「同じボケを2回やったら天丼になった」
「このアニメ、天丼ネタ多いよね」
ネット上やお笑い番組でよく聞く「天丼」という言葉。もちろん、エビ天が乗った丼料理のことではありません。これはお笑い用語であり、現在ではネットスラングとしても広く使われている表現です。
今回は、この「天丼」について、意味や由来、使い方、具体例まで詳しく解説していきます。
天丼とは: 基本的な意味

お笑い用語としての定義
天丼(てんどん)とは、同じギャグやボケを2度、3度と繰り返すことによって笑いを取る手法のことです。
ネットスラングとしての意味
ネット上では、お笑いに限らず:
- 同じネタを繰り返すこと
- 同じパターンの展開
- お決まりの流れ
を指す言葉として広く使われています。
簡単に言うと
「同じことを繰り返して面白くする技法」
それが天丼です。
天丼の語源: なぜ「天丼」?
由来
天丼に海老天が2本載っていることから来ています。
イメージ:
- 海老天1本目 = 1回目のボケ
- 海老天2本目 = 2回目のボケ(同じものを繰り返す)
誰が名付けたのか
お笑い芸人の間で自然発生的に使われ始めたとされていますが、明確な起源は不明です。
他の説
一部では「天ぷらを重ねる(乗せる)」というイメージから来たという説もあります。
天丼の種類とパターン
1. 短時間連打型
特徴: すぐに同じボケを繰り返す
例:
A: 「それ違うよ!」
B: 「えっ、そうなの?」
A: 「全然違うよ!」
B: 「マジで?」
A: 「完全に違うよ!」
同じツッコミを畳みかけるパターン。
2. 時間差投下型
特徴: 間をあけてから同じボケを引っ張り出す
例:
[序盤]
A: 「俺、実は宇宙人なんだ」
B: 「はあ?」
[別の話題になった後]
A: 「だから俺、宇宙人だって言ったじゃん」
B: 「まだ言ってんのかよ!」
忘れた頃に再登場させるパターン。
3. エスカレート型
特徴: 同じパターンだが、どんどん過激になる
例:
1回目: 「ちょっと怖い」
2回目: 「けっこう怖い」
3回目: 「めちゃくちゃ怖い」
4回目: 「死ぬほど怖い」
同じフレーズを強めていくパターン。
4. 動作・ポーズ繰り返し型
特徴: 言葉ではなく、同じ動作を繰り返す
例:
- 同じポーズを何度も取る
- 同じリアクションを繰り返す
- 同じ効果音を何度も出す
「かぶせ」との違い

かぶせとは
かぶせも似た技法ですが、微妙に違います。
かぶせ:
- ボケの上に、さらに別のボケを重ねる
- 必ずしも「同じ」ボケではない
- より短い間隔で畳みかける
天丼:
- 同じボケを繰り返す
- 間隔は様々
- 繰り返しが本質
使い分け
実際には、厳密に区別せずに使われることも多いです。
天丼が面白い理由
1. 予測と意外性のバランス
人間の心理:
- 「また来た!」という予測
- でも「まさかもう一回?」という意外性
- この絶妙なバランスが笑いを生む
2. リズムの心地よさ
音楽のリフレイン(繰り返し)と同じで、繰り返しには独特の心地よさがあります。
3. 積み重ね効果
1回目: ふーん(笑いなし)
2回目: あれ?(小さな笑い)
3回目: またかよ!(大きな笑い)
回数を重ねるごとに笑いが大きくなります。
4. 共犯意識
「このパターン知ってる!」という観客の共犯意識が笑いを強化します。
天丼の具体例
お笑い芸人の例
ミルクボーイ「コーンフレーク」:
- 「オカンが好きな朝ごはんがあるんやけど、名前を忘れたんや」
- この構造を繰り返すことで笑いを積み重ねる
- M-1グランプリ2019優勝ネタ
ハナコ「天空龍」:
- 同じフレーズ、同じリアクションを繰り返す
- 回を重ねるごとに笑いが大きくなる
マヂカルラブリー:
- 野田クリスタルの「〇〇じゃん!」を繰り返す
- M-1グランプリ2020優勝ネタでも使用
アニメ・マンガの例
『おおきなかぶ』:
- 「うんとこしょ、どっこいしょ」の繰り返し
- 人が増えるたびに同じセリフ
ギャグアニメ:
- 同じツッコミを繰り返す
- 同じリアクションを繰り返す
- 「お約束」の展開
ネット・SNSの例
定型文の繰り返し:
A: 「それな」
B: 「それな」
C: 「それな」
D: 「それな」
