みなさんは、Steamでゲームを見ていて「年齢確認」の画面が出てきたことはありませんか?
なぜ毎回生年月日を入力しなければならないのか、どうして一度入力したのに覚えてくれないのか、疑問に思ったことがあるかもしれません。
実は、これには法律や国際的なルール、そして最近の大きな変化が関係しているんです。今回は、Steamの年齢制限システムについて、最新の情報も含めて詳しく解説していきます。
Steamの年齢制限の仕組みと現状

年齢確認システムの基本的な仕組み
Steamの年齢制限システムは、実はとてもシンプルな仕組みで動いています。
成人向けコンテンツにアクセスしようとすると、生年月日の入力を求められますよね。でも、この情報は「セッションCookie」として一時的にしか保存されません。つまり、ブラウザやSteamクライアントを閉じると、次回また入力が必要になるんです。
なぜこんな面倒な仕組みなのでしょうか?
実は、ESRB(エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会)などの評価機関の規定により、年齢情報を長期間保存することができないからなんです。これは法的責任を回避するための措置でもあります。
2024-2025年の大きな変化
2024年から2025年にかけて、Steamには大きな変化が起きました。
決済処理業者(クレジットカード会社など)からの圧力により、成人向けコンテンツに対する規制が大幅に強化されたのです。特に2025年4月以降、Visa、Mastercard、PayPalの基準に違反する可能性のある成人向けコンテンツが100タイトル以上も削除されました。
日本のユーザーと開発者にとって特に重要な問題があります。
日本の銀行が、成人向けゲーム開発者へのSteamからの収益送金をブロックしているんです。これは「犯罪収益移転防止法」と「外国為替及び外国貿易法」に基づく措置とされていますが、開発者にとっては深刻な問題となっています。
年齢確認の実際の流れ
実際に年齢確認はどのように行われるのでしょうか。
成人向けコンテンツにアクセスしようとすると、インタースティシャル(中間ページ)が表示されます。そこには「このゲームには全年齢向けではない内容が含まれている可能性があります」という警告が出ます。
ここで17歳または18歳未満の年齢を入力すると、「申し訳ございませんが、現時点でこれらの資料を閲覧することはできません」というエラーメッセージが表示されます。しかも、同じセッション中は再試行ができない仕組みになっているんです。
年齢制限の基本的な仕組みがわかったところで、次はどんな種類の年齢制限があるのか見ていきましょう。
年齢制限の種類とレーティング区分
Steamの5段階分類システム
Steamは独自の成人向けコンテンツフィルタリングシステムを採用しています。
5つのカテゴリーに分かれているので、順番に説明しますね。
一般的な成人向けコンテンツ
全年齢向けではないけれど、必ずしも暴力的または性的ではない内容のことです。
頻繁な暴力またはゴア表現
Mortal KombatやDOOMなど、激しい暴力表現を含むゲームが該当します。
ヌードまたは性的コンテンツ
The Witcher 3やCyberpunk 2077など、性的テーマやヌードを含むゲームです。
成人向け性的コンテンツ
明示的な性的コンテンツを含み、特別な設定(オプトイン)が必要なゲームです。
地域別特別分類
USK(ドイツ)、CERO(日本)など、各国のレーティング機関に基づく追加制限です。
年齢のしきい値は地域により異なりますが、基本的に17歳以上向けと18歳以上向けに分かれています。ドイツなど一部の国では、より厳格な年齢確認が求められることもあります。
日本のCEROレーティングの特徴
日本には独自のレーティングシステムがあります。
CERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)という組織が、ゲームを5段階に分類しています。
- A:全年齢対象
- B:12歳以上対象
- C:15歳以上対象
- D:17歳以上対象
- Z:18歳以上のみ対象
特に重要なのは、CERO Zレーティングです。
これは法的拘束力を持ち、クレジットカードによる年齢確認が必須となっています。日本特有の制度で、他国のレーティングシステムよりも強力な年齢確認メカニズムとなっているんです。
