ゲームのUX(ユーザーエクスペリエンス)とは?UIとの違いや重要性を解説

ゲーム

ゲーム開発において「UX」という言葉を耳にする機会が増えています。
この記事では、ゲームにおけるUXの意味、UIとの違い、重要な要素、そしてUXデザイナーの役割について詳しく解説します。

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UX(ユーザーエクスペリエンス)とは

UXは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略で、日本語では「ユーザー体験」と訳されます。

ゲームにおけるUXとは、プレイヤーがゲームを通して得られるあらゆる体験のことです。
ゲーム画面を見たときの第一印象、操作のしやすさ、クリアしたときの達成感、友人と一緒に遊んだ思い出など、ゲームに関連する全ての体験がUXに含まれます。

UXという用語は、1993年にドナルド・ノーマン博士によって作られました。
博士は「ヒューマンインターフェイスやユーザビリティという言葉だけでは表現できないことを表現したかった」と語っています。

UIとUXの違い

UXとよく混同される言葉に「UI(ユーザーインターフェース)」があります。

UIは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略で、ユーザーと製品やサービスの「接点」を指します。
ゲームで言えば、画面に表示されるメニュー、ボタン、体力ゲージ、アイテムアイコン、リザルト画面など、プレイヤーが直接見たり触れたりする部分がUIです。

一方、UXはプレイヤーがUIを通して操作した結果、得られる体験全体を指します。

ゲームで例えると:

  • UI: ゲーム画面、コントローラー、メニュー画面、操作ボタン
  • UX: 美麗なグラフィックを見たときの感動、快適な操作感、クリアしたときの達成感、ゲームを通して得られた全ての体験

UIはUXの一部であり、UIが優れているほどUXも向上します。
美しく分かりやすい画面(優れたUI)は、快適なプレイ体験(優れたUX)につながるのです。

ゲームUXの特徴

ゲーム業界のUX専門家セリア・ホデントは、ゲームUXを「ユーザビリティ」と「エンゲージアビリティ」の2つの要素で定義しました。

ユーザビリティ(使いやすさ):
プレイヤーがストレスなくゲームを操作できるかどうかです。
分かりやすい画面設計、直感的な操作方法、システムの理解しやすさなどが含まれます。

エンゲージアビリティ(没入感・面白さ):
プレイヤーが面白いと感じるか、ゲームに熱中できるかという主観的な要素です。
これがゲームUXの大きな特徴で、一般的なアプリやWebサイトのUXとは異なる点です。

例えば、地図アプリや天気アプリでは「使いやすさ」が最優先されます。
しかしゲームでは、使いやすいだけでは不十分です。
「このゲームは操作しやすいけど全然面白くない」というゲームに、プレイヤーは戻ってきません。

ゲームは何もないところから目的を作り出し、プレイヤーを楽しませ、熱中させる必要があります。
そのため、ゲームUXには使いやすさに加えて、面白さや没入感が不可欠なのです。

ゲームUXの重要な要素

ゲームにおけるUXには、いくつかの重要な要素があります。

オンボーディング・チュートリアル

オンボーディングは、プレイヤーが初めてゲームに触れるときの体験です。
チュートリアルを通じて、ゲームの目的、操作方法、ルールを分かりやすく伝える必要があります。

効果的なチュートリアルは:

  • 情報を段階的に提供する(最初から全てを説明しない)
  • 実際にプレイしながら学べるようにする
  • プレイヤーを退屈させない程度に簡潔にする

情報が多すぎるとプレイヤーは圧倒されてしまい、少なすぎると何をすればいいか分からなくなります。
このバランスがUXデザイナーの腕の見せ所です。

フィードバックとシグナル

フィードバックは、プレイヤーの行動に対してゲームが返す反応です。

視覚的フィードバック:

  • 敵を倒したときのエフェクト
  • 体力が減ったときの画面の赤い点滅
  • レベルアップ時の演出

聴覚的フィードバック:

  • アイテム取得時の効果音
  • 警告音(危険を知らせる音)
  • BGMの変化

これらのフィードバックは、プレイヤーに「今何が起きているか」を理解させ、没入感を高める重要な役割を果たします。

アクセシビリティ

アクセシビリティは、様々な人がゲームを楽しめるようにする配慮です。

具体的な取り組み:

  • 色覚多様性への対応(色だけに頼らない情報表示)
  • 字幕・音声読み上げ機能
  • 操作方法のカスタマイズ
  • 難易度調整オプション

優れたアクセシビリティは、より多くのプレイヤーにゲームを楽しんでもらえるだけでなく、全てのプレイヤーにとって快適な体験につながります。

操作性とエルゴノミクス

プレイヤーが快適に長時間プレイできるよう、操作性と人間工学(エルゴノミクス)も重要です。

考慮すべき点:

  • ボタン配置の自然さ
  • 頻繁に使う機能へのアクセスのしやすさ
  • 長時間プレイでも疲れにくい操作設計
  • 画面の見やすさ(重要な情報が隠れていないか)

メニューとナビゲーション

ゲーム内のメニュー画面や設定画面も、UXの重要な要素です。

優れたメニューデザイン:

