「変化の割合」って聞いたことはありますか?
中学2年生の数学で習う内容ですが、「なんだか難しそう…」と感じている人も多いのではないでしょうか。
でも安心してください!変化の割合は、実は私たちの生活のあちこちで使われている、とても実用的な考え方なんです。
この記事では、変化の割合の基本から計算方法、実生活での使われ方まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。
数学が苦手な人でも理解できるように、たくさんの具体例を使って説明しますね。
変化の割合とは?

基本的な定義
変化の割合とは、次の式で表されます。
変化の割合 = yの増加量 ÷ xの増加量
もっと簡単に言うと…
「xが1増えたとき、yはどれだけ増える(または減る)か」
を表す数なんです。
身近な例で考えてみよう
例:時速60kmで走る車
- 1時間で60km進む
- 2時間で120km進む
- 3時間で180km進む
ここで「時間」がx、「進んだ距離」がyだとすると…
時間が1時間増えると、距離は60km増える
→ 変化の割合 = 60
つまり、時速60kmというのは「変化の割合が60」ということなんです!
変化の割合の公式
基本公式
変化の割合 = (yの増加量) ÷ (xの増加量)
= (yの後の値 - yの前の値) ÷ (xの後の値 - xの前の値)
ポイント
- 増加量は「後の値 – 前の値」で計算します
- 引き算の順番を間違えないように!
一次関数での変化の割合
一次関数 y = ax + b では、変化の割合に特別な性質があります。
重要な性質
一次関数の変化の割合は常に一定で、aの値と等しい
つまり…
- y = 2x + 3 → 変化の割合は2
- y = -5x + 1 → 変化の割合は-5
- y = 0.5x – 2 → 変化の割合は0.5
なぜ一定なのか?
一次関数のグラフは直線です。直線の傾きはどこでも同じですよね。
だから、xがどこからどこまで変化しても、変化の割合は常に同じなんです。
傾きとの関係
実は、一次関数の変化の割合 = 傾き = aなんです。
呼び方が違うだけで、同じものを指しているんですね。
具体的な計算例(一次関数)

例題1:基本的な計算
問題
y = 2x + 1 について、xが1から3まで増加するときの変化の割合を求めなさい。
解き方
方法1:増加量を使う
ステップ1:xの増加量を求める
xの増加量 = 3 - 1 = 2
ステップ2:yの値を計算する
x = 1のとき:y = 2×1 + 1 = 3
x = 3のとき:y = 2×3 + 1 = 7
ステップ3:yの増加量を求める
yの増加量 = 7 - 3 = 4
ステップ4:変化の割合を計算する
変化の割合 = yの増加量 ÷ xの増加量
= 4 ÷ 2
= 2
方法2:公式から直接(一次関数の場合)
y = 2x + 1 なので、a = 2
答え:変化の割合は2
どちらの方法でも、答えは同じになります!
例題2:マイナスの値を含む場合
問題
y = 3x – 2 について、xが-1から2まで増加するときの変化の割合を求めなさい。
解き方
xとyの増加量を求める
xの増加量 = 2 - (-1) = 3
x = -1のとき:y = 3×(-1) - 2 = -5
x = 2のとき:y = 3×2 - 2 = 4
yの増加量 = 4 - (-5) = 9
変化の割合を計算
変化の割合 = 9 ÷ 3 = 3
または、y = 3x – 2 なので a = 3
答え:変化の割合は3
増加量の逆算
変化の割合とxの増加量(またはyの増加量)がわかっているとき、もう一方の増加量を求めることができます。
公式の変形
変化の割合 = yの増加量 ÷ xの増加量
この式を変形すると…
yの増加量 = 変化の割合 × xの増加量
xの増加量 = yの増加量 ÷ 変化の割合
例題3:yの増加量を求める
問題
y = -4x + 5 について、xの増加量が3のとき、yの増加量を求めなさい。
解き方
y = -4x + 5 より、変化の割合 = -4
yの増加量 = 変化の割合 × xの増加量
= (-4) × 3
= -12
答え:yの増加量は-12
マイナスということは、yが減少するということですね。
二次関数での変化の割合
二次関数 y = ax² では、一次関数と違う性質があります。
重要な違い
二次関数の変化の割合は一定ではない!
xがどこからどこまで変化するかによって、変化の割合が変わります。
二次関数の変化の割合の公式
y = ax² について、xの値がpからqまで増加するとき…
変化の割合 = a(p + q)
覚え方
「最初と最後の値を足してから、aを掛ける」
具体的な計算例(二次関数)
例題4:基本的な計算
問題
y = 2x² について、xが1から3まで増加するときの変化の割合を求めなさい。
解き方
方法1:増加量を使う(基本)
xとyの値を計算
x = 1のとき:y = 2×1² = 2
x = 3のとき:y = 2×3² = 18
増加量を求める
xの増加量 = 3 - 1 = 2
yの増加量 = 18 - 2 = 16
変化の割合を計算
変化の割合 = 16 ÷ 2 = 8
方法2:公式を使う(速い!)
変化の割合 = a(p + q)
= 2 × (1 + 3)
= 2 × 4
= 8
答え:変化の割合は8
公式を使うと、計算がとても速くなりますね!
例題5:マイナスの値を含む場合
問題
y = -3x² について、xが-2から1まで増加するときの変化の割合を求めなさい。
解き方
公式を使います。
a = -3, p = -2, q = 1
変化の割合 = a(p + q)
= (-3) × ((-2) + 1)
= (-3) × (-1)
= 3
答え:変化の割合は3
変化の割合と傾き