年齢制限の種類がわかったところで、実際にどうやって年齢確認を行うのか、その手順を見ていきましょう。
正規の年齢制限解除と年齢確認手順

公式の年齢確認プロセス
Steamの年齢確認は、意外にシンプルです。
年齢ゲート(年齢確認画面)が表示されたら、生年月日を入力するだけ。政府発行の身分証明書による確認は必要ありません。
でも、これって本当に年齢確認になっているの?と思うかもしれませんね。
実は、このシステムは実際の年齢確認というよりも、Valve(Steamの運営会社)の法的保護を目的としているんです。つまり、「私たちは確認しましたよ」という証拠を残すためのものなんです。
アカウント設定での管理方法
Steamでは、成人向けコンテンツの表示設定を細かく管理できます。
store.steampowered.com/account/preferences/ にアクセスすると、以下の設定が可能です:
- ストアコンテンツのフィルタリング
- コミュニティコンテンツのフィルタリング
- 異なるタイプの成人向けコンテンツに対する個別設定
- 最大10個までのタグベースフィルタリング
これらの設定により、自分に合った表示内容にカスタマイズできます。
年齢ゲートCookieのリセット方法
もし年齢確認をやり直したい場合は、Cookieをリセットする方法があります。
Steamクライアントを使っている場合:
- Steamメニューから「設定」を開く
- 「ゲーム中」タブを選択
- 「Webブラウザのデータを削除」ボタンをクリック
- Steamクライアントを再起動
ブラウザを使っている場合は、システム設定からSteamのCookieを手動でクリアすることもできます。
これで、次回成人向けコンテンツにアクセスする際に、再度年齢確認が求められるようになります。
個人での年齢確認設定がわかったところで、家族で使う場合のペアレンタルコントロールについて見ていきましょう。
ファミリービューとペアレンタルコントロール
新しいSteam Familiesシステム
Steamは家族向けの新しいシステムを導入しました。
Steam Familiesという新システムでは、家族でゲームライブラリを共有しながら、子供向けの制限を設定できるんです。
設定するための条件があります:
- すべてのアカウントに正確な生年月日が登録されていること
- Steamアカウントが何か購入した履歴があること
- 13歳未満のユーザーは、アカウント作成時に保護者の同意が必要
設定方法は意外と簡単です。
Steam→設定→ファミリー→「Steam Familyを作成または参加」から始めて、ファミリー名を作成し、最大5人の他のメンバーを招待します。メンバーは「大人」または「子供」として設定できます。
高度なペアレンタルコントロール機能
保護者向けの機能はとても充実しています。
特定のゲームへのアクセス制御はもちろん、1日のプレイ時間制限や、遊べる時間帯の設定もできます。成熟した内容や暴力的、性的コンテンツのブロックも可能です。
さらに、すべての購入に対して大人の承認を要求したり、詳細なプレイ時間レポートを見たりすることもできます。ストア、コミュニティ、フレンド、チャットへのアクセスも細かく制御できるんです。
ペアレンタルコントロールの解除方法
大人のアカウント保有者なら、制限を解除することもできます。
Steam→設定→ファミリー→「Steam Familyを管理」にアクセスし、子供のアカウントの設定から「このユーザーのペアレンタルコントロールを有効にする」をオフにするだけです。
ただし、重要な制限があります。
ファミリーの大人だけが保護者制限を変更できて、子供アカウントは自分で制限を解除できません。また、ファミリーからアカウントを削除すると、1年間のクールダウン期間が発生するので注意が必要です。
家族向けの設定がわかったところで、アカウントの生年月日について重要な情報をお伝えします。
生年月日の変更と制限事項

アカウント生年月日は変更できない?
ここで重要な事実をお伝えしなければなりません。
アカウント作成時に入力された生年月日は、永続的で変更不可能なんです。
「え、間違えて入力しちゃった場合はどうするの?」と思うかもしれません。
残念ながら、ユーザーがアクセス可能な方法でアカウントの生年月日を変更することはできません。年齢確認プロンプトはアカウントデータではなく、ローカルに保存されたCookieを使用しているため、毎回入力が必要になるわけです。
サポートへの問い合わせは有効?
