「PCでKindleを読んでいたのに、スマホやタブレットで続きから読めない…」
「購入した本がKindle for PCに表示されない…」
「ハイライトやメモが同期されない…」
Kindle for PCを使っていると、こうした同期のトラブルに遭遇することがあります。
実は、Kindle for PCの同期トラブルには、いくつか典型的な原因があり、ほとんどの場合は自分で解決できるんです。
この記事では、Kindle for PCが同期できない原因を体系的に整理し、それぞれの解決方法を分かりやすく解説していきます。
1. Kindle for PCの同期とは

まず、Kindle for PCの「同期」が何を指すのか、確認しておきましょう。
Kindleの同期機能(Whispersync)
Kindleには「Whispersync」(現在は単に「同期」と呼ばれています)という機能があります。
これは、以下の情報をAmazonのサーバーに保存し、すべてのデバイス間で共有する機能です。
同期される情報:
- 最後に読んだページ(読書位置)
- ハイライト(マーカー)
- メモ・ノート
- ブックマーク
- 辞書の検索履歴
同期されない情報:
- コレクション(PCで作成したコレクションは他のデバイスと同期されません)
- Amazonで購入していない本(個人的にアップロードした書籍)
同期の仕組み
Kindle for PCで本を読むと、読書位置やハイライトなどの情報がAmazonのサーバーに送信されます。
そして、スマホやタブレットでKindleアプリを開くと、サーバーから最新の情報がダウンロードされるという仕組みです。
つまり、PCもスマホも、常にAmazonのサーバーと「情報をやり取り」することで、同期が実現されています。
2. 同期できない主な原因
Kindle for PCが同期できない原因は、大きく分けて以下の6つです。
原因1:OneDriveとの競合(最も多い)
Windows 10/11では、OneDriveがドキュメントフォルダを自動的にバックアップする設定になっていることがあります。
Kindle for PCのデータは「ドキュメント」→「My Kindle Content」フォルダに保存されるため、OneDriveと競合してしまうんです。
どんな症状が出るか:
- 読書位置が同期されない
- ハイライトやメモが反映されない
- Kindle for PCの動作が遅くなる
- OneDrive側で同期エラーが頻発する
原因2:ログイン先の間違い
Amazon.comとAmazon.co.jpの両方にアカウントを持っている場合、ログイン先を間違えている可能性があります。
Kindle for PCのログイン画面で「サインイン先」が「Default」になっていると、Amazon.com(海外)に優先的に接続してしまいます。
原因3:ローカルデータの破損
PC内に保存されているKindleのデータが壊れていると、同期が正常に動作しません。
原因4:Whispersync(同期)設定がオフ
同期機能そのものがオフになっている場合があります。
原因5:インターネット接続の問題
当たり前ですが、インターネットに接続されていないと同期できません。
原因6:Amazonアカウントの問題
複数のAmazonアカウントを使っている場合、購入したアカウントとログイン中のアカウントが異なる可能性があります。
それでは、これらを順番に解決していきましょう。
3. OneDriveとの競合問題を解決する
最も多い原因であるOneDriveとの競合を解決する方法を説明します。
ステップ1:現在の保存先を確認
まず、Kindle for PCのデータがどこに保存されているか確認しましょう。
- Kindle for PCを起動
- 上部メニューの「ツール」→「オプション」をクリック
- 「コンテンツ」タブを選択
- 「コンテンツフォルダ」の場所を確認
OneDriveに保存されている場合:
パスに「OneDrive」という文字が含まれていたら、OneDriveと競合している可能性が高いです。
例:C:\Users\ユーザー名\OneDrive\Documents\My Kindle Content
ステップ2:保存先をローカルに変更
OneDriveとの競合を避けるため、保存先をローカルドライブに変更します。
- 同じ「オプション」→「コンテンツ」画面で「変更」ボタンをクリック
- OneDriveが含まれていない場所を選択
おすすめの保存先:
C:\Users\ユーザー名\Documents\My Kindle Content
(OneDriveが含まれていないローカルのDocumentsフォルダ)
または:
C:\Kindle\My Kindle Content
(Cドライブ直下に新しくフォルダを作成)
- 「OK」をクリックして変更を確定
- Kindle for PCを再起動
ステップ3:既存データの移行(必要な場合)
保存先を変更すると、既存のデータは新しい場所に自動的に移動されますが、念のため確認しておきましょう。
新しい保存先フォルダを開いて、書籍データがあるか確認してください。
