漫画の「ノド」とは?意味・位置・注意点をわかりやすく解説

漫画の描き方を調べていると必ず出てくる「ノド」という言葉。
本の構造に関わる出版用語のひとつで、原稿を描く際にとても重要な概念です。
この記事では、ノドの意味・位置・名前の由来・原稿制作での注意点を解説します。


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「ノド」とは

ノドとは、本や漫画を開いたときに綴じられている側の部分(綴じ目)、またはその付近の余白のことを指す出版用語です。

武蔵野美術大学の造形ファイルでは、ノドを「書籍や雑誌などの冊子で、綴(と)じられた部分(綴じ目)」と定義しています。
また、「紙面において印刷される範囲(版面)の周囲にある余白のうち、綴じられた側の余白を指す場合もある」とされており、文脈によって「綴じ目そのもの」と「綴じ側の余白」のどちらを指すかが変わります。

漫画の制作現場では主に後者の意味で使われ、「ノド側には絵やセリフを描き込まない」というルールとして意識されます。


ノドの位置

本を開いたとき、ページは大きく4つの辺に分かれます。

名称位置
ノド綴じている側(見開きの中心側)
小口(こぐち)綴じと反対側(ページをめくる側)
天(てん)ページの上側
地(ち)ページの下側

漫画の原稿で言うと、ノドは以下の位置にあたります。

  • 奇数ページ(左ページ):ページの右端がノド
  • 偶数ページ(右ページ):ページの左端がノド

日本の漫画は右とじが基本で、ページは右から左へ進みます。
見開きにしたとき、2枚のページが向かい合う中心の部分がノドです。


名前の由来

なぜ「ノド(のど)」と呼ばれるのかについては、人間の「喉」のイメージが語源とされています。
本を開いたときに紙が内側へ巻き込まれていく様子が、食べ物を飲み込む喉の動きに似ていることから、この名前が定着したとされています。


漫画原稿でのノドのルール

ノドに絵やセリフを描いてはいけない理由

漫画を製本すると、ノドの部分は紙が重なり合い、本の内側へと巻き込まれます。
その結果、ノド付近に描いた絵やセリフは、読者が本を開いても見えなくなったり、見づらくなったりしてしまいます。

そのため、漫画の原稿制作では「ノド側には重要な絵やセリフを描かない」というルールが原則として守られています。

ノドと基本枠(内枠)の関係

漫画の原稿用紙には、はじめから複数の枠線が印刷されています。
それぞれの枠線の役割は以下のとおりです。

枠線の名称別名役割
内枠基本枠・基準枠線コマ割りの基準。セリフや重要な絵はここの中に収める
タチキリ線仕上がり線・断ち切り線印刷・裁断の基準。基本的にここまでが読者に見える範囲
外枠塗り足し線印刷ズレに備えた予備範囲。タチキリコマはここまで描く

ノドは枠線として原稿用紙に印刷されているわけではありません。
各ページが偶数か奇数かによってノドの位置(左端か右端か)が決まるため、漫画家は「今描いているページのノドがどちら側にあるか」を常に意識しながら描く必要があります。

egacoの解説では、見開きにしたときに左右ページそれぞれの内枠の間のスペースがノドにあたると説明されており、このノドの部分には絵もセリフも入れないことが基本ルールとされています。

ノドの注意点:ページごとにノドの方向が変わる

原稿用紙は1枚1ページ分で描くため、ページによってノドが左右どちらにあるかが変わります。

  • 奇数ページ(左ページ)→ ノドは右側
  • 偶数ページ(右ページ)→ ノドは左側

この「どちら側がノドか」を混同したまま描くと、完成した本を開いたときに重要な絵やセリフがノドの中に隠れてしまうトラブルが起きます。

現役漫画家の亀山大賀氏は自身のサイトで、「ノドにガッツリ絵を描き込んでしまうのは初心者あるある」と述べており、初めて投稿原稿を描く人に特に注意が必要な点として挙げています。


見開きページとノドの関係

左右2ページにわたって1枚の絵をつなげる「見開きページ」では、ノドへの注意がさらに重要になります。

見開きで大きなコマを描く場合でも、ノドの中心部分にキャラクターの顔やセリフを配置すると、製本後に本を開いてもその部分が綴じ目に隠れて見えなくなってしまいます。
見開きコマでは絵が左右のページをまたぐため、ノドにあたる中央付近から離れた位置に重要な要素を配置するのが原則です。


デジタル作画ソフトでのノドの扱い

CLIP STUDIO PAINTなどのデジタル作画ソフトでも、漫画原稿のテンプレートにはノドの余白が設定されています。
テンプレートを使えば内枠・タチキリ線・外枠の位置が最初から表示されるため、アナログと同様にノドを意識しながら描くことができます。

また、電子書籍の場合はノドが綴じによって隠れる心配はなく、ページ全体をきれいに表示できますが、紙媒体向けに制作した原稿をそのまま電子書籍に使用する際は、ノドの余白が意図していない見え方をすることがあるため注意が必要です。


まとめ

ノドとは、本や漫画を見開いたときに綴じられている中心側の部分(またはその余白)を指す出版用語です。
製本によってこの部分は紙が巻き込まれるため、ノドに絵やセリフを描くと読者から見えなくなってしまいます。

ページの奇数・偶数によってノドの方向が変わる点は初心者が混乱しやすいポイントで、「奇数ページ=ノドは右、偶数ページ=ノドは左」を意識しながら原稿を描くことが重要です。
関連用語として、ノドの反対側を「小口(こぐち)」、ページの上側を「天(てん)」、下側を「地(ち)」と呼びます。


参考情報源:

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