「QGISをインストールしたのに起動しない」「以前は動いていたのに突然起動しなくなった」「ロード中に固まって進まない」——こういったトラブルはQGISユーザーから多く報告されています。
この記事では、QGISが起動しない主な原因と対処法を順番に解説します。
QGISとは

QGIS(Quantum GIS)は、地図データの作成・編集・分析ができる無料のオープンソースGIS(地理情報システム)ソフトウェアです。
Windows・macOS・Linuxで動作し、国土交通省の国土数値情報や国土地理院のデータを扱う際にも広く利用されています。
起動しない原因の早見表
| 症状 | 主な原因 |
|---|---|
| インストール直後から起動しない | Windowsユーザー名に日本語が含まれている |
| 「msvcp140.dllがありません」と表示される | Visual C++ ランタイムが不足している |
| 「Access Denied」などが表示される | 管理者権限が不足している |
| 「プラグインを復元しています」で止まる | プラグインが破損・競合している |
| 以前は起動できたのに急に起動しなくなった | プロファイルが破損している |
| どの対処法を試しても起動しない | インストール自体が失敗している |
対処法1:Windowsユーザー名に日本語が含まれていないか確認する
QGISが起動しない原因として最も多いのが、Windowsのユーザー名(アカウント名)に日本語・漢字・ひらがなが含まれているケースです。
QGISは海外で開発された複数のソフトウェアの集合体で、ユーザーフォルダのパスに2バイト文字(日本語)が含まれると、設定ファイルの読み書きやプラグインのインストールが正常に動作しません。
インストール自体は完了しても、起動時にエラーが発生したり、特定の作業でだけエラーが出たりと、原因がわかりにくいトラブルが起きやすいです。
確認方法はエクスプローラーで C:\Users\ を開き、自分のフォルダ名を確認するだけです。C:\Users\太郎\ のように日本語が含まれている場合は、半角英数字のみのアカウント名で新しいWindowsユーザーアカウントを作成し、そのアカウントでログインした状態でQGISをインストールし直してください。
アカウント名に使えるのは半角英数字のみです。半角スペースやアンダースコア(_)も問題を引き起こす報告があるため、できるだけシンプルな英字のみの名前が推奨されます。
対処法2:管理者として実行する
ログイン中のWindowsアカウントが管理者権限を持っていない場合、QGISのインストールや起動に失敗することがあります。
「Access Denied」などのエラーが表示された場合は、この対処法を試してください。
- スタートメニューで「QGIS Desktop」を検索する
- 右クリックして「管理者として実行」を選択する
- 管理者権限でQGISが起動するか確認する
管理者として実行しても解決しない場合は、管理者権限を持つユーザーアカウントでWindowsに再ログインしてからQGISを起動してください。
対処法3:「msvcp140.dllがありません」エラーを解決する
「msvcp140.dllがないためプログラムが開始できません」というエラーが表示される場合、Microsoft Visual C++ 再頒布可能パッケージがPCにインストールされていないことが原因です。
これはWindowsに付属するDLLファイルで、QGIS本体がこのファイルを必要としています。
- Microsoftの公式サイトからMicrosoft Visual C++ 再頒布可能パッケージをダウンロードする
- x64版(64ビット)とx86版(32ビット)の両方をインストールする
- インストール後にPCを再起動してからQGISを起動する
Windows 10・11環境でも発生するエラーです。Windows Updateで最新の状態に保つことでも改善するケースがあります。
対処法4:プロファイルフォルダを削除する(突然起動しなくなった場合)
以前は正常に起動できていたのに突然起動しなくなった場合、QGISのプロファイルが破損していることが原因として考えられます。
弘前大学情報基盤センターも公式に案内している対処法です。
- タスクマネージャー(
Ctrl + Shift + Esc)を開き、QGISのプロセスがすべて終了していることを確認する - エクスプローラーのアドレスバーに
%appdata%\QGIS\と入力してフォルダを開く QGISフォルダ全体を削除する(または別の場所にバックアップとして移動する)- QGISを再起動する
