「ミステリーとサスペンスって何が違うの?」「ファンタジーとSFの境目がわからない」——小説のジャンルって、意外とややこしいですよね。書店やネット書店で本を探すとき、ジャンル名がわかると一気に選びやすくなります。
この記事では、小説の主要ジャンル20種を特徴・代表作とともに紹介します。定番のミステリーやファンタジーから、日本独自の「なろう系」まで網羅しているので、気になるジャンルがきっと見つかるはずです。
小説ジャンルとは?分類の基本

小説のジャンルとは、物語の内容やテーマ、雰囲気によって作品を分類したものです。大きく分けると「純文学」と「大衆文学(エンタメ小説)」の2つがあり、エンタメ小説はさらに細かいジャンルに分かれています。
ただし、ジャンルの境界線は曖昧なことが多いんですね。たとえば「歴史ミステリー」のように複数ジャンルにまたがる作品も珍しくありません。「このジャンルはこう!」と決めつけず、あくまで目安として考えるのがおすすめです。
主要ジャンル解説
ミステリー・推理小説
事件や謎を解き明かしていく物語です。「犯人は誰だ?」という問いかけに読者も一緒に挑戦できるのが醍醐味ですね。
実は日本と海外で「ミステリー」の意味が微妙に違います。日本では謎解き要素があれば広くミステリーと呼びますが、海外では「殺人事件もの」を指すことが多いんです。
このジャンルには「本格ミステリ(トリック重視)」「コージーミステリ(日常系で血生臭くない)」「警察小説」など、さらに細かい分類があります。
SF(サイエンス・フィクション)
科学的な知識や理論をベースに、「もしも〇〇だったら?」を描くジャンルです。宇宙や未来が舞台になることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。
面白いのは『竹取物語』や『浦島太郎』をSFに分類する見方もあること。「月の文明との交流」「時間のズレ(タイムワープ)」と考えれば、確かにSF的ですよね。
ファンタジー
魔法や神話的な要素が登場する、想像上の世界を舞台にした物語です。SFと違って「科学的な裏付け」は必要なく、「そういう世界だから」で成立します。
中世ヨーロッパ風の世界観が定番ですが、現代の都市を舞台にした「アーバンファンタジー」、ダークな雰囲気の「ダークファンタジー」など、バリエーションは豊富です。
ホラー
読者を怖がらせることを目的としたジャンルです。幽霊や怪物といった超常的な恐怖から、人間の狂気を描く心理的な恐怖まで、アプローチはさまざま。
日本のホラーは「じわじわと迫る恐怖」、海外ホラーは「ショッキングな展開」が得意という傾向があります。どちらが好みかで選ぶのもいいですね。
恋愛小説・ロマンス
恋愛を中心に描く物語です。このジャンルの特徴は「ハッピーエンド」が基本ルールになっていること。読者は安心して恋の行方を見守れるわけです。
近年は「ダークロマンス(道徳的にグレーな恋愛)」や「スポーツロマンス」など、サブジャンルが急増しています。
歴史小説
実際の歴史を背景に、史実に基づいた物語を描くジャンルです。日本では戦国時代と幕末・明治維新が人気テーマの2トップですね。
似たジャンルに「時代小説」がありますが、こちらは史実に基づかない創作です。「歴史小説=ノンフィクション寄り」「時代小説=フィクション寄り」と覚えておくといいでしょう。
スリラー・サスペンス
ハラハラドキドキの緊張感を味わうジャンルです。ミステリーとの違いは「謎解き」より「主人公の危機」に重点があること。「犯人は誰?」より「主人公は助かるのか?」がメインの関心事になります。
陰謀論を扱う「コンスピラシー・スリラー」、心理戦がメインの「サイコスリラー」など、緊張感の種類でさらに分かれます。
青春小説
若者の成長や人間関係を描く物語です。学園生活、部活、友情、初恋——10代ならではの悩みや輝きがテーマになります。
大人になってから読むと、懐かしさで胸がキュッとなる作品が多いですね。
純文学
芸術性や文章表現を重視した小説です。「何が起きるか」より「どう描くか」に価値を置くジャンルといえます。
