意味:Aのすべての要素がBに含まれる

B ⊇ A

  • 読み方:「BはAを含む」「BはAの上位集合である」
  • 意味:A ⊆ B と同じ(向きが逆)

記号の注意点

教科書や参考書によって、記号の使い方が異なることがあります。

流儀1:

  • 部分集合:A ⊆ B
  • 真部分集合:A ⊂ B

流儀2:

  • 部分集合:A ⊂ B
  • 真部分集合:A ⊊ B(または A ⊂ B かつ A ≠ B)

この記事では主に流儀1を使いますが、どちらの流儀も存在することを覚えておいてください。


真部分集合とは

真部分集合(しんぶぶんしゅうごう)とは、部分集合であって、元の集合とは一致しないもののことです。

英語では「proper subset(プロパーサブセット)」と言います。

真部分集合の定義

集合AがBの部分集合であり、かつA ≠ B(AとBが等しくない)とき、
「AはBの真部分集合である」と言います。

記号では A ⊂ B(または A ⊊ B)と表します。

部分集合と真部分集合の違い

部分集合:

  • AのすべてがBに含まれる
  • A = B でもOK(同じ集合でもOK)

真部分集合:

  • AのすべてがBに含まれる
  • A ≠ B でなければならない(Bには、Aにない要素が少なくとも1つある)

例で比較

集合B = {1, 2, 3} に対して:

Bの部分集合:

  • { }(空集合)
  • {1}
  • {2}
  • {3}
  • {1, 2}
  • {1, 3}
  • {2, 3}
  • {1, 2, 3} ← これも部分集合

Bの真部分集合:

  • { }(空集合)
  • {1}
  • {2}
  • {3}
  • {1, 2}
  • {1, 3}
  • {2, 3}
  • {1, 2, 3} ← これは真部分集合ではない

つまり、集合自身は部分集合だが、真部分集合ではないのです。


部分集合の具体例

実際の例で理解を深めましょう。

例1:数の集合

自然数と整数:

  • N = {1, 2, 3, 4, 5, …}(自然数)
  • Z = {…, -2, -1, 0, 1, 2, 3, …}(整数)

自然数はすべて整数なので、N ⊆ Z(自然数は整数の部分集合)

しかし、整数には0や負の数があるので、N ≠ Z
よって、N ⊂ Z(自然数は整数の真部分集合)

例2:偶数と整数

偶数の集合:

  • E = {2, 4, 6, 8, 10, …}(偶数)
  • Z = {…, -2, -1, 0, 1, 2, 3, …}(整数)

偶数はすべて整数なので、E ⊆ Z

しかし、整数には奇数もあるので、E ≠ Z
よって、E ⊂ Z(偶数は整数の真部分集合)

例3:地域の包含関係

  • A = {東京都}
  • B = {関東地方の都県}
  • C = {日本の都道府県}

このとき:

  • A ⊂ B(東京都は関東地方の都県の真部分集合)
  • B ⊂ C(関東地方の都県は日本の都道府県の真部分集合)
  • A ⊂ C(東京都は日本の都道府県の真部分集合)

このように、部分集合の関係は連鎖します。


空集合と部分集合

空集合(くうしゅうごう)は、すべての集合の部分集合です。

空集合とは

空集合とは、要素を1つも持たない集合のことです。
記号では または { } と表します。

空集合は常に部分集合

重要な性質:空集合は、どんな集合Aに対しても、Aの部分集合である

つまり:

  • ∅ ⊆ A(どんなAに対しても成り立つ)

例:

  • 集合B = {1, 2, 3} に対して、∅ ⊆ B
  • 集合C = {犬、猫} に対して、∅ ⊆ C
  • 集合D = {赤、青、黄} に対して、∅ ⊆ D

なぜ空集合はすべての集合の部分集合なのか

部分集合の定義を思い出しましょう:
「Aのすべての要素がBに含まれる」

空集合には要素が1つもありません。
だから、「空集合のすべての要素がBに含まれる」は、何もチェックすることがなく、自動的に真になります。

空集合と真部分集合

空集合∅は:

  • 空集合以外のすべての集合の真部分集合です
  • 空集合自身の真部分集合ではありません(∅ = ∅なので)

集合自身と部分集合

どんな集合Aも、自分自身の部分集合です。

集合自身は部分集合

重要な性質:A ⊆ A(どんな集合Aも自分自身の部分集合)

なぜなら、「Aのすべての要素がAに含まれる」は明らかに真だからです。

例:

  • {1, 2, 3} ⊆ {1, 2, 3}
  • {犬、猫} ⊆ {犬、猫}
  • ∅ ⊆ ∅

集合自身は真部分集合ではない

しかし、集合自身は真部分集合ではありません

真部分集合の定義は「部分集合であって、等しくない」だからです。

例:

  • {1, 2, 3}は{1, 2, 3}の部分集合 ○
  • {1, 2, 3}は{1, 2, 3}の真部分集合 ✕

部分集合の個数

n個の要素を持つ集合の部分集合は、全部で何個あるでしょうか?