グラフで考えると、変化の割合と傾きの関係がよくわかります。
一次関数の場合
一次関数のグラフは直線です。
変化の割合 = 傾き
傾きが大きいほど、グラフは急になります。
二次関数の場合
二次関数のグラフは曲線(放物線)です。
変化の割合 = 2点を結ぶ直線の傾き
曲線なので、どこを取るかで傾きが変わります。だから変化の割合も一定ではないんですね。
変化の割合の符号(プラス・マイナス)
変化の割合がプラスかマイナスかで、グラフの様子がわかります。
プラスの場合
変化の割合 > 0
- yは増加している
- グラフは右上がり
例:y = 3x + 1(変化の割合 = 3)
マイナスの場合
変化の割合 < 0
- yは減少している
- グラフは右下がり
例:y = -2x + 5(変化の割合 = -2)
ゼロの場合
変化の割合 = 0
- yは変化していない
- グラフは水平(横一直線)
例:y = 4(変化の割合 = 0)
実生活での使われ方
変化の割合は、実は私たちの生活のあちこちで使われています。
1. 速度
時速、分速、秒速
- 時速60km → 1時間で60km進む(変化の割合 = 60)
- 分速300m → 1分で300m進む(変化の割合 = 300)
2. 物価の上昇率
インフレーション
「1年で物価が2%上昇」というのは、時間に対する物価の変化の割合が2%ということです。
3. 成長速度
子どもの身長
「1年で5cm伸びた」というのは、時間に対する身長の変化の割合が5cm/年ということです。
4. 給料の増加
昇給
「月給が1年で3万円増えた」は、時間に対する給料の変化の割合が3万円/年です。
5. 建築の傾き
屋根の勾配
屋根の傾きは「水平方向に対して垂直方向にどれだけ上がるか」で表され、これも変化の割合の考え方です。
よくある間違い
間違い1:引き算の順序を間違える
×間違い
xの増加量 = 前の値 - 後の値
○正しい
xの増加量 = 後の値 - 前の値
必ず「後 – 前」の順番で!
間違い2:xの値とxの増加量を混同する
問題:y = 3x + 2で、xの増加量が5のときのyの増加量は?
×間違い
y = 3 × 5 + 2 = 17(xに5を代入している)
○正しい
yの増加量 = 3 × 5 = 15(変化の割合×xの増加量)
「増加量」と「値」は違うものです!
間違い3:二次関数で一次関数の考え方を使う
×間違い
y = 2x² の変化の割合は2(aの値だと思い込む)
○正しい
y = 2x² の変化の割合は範囲によって変わる(公式:a(p+q)を使う)
練習問題にチャレンジ!
理解を深めるために、いくつか問題を解いてみましょう。
問題1
y = 4x – 3 について、xが2から5まで増加するときの変化の割合を求めなさい。
答えを見る
答え:4
y = 4x – 3 より、a = 4
一次関数の変化の割合は常にaと等しいので、答えは4です。
問題2
y = -2x + 7 について、xの増加量が6のとき、yの増加量を求めなさい。
答えを見る
答え:-12
変化の割合 = -2
yの増加量 = (-2) × 6 = -12
マイナスなので、yは12減少します。
問題3
y = 3x² について、xが-1から2まで増加するときの変化の割合を求めなさい。
答えを見る
答え:3
公式を使います。
a = 3, p = -1, q = 2
変化の割合 = a(p + q) = 3 × ((-1) + 2) = 3 × 1 = 3
問題4
ある車が2時間で180km進みました。この車の時速を変化の割合として求めなさい。
答えを見る
答え:時速90km
時間をx、距離をyとすると…
xの増加量 = 2時間
yの増加量 = 180km
変化の割合 = 180 ÷ 2 = 90
時速90kmです。
まとめ
変化の割合について、重要なポイントをおさらいしましょう。
✓ 変化の割合 = yの増加量 ÷ xの増加量
✓ 一次関数 y = ax + b では、変化の割合は常に a
✓ 一次関数の変化の割合 = 傾き
✓ 二次関数 y = ax² の変化の割合は一定ではない
✓ 二次関数の変化の割合の公式:a(p + q)
✓ プラスなら増加、マイナスなら減少
✓ 増加量は「後の値 – 前の値」
変化の割合は、単なる計算問題ではありません。
速度、成長率、勾配など、実生活のあちこちで使われている、とても実用的な考え方なんです。
この記事で変化の割合の基本をしっかり理解できたら、次は実際の問題にたくさん挑戦してみてください。
繰り返し練習することで、確実に身につきますよ!

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