「囲碁界で最年少記録を持っているのは誰?」「小学生でプロになった棋士っているの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
実は囲碁界には、驚くほど若くしてプロになったり、タイトルを獲得したりした天才たちがいます。
なんと世界最年少のプロ棋士は9歳4か月。小学3年生でプロの世界に飛び込んだんです。
この記事では、囲碁界の最年少記録を「プロ入り」「タイトル獲得」「昇段」などカテゴリ別に一覧で紹介します。
プロ入り(入段)の最年少記録
囲碁のプロになるには、厳しい採用試験を突破するか、特別な採用枠で認められる必要があります。
ここでは、日本・韓国・中国の最年少プロ入り記録を見ていきましょう。
世界最年少は藤田怜央の9歳4か月
2022年9月、関西棋院の「英才特別採用」制度によって、藤田怜央初段が世界最年少の9歳4か月でプロ棋士になりました。
小学3年生でのプロ入りです。
藤田怜央がすごいのは、その囲碁との出会い。
もともとオセロにハマっていた4歳半の頃、オセロ教室を探していた親御さんが「見た目が似ている」という理由で碁会所に連れて行ったのがきっかけだったとか。
オセロと囲碁、確かに白黒の石を使うところは似ていますよね。
韓国・中国の記録は?
韓国と中国でも、9歳台でプロになった棋士がいます。
韓国では曺薫鉉(チョ・フンヒョン)が9歳7か月で入段。
1962年のことで、その後160以上のタイトルを獲得し、韓国囲碁界のレジェンドとなりました。
ちなみに、あの李昌鎬(イ・チャンホ)の師匠でもあります。
中国では常昊(チャン・ハオ)が同じく9歳7か月で入段しています。
日本の入段最年少記録
日本には「日本棋院」と「関西棋院」という2つのプロ団体があり、それぞれに記録があります。
日本棋院の記録
- 英才特別採用:仲邑菫 10歳0か月(2019年)
- 女流特別採用:藤沢里菜 11歳6か月(2010年)
- 正棋士採用試験:趙治勲 11歳9か月(1968年)
関西棋院の記録
- 英才特別採用:藤田怜央 9歳4か月(2022年)※世界最年少
- 正棋士採用試験:村川大介 11歳10か月
仲邑菫のプロ入りは大きな話題になりました。
3歳で囲碁を覚え、7歳から囲碁強豪国の韓国で修業。
試験対局をした張栩九段は「9歳でこれだけ打てるとは衝撃的だった」と語っています。
七大タイトル獲得の最年少記録
囲碁界には「棋聖」「名人」「本因坊」「王座」「天元」「碁聖」「十段」という七大タイトルがあります。
これらのタイトルを最年少で獲得したのは誰なのでしょうか?
七大タイトル最年少は芝野虎丸の19歳11か月
2019年、芝野虎丸が19歳11か月で名人位を獲得。
これは七大タイトル獲得の最年少記録であり、史上初の「10代名人」「10代九段」でもありました。
芝野虎丸が囲碁を始めたきっかけは、漫画『ヒカルの碁』のファンだった親の影響。
「プロになれるとは思わず、ただただ熱中していたら、いつしか兄を追い抜いていた」と本人は語っています。
各タイトルの最年少記録
| タイトル | 棋士名 | 年齢 | 獲得年 |
|---|---|---|---|
| 名人 | 芝野虎丸 | 19歳11か月 | 2019年 |
| 王座 | 趙治勲 | 20歳5か月 | 1976年 |
| 天元 | 関航太郎 | 20歳0か月 | 2021年 |
| 十段 | 井山裕太 | 21歳 | 2011年 |
| 本因坊 | 井山裕太 | 22歳 | 2012年 |
| 棋聖 | 井山裕太 | 23歳 | 2013年 |
| 碁聖 | 井山裕太 | 23歳 | 2012年 |
井山裕太の名前がずらりと並んでいますね。
七大タイトルのうち5つで最年少記録を持っているのは、さすが「囲碁界の絶対王者」です。
井山裕太の最年少記録