Steamサポートに問い合わせれば変更してもらえるかも、と思うかもしれません。
確かに、正当な修正要求を検討してくれる可能性はあります。でも、データ入力エラーの説得力のある証拠が必要で、承認の保証はありません。
多くの場合、正しい情報で新しいアカウントを作成することが推奨されています。
変更できるものと変更できないもの
変更できるものは限られています。
変更可能:
- 年齢ゲート確認Cookie(一時的、ローカルのみ)
- ペアレンタルコントロール設定(ファミリーの大人による)
- Family View制限(PINを使用)
変更不可能:
- 元のアカウントの生年月日
- アカウントの年齢適格性
- 一度設定されたCOPPAステータス(児童オンラインプライバシー保護法)
- 地域の年齢制限
生年月日の重要性がわかったところで、地域による違いについて見ていきましょう。
地域による年齢制限の違い
日本と他国の比較
各国で年齢制限のシステムは大きく異なります。
日本のCEROシステムは、単純な「はい/いいえ」の質問を使うことが多く、生年月日の入力よりも簡潔です。でも、CERO Zレーティングは法的に強制力があり、クレジットカード確認が必要という点で、他国よりも厳格なんです。
文化的な違いも影響しています。日本は特定の性的コンテンツには比較的寛容ですが、暴力表現に対してはより厳格な場合があります。
アメリカのESRBシステムは、通常Steamで生年月日の入力を要求します。自主規制であり法的拘束力はありませんが、小売業者が制限を実施しています。
欧州連合のPEGIシステムも生年月日の入力が必要です。イギリスやドイツなど一部の国では法的拘束力があり、16歳以上/18歳以上のゲームにはID確認が必要になることもあります。
2024-2025年の地域別規制強化
最近、各国で規制が強化されています。
ドイツでは2024年11月15日から、Steamで販売されるすべてのゲームに適切な年齢レーティングが必要となりました。レーティングのないゲームはドイツの顧客から見えなくなり、開発者は特別なアンケートを完了する必要があります。
日本では、成人向けゲーム開発者に対する銀行の収益送金ブロック問題が深刻化しています。海外売上からのSteam収益にアクセスできない状況が続いており、山田太郎議員が金融庁と経済産業省と協力して解決策を模索しているところです。
地域による違いがわかったところで、よくある問題とその解決方法を見ていきましょう。
よくある問題とトラブルシューティング
技術的な問題と解決策
年齢確認でよくある問題と、その解決方法を紹介します。
年齢ゲートが読み込まれない問題
クライアントの代わりにSteamウェブサイトを使用するか、ブラウザのCookieやSteamクライアントのキャッシュをクリアすることで解決できます。
生年選択でドロップダウンメニューが固まる問題
これは一般的な問題で、ウェブブラウザ経由でアクセスすることが回避策となります。
セッションCookieの問題
年齢確認は設計上、各セッションでリセットされます。評価機関の規則により年齢確認を恒久的に保存できないため、これは回避不可能な仕様となっています。
ユーザーからの一般的な苦情
多くのユーザーが同じような不満を持っています。
最も多いのは、繰り返される年齢確認プロンプトへの不満です。各ブラウジングセッションで年齢確認が必要となることに、ストレスを感じる人が多いんです。
また、年齢に関係なく特定のコンテンツにアクセスできない地域ブロックの問題も報告されています。
一部の設定の組み合わせが保存されないバグも確認されており、特に「頻繁な暴力とゴア」と「成人向け性的コンテンツ」を同時に有効にできない問題があります。
問題と解決方法がわかったところで、成人向けコンテンツの表示設定について詳しく見ていきましょう。
成人向けコンテンツの表示設定

ストア設定へのアクセス方法
成人向けコンテンツの表示設定は、自分で細かくカスタマイズできます。
アクセス方法は2つあります:
- ウェブサイト:store.steampowered.com/account/preferences/
- Steamクライアント:アカウント詳細→ストア設定
フィルタリングオプションの詳細
4つの主要なフィルタリングオプションがあります。
一般的な成人向けコンテンツ
成熟したテーマ、暴力、または明示的なコンテンツを含むゲームへのアクセスを制御します。
頻繁な暴力とゴア
Mortal Kombat、Doom、ホラーゲームなどをフィルタリングします。
成人向け性的コンテンツ
