中学2年生の数学で学習する「平行四辺形の条件」。
ある四角形を見た時、「これは平行四辺形だ!」と言い切るには、どんな条件を満たせばいいのでしょうか?
実は、平行四辺形になるための条件は全部で5つあります。
このうちどれか1つでも満たせば、その四角形は平行四辺形であると言えるんです。
今回は、この5つの条件を分かりやすく解説していきますね。証明問題でも必ず使う重要な内容なので、しっかりマスターしましょう!
そもそも平行四辺形って何?

条件を学ぶ前に、まず平行四辺形の定義を確認しておきましょう。
平行四辺形の定義
平行四辺形とは、2組の対辺がそれぞれ平行な四角形のことです。
「対辺(たいへん)」というのは、向かい合っている辺のことです。
例えば、四角形ABCDがあったとします。
- 辺ABと辺DCが向かい合っている → これが1組目の対辺
- 辺ADと辺BCが向かい合っている → これが2組目の対辺
この2組の対辺が両方とも平行なら、その四角形は平行四辺形というわけです。
英語では?
平行四辺形は英語で parallelogram(パラレログラム) と言います。
「parallel(平行)」という言葉が入っているので、覚えやすいですね。
平行四辺形の5つの条件
それでは、本題の「平行四辺形になるための条件」を見ていきましょう。
次の5つのうち、どれか1つでも満たせば、その四角形は平行四辺形です。
条件①:2組の対辺がそれぞれ平行である
これが平行四辺形の「定義」です。
四角形ABCDにおいて:
- AB // DC(ABとDCが平行)
- AD // BC(ADとBCが平行)
この2つが成り立てば、平行四辺形です。
「//」は「平行である」という記号です。
ポイント
これは定義そのものなので、当たり前と言えば当たり前です。でも、証明問題では「定義より」という言葉を使うことがあるので、覚えておきましょう。
条件②:2組の対辺がそれぞれ等しい
向かい合っている辺の長さが、どちらも等しい場合です。
四角形ABCDにおいて:
- AB = DC(対辺の長さが等しい)
- AD = BC(対辺の長さが等しい)
この2つが成り立てば、平行四辺形です。
ポイント
この条件は、平行四辺形の性質の1つでもあります。つまり、「平行四辺形なら対辺は等しい」という性質の逆が、「対辺が等しいなら平行四辺形である」という条件になっているわけです。
条件③:2組の対角がそれぞれ等しい
向かい合っている角の大きさが、どちらも等しい場合です。
四角形ABCDにおいて:
- ∠A = ∠C(対角が等しい)
- ∠B = ∠D(対角が等しい)
この2つが成り立てば、平行四辺形です。
「∠」は「角」を表す記号です。
ポイント
これも平行四辺形の性質の1つです。角度の問題でよく使われます。
条件④:対角線がそれぞれの中点で交わる
2本の対角線が、お互いの真ん中で交わる場合です。
四角形ABCDの対角線ACとBDの交点をOとすると:
- AO = OC(対角線ACの中点がO)
- BO = OD(対角線BDの中点がO)
この2つが成り立てば、平行四辺形です。
ポイント
この条件は証明問題で非常によく使われます。対角線が出てきたら、この条件を思い出しましょう。
条件⑤:1組の対辺が平行でその長さが等しい
1組の向かい合っている辺が、平行かつ等しい長さの場合です。
四角形ABCDにおいて:
- AB // DC(1組の対辺が平行)
- AB = DC(その長さが等しい)
この2つが両方成り立てば、平行四辺形です。
注意!
「平行である」と「長さが等しい」の両方が必要です。どちらか一方だけでは、平行四辺形とは言えません。
ポイント
この条件も証明問題でよく使われます。特に、三角形の合同を証明してから、この条件で平行四辺形を証明するパターンが多いです。
5つの条件の覚え方
5つも条件があると、覚えるのが大変ですよね。
でも、実は覚えやすい方法があります。
「辺・角・対角線」で分類する
条件を3つのグループに分けて覚えましょう。
辺に注目した条件
- 条件①:2組の対辺がそれぞれ平行
- 条件②:2組の対辺がそれぞれ等しい
- 条件⑤:1組の対辺が平行でその長さが等しい
角に注目した条件
- 条件③:2組の対角がそれぞれ等しい
対角線に注目した条件
- 条件④:対角線がそれぞれの中点で交わる
性質の「逆」と考える
条件②、③、④は、実は平行四辺形の性質の逆なんです。
平行四辺形の性質
- 平行四辺形 → 2組の対辺がそれぞれ等しい
- 平行四辺形 → 2組の対角がそれぞれ等しい
- 平行四辺形 → 対角線がそれぞれの中点で交わる
逆(平行四辺形になる条件)
- 2組の対辺がそれぞれ等しい → 平行四辺形
- 2組の対角がそれぞれ等しい → 平行四辺形
- 対角線がそれぞれの中点で交わる → 平行四辺形
このように、「性質の逆は条件になる」と覚えると分かりやすいですね。
よくある間違いと注意点
平行四辺形の条件を使う時、よくある間違いを紹介します。
間違い①:隣り合う辺が等しい
四角形ABCDで、AB = BC、CD = DA だから平行四辺形?
