ゲームのレビューや紹介で「ローグライク要素を取り入れた」「ローグライクRPG」なんて言葉を見かけること、増えていませんか?
でも、「ローグライクって結局どういう意味?」「普通のRPGと何が違うの?」と疑問に思っている方も多いはずです。
この記事では、ローグライクというゲームジャンルについて、その歴史から特徴、代表的な作品、そしてよく混同される「ローグライト」との違いまで、分かりやすく解説していきます。
ローグライクの由来:1980年のゲーム『Rogue』
ローグライク(Roguelike)とは、直訳すると「Rogueのような」という意味です。
この「Rogue(ローグ)」とは、1980年にアメリカで公開されたダンジョン探索型コンピュータRPGのこと。カリフォルニア大学バークレー校の学生が制作したこのゲームは、当時としては画期的なシステムを持っていました。
『Rogue』の特徴:
- プレイするたびにランダムに生成されるダンジョン
- 死んだら最初からやり直し(パーマデス)
- ターン制の戦闘システム
- 全てがアスキーアート(文字)で表現される
このゲームは大学や研究機関のコンピュータで遊ばれ、熱狂的なファンを生み出しました。何度プレイしても同じダンジョンが出てこないという斬新さが、多くのプレイヤーを夢中にさせたんですね。
その後、『Rogue』に影響を受けた多くのゲームが登場し、これらをまとめて「ローグライク(Rogueのようなゲーム)」と呼ぶようになったのが、このジャンルの始まりです。
ちなみに、「Rogue」という英単語には「ならず者」「冒険者」という意味があります。ランダム生成されたダンジョンをさまよう姿から、この名前が付けられたと言われています。
ローグライクの主な特徴
それでは、ローグライクゲームにはどんな特徴があるのでしょうか。主要な要素を見ていきましょう。
1. ランダム生成(手続き型生成)
ローグライクの最大の特徴は、プレイするたびにダンジョンの構造、アイテムの配置、敵の出現場所などがランダムに変化することです。
これは「手続き型生成」や「プロシージャル生成」と呼ばれる技術で、ゲームがアルゴリズムに基づいて自動的にマップを作り出します。
メリット:
- 何度プレイしても新鮮な体験ができる
- リプレイ性(繰り返し遊びたくなる性質)が非常に高い
- 定型的な攻略法が通用しにくい
- 予測不可能な状況への対応力が試される
2. パーマデス(恒久的な死)
「パーマデス(Permadeath = Permanent Death)」とは、キャラクターが死ぬとゲームオーバーとなり、最初からやり直しになるシステムです。
具体的には:
- 集めたアイテムが全て消える
- レベルが1に戻る
- 途中からの再開はできない
- セーブ機能はゲームを中断するためだけにある
この厳しいシステムが、ローグライクに独特の緊張感と達成感を生み出しています。「死んだらおしまい」だからこそ、慎重にプレイする必要があり、クリアしたときの喜びはひとしおなんです。
3. ターン制バトル
ローグライクの戦闘は基本的にターン制です。プレイヤーが行動しない限り、ゲーム内の時間は進みません。
ターン制の特徴:
- 自分が攻撃→敵が攻撃→また自分が攻撃…という流れ
- じっくり考えて次の行動を決められる
- アクションゲームのような反射神経は不要
- 戦略性が重視される
リアルタイムで進行するアクションゲームとは違い、時間をかけて最適な行動を考えられるのがポイントです。
4. グリッドベースの移動
多くのローグライクでは、マップがマス目(タイル)で構成されており、キャラクターや敵はこのマス目を一つずつ移動します。
将棋やチェスのような感覚で、一マスずつ動いて戦うイメージですね。
5. 高い戦略性と複雑さ
ローグライクは、限られた資源(体力回復アイテム、食料など)をどう使うかの判断が常に求められます。
例えば:
- この階層で回復アイテムを使うべきか、次の階層まで温存すべきか
- 未識別のアイテムを試すリスクを取るべきか
- どのルートで進むのが最も安全か
一つ一つの選択が生死を分けるため、慎重な判断力と計画性が必要になります。
6. ノンモーダル(画面遷移がない)
移動も戦闘も、基本的に同じ画面で行われます。別の戦闘画面に切り替わったり、カットシーンが挿入されたりしません。
すべてのアクションが一つの画面で完結するシンプルさも、ローグライクの特徴です。
