「ろくでなし」の意味と語源を徹底解説!実は「陸」が関係していた?

「あいつは本当にろくでなしだ」

日常会話でたまに耳にするこの言葉、あなたも一度は使ったことがあるかもしれません。
なんとなく「ダメな人」という意味で使っているけれど、「ろく」って何のことだろう?と疑問に思ったことはありませんか。

実は「ろくでなし」の「ろく」には、建築用語にも使われる意外な由来があったのです。

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「ろくでなし」の意味

「ろくでなし」とは、何の役にも立たない人のらくらしていて真面目でない人を指す言葉です。

怠け者や不真面目な人、どうしようもない人間を批判したり、軽蔑したりする際に使われます。
相手の態度や行動に対して、侮辱の意味を込めて用いる表現です。

たとえば、家族を顧みずに遊び歩く人や、働かずに怠けてばかりいる人に対して「本当にろくでもない奴だ」と非難する、という使い方をします。

「ろくでなし」の漢字表記

「ろくでなし」を漢字で書くと、一般的には「碌でなし」と表記されます。
しかし、この「碌」という字は当て字です。

本来は「陸でなし」と書くのが正しい表記でした。

江戸時代の文献を見てみると、中期より前の作品では「陸」の字が使われていました。
たとえば、1684年の『好色二代男』には「陸」という表記が見られます。

ところが、江戸時代中期以降になると「碌」という字が使われるようになり、現代ではこちらの表記が一般的になっています。

「ろく」の語源とは

では、「ろく」とは何を意味する言葉なのでしょうか。

「ろく」は「」という漢字から来ています。
この「陸」は呉音で「ろく」と読み、本来は土地が平らなことを表していました。

そこから転じて、「陸」は物や性格がまっすぐで正しいさまを意味するようになったのです。

「陸」は建築用語にも残っている

実は、この「陸(ろく)」という言葉は、現代でも建築業界で使われています。

陸屋根(ろくやね)
学校の校舎などでよく見かける、傾斜のない平らな屋根のことです。

陸墨(ろくすみ)
建築物の水平の基準となる墨の線のことを指します。

このように、建築用語では今でも「平らである」「水平である」という意味で「陸(ろく)」が使われているのです。

「陸でなし」から「ろくでなし」へ

語源が分かったところで、なぜ「ろくでなし」が悪い意味になったのでしょうか。

「陸(ろく)」は「まっすぐ」「正しい」という肯定的な意味を持つ言葉でした。
ところが、「ろくでなし」は「陸でなし」つまり「陸ではない」という否定形なのです。

平らでない、まっすぐでない、正しくない。
そこから「真面目でない」「きちんとしていない」という意味になり、最終的に「何の役にも立たない者」という否定的な意味の言葉として定着しました。

江戸時代中期の滑稽本『浮世風呂』(1809-1813年)には、「酒を呑む者はろくでない」という記述が見られます。
この頃には、すでに「ろくでない」という否定形が使われていたことが分かります。

そして、この「ろくでない」という形容詞的な表現から、「ろくでなし」という名詞形が成立したのです。

「ろくでなし」の類語

「ろくでなし」と似た意味を持つ言葉はいくつかあります。

馬鹿阿呆(あほう)盆暗(ぼんくら)まぬけとんまたわけ

これらはすべて、愚かな人や役に立たない人を指す言葉です。

「ひとでなし」との違い

「ろくでなし」と混同されやすい言葉に「ひとでなし」があります。

「ろくでなし」は役に立たない人、怠け者といった意味合いです。
一方、「ひとでなし」は「人の道から外れた非情な行為をする人」という意味で、より強い非難の言葉となります。

つまり、「ろくでなし」よりも「ひとでなし」の方が、相手の人格や行為をより厳しく糾弾する表現なのです。

英語では何と言う?

「ろくでなし」を英語で表現すると、以下のような言葉になります。

  • bum(怠け者、ろくでなし)
  • good-for-nothing(役立たず)
  • ne’er-do-well(ろくでなし、役立たず)
  • reprobate(堕落者、ろくでなし)

いずれも、役に立たない人や怠け者を指す言葉です。

使用上の注意

「ろくでなし」は相手を侮辱する言葉であるため、使用する際には注意が必要です。

面と向かって「お前はろくでなしだ」と言えば、当然相手を傷つけますし、人間関係が壊れる可能性もあります。

第三者について話す場合でも、「あの人はろくでなしだ」という表現は、その人の人格を否定する強い言葉です。
軽い気持ちで使うべきではありません。

まとめ

「ろくでなし」は、「陸でなし」が語源で、「まっすぐでない」「真面目でない」という意味から「何の役にも立たない人」を指す言葉になりました。

本来は「陸」と書き、「碌」は当て字です。
この「陸(ろく)」は「平ら」「まっすぐ」という意味で、建築用語の「陸屋根」や「陸墨」にも使われています。

江戸時代には「ろくでない」という形で使われ、やがて「ろくでなし」という名詞形が成立しました。

言葉の成り立ちを知ると、なぜこの表現が否定的な意味になったのか、その背景が見えてきます。
「平らでない」「まっすぐでない」という物理的な状態が、「真面目でない」という人の性質を表す言葉に転じたのは、言葉の面白さを感じさせますね。

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