部分集合の個数の公式

n個の要素を持つ集合Aの部分集合の個数は 2^n 個

なぜ2^nになるのか

各要素について、「部分集合に入れる」か「入れない」かの2通りの選択があります。

n個の要素それぞれに2通りの選択があるので:
2 × 2 × 2 × … × 2(n回)= 2^n

例:3個の要素を持つ集合

集合A = {a, b, c} の部分集合をすべて書き出すと:

  1. { }(何も選ばない)
  2. {a}(aだけ選ぶ)
  3. {b}(bだけ選ぶ)
  4. {c}(cだけ選ぶ)
  5. {a, b}(aとbを選ぶ)
  6. {a, c}(aとcを選ぶ)
  7. {b, c}(bとcを選ぶ)
  8. {a, b, c}(すべて選ぶ)

全部で8個 = 2^3

真部分集合の個数の公式

n個の要素を持つ集合Aの真部分集合の個数は 2^n – 1 個

部分集合から、集合自身(A自身)を除くので、2^n – 1 になります。

例:真部分集合の個数

集合A = {a, b, c} の真部分集合は:

{ }, {a}, {b}, {c}, {a, b}, {a, c}, {b, c}

全部で7個 = 2^3 – 1

({a, b, c}は除外される)


部分集合の判定方法

2つの集合が与えられたとき、部分集合かどうかをどう判定すればいいでしょうか?

判定の手順

AがBの部分集合かどうかを判定する:

  1. Aの要素を1つずつチェックする
  2. その要素がBに含まれているか確認する
  3. すべての要素がBに含まれていれば、A ⊆ B
  4. 1つでもBに含まれない要素があれば、A ⊆ B ではない

例題1:部分集合の判定

次のうち、AがBの部分集合であるものを選べ。

(1) A = {1, 3}, B = {1, 2, 3, 4}
(2) A = {2, 5}, B = {1, 2, 3, 4}
(3) A = {1, 2, 3}, B = {1, 2, 3}

解答:

(1) 1∈B、3∈B なので、A ⊆ B ○

(2) 2∈B だが、5∉B なので、A ⊆ B ✕

(3) すべての要素が共通なので、A ⊆ B ○(A = B でもある)

例題2:真部分集合の判定

次のうち、AがBの真部分集合であるものを選べ。

(1) A = {1, 2}, B = {1, 2, 3}
(2) A = {1, 2, 3}, B = {1, 2, 3}
(3) A = { }, B = {1, 2}

解答:

(1) A ⊆ B であり、かつ A ≠ B(Bには3がある)なので、A ⊂ B ○

(2) A = B なので、真部分集合ではない ✕

(3) A ⊆ B であり、かつ A ≠ B なので、A ⊂ B ○


ベン図で理解する部分集合

ベン図を使うと、部分集合の関係が視覚的に分かりやすくなります。

ベン図とは

ベン図とは、集合を円や楕円で表し、集合間の関係を図示したものです。

部分集合のベン図

A ⊆ B のとき:

  • 集合Aを表す円が、集合Bを表す円の内側に完全に入っている
        ┌─────────────┐
        │     B       │
        │  ┌─────┐   │
        │  │  A  │   │
        │  └─────┘   │
        └─────────────┘

真部分集合のベン図

A ⊂ B のとき:

  • Aの円がBの円の内側に入っている
  • Bには、Aの外側の部分がある
        ┌─────────────┐
        │     B       │
        │  ┌─────┐   │
        │  │  A  │   │
        │  └─────┘   │
        │             │
        └─────────────┘

部分集合でない場合

A ⊄ B のとき(AがBの部分集合でない):

  • 2つの円が重なっているが、Aが完全にBに入っていない
  • または、まったく重なっていない
    ┌─────┐  ┌─────┐
    │  A  │  │  B  │
    └─────┘  └─────┘

部分集合の性質

部分集合にはいくつかの重要な性質があります。

性質1:反射律(はんしゃりつ)

どんな集合Aも、自分自身の部分集合である

A ⊆ A

性質2:推移律(すいいりつ)

A ⊆ B かつ B ⊆ C ならば、A ⊆ C

部分集合の関係は「連鎖」します。

例:

  • 偶数 ⊆ 整数
  • 整数 ⊆ 有理数
  • よって、偶数 ⊆ 有理数

性質3:反対称律(はんたいしょうりつ)

