Steamでゲームを探していたら「このアイテムはお住まいの地域では現在ご利用いただけません」というメッセージが表示された経験はありませんか?
これが、ゲーマーの間で「おま国」と呼ばれる現象です。なぜ日本から買えないゲームがあるのか、その仕組みと理由を詳しく解説していきます。
「おま国」の意味

「おま国(おまくに / おまこく)」とは、「お前の国には売ってやんねーよ」 を略したインターネットスラングです。
主にPCゲームのダウンロード販売プラットフォーム「Steam」において、特定のゲームが日本から購入できない状況を指して使われます。
ポイント
世界中で販売されているゲームなのに、日本のユーザーだけがストアページにアクセスできなかったり、購入ボタンが押せなかったりする現象のことです。
英語では「Geo-blocking(ジオブロッキング)」と呼ばれ、地域ごとに販売や配信を制限する仕組み全般を表します。Steamの表記では「Not Available In Japan」の頭文字を取って「NAIJ」と略されることもあります。
「おま国」が発生する理由
なぜこのような地域制限が行われるのでしょうか。主な理由を見ていきましょう。
家庭用ゲーム機との価格調整
日本では家庭用ゲーム機(PlayStation、Nintendo Switchなど)の市場シェアが大きいです。Steamの海外価格は日本のゲームソフト価格より安いことが多く、Steam版を販売すると家庭用機版の売上に影響する可能性があります。そのため、日本向けには販売しないという判断がなされるケースがあります。
ローカライズ契約の問題
海外ゲームの日本語版を別の会社がローカライズ・販売する場合、権利関係が複雑になります。日本での販売権を持つ代理店との契約上、Steam版の日本販売がブロックされることがあるのです。
プラットフォーム独占契約
家庭用ゲーム機メーカーとの独占契約により、特定のハードでしか遊べない契約を結んでいる場合があります。海外ではSteamでも販売されているのに、日本では家庭用機限定という状況が生まれます。
サポートコストの削減
日本のPCゲーム市場は海外に比べると小さいとされています。日本語サポートにかかるコストと売上を天秤にかけた結果、日本市場を対象外にする判断をするメーカーも存在します。
興味深いことに、日本のゲーム会社が開発した日本語対応ゲームでも「おま国」になっているケースが少なくありません。
これは主に、国内の小売店や家庭用ゲーム機版の販売への配慮が原因とされています。
「おま国」の関連用語
「おま国」から派生して、以下のような表現も使われています。
おま値(おまね)
「お前の国には売ってやる、ただし割高な値段で」の略。日本での販売価格が海外と比べて著しく高く設定されている状況を指します。海外では$29.99なのに日本では8,000円といった価格差が生じることがあります。
おま語(おまご)
「お前の国の言語は対応してやんねーよ」の略。ゲーム自体は購入できるものの、日本語が削除されている状態です。家庭用機版では日本語対応なのに、Steam版からは日本語データが除外されているタイトルが該当します。
補足
類似表現として「おま環(おまかん)」があります。これは「お前の環境が悪い」の略で、システムトラブルが発生した際に「それはあなたの環境だけの問題」という意味で使われる別のスラングです。
「おま国」は解消されつつある?
近年、日本でのSteamユーザーが増加していることを受けて、一部のゲームでは「おま国」状態が解除される動きも出てきています。
2024年5月には、バンダイナムコの『ドラゴンボール』関連タイトルが日本からも購入可能になりました。セガも『ソニックアドベンチャー』シリーズの日本向けブロックを解除するなど、状況は少しずつ改善傾向にあります。
日本でのPCゲーム市場が拡大し続ければ、メーカーにとってもSteamでの販売メリットが大きくなり、「おま国」は減少していく可能性があるでしょう。
まとめ
- 「おま国」は「お前の国には売ってやんねーよ」の略語で、特定地域からゲームが購入できない状況を指す
- 英語では「ジオブロッキング(Geo-blocking)」と呼ばれる
- 発生理由は、家庭用機との価格調整、ローカライズ契約、独占契約、サポートコストなど様々
- 関連用語に「おま値」(価格が高い)、「おま語」(言語が削除)がある
- 近年は日本のSteamユーザー増加に伴い、解除されるタイトルも増えてきている
※注意
地域制限の回避を目的としたVPNの使用は、Steamの利用規約に違反する可能性があります。アカウント停止などのリスクがあるため、自己責任での判断が必要です。


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