コーシー・リーマンの方程式とは?複素関数の微分可能性を判定する重要な条件をわかりやすく解説

数学

「複素関数の微分って、実関数の微分と何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?

コーシー・リーマンの方程式は、複素関数が微分可能かどうかを判定するための重要な条件です。複素解析において最も基本的で、同時に最も強力なツールの一つとされています。

この記事では、コーシー・リーマンの方程式の意味から導出方法、具体例、応用まで、数学の知識が少ない方でも理解できるよう、わかりやすく解説していきます。

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  1. コーシー・リーマンの方程式とは?
    1. コーシー・リーマンの方程式の定義
  2. 複素関数とは?
    1. 実関数と複素関数の違い
    2. 複素関数の表現方法
  3. 複素微分の特殊性
    1. 実関数の微分
    2. 複素関数の微分の難しさ
  4. コーシー・リーマンの方程式の導出
    1. 準備:偏微分の復習
    2. 水平方向から近づく場合
    3. 垂直方向から近づく場合
    4. コーシー・リーマンの方程式の導出
  5. コーシー・リーマンの方程式の具体例
    1. 例1:f(z) = z²(微分可能な例)
    2. 例2:f(z) = z̄(共役複素数、微分不可能な例)
    3. 例3:f(z) = e^z(指数関数)
  6. 正則関数とは?
    1. 正則関数の定義
    2. 正則関数の判定方法
    3. 正則関数の重要な性質
  7. 極形式のコーシー・リーマンの方程式
    1. 極形式とは
    2. 極形式のコーシー・リーマンの方程式
    3. 導関数の極形式表現
    4. 例:f(z) = 1/z の極形式での確認
  8. コーシー・リーマンの方程式の覚え方
    1. サラスの公式との類似
  9. コーシー・リーマンの方程式の応用
    1. 応用1:流体力学
    2. 応用2:静電場
    3. 応用3:等角写像(共形写像)
    4. 応用4:画像復元
    5. 応用5:量子場理論
  10. コーシー・リーマンの方程式の限界と注意点
    1. 注意点1:偏導関数の存在だけでは不十分
    2. 注意点2:連続性の重要性
    3. 注意点3:一点での条件
  11. コーシー・リーマンの方程式とウィルティンガー微分
    1. 複素偏微分作用素
    2. コーシー・リーマンの方程式との関係
  12. コーシー・リーマンの方程式の歴史的意義
    1. 複素関数論の基礎
    2. 数学の統一
    3. 現代数学への影響
  13. まとめ

コーシー・リーマンの方程式とは?

コーシー・リーマンの方程式(Cauchy-Riemann equations)は、複素関数が複素微分可能(正則)であるための必要十分条件を表す、2つの偏微分方程式からなる方程式系です。

19世紀のフランスの数学者オーギュスタン=ルイ・コーシーと、ドイツの数学者ベルンハルト・リーマンの二人の名前にちなんで名付けられました。

実は、この方程式系に最初に言及したのはフランスの数学者ジャン・ル・ロン・ダランベールで、後にレオンハルト・オイラーがこれを解析関数と結びつけました。コーシーがさらにこの方程式を彼の関数論構築のために用い、リーマンが1851年に発表した関数論の論文で完成度を高めたことから、この名前が定着したんです。

コーシー・リーマンの方程式の定義

複素関数 f(z) = u(x, y) + iv(x, y) が点 z = x + iy において複素微分可能であるとき、実部 u(x, y) と虚部 v(x, y) は以下の2つの方程式を満たします。

コーシー・リーマンの方程式:

  1. ∂u/∂x = ∂v/∂y
  2. ∂u/∂y = -∂v/∂x

これらの方程式は、複素関数の実部と虚部の偏微分の間に成り立つ特別な関係を示しています。

複素関数とは?