このフォルダにはQGISの設定・カスタマイズ・プロファイル情報が保存されています。
削除するとカスタム設定はリセットされますが、作業中のGISデータ(シェープファイル等)には影響しません。
なお、QGIS公式ドキュメントによると、プロファイルの保存場所は以下のとおりです。
- Windows:
%AppData%\Roaming\QGIS\QGIS3\profiles\ - macOS:
Library/Application Support/QGIS/QGIS3/profiles/
対処法5:プラグインフォルダをリネームする(ロード中に止まる場合)
「ロードされたプラグインを復元しています」という画面で止まって起動しない場合、インストール済みのプラグインが破損・競合しているケースがあります。
- QGISのプロセスがすべて終了していることをタスクマネージャーで確認する
- エクスプローラーで
%appdata%\Roaming\QGIS\QGIS3\profiles\default\python\を開く pluginsフォルダの名前をplugins_backupなどにリネームする(削除ではなくリネームが安全)- QGISを起動する
QGISは plugins フォルダが存在しないと判断して、プラグインなしの状態でクリーン起動します。
起動できた場合は、必要なプラグインを改めてインストールし直してください。
対処法6:完全アンインストール後に再インストールする
上記の対処法をすべて試しても改善しない場合は、QGISを完全アンインストールしてから再インストールします。
通常のアンインストールだけでは設定ファイルが残ってしまうため、手動でのファイル削除が必要です。
手順:
- 「設定」→「アプリ」から QGIS および「OSGeo4W」で始まるプログラムをすべてアンインストールする
- PCを再起動する
- 以下のフォルダに残ったQGIS関連フォルダを手動で削除する(AppDataは隠しフォルダのため、エクスプローラーの「表示」→「隠しファイル」を有効にするか、アドレスバーに直接パスを入力して開く)
C:\Program Files\内の「QGIS」「OSGeo4W」フォルダC:\Users\ユーザー名\AppData\Local\内の「QGIS」「OSGeo4W」フォルダC:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\内の「QGIS」「OSGeo4W」フォルダ
- PCを再起動する
- QGIS公式サイトから最新のLTR版インストーラーをダウンロードしてインストールする
再インストール時はLTR版(Long Term Release)を選ぶのが推奨です。
LTR版はLatest版(最新版)に比べて長期間サポートされる安定版で、業務利用や初心者に向いています。
補足:バージョン違いが原因で起動できない場合
QGIS 3系と旧バージョン(QGIS 2系)は設定やプラグインの互換性がありません。
古いバージョンを使っていた環境に新バージョンをインストールした場合、残留ファイルが干渉して起動できないことがあります。
また、QGIS 3系の中でも特定のマイナーバージョンで不具合が報告されることがあります。
最新版で起動しない場合は、ひとつ前のLTR版も試してみてください。
まとめ
QGISが起動しない原因として最初に確認すべきなのは、Windowsユーザー名に日本語が含まれていないかという点です。
これはQGIS固有の既知問題で、多くのトラブル報告の根本原因になっています。
次に「管理者として実行」「Visual C++ ランタイムのインストール」を試し、それでも解決しない場合はプロファイルフォルダの削除・プラグインフォルダのリネーム・完全再インストールと順番に対処してください。
参考情報源:
- 弘前大学情報基盤センター「WindowsでQGISが起動しない」(確認日:2026年3月5日)
- 地学教育のためのGIS研究室「QGISが起動できないときの対処方法」(確認日:2026年3月5日)
- SKラボ.net「QGIS入門:失敗しないインストール(Windows版)」(確認日:2026年3月5日)
- QGIS公式ドキュメント「5. QGISの設定」(確認日:2026年3月5日)
- Microsoft「最新のサポートされているVisual C++ 再頒布可能パッケージのダウンロード」(確認日:2026年3月5日)

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