エラーコード105はDNS解決失敗を示すネットワークエラー

Steam エラーコード 105は、Steamクライアントがサーバーのドメイン名をIPアドレスに変換できないDNS解決エラーです。
「サーバーに接続できません。サーバーがオフラインか、インターネットに接続されていない可能性があります」というメッセージが表示され、主にSteamストアやコミュニティ機能へのアクセス時に発生します。
このエラーの技術的本質はDNSルックアップの失敗であり、80%以上がクライアント側の問題として発生しています。
エラーの意味と発生原因
主要な発生原因
エラーコード105の根本原因は5つのカテゴリーに分類されます。
- DNSキャッシュの破損(全体の約30%)
- 古いまたは破損したDNSエントリがSteamのドメイン解決を妨げる
- 広告ブロッカーソフトウェアの干渉(約25%)
- ブラウザ拡張機能や独立型アプリケーションがSteamのWebコンポーネントをブロック
- ネットワーク設定の問題
- ISPのDNSサーバーの不具合
- ルーターの設定ミス
- 不安定なインターネット接続
- セキュリティソフトウェアの干渉
- ファイアウォールやアンチウイルスソフトがSteamの通信を遮断
- Steamクライアント自体の問題
- Steamの内蔵Webブラウザキャッシュの破損
- インストールファイルの破損
エラーが発生する具体的な状況
エラー105は特定の操作時に頻繁に発生します。
- Steamストアタブへのアクセス時(ユーザーレポートの約60%)
- Steamコミュニティ機能へのアクセス時
- プロフィール
- フレンドリスト
- ワークショップ
- Steam起動時
- ゲームのダウンロード開始時
- アカウント認証時
興味深いことに、このエラーが発生してもゲームライブラリは正常に機能し、既にダウンロード済みのゲームはプレイ可能な場合が多いです。これは、エラーがSteamのWebベースコンポーネントに限定されていることを示しています。
解決方法の完全ガイド
優先順位別の解決方法
解決方法は成功率と簡単さに基づいて優先順位付けされています。
1. DNSサーバーの変更(成功率80-90%)
最も効果的な方法は、GoogleパブリックDNSに変更することです。
設定手順:
- ネットワークアダプターのプロパティを開く
- 「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択
- 以下のDNSサーバーアドレスを入力:
- 優先DNSサーバー:8.8.8.8
- 代替DNSサーバー:8.8.4.4
2. 広告ブロッカーの無効化(成功率70-80%)
以下の広告ブロッカーを一時的に無効化します。
- ブラウザ拡張機能(Chrome、Firefox等)
- 独立型広告ブロッキングソフトウェア
3. 基本的なトラブルシューティング
順番に以下を試みます。
- DNSキャッシュのフラッシュ(
ipconfig /flushdns
コマンド) - ルーターの再起動(電源を5分間切断)
- Steamキャッシュのクリア
4. 高度な解決方法
永続的な問題に対して85%以上の成功率を示す方法:
- ネットワーク設定の完全リセット
- Steamクライアントの再インストール
- TCPモードの強制(Steamショートカットに
-tcp
パラメータを追加)
プラットフォーム別の対処法の違い