面白いのは「純文学」という括りは日本独特で、海外では単に「文学(Literary Fiction)」と呼ばれること。日本の芥川賞が純文学、直木賞が大衆文学を対象にしています。
経済・ビジネス小説
企業や経済活動を舞台にした物語です。M&A、企業再生、金融犯罪など、ビジネスの世界ならではのドラマが展開されます。
実際のビジネスパーソンが「あるある」と共感できる描写が多く、社会人に人気のジャンルです。
日本独自のジャンル

ライトノベル
中高生をメインターゲットにした、イラスト付きの小説です。「ラノベ」の略称でおなじみですね。
特徴はキャラクター重視の作風と、読みやすい文体。ファンタジーや恋愛などさまざまなテーマがありますが、「キャラが立っている」ことが共通点です。
なろう系
小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた作品群を指します。
最大の特徴は「異世界転生もの」の多さ。現代人が異世界に転生し、チート能力で無双する——というパターンが定番です。
なぜこんなに人気なのか?ある評論家は「インスタントにカタルシスが得られるから」と分析しています。努力抜きで最強になれる爽快感は、忙しい現代人にウケているようです。
最近では「悪役令嬢もの」「スローライフ系」「追放系」など、サブジャンルも細分化しています。
少女小説
女性向けのライトノベルにあたるジャンルです。ファンタジー世界での恋愛が定番テーマで、「姫」「王子」といったロマンチックな要素が特徴です。
キャラ文芸・ライト文芸
ライトノベルと一般文芸の中間に位置するジャンルです。キャラクター性は重視しつつ、テーマは大人向け——という立ち位置ですね。
ジャンルの複合と派生
小説のジャンルは単独で存在するとは限りません。むしろ、複数のジャンルが組み合わさった作品のほうが多いくらいです。
たとえば「SFミステリー」は、SF的な設定の中で謎解きが展開される作品。「歴史ロマンス」は、歴史を舞台にした恋愛物語です。『タイム・トラベラーズ・ワイフ』は「SF×ロマンス」の代表例ですね。
こうした「ジャンル越境」は、新しい読書体験を生み出す源泉になっています。「自分はミステリー派だから」と決めつけず、複合ジャンルにも手を伸ばしてみると、思わぬ名作に出会えるかもしれません。
小説ジャンル一覧表
| ジャンル | 特徴 | 代表作・代表作家 |
|---|---|---|
| ミステリー・推理 | 事件や謎を解き明かす物語。トリックや伏線回収が魅力 | アガサ・クリスティー、東野圭吾 |
| 本格ミステリ | 論理的なトリックを重視。読者も謎解きに参加できる | 横溝正史、綾辻行人 |
| コージーミステリ | 血生臭くない日常系ミステリー。殺人はあっても描写はソフト | 北村薫、坂木司 |
| 警察小説 | 警察官が主人公。捜査過程をリアルに描く | 横山秀夫、今野敏 |
| SF | 科学的な設定をベースにした物語。未来や宇宙が舞台になることが多い | アイザック・アシモフ、小松左京 |
| スペースオペラ | 宇宙を舞台にした壮大な冒険・戦争を描く | 『銀河英雄伝説』田中芳樹 |
| ディストピア | 抑圧的な管理社会を描く。社会批評的な要素が強い | 『1984年』オーウェル |
| サイバーパンク | ハイテクと荒廃した社会を描く。サイバー空間がテーマ | 『ニューロマンサー』ギブスン |
| スチームパンク | 蒸気機関が発達した架空の19世紀を舞台にする | 『差分機関』ギブスン&スターリング |
| ファンタジー | 魔法や神話的要素がある想像上の世界の物語 | 『指輪物語』トールキン |
| ハイ・ファンタジー | 完全な架空世界が舞台。世界観の構築が緻密 | 『ゲド戦記』ル=グウィン |
| ローファンタジー | 現実世界に魔法的要素が入り込む | 『ハリー・ポッター』ローリング |
| アーバンファンタジー | 現代の都市を舞台にしたファンタジー | 『ドレスデン・ファイル』シリーズ |
| ダークファンタジー | 暗く残酷な世界観のファンタジー | 『ベルセルク』三浦建太郎 |
| ホラー | 恐怖を与えることを目的とした物語 | スティーヴン・キング、小野不由美 |