  • 必要な情報にすぐアクセスできる
  • プレイヤーが今どこにいるのか分かりやすい
  • ゲームの世界観を壊さないデザイン
  • 直感的な操作

UXデザイナーの役割

ゲーム業界におけるUXデザイナーは、プレイヤーに最高の体験を提供するために働きます。

主な業務内容

1. プレイヤーリサーチ
ターゲットとなるプレイヤーの行動、好み、ニーズを調査します。
プレイヤーが何を面白いと感じ、どこに不満を抱くかを分析します。

2. UIデザインの設計
メニュー画面、操作画面、HUD(ヘッドアップディスプレイ)など、プレイヤーが触れる全てのインターフェースを設計します。

3. プレイテスト
実際のプレイヤーにゲームをプレイしてもらい、フィードバックを収集します。
プレイヤーがどこで困っているか、どこで楽しんでいるかを観察し、改善点を見つけます。

4. データ分析
ゲーム内の行動データを分析し、プレイヤーがどのように行動しているかを把握します。
どこでプレイヤーが離脱しているか、どの機能が使われていないかなどを調査します。

5. ゲームプランナーとの協働
ゲームの企画段階から参加し、プレイヤーの視点でゲームデザインをチェックします。
「このシステムはプレイヤーにとって分かりやすいか」「この難易度は適切か」といった観点から意見を提供します。

UIデザイナーとの違い

UIデザイナーは、画面に表示される視覚的な要素をデザインします。
ボタンのデザイン、アイコンの作成、画面レイアウトなど、「目に見えるもの」が担当範囲です。

UXデザイナーは、より広い範囲を担当します。
「プレイヤーはいつゲームをやりたくなるのか」「どうすれば課金につながるのか」といった、目に見えない情報の設計も行います。

実際のゲーム開発現場では、UIデザイナーやゲームプランナーがUXデザインも兼任することが多くあります。

ゲームUXの重要性

なぜゲームUXが重要なのでしょうか。

プレイヤーの満足度向上

優れたUXは、プレイヤーの満足度を大きく向上させます。
ストレスなく快適にプレイでき、面白さを存分に味わえるゲームは、プレイヤーから高く評価されます。

リテンション率の向上

リテンション(維持)率とは、プレイヤーがゲームを続けてプレイする割合のことです。

優れたUXは:

  • プレイヤーが「またやりたい」と思う
  • 友人に勧めたくなる
  • 長期間プレイし続ける

という結果につながります。

逆に、UXが悪いゲームは:

  • 操作が分かりにくくてイライラする
  • チュートリアルが長すぎて途中で飽きる
  • 何をすればいいか分からず途中で諦める

という理由でプレイヤーが離れていきます。

競争力の向上

現在、世界には30億人以上のゲームプレイヤーがいると言われています。
プレイヤーは無数の選択肢の中からゲームを選びます。

優れたUXは、競合ゲームとの差別化要因になります。
同じようなジャンル、同じような価格のゲームが並んでいる中で、UXが優れているゲームが選ばれるのです。

開発効率の向上

UXを重視することは、開発効率の向上にもつながります。

開発初期段階からUXを考慮することで:

  • プレイヤーにとって不要な機能を作らずに済む
  • 発売後の大規模な修正を減らせる
  • プレイテストで早期に問題を発見できる

という利点があります。

ゲームUXの具体例

良いUXの例

『スーパーマリオワールド』のチュートリアル:
プレイヤーはすぐにゲームを開始でき、疑問符ブロックを押すことで自分のペースで学べます。
長い説明を読む必要がなく、遊びながら自然にルールを理解できる設計です。

『フォートナイト』のフィードバック:
プレイヤーの行動に対して、視覚・聴覚両方で明確なフィードバックを提供します。
建築、戦闘、アイテム取得など、全ての行動に適切な反応が返ってくるため、没入感が高まります。

悪いUXの例

Atari 2600『E.T.』:
分かりにくいゲーム展開、直感的でない操作方法、プレイヤーが頻繁に行き詰まる設計などで、悪名高いUXの例として知られています。
視覚デザインやサウンドも不十分で、全体的に劣悪なユーザー体験でした。

ゲームUXの開発プロセス

ゲームUXは、以下のようなプロセスで開発されます。

  1. リサーチと企画
    ターゲットプレイヤーのリサーチ、ゲームの目的・メカニクスの定義
  2. コンセプトとアイデア出し
    ゲームのストーリー、メカニクス、UIのアイデアを生み出し、プロトタイプを作成
  3. デザインと実装
    UIデザインの作成、インタラクションの設計、技術的な実装
  4. プレイテスト
    実際のプレイヤーにテストしてもらい、フィードバックを収集
  5. 改善と反復
    テスト結果を基に改善を行い、再度テストする(このサイクルを繰り返す)
  6. 発売と発売後
    ゲームを発売し、プレイヤーからのフィードバックを基に継続的にアップデート

まとめ

ゲームにおけるUX(ユーザーエクスペリエンス)は、プレイヤーがゲームを通して得られる全ての体験を指します。

重要なポイント:

  • UXは「ユーザー体験」、UIは「ユーザーとの接点」
  • ゲームUXは「使いやすさ」と「面白さ・没入感」の両方が必要
  • オンボーディング、フィードバック、アクセシビリティが重要な要素
  • UXデザイナーはプレイヤー心理を理解し、快適な体験を設計する
  • 優れたUXは、プレイヤー満足度、リテンション率、競争力を向上させる

現代のゲーム開発において、UXは単なる付加価値ではなく、ゲームの成功を左右する重要な要素です。
プレイヤーに「またこのゲームをプレイしたい」と思わせる体験を作り出すことが、ゲームUXの最終目標なのです。

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