ゲームソフトのパッケージに「A」「B」「C」「D」「Z」といったアルファベットのマークが表示されているのを見たことはありませんか?
これは「CERO(セロ)」という機関が定めた年齢区分マークで、ゲームの内容に応じて対象年齢を示しています。
この記事では、ゲームに年齢制限が設けられている理由と、CEROレーティング制度の仕組みについて詳しく解説します。
ゲームに年齢制限がある理由

子どもへの悪影響を防ぐため
ゲームに年齢制限が設けられている最も大きな理由は、過激な表現から子どもを守るためです。
現代のゲームには、暴力的なシーン、性的な表現、犯罪行為の描写、恐怖を煽る演出など、さまざまな刺激的な内容が含まれる作品があります。
これらの表現は、精神的に未熟な子どもに悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。
年齢制限を設けることで、子どもの成長段階に応じた適切なゲームを選べるようになり、不適切な表現に触れるリスクを減らすことができます。
保護者が適切な判断をするため
年齢区分マークは、保護者がゲームを購入する際の判断材料としても重要な役割を果たしています。
ゲームのタイトルやパッケージのイラストだけでは、実際のゲーム内容がどのようなものか判断するのは困難です。
年齢区分マークがあることで、保護者は子どもの年齢に合ったゲームを選びやすくなり、安心して購入できるようになります。
ゲーム業界の健全な発展のため
年齢制限制度は、ゲーム業界が自主的に設けた自主規制でもあります。
1990年代、暴力的なゲームや過激な表現を含むゲームが社会問題となり、政府による規制の動きが強まりました。
これに対し、ゲーム業界は自主的に倫理審査機関を設立し、適切な年齢区分を設けることで、政府による法的規制を回避し、業界の健全な発展を目指しました。
第三者機関による審査と年齢表示を行うことで、ゲームの信頼性を高め、消費者に安心感を与える効果もあります。
CERO(セロ)とは
CEROの正式名称と設立経緯
CERO(セロ)は、「コンピュータエンターテインメントレーティング機構(Computer Entertainment Rating Organization)」の略称で、日本のゲームソフトの倫理審査を行う特定非営利活動法人(NPO法人)です。
2002年6月に設立され、同年10月1日からレーティング制度を開始しました。
CEROが設立された背景には、家庭用ゲーム機の急速な発展とユーザーの年齢層拡大により、刺激的な内容や表現による青少年への影響が懸念されるようになったことがあります。
それまでゲーム業界団体が抽象的な倫理規定を設けていましたが、より明確で信頼性の高い審査体制が必要とされ、独立した第三者機関としてCEROが誕生しました。
CEROの役割
CEROの主な役割は、以下の通りです。
- ゲームソフトの表現内容を審査し、対象年齢を決定する
- 年齢区分マークを発行し、ゲームパッケージに表示する
- ゲームソフトの年齢別レーティング制度の普及啓発を行う
- 国内外の倫理団体との交流協力を行う
ただし、CEROの審査は法的な義務ではなく、あくまで自主的な取り組みです。
ゲームメーカーは任意でCEROに審査を依頼しており、審査を受けていないゲームを発売することも法律上は可能です。
しかし、現在では国内で販売されるほぼすべての家庭用ゲームがCEROの審査を受けており、多くの販売店はCEROの審査を受けていないゲームを取り扱わない方針を取っています。
CEROの年齢区分とは
5つの年齢区分
CEROは、ゲームの表現内容に応じて、以下の5つの年齢区分を設定しています。
この区分は2006年3月に改定され、それまでの4区分から現在の5区分となりました。
A(全年齢対象)
年齢制限なし。
すべての年齢の人が楽しめる内容です。
年齢区分の対象となる表現は含まれていません。
代表的なタイトル:
- マリオシリーズ
- ポケモンシリーズ
- あつまれ どうぶつの森
B(12歳以上対象)
12歳以上を対象とする表現内容が含まれています。
軽度の暴力表現や、恋愛シミュレーション的な要素などが含まれる場合があります。
代表的なタイトル:
- モンスターハンターシリーズ
- ドラゴンクエストシリーズ
C(15歳以上対象)
15歳以上を対象とする表現内容が含まれています。
暴力表現や恐怖表現が含まれる場合があります。
代表的なタイトル:
- フォートナイト
- バイオハザードシリーズ(一部作品)
D(17歳以上対象)
17歳以上を対象とする表現内容が含まれています。
激しい暴力表現や、やや過激な性的表現などが含まれる場合があります。
代表的なタイトル:
- Apex Legends
- ファイナルファンタジーシリーズ(一部作品)
Z(18歳以上のみ対象)
18歳以上のみを対象とする表現内容が含まれています。