性的に明示的なゲームに対する最も制限的な設定です。
ヌードと性的コンテンツ
GTA、Cyberpunk 2077などを含む幅広いカテゴリーです。
設定手順
設定は簡単です。
- Steamアカウントにログイン
- アカウント詳細→ストア設定に移動
- 「成人向けコンテンツ設定」のチェックボックスを調整
- 「コミュニティコンテンツ設定」を個別に設定
- 設定を保存
ただし、技術的な問題により一部の組み合わせが保存されない場合があることに注意してください。
設定方法がわかったところで、規約違反について重要な警告をお伝えします。
年齢制限回避に対する対策とペナルティ
VPNと地域切り替えの危険性
ここで非常に重要な警告をしなければなりません。
VPNを使用して地域制限や価格設定を回避することは、Steamの利用規約違反です。
違反者には厳しいペナルティが科されます:
- 一時的から恒久的なアカウント停止
- ゲームライブラリ全体の喪失を含む完全なアカウント禁止
- ゲーム購入やマーケットプレイス機能の使用不能
Steamは対策を強化しています。
現在は対象地域からのローカル決済方法を要求するようになり、VPNだけでは地域を変更できなくなりました。決済方法の確認とIP分析を含む検出方法も使用しています。
複数回の違反は、ペナルティの段階的な強化につながります。特に低価格地域(アルゼンチン、ロシア、トルコ)への切り替えを試みたユーザーは、アカウント停止に直面しています。
即座の永久禁止対象となる行為
以下の行為は、即座かつ永久的にアカウントを禁止される可能性があります。
決済詐欺
盗まれたクレジットカードの使用や、不正なチャージバックなど。
アカウント盗難
他のユーザーのアカウントのハイジャックやフィッシング。
海賊版・ハッキング
不正なSteamクライアントや偽のCDキーの使用。
意図的な欺瞞行為
Steam職員へのなりすましなど。
これらの行為は絶対に行わないでください。ゲームライブラリをすべて失う可能性があります。
規約違反の危険性がわかったところで、最新の規約変更について見ていきましょう。
2024-2025年の最新規約変更

決済処理業者による規制強化
2025年4月中旬に、大きな変更がありました。
Steamの決済処理業者(Visa、Mastercard、PayPalなど)と関連する銀行やネットワークプロバイダーが定める規則と基準に違反する可能性のあるコンテンツが禁止されたのです。
これにより、近親相姦、奴隷制度、その他フラグが立てられたテーマを扱う100以上の成人向けゲームがプラットフォームから削除されました。
日本市場への影響
日本の成人向けゲーム開発者は、特に大きな影響を受けています。
銀行による収益送金ブロック問題が深刻化しており、海外売上からのSteam収益にアクセスできない状況が続いています。山田太郎議員が金融庁と経済産業省と協力して解決策を模索していますが、まだ解決には至っていません。
今後予想される変更
今後、さらなる変更が予想されています。
IDベースの確認システムの実装可能性があり、決済処理業者の要求に基づくコンテンツ制限がさらに拡大する可能性があります。
国によってコンテンツの利用可能性が異なるようになり、違反に対する自動化の増加とペナルティの強化も見込まれています。
プラットフォームの責任に対する法的圧力が増大し、受け入れ可能なコンテンツの境界に関する不確実性も高まっています。セキュリティ・コンプライアンスと使いやすさのバランスを取ることが、業界全体の課題となっています。
まとめ:Steamの年齢制限システムを正しく理解して利用しよう
Steamの年齢制限システムは、法的要件、文化的差異、ビジネス上の考慮事項の複雑な相互作用を反映しています。
日本のユーザーにとって特に重要なポイントをまとめます。
CERO Zレーティングは法的強制力を持ち、クレジットカード確認が必要です。成人向けコンテンツ開発者は銀行送金制限の問題に直面しています。
2024-2025年の規制強化により、プラットフォームはより厳格な方向へと転換しています。
絶対に避けるべき行為:
- VPN使用による地域切り替え
- 虚偽の年齢情報の提供
- 新しい決済処理業者基準に違反するコンテンツへの関与
ゲームライブラリ全体を失う可能性もあるため、Steamの利用規約を守ることが何より重要です。
年齢制限システムは面倒に感じるかもしれませんが、法的な理由があることを理解し、正しく利用することで、安全にSteamを楽しむことができます。今後も規約の変更に注意しながら、楽しいゲームライフを送りましょう。
コメント