A ⊆ B かつ B ⊆ A ならば、A = B

2つの集合が互いに部分集合なら、それらは等しい。

これは、2つの集合が等しいことを証明するときによく使われます。

性質4:空集合の性質

∅ ⊆ A(すべての集合Aに対して)

空集合は、すべての集合の部分集合です。


部分集合の応用例

部分集合の概念は、数学のさまざまな場面で使われます。

例1:条件を満たす要素の集合

全体集合U = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10}

条件「3の倍数」を満たす要素の集合A = {3, 6, 9}

このとき、A ⊂ U(Aはレの真部分集合)

例2:データベースの検索結果

  • 全体:すべての商品
  • 検索結果:条件に合う商品

検索結果は、全商品の部分集合です。

例3:プログラミングでの配列

元の配列から、条件に合うものだけを抽出した配列は、元の配列の部分集合と考えられます。

例:

元の配列 = [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10]
偶数のみ = [2, 4, 6, 8, 10]  ← 部分集合

よくある間違いと注意点

部分集合を学ぶとき、注意したいポイントがあります。

間違い1:要素と部分集合の混同

間違った例:
1 ⊆ {1, 2, 3}

正しい例:
1 ∈ {1, 2, 3}(1は要素)
{1} ⊆ {1, 2, 3}({1}は部分集合)

重要:

  • 要素を表すときは ∈(エレメント)
  • 部分集合を表すときは ⊆(サブセット)

間違い2:空集合の扱い

間違った考え:
「空集合は部分集合ではない」

正しい理解:
空集合は、すべての集合の部分集合です。

間違い3:記号の混同

⊂ と ⊆ の使い分けは、教科書によって異なります。

必ず確認:
使っている教科書や参考書で、どちらの流儀を使っているか確認しましょう。

間違い4:集合自身を忘れる

「集合Aの部分集合をすべて書け」という問題では、A自身も含めるのを忘れないように。

例:
{1, 2}の部分集合:
{ }, {1}, {2}, {1, 2} ← {1, 2}を忘れずに


部分集合の練習問題

実際に問題を解いて、理解を深めましょう。

問題1:部分集合の個数

集合A = {a, b, c, d} の部分集合は全部で何個あるか?

解答:
要素が4個なので、2^4 = 16個

問題2:真部分集合の個数

集合B = {1, 2, 3, 4, 5} の真部分集合は全部で何個あるか?

解答:
要素が5個なので、2^5 – 1 = 32 – 1 = 31個

問題3:部分集合の列挙

集合C = {x, y} のすべての部分集合を書け。

解答:

  1. { }
  2. {x}
  3. {y}
  4. {x, y}

全部で4個(= 2^2)

問題4:部分集合の判定

次のうち正しいものを選べ。

(a) {1, 2} ⊆ {1, 2, 3}
(b) {1, 4} ⊆ {1, 2, 3}
(c) { } ⊆ {1, 2}
(d) {1, 2, 3} ⊂ {1, 2, 3}

解答:
(a) ○(1も2も含まれている)
(b) ✕(4が含まれていない)
(c) ○(空集合はすべての集合の部分集合)
(d) ✕(等しいので真部分集合ではない)

問題5:真部分集合の判定

A = {2, 4, 6, 8, …}(偶数全体)
B = {1, 2, 3, 4, 5, …}(自然数全体)

AはBの真部分集合か?

解答:
すべての偶数は自然数なので、A ⊆ B
しかし、Bには奇数(1, 3, 5, …)も含まれるので、A ≠ B
よって、A ⊂ B(AはBの真部分集合)○


まとめ

部分集合は、集合論の基礎となる重要な概念です。

この記事のポイント:

  • 部分集合とは、ある集合のすべての要素が別の集合に含まれている関係
  • A ⊆ B は「AはBの部分集合」
  • 真部分集合とは、部分集合であって元の集合と等しくないもの
  • A ⊂ B(または A ⊊ B)は「AはBの真部分集合」
  • 空集合∅は、すべての集合の部分集合
  • どんな集合も、自分自身の部分集合
  • n個の要素を持つ集合の部分集合の個数は 2^n 個
  • n個の要素を持つ集合の真部分集合の個数は 2^n – 1 個
  • 記号の使い方は流儀によって異なるので注意
  • 要素(∈)と部分集合(⊆)を混同しない

部分集合の理解で重要なのは:

  • 「すべて」の要素が含まれていること
  • 集合自身も部分集合に含まれること
  • 空集合が特別な部分集合であること

これらの基本をしっかり押さえることで、集合の演算(和集合、積集合、補集合など)の理解もスムーズになります。

まずは小さな集合で部分集合をすべて書き出す練習をして、徐々に抽象的な集合にも対応できるようになっていきましょう!

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