答え:違います!
これは隣り合う辺が等しいだけで、対辺が等しいわけではありません。
この条件だと、ひし形にはなりますが、必ずしも平行四辺形とは限りません。(実際には、ひし形は平行四辺形の一種ですが、一般的な平行四辺形の条件としては不十分です)
間違い②:隣り合う角が等しい
四角形ABCDで、∠A = ∠B、∠C = ∠D だから平行四辺形?
答え:違います!
これも隣り合う角が等しいだけで、対角が等しいわけではありません。
平行四辺形の条件は「対角が等しい」なので、この条件では平行四辺形とは言えません。
間違い③:1組の対辺が平行なだけ
四角形ABCDで、AB // DC だから平行四辺形?
答え:違います!
これは「台形」の条件です。
平行四辺形になるには、「2組の対辺がそれぞれ平行」である必要があります。
1組だけでは不十分です。
間違い④:1組の対辺が等しいだけ
四角形ABCDで、AB = DC だから平行四辺形?
答え:違います!
条件⑤を思い出してください。
「1組の対辺が平行でその長さが等しい」という条件でした。
平行である + 長さが等しい の両方が必要なんです。
長さが等しいだけでは、平行四辺形とは言えません。
証明問題での使い方

平行四辺形の条件は、証明問題で非常によく使われます。
基本的な証明の流れ
証明問題では、次のような流れで進めます。
ステップ1:仮定と結論を確認
問題文から、何が与えられていて(仮定)、何を証明すればいいのか(結論)を明確にします。
ステップ2:どの条件を使うか決める
5つの条件のうち、どれを使って証明するか考えます。
ステップ3:必要な情報を導く
選んだ条件を満たすために必要な情報を、仮定や他の定理から導き出します。
ステップ4:結論を述べる
選んだ条件が満たされたことを示して、「よって、四角形ABCDは平行四辺形である」と結論づけます。
例題
問題
四角形ABCDの対角線ACとBDの交点をOとする。
AO = OC、BO = OD のとき、四角形ABCDは平行四辺形であることを証明しなさい。
解答
【証明】
仮定より、
- AO = OC ……①
- BO = OD ……②
①、②より、対角線ACとBDはそれぞれの中点で交わる。
したがって、条件④より、四角形ABCDは平行四辺形である。
(証明終わり)
解説
この問題では、対角線の長さが等しいという情報が与えられています。
これは、条件④「対角線がそれぞれの中点で交わる」にぴったり当てはまりますね。
だから、この条件を使って証明することができました。
よく使う条件
証明問題では、特に次の2つの条件がよく使われます。
条件④:対角線がそれぞれの中点で交わる
対角線が出てきた問題では、この条件を第一に考えましょう。
条件⑤:1組の対辺が平行でその長さが等しい
三角形の合同を証明してから、この条件につなげるパターンが多いです。
平行四辺形の性質もセットで覚えよう
平行四辺形の条件を学んだら、平行四辺形の性質も一緒に覚えておくと便利です。
平行四辺形の性質
平行四辺形には、次のような性質があります。
性質①:2組の対辺がそれぞれ平行である(定義)
これは定義そのものですね。
性質②:2組の対辺がそれぞれ等しい
向かい合っている辺の長さは等しいです。
性質③:2組の対角がそれぞれ等しい
向かい合っている角の大きさは等しいです。
性質④:対角線がそれぞれの中点で交わる
2本の対角線は、お互いの真ん中で交わります。
性質⑤:隣り合う角の和は180°
隣り合う2つの角を足すと、必ず180°になります。
これは「補角(ほかく)」と呼ばれる関係です。
条件と性質の関係
よく見ると、条件①〜④と性質①〜④は同じですね。
これは、「平行四辺形ならば〜である」という性質の逆が、「〜ならば平行四辺形である」という条件になっているからです。
つまり、性質と条件は表裏一体なんです。
特別な平行四辺形
平行四辺形の中には、特別な種類があります。
長方形
4つの角がすべて90°の平行四辺形
長方形は、平行四辺形の条件に「すべての角が直角」という条件が加わったものです。
長方形の特徴:
- 対角線の長さが等しい
- すべての角が90°