コーシー・リーマンの方程式を理解する前に、まず複素関数について確認しておきましょう。

実関数と複素関数の違い

実関数:
実数 x を入力として、実数 f(x) を出力する関数です。
例えば、f(x) = x² や f(x) = sin(x) などがあります。

複素関数:
複素数 z を入力として、複素数 f(z) を出力する関数です。
例えば、f(z) = z² や f(z) = e^z などがあります。

複素関数の表現方法

複素数 z は実部と虚部に分けて z = x + iy と表せます(ここで i は虚数単位で i² = -1)。

同様に、複素関数 f(z) も実部と虚部に分けて表現できます。

f(z) = u(x, y) + iv(x, y)

ここで、

  • u(x, y) は実部(実数値の2変数関数)
  • v(x, y) は虚部(実数値の2変数関数)

例えば、f(z) = z² の場合:

z = x + iy とすると、
f(z) = (x + iy)² = x² + 2xyi + (iy)² = x² + 2xyi – y²
= (x² – y²) + i(2xy)

したがって、

  • u(x, y) = x² – y²
  • v(x, y) = 2xy

このように、複素関数は2つの実数値関数のペアとして理解できるんです。

複素微分の特殊性

コーシー・リーマンの方程式が必要になる理由は、複素微分が実関数の微分とは大きく異なるためです。

実関数の微分

実関数 f(x) の x = a における微分は以下のように定義されます。

f'(a) = lim[h→0] (f(a + h) – f(a)) / h

ここで、h は実数です。h が 0 に近づく方法は、正の方向から近づくか、負の方向から近づくかの2通りしかありません。

複素関数の微分の難しさ

複素関数 f(z) の z = z₀ における微分も、形式的には同じように定義されます。

f'(z₀) = lim[Δz→0] (f(z₀ + Δz) – f(z₀)) / Δz

しかし、ここで重要なのは、Δz は複素数であるということです。

複素平面上では、Δz は 360度どの方向からでも 0 に近づくことができます。つまり、無限に多くの近づき方が存在するんです。

複素微分可能であるためには、どの方向から近づいても同じ極限値に収束する必要があります。

これは実関数の微分よりもはるかに厳しい条件で、この条件を満たすかどうかを判定するのがコーシー・リーマンの方程式なんです。

コーシー・リーマンの方程式の導出

コーシー・リーマンの方程式がどのように導かれるか、見ていきましょう。

準備:偏微分の復習

2変数関数 u(x, y) の偏微分は以下のように定義されます。

  • ∂u/∂x:y を定数として x で微分
  • ∂u/∂y:x を定数として y で微分

水平方向から近づく場合

まず、Δz を実数方向(水平方向)から 0 に近づけてみましょう。つまり、Δz = Δx(Δx は実数)とします。

f'(z₀) = lim[Δx→0] (f(z₀ + Δx) – f(z₀)) / Δx

z₀ = x₀ + iy₀ として、f(z) = u(x, y) + iv(x, y) を代入すると、

f'(z₀) = lim[Δx→0] [u(x₀ + Δx, y₀) + iv(x₀ + Δx, y₀) – u(x₀, y₀) – iv(x₀, y₀)] / Δx

 = lim[Δx→0] [(u(x₀ + Δx, y₀) - u(x₀, y₀)) / Δx] + i lim[Δx→0] [(v(x₀ + Δx, y₀) - v(x₀, y₀)) / Δx]

 = ∂u/∂x + i∂v/∂x

垂直方向から近づく場合

次に、Δz を虚数方向(垂直方向)から 0 に近づけてみましょう。つまり、Δz = iΔy(Δy は実数)とします。

f'(z₀) = lim[Δy→0] (f(z₀ + iΔy) – f(z₀)) / (iΔy)

同様に計算すると、

f'(z₀) = lim[Δy→0] [u(x₀, y₀ + Δy) + iv(x₀, y₀ + Δy) – u(x₀, y₀) – iv(x₀, y₀)] / (iΔy)

 = lim[Δy→0] [(u(x₀, y₀ + Δy) - u(x₀, y₀)) / (iΔy)] + i lim[Δy→0] [(v(x₀, y₀ + Δy) - v(x₀, y₀)) / (iΔy)]

 = (1/i)∂u/∂y + ∂v/∂y

i² = -1 なので、1/i = -i です。したがって、

f'(z₀) = -i∂u/∂y + ∂v/∂y = ∂v/∂y – i∂u/∂y

コーシー・リーマンの方程式の導出

複素微分可能であるためには、水平方向からの極限と垂直方向からの極限が一致する必要があります。

∂u/∂x + i∂v/∂x = ∂v/∂y – i∂u/∂y

複素数が等しいということは、実部と虚部がそれぞれ等しいということです。

実部を比較:
∂u/∂x = ∂v/∂y

虚部を比較:
∂v/∂x = -∂u/∂y

つまり、
∂u/∂y = -∂v/∂x

これがコーシー・リーマンの方程式です!