| コズミックホラー | 宇宙的・超自然的な恐怖。人類の無力さを描く | H.P.ラヴクラフト |
| ゴシックホラー | 古城や廃墟を舞台にした古典的な恐怖 | 『フランケンシュタイン』シェリー |
| 恋愛・ロマンス | 恋愛を中心に描く物語。ハッピーエンドが基本 | 『高慢と偏見』オースティン |
| ダークロマンス | 道徳的にグレーな恋愛を描く | コリーン・フーヴァー |
| 歴史小説 | 史実に基づいた物語 | 司馬遼太郎、藤沢周平 |
| 時代小説 | 過去を舞台にしたフィクション(史実に基づかない) | 池波正太郎、山本周五郎 |
| スリラー | 緊張感とスピード感のある展開。主人公の危機がメイン | 『ダ・ヴィンチ・コード』ダン・ブラウン |
| サイコスリラー | 心理的な駆け引きや狂気を描く | 『羊たちの沈黙』トマス・ハリス |
| 青春小説 | 若者の成長や人間関係を描く | 『夜のピクニック』恩田陸 |
| 純文学 | 芸術性・文章表現を重視した文学作品 | 川端康成、村上春樹 |
| 経済・ビジネス小説 | 企業や経済活動を舞台にした物語 | 池井戸潤、山崎豊子 |
| 冒険小説 | 旅や冒険をテーマにした物語 | 『宝島』スティーブンソン |
| 西部劇(ウエスタン) | アメリカ西部開拓時代を舞台にした物語 | ルイス・ラムール |
| 戦争小説 | 戦争を題材にした物語。反戦メッセージを含むことも | 『西部戦線異状なし』レマルク |
| 政治小説 | 政治家や政治活動を描く | 『レ・ミゼラブル』ユーゴー |
| 児童文学 | 子ども向けの文学作品 | 『星の王子さま』サン=テグジュペリ |
| ヤングアダルト(YA) | 10代後半〜20代前半向け。成長物語が多い | 『ハンガー・ゲーム』コリンズ |
| ニューアダルト(NA) | 18〜29歳向け。大人の入り口を描く | 『ビューティフル・ディザスター』 |
| ライトノベル | イラスト付きの若者向け小説。キャラクター重視 | 『涼宮ハルヒの憂鬱』谷川流 |
| なろう系 | Web小説投稿サイト発。異世界転生ものが主流 | 『転生したらスライムだった件』 |
| 異世界転生 | 現代人が異世界に転生する物語 | 『無職転生』理不尽な孫の手 |
| 悪役令嬢もの | 乙女ゲームの悪役に転生する物語 | 『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』 |
| 少女小説 | 女性向けライトノベル。恋愛×ファンタジーが多い | コバルト文庫作品 |
| BL(ボーイズラブ) | 男性同士の恋愛を描く | — |
| TL(ティーンズラブ) | 女性向け恋愛小説。性的描写を含む | — |
| キャラ文芸・ライト文芸 | ラノベと一般文芸の中間。大人向けだがキャラ重視 | 『ビブリア古書堂の事件手帖』 |
| マジックリアリズム | 現実と幻想が自然に混ざり合う文学手法 | 『百年の孤独』ガルシア=マルケス |
| ビルドゥングスロマン | 主人公の成長・自己発見を描く教養小説 | 『車輪の下』ヘッセ |
| 私小説 | 作者自身の体験をもとにした小説 | 太宰治、志賀直哉 |
| 風刺小説・サタイア | 社会や政治を皮肉る | 『動物農場』オーウェル |
| グルメ小説 | 食や料理をテーマにした物語 | 『孤独のグルメ』原作 |
| お仕事小説 | 特定の職業を描く | 『下町ロケット』池井戸潤 |
まとめ
小説のジャンルについて解説しました。ポイントをおさらいします。
- 小説は「純文学」と「大衆文学(エンタメ)」に大別され、エンタメはさらに細かいジャンルに分かれる
- ミステリー、SF、ファンタジー、恋愛、歴史などが主要ジャンル
- 日本独自のジャンルとして「ライトノベル」「なろう系」がある
- ジャンルの境界は曖昧で、複合ジャンルの作品も多い
- ジャンルはあくまで目安。気になったら越境して読んでみるのがおすすめ
ジャンルがわかると、本選びがグッと楽になります。この記事を参考に、あなたにピッタリの1冊を見つけてみてください。


コメント