画像・スタンプの連投:
同じ画像やスタンプを何度も投稿する行為も天丼的。
天丼の使い方(実践編)
お笑いでの使い方
基本ルール:
- 1回目: まず普通にボケる
- 2回目: 同じボケを繰り返す(ここで「天丼」成立)
- 3回目以降: さらに繰り返すか、変化を加える
注意点:
- やりすぎるとしつこくなる
- タイミングが重要
- 観客の反応を見る
ネットでの使い方
例1: コメント欄で
動画: (面白いシーン)
コメント1: 「草」
コメント2: 「草」
コメント3: 「草」
→ これも天丼的な使い方
例2: チャットで
友達A: 「今日暇?」
自分: 「暇」
友達A: 「明日は?」
自分: 「暇」
友達A: 「明後日は?」
自分: 「暇」
→ 同じ返答の繰り返し
日常会話での使い方
会話例:
友達: 「あの映画どうだった?」
自分: 「天丼多かったよ」
友達: 「へー、繰り返しが面白かったんだ」
「天丼」という言葉自体を使って、繰り返しの手法を説明できます。
天丼の注意点
1. やりすぎ注意
3回まで: 多くの場合、3回くらいが限界
4回以上: しつこい、面白くなくなる
ただし、あえて「しつこさ」で笑いを取る高度な技法もあります。
2. タイミングが命
早すぎる: 前のボケが消化されていない
遅すぎる: 観客が忘れている
絶妙なタイミング感覚が必要です。
3. 相手・観客の反応を見る
ウケている: もう1回いける
ウケていない: 撤退する勇気も必要
4. 最初のボケが面白くないとダメ
天丼は「繰り返し」の技法なので、最初のボケ自体が面白くないと、何回繰り返してもスベります。
ネットスラングとしての「天丼」
使われる場面
1. アニメ・マンガの感想:
- 「このアニメ、天丼ネタ多いよね」
- 「また同じパターンきた(天丼)」
2. お笑い番組の実況:
- 「今の天丼うまい!」
- 「天丼で笑い取ったな」
3. 日常のやり取り:
- 「それもう天丼だよ」(同じ話を繰り返している)
- 「天丼で攻めるか」(同じネタをもう一度使う)
ネット掲示板・SNSでの例
Twitter(X):
「このドラマ、毎回同じ展開で天丼すぎるw」
「天丼芸人って言われてるけど、この人の天丼は面白い」
YouTube コメント欄:
「この部分の天丼完璧」
「天丼の使い方が上手い」
天丼の歴史
お笑い業界での定着
昭和〜平成初期:
- 芸人同士の業界用語として使用
- 一般にはあまり知られていない
平成中期〜後期:
- バラエティ番組の増加
- 芸人がテレビで用語を使用
- 徐々に一般化
令和:
- ネットスラングとして完全に定着
- お笑いに詳しくない人でも使う
ネットへの拡散
2000年代:
- 2ちゃんねる(現5ちゃんねる)などで使用開始
- アニメ・マンガの感想で頻繁に使われる
2010年代:
- Twitter、YouTube、ニコニコ動画で一般化
- 「天丼ネタ」というタグも登場
2020年代:
- 完全に市民権を得る
- お笑い以外の文脈でも普通に使用
関連用語
フリ
意味: ボケやオチへの前振り
天丼の「1回目」が次回への「フリ」になる。
オチ
意味: 笑いの結論部分
天丼の「2回目以降」がオチになる。
ツッコミ
意味: ボケに対する反応
同じツッコミを繰り返すのも天丼の一種。
ループ
意味: 同じことの繰り返し
天丼とほぼ同じ意味で使われることも。
鉄板ネタ
意味: 確実にウケるネタ
天丼は鉄板化しやすい技法。
天丼の応用: 様々なジャンルでの活用
アニメ・マンガ
ギャグマンガ:
- 同じリアクション
- 同じツッコミ
- お決まりの展開
例: 『銀魂』『ボーボボ』など
映画・ドラマ
コメディ映画:
- 同じフレーズの繰り返し
- 同じシチュエーションの再現
例: 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの「おいおい」
CM・広告
キャッチコピー:
- 同じフレーズを繰り返して印象付ける
例: 「○○、○○、○○」と3回繰り返すパターン
音楽
リフレイン(サビの繰り返し):
- 音楽における天丼的手法
- 同じメロディ・歌詞の繰り返し
よくある質問(FAQ)
Q1: 天丼は何回まで繰り返していい?