コーシー・リーマンの方程式の具体例

実際にいくつかの関数でコーシー・リーマンの方程式を確認してみましょう。

例1:f(z) = z²(微分可能な例)

z = x + iy とすると、
f(z) = (x + iy)² = x² – y² + 2xyi

したがって、

  • u(x, y) = x² – y²
  • v(x, y) = 2xy

偏微分を計算すると、

  • ∂u/∂x = 2x
  • ∂u/∂y = -2y
  • ∂v/∂x = 2y
  • ∂v/∂y = 2x

コーシー・リーマンの方程式を確認:

  • ∂u/∂x = 2x = ∂v/∂y ✓
  • ∂u/∂y = -2y = -∂v/∂x ✓

両方の式が成立しているので、f(z) = z² は複素平面全体で微分可能(正則)です。

実際、導関数を計算すると、
f'(z) = ∂u/∂x + i∂v/∂x = 2x + i(2y) = 2(x + iy) = 2z

これは通常の微分と同じ結果です!

例2:f(z) = z̄(共役複素数、微分不可能な例)

z̄ は z の共役複素数で、z = x + iy のとき z̄ = x – iy です。

したがって、

  • u(x, y) = x
  • v(x, y) = -y

偏微分を計算すると、

  • ∂u/∂x = 1
  • ∂u/∂y = 0
  • ∂v/∂x = 0
  • ∂v/∂y = -1

コーシー・リーマンの方程式を確認:

  • ∂u/∂x = 1 ≠ -1 = ∂v/∂y ✗
  • ∂u/∂y = 0 = -∂v/∂x ✓

最初の式が成立していないので、f(z) = z̄ はどの点でも複素微分可能ではありません。

実際、異なる方向から極限を取ると異なる値になることが確認できます。

例3:f(z) = e^z(指数関数)

オイラーの公式を使うと、e^z = e^(x+iy) = e^x · e^(iy) = e^x(cos y + i sin y)

したがって、

  • u(x, y) = e^x cos y
  • v(x, y) = e^x sin y

偏微分を計算すると、

  • ∂u/∂x = e^x cos y
  • ∂u/∂y = -e^x sin y
  • ∂v/∂x = e^x sin y
  • ∂v/∂y = e^x cos y

コーシー・リーマンの方程式を確認:

  • ∂u/∂x = e^x cos y = ∂v/∂y ✓
  • ∂u/∂y = -e^x sin y = -∂v/∂x ✓

両方成立しているので、e^z は複素平面全体で正則です。

正則関数とは?

コーシー・リーマンの方程式と密接に関係する「正則関数」について説明します。

正則関数の定義

複素関数 f(z) が、ある領域(複素平面の開集合)のすべての点で複素微分可能であるとき、その関数を正則関数(holomorphic function)または解析関数(analytic function)といいます。

正則関数は複素解析における最も重要な概念の一つです。

正則関数の判定方法

関数 f(z) = u(x, y) + iv(x, y) が領域 D 上で正則であるための条件は以下の通りです。

  1. u(x, y) と v(x, y) が D 上で連続微分可能(C¹級)である
  2. D 上のすべての点でコーシー・リーマンの方程式が成立する

この2つの条件を満たせば、関数は正則です。

正則関数の重要な性質

正則関数には、実関数にはない驚くべき性質があります。

性質1:無限回微分可能

正則関数は、一度微分可能であれば、自動的に無限回微分可能です。これは実関数とは大きく異なる性質です。

性質2:べき級数展開可能

正則関数は、その定義域内の任意の点の周りでべき級数(テイラー級数)に展開できます。つまり、正則関数は解析関数と同じなんです。

性質3:調和関数

正則関数の実部 u(x, y) と虚部 v(x, y) は、それぞれラプラス方程式(∂²u/∂x² + ∂²u/∂y² = 0)を満たす調和関数です。

極形式のコーシー・リーマンの方程式

複素数を極形式で表現した場合、コーシー・リーマンの方程式も極形式で表すことができます。

極形式とは

複素数 z を極形式で表すと、z = re^(iθ) = r(cos θ + i sin θ) となります。

ここで、

  • r = |z|(z の絶対値)
  • θ = arg(z)(z の偏角)