OneDriveのバックアップ対象から除外する方法
保存先を変更しても、まだOneDriveがDocumentsフォルダ全体をバックアップしている場合は、以下の設定を変更します。
- タスクバーのOneDriveアイコンを右クリック
- 「設定」をクリック
- 「バックアップ」タブを選択
- 「バックアップを管理」をクリック
- 「ドキュメント」のバックアップをオフにするか、除外設定を行う
注意:
この設定を変更すると、Documentsフォルダ内の他のファイルもOneDriveにバックアップされなくなります。
Kindle以外の重要なファイルがある場合は、手動で別の場所にバックアップを取っておいてください。
4. ログイン先の確認と修正
Amazon.comとAmazon.co.jpを間違えている場合の対処法です。
症状の確認
以下の症状がある場合は、ログイン先が間違っている可能性があります。
- ログインはできるのに、購入した本が1冊も表示されない
- ライブラリが空っぽ
- Amazon.comとAmazon.co.jpの両方にアカウントがある
- 両方のアカウントで同じメールアドレスを使っている
解決方法:正しいログイン先を指定する
方法1:ログアウトして再ログイン
- Kindle for PCを起動
- 「ツール」→「オプション」→「登録」タブ
- 「登録解除」をクリック
- Kindle for PCを再起動
- ログイン画面が表示される
- 重要:画面下部の「サインイン先」で「Amazon.co.jp」を選択
- メールアドレスとパスワードを入力してログイン
方法2:Amazon.comのパスワードを変更する
もう一つの方法として、Amazon.com側のパスワードを変更することで、Amazon.co.jpとの混同を防ぐことができます。
- ブラウザでAmazon.com(アメリカのAmazon)にアクセス
- ログインして「Account & Lists」→「Login & security」
- パスワードを変更(Amazon.co.jpとは異なるパスワードに)
- Kindle for PCをログアウト→再ログイン
- 「サインイン先」で「Amazon.co.jp」を選択
- Amazon.co.jpのパスワードでログイン
この方法により、パスワードが異なるため、間違ったアカウントでログインすることがなくなります。
5. 基本的な同期設定を確認する
同期機能そのものがオフになっていないか確認しましょう。
Kindle for PC側の設定
- Kindle for PCを起動
- 「ツール」→「オプション」をクリック
- 「全般」タブを選択
- 「Whispersync デバイスの同期」がオンになっているか確認
オフになっている場合は、チェックを入れて「OK」をクリックしてください。
Amazon公式サイト側の設定
- ブラウザでAmazon.co.jpにアクセス
- 「アカウント&リスト」→「コンテンツと端末の管理」をクリック
- 「設定」タブを選択
- 「同期設定」を探す
- 「端末の同期(Whispersync設定)」がオンになっているか確認
オフの場合は、「オンにする」をクリックしてください。
手動で同期を実行
設定を確認したら、手動で同期を実行してみましょう。
方法1:メニューから実行
- Kindle for PCで「ファイル」→「今すぐ同期」をクリック
- 画面右上の同期アイコン(円形の矢印マーク)が回転し、完了すると止まります
方法2:ショートカットキー
Ctrl + S を押すと、すぐに同期が開始されます。
インターネット接続の確認
念のため、PCがインターネットに正しく接続されているか確認してください。
- ブラウザで他のウェブサイトが開けるか試す
- Wi-Fiが接続されているか確認
- 会社や学校のネットワークの場合、Amazonへのアクセスが制限されていないか確認
6. ローカルデータを削除して再同期
設定を確認しても解決しない場合は、PC内のKindleデータを削除して、再度ダウンロードする方法が効果的です。
注意事項
この方法を実行すると、PC内のKindleデータがすべて削除されます。
ただし、Amazonのサーバーにはデータが残っているため、再ログイン後にすべて復元できます。
削除される情報:
- ダウンロード済みの書籍データ
- PC内のキャッシュファイル
削除されない情報(サーバーに保存されている):
- 購入した書籍のライブラリ
- 読書位置
- ハイライトやメモ(同期済みのもの)
事前準備:同期とバックアップ
念のため、現在のデータをサーバーに同期しておきましょう。
- Kindle for PCで「ファイル」→「今すぐ同期」を実行
- すべての本を閉じる
- Kindle for PCを終了
ステップ1:Kindleのコンテンツフォルダを削除
- Kindle for PCを完全に終了(タスクマネージャーで確認)
- エクスプローラー(ファイル管理)を開く
- アドレスバーに以下のパスを入力してEnterキー
%homepath%\Documents\My Kindle Content