井山裕太九段は、囲碁界の最年少記録を語る上で外せない存在です。
その記録の数々を見ていきましょう。
16歳4か月で初タイトル獲得
2005年、井山裕太は16歳4か月で阿含・桐山杯に優勝。
全棋士参加棋戦での最年少優勝記録です。
この優勝で四段から七段に飛び級昇段。
中学1年でプロになってからわずか3年での快挙でした。
20歳4か月で史上最年少名人
2009年、井山裕太は張栩名人を4勝1敗で破り、20歳4か月で名人位を獲得。
当時の七大タイトル獲得最年少記録でした(後に芝野虎丸が更新)。
名人戦では、それまでの最年少記録だった林海峰の23歳4か月を大幅に更新。
「井山時代」の幕開けでした。
26歳10か月で史上初の七冠達成
2016年4月、井山裕太は十段を獲得し、囲碁界史上初の七冠を達成。
26歳10か月での偉業でした。
将棋界で羽生善治が七冠を達成してから20年後のこと。
しかも井山は2017年にも再び七冠を達成し、2度の七冠同時制覇という前人未到の記録を打ち立てています。
女流タイトル獲得の最年少記録
女流棋士限定のタイトル戦でも、驚きの最年少記録があります。
仲邑菫が13歳11か月で女流棋聖を獲得
2023年2月、仲邑菫三段が13歳11か月で女流棋聖のタイトルを獲得。
中学生でのタイトル獲得は囲碁界初の快挙でした。
それまでの記録は藤沢里菜が2014年に達成した15歳9か月。
仲邑菫は約2年も記録を更新したことになります。
対局後、仲邑菫は「上野先生に勝てたのは自分でもびっくり。今後は世界戦で戦える棋士になりたい」と語りました。
その後、韓国棋院に移籍して世界の舞台で戦っています。
女流タイトル最年少記録一覧
| 記録 | 棋士名 | 年齢 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 女流タイトル最年少獲得 | 仲邑菫 | 13歳11か月 | 2023年女流棋聖 |
| 女流最年少入段 | 藤沢里菜 | 11歳6か月 | 女流特別採用 |
| 女流グランドスラム最年少 | 上野愛咲美 | 21歳 | 2023年達成 |
昇段・リーグ入りの最年少記録
プロ入り後の成長スピードを示す記録も見てみましょう。
最年少九段は芝野虎丸の20歳0か月
2019年、芝野虎丸は名人位獲得により20歳0か月で九段に昇段。
入段からわずか5年1か月での九段昇段は、史上最短記録でもあります。
囲碁の九段は最高段位。
江戸時代には「名人」と同義で、囲碁界の頂点に立つただ一人だけが名乗れる称号でした。
リーグ入り最年少記録
七大タイトルの中でも格式が高いとされる棋聖戦・名人戦・本因坊戦には、挑戦者を決める「リーグ戦」があります。
| リーグ | 棋士名 | 年齢 | 達成年 |
|---|---|---|---|
| 棋聖リーグ | 一力遼 | 16歳9か月 | 2014年 |
| 名人リーグ | 芝野虎丸 | 17歳11か月 | 2017年 |
| 本因坊リーグ | 芝野虎丸 | 17歳9か月 | 2017年 |
一力遼は16歳9か月で棋聖リーグ入り。
新聞社の御曹司でありながらトップ棋士という異色の経歴を持ち、2024年には応氏杯で日本勢19年ぶりの国際棋戦優勝を果たしています。
入段からの最短記録
プロ入りしてからどれだけ早く成果を出したかという「最短記録」もあります。
入段から七大タイトル獲得最短は関航太郎の4年8か月
2021年、関航太郎が天元位を獲得。
入段から4年8か月での七大タイトル獲得は史上最短でした。
関航太郎は「AIソムリエ」の異名を持つ棋士。
囲碁AIを徹底的に研究し、どのAIで研究したかまで分かるほどの知識を持っているとか。
主な最短記録一覧
| 記録 | 棋士名 | 期間 | 達成棋戦 |
|---|---|---|---|