直交座標との関係は、

  • x = r cos θ
  • y = r sin θ

極形式のコーシー・リーマンの方程式

複素関数 f(z) = u(r, θ) + iv(r, θ) が点 z = re^(iθ) で複素微分可能であるとき、以下の極形式のコーシー・リーマンの方程式が成立します。

極形式のコーシー・リーマンの方程式:

  1. ∂u/∂r = (1/r)∂v/∂θ
  2. ∂v/∂r = -(1/r)∂u/∂θ

導関数の極形式表現

極形式の場合、導関数は以下のように表されます。

f'(z) = e^(-iθ) [∂u/∂r + i∂v/∂r]

例:f(z) = 1/z の極形式での確認

f(z) = 1/z = 1/(re^(iθ)) = (1/r)e^(-iθ) = (1/r)(cos θ – i sin θ)

したがって、

  • u(r, θ) = (1/r)cos θ
  • v(r, θ) = -(1/r)sin θ

偏微分を計算すると、

  • ∂u/∂r = -(1/r²)cos θ
  • ∂v/∂r = (1/r²)sin θ
  • ∂u/∂θ = -(1/r)sin θ
  • ∂v/∂θ = -(1/r)cos θ

極形式のコーシー・リーマンの方程式を確認:

  • ∂u/∂r = -(1/r²)cos θ = (1/r)[-(1/r)cos θ] = (1/r)∂v/∂θ ✓
  • ∂v/∂r = (1/r²)sin θ = -(1/r)[-(1/r)sin θ] = -(1/r)∂u/∂θ ✓

両方成立しているので、f(z) = 1/z は z ≠ 0 で正則です。

コーシー・リーマンの方程式の覚え方

コーシー・リーマンの方程式を覚えるコツがあります。

サラスの公式との類似

行列式のサラスの公式を思い出してみましょう。2×2行列の行列式は、

|a b|
|c d| = ad – bc

対角線の積(ad)から逆対角線の積(bc)を引きます。

コーシー・リーマンの方程式も、以下のように2×2行列の形で表すことができます。

|∂u/∂x ∂u/∂y|
|∂v/∂x ∂v/∂y|

最初の式:∂u/∂x = ∂v/∂y
これは左上と右下の対角線要素が等しいことを意味します。

2番目の式:∂u/∂y = -∂v/∂x
これは右上の要素が、左下の要素の負になることを意味します。つまり、逆対角線にマイナスが付きます。

サラスの公式で「逆対角線にマイナスが付く」のと同じように、コーシー・リーマンの方程式でも「逆対角線の関係にマイナスが付く」と覚えると便利です。

コーシー・リーマンの方程式の応用

コーシー・リーマンの方程式は、理論的な重要性だけでなく、実用的な応用もあります。

応用1:流体力学

2次元の非圧縮性・非粘性流体の流れは、複素ポテンシャルを使って記述できます。

速度ポテンシャル φ と流れ関数 ψ が調和関数であり、コーシー・リーマンの方程式を満たすとき、これらは複素ポテンシャル w = φ + iψ を形成します。

この理論により、翼の周りの流れや、障害物の周りの流れなどを数学的に解析できます。

応用2:静電場

静電場においても、電位関数と流束関数はコーシー・リーマンの方程式を満たします。

これにより、複雑な形状の導体周りの電場分布を、複素関数論を使って計算できるんです。

応用3:等角写像(共形写像)