ベルリン解釈:ローグライクの定義
2008年に開催された「国際ローグライク開発会議」で、ローグライクの定義として「ベルリン解釈」が提示されました。
これは、代表的なローグライク作品(Rogue、NetHack、Angband、ADOM、Crawlなど)を基に作られた基準で、以下のような要素が挙げられています。
高価値要素(重要度が高い):
- ランダムな環境生成
- パーマデス(恒久的な死)
- ターン制
- グリッドベース
- ノンモーダル
- 複雑さと解決方法の多様性
- 資源管理
- ハックアンドスラッシュ(敵を倒すことが中心)
- 探索と発見
低価値要素(あれば望ましい):
- シングルプレイヤー
- モンスターが似たようなルールで動く
- 戦術的な挑戦
- ASCIIディスプレイ(文字表示)
- ダンジョンが舞台
- 数字で表現されるパラメータ
ただし、この定義は「すべての要素を満たさなければローグライクではない」というものではなく、「ローグライクらしさ」を理解するための指針として作られました。
ローグライクとローグライトの違い
最近では、「ローグライト(Roguelite)」または「ローグライクライク(Roguelike-like)」という言葉もよく使われます。
この2つの違いは何でしょうか?
ローグライト(Roguelite)とは
ローグライトは、ローグライクの要素を「軽く(lite)」取り入れたゲームを指します。
ローグライトの特徴:
- ランダム生成とパーマデスの要素はある
- ただし、死んでも一部の進行が引き継がれる
- アイテムの一部が残ったり、キャラクターの強化が引き継がれたりする
- ターン制でないことが多い(アクションゲームと融合している)
- グリッドベースでないことも多い
例えば、『Hades』という人気ゲームはローグライトの代表作です。死ぬたびにダンジョンはリセットされますが、集めた資源を使ってキャラクターを永続的に強化できます。
主な違いのまとめ
| 要素 | ローグライク | ローグライト |
|---|---|---|
| ランダム生成 | あり | あり |
| パーマデス | 完全リセット | 一部の進行は残る |
| ターン制 | 基本的にあり | ないことも多い |
| グリッドベース | 基本的にあり | ないことも多い |
| メタ進行 | なし | あることが多い |
| 難易度 | 非常に高い | やや緩和されている |
簡単に言えば、ローグライクはより伝統的で厳格、ローグライトはカジュアルで遊びやすいというイメージです。
ただし、この区別も開発者やプレイヤーによって解釈が異なり、明確な線引きがあるわけではありません。
日本におけるローグライクの広まり
日本では、1993年にチュンソフトが発売した『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』がローグライクを広めるきっかけになりました。
『ドラゴンクエスト』の世界観とローグライクのシステムを組み合わせたこの作品は大ヒットし、それまで一部のマニアにしか知られていなかったローグライクが、一般のゲームファンにも認知されるようになったんです。
日本で人気のローグライクシリーズ:
- 『不思議のダンジョン トルネコの大冒険』シリーズ
- 『不思議のダンジョン 風来のシレン』シリーズ
- 『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズ
- 『チョコボの不思議なダンジョン』シリーズ
これらは「不思議のダンジョンシリーズ」として親しまれ、グラフィック表示が標準となっているのが特徴です。
特に『風来のシレン2』や『風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!』は、ローグライクの最高傑作として挙げられることが多い作品です。
代表的なローグライクゲーム
ローグライクには長い歴史があり、多くの名作が生まれています。いくつか代表的なものを紹介しましょう。
古典的なローグライク
NetHack(1987年〜)
『Hack』の直系で、ローグライクの代名詞的存在。今でもアップデートが続けられている長寿タイトルです。アスキーアート表示で、非常に高い難易度と複雑なシステムが特徴。
Angband(1990年〜)
J.R.R.トールキンの『指輪物語』の世界観をベースにしたローグライク。多くの派生作品(ヴァリアント)が作られています。