| 入段からタイトル獲得 | 芝野虎丸 | 2年11か月 | 竜星戦 |
| 入段から七大タイトル挑戦 | 関航太郎 | 4年6か月 | 天元戦 |
| 入段から七大タイトル獲得 | 関航太郎 | 4年8か月 | 天元戦 |
| 入段から九段昇段 | 芝野虎丸 | 5年1か月 | 名人位獲得 |
| 入段からリーグ入り | 芝野虎丸 | 3年0か月 | 本因坊リーグ |
囲碁の最年少記録一覧表
これまで紹介した記録を一覧表にまとめました。
プロ入り(入段)の最年少記録
| 対象 | 棋士名 | 年齢 | 年 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 世界最年少 | 藤田怜央 | 9歳4か月 | 2022年 | 関西棋院・英才特別採用 |
| 韓国最年少 | 曺薫鉉 | 9歳7か月 | 1962年 | 韓国棋院 |
| 中国最年少 | 常昊 | 9歳7か月 | – | 中国囲棋協会 |
| 日本棋院(英才) | 仲邑菫 | 10歳0か月 | 2019年 | 英才特別採用推薦棋士 |
| 日本棋院(女流) | 藤沢里菜 | 11歳6か月 | 2010年 | 女流棋士特別採用 |
| 日本棋院(正棋士) | 趙治勲 | 11歳9か月 | 1968年 | 通常の採用試験 |
| 関西棋院(正棋士) | 村川大介 | 11歳10か月 | – | 通常の採用試験 |
タイトル獲得の最年少記録
| タイトル | 棋士名 | 年齢 | 年 |
|---|---|---|---|
| 七大タイトル最年少 | 芝野虎丸 | 19歳11か月 | 2019年・名人 |
| 名人 | 芝野虎丸 | 19歳11か月 | 2019年 |
| 王座 | 趙治勲 | 20歳5か月 | 1976年 |
| 天元 | 関航太郎 | 20歳0か月 | 2021年 |
| 十段 | 井山裕太 | 21歳 | 2011年 |
| 本因坊 | 井山裕太 | 22歳 | 2012年 |
| 棋聖 | 井山裕太 | 23歳 | 2013年 |
| 碁聖 | 井山裕太 | 23歳 | 2012年 |
| 全棋士参加棋戦 | 井山裕太 | 16歳4か月 | 2005年・阿含桐山杯 |
| 女流タイトル | 仲邑菫 | 13歳11か月 | 2023年・女流棋聖 |
| 七冠同時制覇 | 井山裕太 | 26歳10か月 | 2016年 |
昇段・その他の最年少記録
| 記録 | 棋士名 | 年齢/期間 | 年 |
|---|---|---|---|
| 最年少九段 | 芝野虎丸 | 20歳0か月 | 2019年 |
| 棋聖リーグ最年少 | 一力遼 | 16歳9か月 | 2014年 |
| 名人リーグ最年少 | 芝野虎丸 | 17歳11か月 | 2017年 |
| 本因坊リーグ最年少 | 芝野虎丸 | 17歳9か月 | 2017年 |
| 入段から九段昇段最短 | 芝野虎丸 | 5年1か月 | 2019年 |
| 入段から七大タイトル獲得最短 | 関航太郎 | 4年8か月 | 2021年 |
まとめ
囲碁の最年少記録について紹介しました。ポイントをおさらいしましょう。
- 世界最年少プロは藤田怜央の9歳4か月(2022年)
- 七大タイトル最年少獲得は芝野虎丸の19歳11か月(2019年・名人)
- 最年少九段は芝野虎丸の20歳0か月
- 女流タイトル最年少は仲邑菫の13歳11か月(2023年・女流棋聖)
- 井山裕太は七大タイトル中5つで最年少記録を保持
囲碁界では若くして才能を開花させる棋士が次々と登場しています。
藤田怜央、仲邑菫など、今後さらに記録を塗り替える可能性を持った若手たちの活躍にも注目です。

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