または、保存先を変更している場合は、その場所を開く
- フォルダ内のすべてのファイルとフォルダを選択
- 削除する(念のため、ゴミ箱に入れる形で削除)
ステップ2:アプリケーションデータを削除
- エクスプローラーのアドレスバーに以下を入力してEnterキー
%localappdata%\Amazon\Kindle
- このフォルダ内のすべてのファイルとフォルダを削除
ステップ3:Kindle for PCを再起動
- Kindle for PCを起動
- Amazonアカウントでログイン
- ライブラリが表示されるのを待つ
- 読みたい本をダウンロード
ハイライトやメモ、読書位置がサーバーから復元されているか確認してください。
7. 完全リセットの方法
ここまでの方法で解決しない場合の最終手段です。
Amazonサポート推奨の方法
Amazonのカスタマーサポートが実際に案内している方法です。
ステップ1:Amazonアカウントのパスワード変更
- ブラウザでAmazon.co.jpにアクセス
- 「アカウント&リスト」→「ログインとセキュリティ」
- パスワードを変更
この操作により、すべての端末が強制的に再ログインを求められ、古いセッションが無効化されます。
ステップ2:Kindle for PCのデータを完全削除
前述の「ローカルデータを削除して再同期」の手順を実行してください。
ステップ3:Kindle for PCのアンインストール
- Windowsの「設定」を開く
- 「アプリ」→「アプリと機能」(または「インストールされているアプリ」)
- 「Kindle」を探して選択
- 「アンインストール」をクリック
ステップ4:PCを再起動
アンインストール後、必ずPCを再起動してください。
ステップ5:Kindle for PCを再インストール
- ブラウザでAmazon.co.jpにアクセス
- 「Kindle for PC」で検索
- 公式ページから最新版をダウンロード
- インストーラーを実行
注意:
2024年現在、Amazon公式ページからKindle for PCのダウンロードリンクが見つけにくくなっています。
以下のURLから直接アクセスできます。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/fd/kcp
ステップ6:新しいパスワードでログイン
- Kindle for PCを起動
- 「サインイン先」で「Amazon.co.jp」を選択
- メールアドレスと新しいパスワードでログイン
- 端末登録を行う
これで、ライブラリが正しく同期されるようになるはずです。
8. その他のトラブルシューティング

その他、特定の状況で役立つ解決方法を紹介します。
端末の登録状況を確認
Kindle for PCが正しくAmazonアカウントに登録されているか確認しましょう。
- ブラウザでAmazon.co.jpにアクセス
- 「アカウント&リスト」→「コンテンツと端末の管理」
- 「端末」タブを選択
- 「Kindle for PC」が表示されているか確認
表示されていない場合は、Kindle for PCで一度ログアウト→ログインを行ってください。
既定の端末を設定
複数のデバイスを使っている場合、既定の端末を設定すると同期がスムーズになることがあります。
- 「コンテンツと端末の管理」→「端末」タブ
- メインで使いたい端末(例:Kindle for PC)の右側にある「…」をクリック
- 「既定の端末として設定」を選択
特定の本だけ同期されない場合
特定の本だけ同期に問題がある場合は、その本を一度削除して再ダウンロードしてみましょう。
- Kindle for PCでその本を長押し(または右クリック)
- 「端末から削除」を選択
- ライブラリから再度ダウンロード
本が「配信中」のまま動かない場合
購入した本の配信先を手動で指定してみましょう。
- ブラウザで「コンテンツと端末の管理」→「コンテンツ」タブ
- 該当する本の「…」をクリック
- 「他の端末に配信」を選択
- 「Kindle for PC」を選んで「配信」をクリック
Windowsファイアウォールの確認
WindowsのファイアウォールがKindle for PCの通信を遮断している可能性があります。
- Windowsの「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windowsセキュリティ」
- 「ファイアウォールとネットワーク保護」を開く
- 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリック
- 「Kindle」が許可されているか確認
- 許可されていない場合は、「設定の変更」→「Kindle」にチェック
VPNや会社のネットワークを使っている場合
VPNや会社・学校のネットワークでは、Amazonのサーバーへのアクセスが制限されている場合があります。
- VPNを一時的にオフにして試す
- 自宅のWi-Fiで試してみる
- ネットワーク管理者に確認する
9. 予防策と日常の使い方