A: 一般的には2〜3回が基本です。4回以上は「しつこい」と感じられることが多いですが、あえてそれを狙う高度な技法もあります。
Q2: 天丼とループの違いは?
A: ほぼ同じ意味ですが:
- 天丼: お笑い・ネタの文脈で使われることが多い
- ループ: より一般的、機械的な繰り返し
Q3: 「かぶせ」と「天丼」、どっちを使えばいい?
A:
- 同じボケの繰り返し → 天丼
- 別のボケを重ねる → かぶせ
ただし、実際には厳密に区別されないことも多いです。
Q4: 天丼って古い用語?
A: いいえ、現役です。お笑い業界でも、ネットでも現在進行形で使われています。
Q5: 天丼は芸人じゃなくても使っていい?
A: もちろんOKです。ネットスラングとして一般化しているので、誰でも使えます。
Q6: 天丼が上手い芸人は?
A:
- ミルクボーイ
- ハナコ
- 和牛
- サンドウィッチマン
など、多くの人気芸人が天丼を効果的に使っています。
Q7: 天丼ばかりだとワンパターン?
A: その通りです。天丼は強力な技法ですが、頼りすぎるとワンパターンになります。他の技法とのバランスが重要です。
まとめ: 天丼を理解して笑いを楽しもう
天丼について、重要なポイントをおさらいします。
基本的な意味:
- 同じギャグ・ボケを2度、3度繰り返す手法
- お笑い用語からネットスラングへ
語源:
- 天丼に海老天が2本載っていることから
- 「同じものを繰り返す」というイメージ
種類:
- 短時間連打型: すぐに繰り返す
- 時間差投下型: 間をあけて繰り返す
- エスカレート型: だんだん強くする
- 動作繰り返し型: 言葉ではなく動作
面白い理由:
- 予測と意外性のバランス
- リズムの心地よさ
- 積み重ね効果
- 共犯意識
使い方:
- お笑い: ボケの繰り返し
- ネット: 同じコメント、スタンプの連投
- 日常: 繰り返しの手法を説明する言葉として
注意点:
- やりすぎ注意(3回くらいまで)
- タイミングが命
- 最初のボケが面白くないとダメ
関連用語:
- かぶせ: 別のボケを重ねる
- フリ: ボケへの前振り
- ループ: 繰り返し
活用場面:
- お笑い、アニメ、マンガ
- ネット、SNS
- 日常会話
天丼は、お笑いの世界で生まれ、今ではネットでも日常会話でも使われる便利な言葉になりました。この技法を理解すると、お笑い番組やアニメ、ネットのやり取りがもっと楽しめるはずです。
ぜひ、今度お笑い番組を見るときや、ネットで面白いやり取りを見かけたときに、「あ、これ天丼だ!」と気づいてみてください。新しい発見があるかもしれませんよ!


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