ADOM(Ancient Domains of Mystery)(2000年)
種族が37種類、職業が12種類あり、組み合わせでゲームの難易度が変わる複雑なシステムが特徴です。
現代のローグライク
Dungeon Crawl Stone Soup
NetHackと並ぶ人気作。グラフィック表示とアスキーアート表示の両方に対応しています。
Cataclysm: Dark Days Ahead
ゾンビアポカリプスを舞台にしたローグライク。サバイバル要素が強く、非常に自由度が高いです。
Caves of Qud
SFとファンタジーが融合した独特の世界観を持つローグライク。
日本の代表作
風来のシレンシリーズ(1995年〜)
日本を代表するローグライクシリーズ。グラフィックが美しく、初心者から上級者まで楽しめる絶妙な難易度設計が魅力です。
ローグライト(ローグライク要素を含む現代作品)
Hades(2020年)
アクションRPGとローグライクを融合させた傑作。美しいグラフィックと魅力的なストーリーが特徴で、ローグライトの代表作です。
Dead Cells(2018年)
2Dアクションとローグライクを組み合わせた高難度ゲーム。
Slay the Spire(2017年)
デッキ構築型カードゲームとローグライクを融合させた作品。戦略性の高さで人気を博しました。
The Binding of Isaac(2011年)
シューティングとローグライクを組み合わせた作品。独特のダークな世界観とやり込み要素で熱狂的なファンを獲得しています。
ローグライクの魅力
なぜローグライクは、40年以上も愛され続けているのでしょうか。その魅力を整理してみましょう。
無限のリプレイ性
ランダム生成のおかげで、何度プレイしても同じ体験にはなりません。毎回新しい発見があり、飽きずに遊び続けられます。
「もう一回だけ」が止まらなくなるんですね。
緊張感と達成感
パーマデスによる「死んだらおしまい」というルールが、他のゲームにはない緊張感を生み出します。
そして、その厳しさを乗り越えてクリアしたときの達成感は、何にも代えがたいものがあります。
プレイヤースキルの成長
ローグライクでは、アクションゲームのような反射神経ではなく、知識と経験がプレイヤーの最大の武器になります。
- このアイテムはどういう効果がある?
- この敵にはどう対処すべき?
- この状況ではどの選択が最適?
プレイを重ねるごとに、確実にプレイヤー自身が成長していく実感が得られます。
戦略性の高さ
限られた資源をどう使うか、どのルートで進むか、どのアイテムを持っていくか――常に判断を迫られるゲームデザインは、パズルを解くような知的な楽しさがあります。
時間をかけて考えられる
ターン制なので、焦らずじっくり考えて行動できます。
時間に追われることなく、自分のペースでプレイできるのも魅力です。
ローグライクの難しさと楽しみ方
ローグライクは、初心者にとっては難しく感じられることも多いジャンルです。
しかし、それこそがローグライクの本質であり、魅力でもあります。
「死んで覚える」「やって覚える」がローグライクの基本スタイルです。
まとめ:ローグライクは「死んで学ぶ」ゲーム
ローグライクは、1980年の『Rogue』に由来する歴史あるゲームジャンルです。
ローグライクの核となる特徴:
- ランダム生成されるダンジョンやマップ
- 死んだら最初からやり直し(パーマデス)
- ターン制の戦闘
- 高い戦略性と複雑さ
- 何度も繰り返しプレイしたくなるリプレイ性
最近では、ローグライクの要素を取り入れた「ローグライト」と呼ばれるゲームも増え、より多くの人が楽しめるジャンルになってきています。
厳しいゲームバランスゆえに初心者には難しく感じられるかもしれませんが、その分、クリアしたときの達成感は格別です。
何度も死んで、その度に学び、少しずつ上達していく――そんな成長の実感を楽しめる人にとって、ローグライクは最高のゲームジャンルと言えるでしょう。
興味を持った方は、まずは遊びやすい『風来のシレン』シリーズや『トルネコの大冒険』、あるいは現代的な『Hades』などから始めてみてはいかがでしょうか?
一度ハマると抜け出せない、ローグライクの深い世界があなたを待っていますよ!

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