同期トラブルを未然に防ぐためのヒントです。
OneDriveの自動バックアップをオフにする
Windows Updateの際に、OneDriveのバックアップ設定が勝手にオンになることがあります。
定期的に設定を確認しておきましょう。
保存先はローカルドライブに
初回インストール時から、保存先をOneDriveが含まれないローカルドライブに設定しておくと安心です。
定期的に手動同期を実行
Kindle for PCで本を読み終わったら、必ず手動で同期を実行する習慣をつけましょう。
Ctrl + S を押すだけなので簡単です。
本を閉じてから同期
本を開いたまま同期すると、データが正しく送信されないことがあります。
本を閉じてから同期を実行してください。
複数アカウントを使わない
可能であれば、Amazon.co.jpだけを使い、Amazon.comなど他国のAmazonアカウントは作らない方が混乱を避けられます。
どうしても複数アカウントが必要な場合は、異なるメールアドレスとパスワードを使いましょう。
最新版を使う
Kindle for PCは定期的にアップデートされます。
古いバージョンを使い続けると、不具合が発生しやすくなるので、アップデート通知が来たら実施しましょう。
10. よくある質問と回答
Q1. 同期したのに読書位置が反映されません
A. 同期には少し時間がかかることがあります。以下を試してください。
- 両方のデバイスで手動同期を実行(
Ctrl + S) - 5~10分待ってから再度確認
- 一度本を閉じて、開き直す
- デバイスを再起動
それでもダメな場合は、ローカルデータの削除を試してください。
Q2. ハイライトだけ同期されません
A. ハイライトの同期トラブルは、ローカルデータの破損が原因のことが多いです。
「ローカルデータを削除して再同期」の手順を試してください。
ハイライトはサーバーに保存されているため、削除しても失われません。
Q3. 購入した本がKindle for PCに表示されません
A. 以下を確認してください。
- 正しいAmazonアカウントでログインしているか(Amazon.co.jpかAmazon.comか)
- その本が「Kindle for PC対応」かどうか(一部の教科書や雑誌は非対応)
- 支払いが完了しているか(「コンテンツと端末の管理」で確認)
- 手動で配信先を指定(「コンテンツと端末の管理」から)
Q4. 複数のPCで同じアカウントを使えますか?
A. はい、使えます。
Amazonアカウント1つにつき、最大6台までのKindle端末・アプリを登録できます。
ただし、同時に読める本の数には制限があります(同時利用可能数は本によって異なる)。
Q5. Kindle for PCのデータを削除すると、スマホのデータも消えますか?
A. いいえ、消えません。
PC内のローカルデータを削除しても、Amazonのサーバーとスマホのデータには影響しません。
ただし、PC側で同期していないハイライトやメモは失われる可能性があるため、削除前に必ず同期してください。
Q6. 同期が遅いのですが、速くする方法はありますか?
A. 同期速度は、インターネット接続とサーバーの状態に依存します。
- 高速なWi-Fi環境を使う
- ダウンロード済みの本を減らす(使わない本は削除)
- 同時に複数の本を開かない
- ストレージ容量に余裕を持たせる
Q7. コレクションは同期されますか?
A. いいえ、Kindle for PCで作成したコレクションは他のデバイスと同期されません。
コレクション機能の同期は、Kindle端末間でのみ可能です。
まとめ
Kindle for PCの同期トラブルは、多くの場合、自分で解決できる問題です。
最も多い原因トップ3:
- OneDriveとの競合(保存先をローカルドライブに変更)
- ログイン先の間違い(Amazon.co.jpとAmazon.comの混同)
- ローカルデータの破損(データを削除して再同期)
基本的な解決手順:
ステップ1:基本設定を確認
- 同期設定がオンになっているか
- インターネットに接続されているか
- 正しいアカウントでログインしているか
ステップ2:OneDrive問題を解決
- 保存先を確認し、OneDriveが含まれていたらローカルに変更
ステップ3:ログイン先を確認
- 「サインイン先」で「Amazon.co.jp」を選択
ステップ4:ローカルデータを削除
- My Kindle Contentフォルダと%localappdata%\Amazon\Kindleを削除
- 再ログインして復元
ステップ5:完全リセット
- パスワード変更→アンインストール→再インストール
予防のポイント:
- 保存先は最初からローカルドライブに設定
- 定期的に手動同期(
Ctrl + S)を実行 - OneDriveのバックアップ設定を定期確認
- 複数のAmazonアカウントは使わない(またはパスワードを分ける)
それでも解決しない場合:
Amazonカスタマーサービスに問い合わせましょう。
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