ひし形
4つの辺の長さがすべて等しい平行四辺形
ひし形は、平行四辺形の条件に「すべての辺が等しい」という条件が加わったものです。
ひし形の特徴:
- 対角線が垂直に交わる
- 対角線が角を二等分する
正方形
長方形でもあり、ひし形でもある平行四辺形
正方形は、平行四辺形の中で最も特別な図形です。
正方形の特徴:
- すべての辺が等しい
- すべての角が90°
- 対角線が等しく、垂直に交わる
関係図
平行四辺形 ⊃ 長方形
平行四辺形 ⊃ ひし形
長方形 ∩ ひし形 = 正方形
つまり、長方形もひし形も正方形も、すべて平行四辺形の一種なんです。
練習問題にチャレンジ
理解を深めるために、練習問題を解いてみましょう。
問題1
次の条件のうち、四角形ABCDが平行四辺形になるものをすべて選びなさい。
(ア) AB = BC、CD = DA
(イ) AB = DC、AD = BC
(ウ) ∠A = ∠B、∠C = ∠D
(エ) ∠A = ∠C、∠B = ∠D
(オ) AB // DC、AB = DC
答え
(イ)、(エ)、(オ)
解説
(ア) 隣り合う辺が等しいだけなので、平行四辺形とは限りません。
(イ) 2組の対辺がそれぞれ等しいので、条件②に当てはまります。平行四辺形です。
(ウ) 隣り合う角が等しいだけなので、平行四辺形とは限りません。
(エ) 2組の対角がそれぞれ等しいので、条件③に当てはまります。平行四辺形です。
(オ) 1組の対辺が平行でその長さが等しいので、条件⑤に当てはまります。平行四辺形です。
問題2
四角形ABCDで、対角線の交点をOとする。
次の条件のうち、四角形ABCDが平行四辺形になるものはどれか。
(ア) AO = BO、CO = DO
(イ) AO = CO、BO = DO
(ウ) AB = CO、AD = BO
答え
(イ)
解説
(ア) 対角線ACの半分とBDの半分が等しいという条件ですが、これだけでは平行四辺形とは言えません。
(イ) 対角線がそれぞれの中点で交わっているので、条件④に当てはまります。平行四辺形です。
(ウ) 辺と対角線の半分が等しいという条件ですが、これは平行四辺形の条件のどれにも当てはまりません。
実生活での平行四辺形
平行四辺形は、実は身の回りにたくさんあります。
建築物
斜めの駐車場
駐車スペースの区画線は、よく平行四辺形になっています。
斜めに駐車することで、スペースを効率的に使えるんです。
屋根の形
一部の建物の屋根は、平行四辺形の形をしています。
雨水が流れやすい設計になっているんですね。
機械
パンタグラフ
電車の屋根にある、電線から電気をもらう装置です。
平行四辺形の性質を利用して、上下に伸び縮みします。
はさみ型ジャッキ
車のタイヤ交換で使うジャッキも、平行四辺形の原理を使っています。
デザイン
ロゴマーク
企業のロゴや看板で、平行四辺形が使われることがあります。
斜めの形が、スピード感や動きを表現できるからです。
まとめ
平行四辺形の条件について、詳しく見てきました。
平行四辺形になるための5つの条件
次の5つのうち、どれか1つでも満たせば平行四辺形です。
条件①:2組の対辺がそれぞれ平行である(定義)
条件②:2組の対辺がそれぞれ等しい
条件③:2組の対角がそれぞれ等しい
条件④:対角線がそれぞれの中点で交わる
条件⑤:1組の対辺が平行でその長さが等しい
覚え方のコツ
- 「辺・角・対角線」で分類して覚える
- 平行四辺形の性質の「逆」と考える
- 証明問題では、特に条件④と⑤がよく使われる
注意点
- 隣り合う辺や角の条件では平行四辺形にならない
- 条件⑤は「平行」と「等しい」の両方が必要
- 1組の対辺だけでは不十分
この5つの条件をしっかり覚えて、証明問題でスムーズに使えるようになりましょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、練習を重ねれば必ずできるようになります。
図を描いて、目で見て確認しながら覚えるのがおすすめです。頑張ってくださいね!

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