Windows、Mac、Linuxでの重要な違い
Windows
標準的な解決方法がすべてのバージョン(7、10、11)で一貫して機能します。
- 主要ツール:Windows Defenderファイアウォール
- DNSフラッシュコマンド:
ipconfig /flushdns
- 注意点:最近のWindows更新後、Wi-Fi接続でのみエラー105が発生する報告が増加
macOS
システム特有の設定とコマンドを使用します。
- DNSフラッシュコマンド:
sudo dscacheutil -flushcache; sudo killall -HUP mDNSResponder
- ネットワーク設定:システム環境設定からアクセス
- Steamキャッシュの場所:
~/Library/Application Support/Steam
Linux
最も複雑な状況を示しており、特に2024-2025年にかけて問題が深刻化しています。
Arch Linuxでの対処法:
lib32-systemd
パッケージのインストール- nscdサービスの有効化が必要
- 場合によっては
~/.steam
フォルダ全体の削除が必要
Ubuntu/Debianでの対処法:
- DNSフラッシュコマンド:
systemd-resolve --flush-caches
ネットワーク設定とファイアウォールの関連性
DNS、ファイアウォール、ポート設定の詳細
DNS設定
DNSサーバーの設定は以下のレベルで行えます。
- ルーターレベル:ネットワーク上のすべてのデバイスに影響
- デバイスレベル:個別のデバイスのみに影響
推奨DNSサーバー:
- Google DNS:8.8.8.8、8.8.4.4
- Cloudflare DNS:1.1.1.1、1.0.0.1
ファイアウォール設定
Steamのインストールディレクトリ全体(通常C:\Program Files (x86)\Steam
)を例外に追加する必要があります。
Windows Defenderファイアウォールでの設定:
- プライベートネットワークプロファイルでSteamを許可
- パブリックネットワークプロファイルでSteamを許可
サードパーティファイアウォールでの設定:
- Steam.exeをホワイトリストに追加
- 関連するすべての実行ファイルをホワイトリストに追加
Steamが使用する主要なポート
アウトバウンド:
- UDP 3478、4379、4380
- UDP 27000-27015(ゲームクライアントトラフィック)
- TCP 27014-27050(Steamダウンロード)
注意:基本的なSteam機能には手動のポート転送は不要で、UPnPが有効な現代のルーターは自動的にポート管理を行います。
Steamクライアント再インストールが必要なケース
再インストールを検討すべき症状
以下の症状が見られる場合、再インストールを検討します。
- ネットワークトラブルシューティング後もエラー105が持続
- Steamクライアントのクラッシュや起動失敗
- 「Steam Service Error」メッセージの表示
- ゲーム更新中のダウンロード破損エラー
- ClientRegistry.blobファイルの破損
バックアップすべきファイル
再インストール前に必ずバックアップを作成します。
- steamappsフォルダ全体(すべてのゲームファイル)
- スクリーンショット(Steam\userdata[user_id]\760\remote)
- 設定ファイル(Steam\configフォルダ)
完全なクリーンインストール手順
- Steamのアンインストール
- 残存するSteamディレクトリの削除
- レジストリエントリのクリア
- 以下のフォルダの削除:
- %localappdata%\Steam
- %appdata%\Steam
- 再インストール後、バックアップしたsteamappsフォルダをコピー
2024-2025年の最新情報と動向
最近の重要な変化とアップデート
2024年6月の大規模障害
Steamフォーラムとワークショップのドメイン登録がセキュリティ上の懸念から一時的に取り消され、世界中でエラー105が大規模に発生しました。この問題はDNSサーバーが更新されるまで続きました。
2025年のLinux環境での問題
特にLinuxユーザーの間で問題が深刻化しています。
Arch Linuxの最新インストール(2025.04.01)での問題:
- systemd-networkdとsystemd-resolvedを使用する環境で持続的なエラー105
- 解決には
lib32-systemd
パッケージのインストールとnscd.serviceの有効化が必要
Windows環境での特異な現象
2024年後半のアップデート後、以下の現象が報告されています。
- Wi-Fi接続でのみエラーが発生
- イーサネット接続では正常動作
- Windows更新がWi-Fiドライバーやネットワークスタックに影響した可能性
類似エラーとの違いと追加対処法
他のネットワークエラーとの識別
Steam Error 105は他のエラーと明確に区別されます。
- Error 101:NeedCaptcha
- Error 102:GSLTDenied
- Error 103:GSOwnerDenied
- Error 118:MustAgreeToSSA
- Error 105:純粋にDNS解決の失敗
Error 105の特徴:
- インターネット接続は正常
- Steamストア/コミュニティのみがアクセス不可
- 選択的な障害パターン
標準的な解決法が失敗した場合の追加対処
システムレベルの高度な対処法:
- Steamショートカットに
-tcp
パラメータを追加(TCPプロトコルを強制) - IPv6を無効化
- MTU値を調整(
ping -f -l 1472 8.8.8.8
でテスト)
Linuxユーザー向け特別コマンド:
sudo ln -sf ../run/systemd/resolve/stub-resolv.conf /etc/resolv.conf
sudo systemctl enable --now nscd.service
sudo pacman -S lib32-systemd
Steamサポートへの問い合わせが必要なケース

プロフェッショナルサポートが必要な指標
以下の状況ではSteamサポートへの連絡を検討します。
- すべての標準的な修正方法が失敗
- エラーが複数のデバイスやネットワークで発生
- Error 105とError 118が同時に表示(アカウント問題の可能性)
- 完全にSteam機能が失われた
サポートへの連絡方法
連絡先:help.steampowered.com カテゴリー選択:「Steam Client」→「Connection Issues」
提供すべき情報
- システム情報
- OS
- Steamバージョン
- エラーの詳細
- 正確なメッセージ
- 発生タイミング
- 試みたトラブルシューティングのリスト
- ネットワーク環境
- ISP
- ルーターモデル
- セキュリティソフト
- 最近の変更
- システムアップデート
- ソフトウェアインストール
応答時間は通常24-48時間で、複数回のやり取りが必要になる場合があります。
サポート範囲外となる可能性のある問題
- ISP関連のDNS問題
- サードパーティアンチウイルスの設定
- Linux固有のネットワーク問題
まとめ
Steam Error Code 105は主にDNS解決の失敗によって発生し、GoogleパブリックDNSへの変更で80-90%のケースが解決します。
2024-2025年にかけて、特にLinuxシステムでsystemd-resolved関連の問題が増加しており、プラットフォーム固有の対処法が重要になっています。
標準的な解決法が失敗した場合は、システムレベルの高度なトラブルシューティングを試み、それでも解決しない場合はSteamサポートへの連絡を検討すべきです。
エラーの性質を正しく理解し、体系的なアプローチで対処することで、ほとんどのケースで問題を解決できます。
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