コーシー・リーマンの方程式を満たす関数は、局所的に角度を保存する写像(等角写像)になります。

等角写像は、地図投影法、画像処理、物理学など、さまざまな分野で応用されています。例えば、メルカトル図法は等角写像の一種です。

応用4:画像復元

最近の研究では、コーシー・リーマンの方程式を画像復元手法に応用する試みもあります。

特に、位相回復(phase retrieval)と呼ばれる技術で、振幅情報から位相情報を推定する際に、コーシー・リーマンの方程式が利用されています。

応用5:量子場理論

理論物理学において、コーシー・リーマンの方程式は、ミンコフスキー空間における非摂動的量子場理論のグリーン関数の研究にも関連しています。

コーシー・リーマンの方程式の限界と注意点

コーシー・リーマンの方程式は強力なツールですが、いくつか注意すべき点があります。

注意点1:偏導関数の存在だけでは不十分

単に偏導関数が存在し、コーシー・リーマンの方程式を満たすだけでは、複素微分可能とは言えません。

u(x, y) と v(x, y) が実微分可能(全微分可能)である必要があります。これは、偏導関数が存在するよりも強い条件です。

ただし、偏導関数が連続であれば、自動的に全微分可能になるので、実用上はこの条件を確認することが多いです。

注意点2:連続性の重要性

以下のような例があります。

u(x, y) = √|xy|, v(x, y) = 0

この場合、(0, 0) でコーシー・リーマンの方程式は形式的に成立しますが、∂u/∂x が (0, 0) で連続ではないため、f(z) は (0, 0) で複素微分可能ではありません。

注意点3:一点での条件

コーシー・リーマンの方程式が一点で成立しても、その関数が正則であるとは限りません。

正則であるためには、ある開集合(領域)のすべての点でコーシー・リーマンの方程式が成立し、かつ偏導関数が連続である必要があります。

コーシー・リーマンの方程式とウィルティンガー微分

現代的な表記法として、ウィルティンガー微分(Wirtinger derivative)を使った表現もあります。

複素偏微分作用素

以下のように複素偏微分作用素を定義します。

∂f/∂z = (1/2)(∂f/∂x – i∂f/∂y)

∂f/∂z̄ = (1/2)(∂f/∂x + i∂f/∂y)

コーシー・リーマンの方程式との関係

f(z) が正則関数であるための必要十分条件は、

∂f/∂z̄ = 0

です。

実際、∂f/∂z̄ = 0 を計算すると、

∂f/∂z̄ = (1/2)[(∂u/∂x + i∂v/∂x) + i(∂u/∂y + i∂v/∂y)]
= (1/2)[(∂u/∂x – ∂v/∂y) + i(∂v/∂x + ∂u/∂y)]

これがゼロになるためには、

  • ∂u/∂x – ∂v/∂y = 0
  • ∂v/∂x + ∂u/∂y = 0

つまり、コーシー・リーマンの方程式と同じです。

この表記法は、複素解析の現代的な研究でよく使われています。

コーシー・リーマンの方程式の歴史的意義

コーシー・リーマンの方程式は、複素解析の発展において極めて重要な役割を果たしました。

複素関数論の基礎

18世紀から19世紀にかけて、数学者たちは複素数を単なる「虚数」ではなく、独立した数学的対象として扱い始めました。

ダランベール、オイラー、コーシー、リーマンらによる研究により、複素関数論は数学の中でも最も美しく調和のとれた理論の一つとして確立されました。

数学の統一

コーシー・リーマンの方程式は、複素解析と実解析、さらには微分方程式論、幾何学、物理学を結びつける橋渡しとなりました。

この方程式により、一見無関係に見える数学の分野が、実は深く関連していることが明らかになったんです。

現代数学への影響

コーシー・リーマンの方程式の考え方は、多変数複素解析、擬正則写像論、幾何学的複素解析など、20世紀から21世紀にかけての数学の発展に大きな影響を与え続けています。

まとめ

コーシー・リーマンの方程式は、複素関数が複素微分可能(正則)であるための必要十分条件を表す、2つの偏微分方程式です。

複素関数 f(z) = u(x, y) + iv(x, y) について、以下の2式が成り立つとき、関数は正則です。

  1. ∂u/∂x = ∂v/∂y
  2. ∂u/∂y = -∂v/∂x

複素微分は、複素平面上のあらゆる方向から極限を取る必要があるため、実関数の微分よりもはるかに厳しい条件です。コーシー・リーマンの方程式は、この厳しい条件を、実関数の偏微分を使って簡潔に表現しています。

正則関数は、無限回微分可能であり、べき級数展開可能であり、実部・虚部が調和関数であるなど、驚くべき性質を持っています。

コーシー・リーマンの方程式の応用は、流体力学、静電場、等角写像、画像処理、量子場理論など、数学の枠を超えて広がっています。

18世紀のダランベールから始まり、オイラー、コーシー、リーマンらによって発展させられたこの方程式は、複素解析の基礎であり、現代数学においても中心的な役割を果たし続けているんです。

複素関数を学ぶ際には、コーシー・リーマンの方程式を理解することが、最初の重要なステップとなります。この記事が、その理解の助けになれば幸いです。

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