18歳未満者に対して販売したり頒布したりしないことを前提とする区分であり、他の区分とは性質が異なります。
過度に残虐な暴力表現、犯罪行為の描写、身体の分離欠損表現など、非常に刺激の強い内容が含まれます。
代表的なタイトル:
- グランド・セフト・オートシリーズ
- バイオハザードシリーズ(一部作品)
- デッドライジング
DとZの違い
D区分とZ区分は、対象年齢が1歳しか違いませんが、大きな違いがあります。
D区分(17歳以上対象)は、あくまで「対象」を示すものであり、17歳未満の人が購入・プレイすることを法的に禁止するものではありません。
保護者の判断で、17歳未満の人がプレイすることも可能です。
一方、Z区分(18歳以上のみ対象)は、18歳未満への販売・頒布を行わないことを前提としており、多くの自治体の青少年保護育成条例で規制の対象となっています。
神奈川県では、CERO Z区分のゲームは青少年に販売しないよう努めなければならないことを条例で定めています。
また、静岡県では有害図書類として認定されており、販売や貸付などが禁止されています。
販売店では、Z区分のゲームを購入する際に年齢確認を行ったり、店頭での陳列方法を変えたりするなどの対応を取っています。
一部の販売店では、18歳以上であっても高校生への販売を行わない方針を取っている場合もあります。
CEROの審査基準

審査対象となる表現
CEROの審査では、以下の表現項目をチェックしています。
- 性的表現
- 暴力表現
- 反社会的行為の表現(犯罪行為など)
- 言語・思想関連の表現(差別的表現、不適切な言葉遣いなど)
- 恐怖表現
- 飲酒・喫煙の表現
- ギャンブルの表現
- 麻薬などの薬物の表現
- 犯罪行為の表現
これらの表現がどの程度含まれているかによって、対象年齢が決定されます。
コンテンツアイコン
ゲームパッケージの裏面には、コンテンツアイコンが表示されています。
コンテンツアイコンは、対象年齢を決定した根拠となる表現を示すもので、9つのカテゴリーに分かれています。
- 恋愛
- セクシャル
- 暴力
- 恐怖
- 飲酒・喫煙
- ギャンブル
- 犯罪
- 麻薬
- 言葉・その他
これにより、保護者はどのような表現が含まれているかを具体的に把握できます。
審査の流れ
CEROの審査は、以下の流れで行われます。
- ゲームメーカーがCEROに審査を依頼
- 複数の審査員が表現内容を審査
- 審査結果をもとに年齢区分を決定
- 判定結果をゲームメーカーに通知
- ゲームメーカーが年齢区分マークをパッケージに表示
審査員は、一般から募集された20歳から60歳までのさまざまな職業の男女で構成されており、事前にCEROによるトレーニングを受けています。
ゲーム業界とは関連のない一般の人々が審査を行うことで、公平性と客観性を保っています。
審査では、ゲームの本編だけでなく、隠しコマンドや裏技など、収録されているすべての表現が対象となります。
海外のレーティング制度
ゲームのレーティング制度は、日本だけでなく世界各国に存在します。
ESRB(北米)
ESRB(Entertainment Software Rating Board)は、アメリカ、カナダ、メキシコで使用されているレーティング制度です。
1994年に設立され、CEROよりも古い歴史を持ちます。
ESRBの設立背景には、1993年に『モータルコンバット』や『ナイトトラップ』といった暴力的・性的なゲームが社会問題となり、アメリカ議会で公聴会が開かれたことがあります。
ゲーム業界は政府による規制を避けるため、自主的にESRBを設立しました。
ESRBの区分は以下の通りです。
- EC(Early Childhood):幼児向け(現在は廃止)
- E(Everyone):全年齢対象
- E10+(Everyone 10+):10歳以上対象
- T(Teen):13歳以上対象
- M(Mature):17歳以上対象
- AO(Adults Only):18歳以上のみ対象
CEROと同様、ESRBも法的拘束力はなく自主規制ですが、小売店での年齢確認や陳列方法の変更などが行われています。
PEGI(欧州)
PEGI(Pan European Game Information)は、ヨーロッパで使用されているレーティング制度です。
2003年に導入され、現在では39か国以上で採用されています。
PEGIは、それまで各国がバラバラに設けていた年齢区分を統一し、欧州全体で共通の基準を設けることを目的として設立されました。
PEGIの区分は以下の通りです。
- PEGI 3:3歳以上対象
- PEGI 7:7歳以上対象
- PEGI 12:12歳以上対象
- PEGI 16:16歳以上対象
- PEGI 18:18歳以上対象
PEGIは、CEROやESRBに比べて年齢区分が細かく設定されています。
国によっては、PEGI区分に法的拘束力を持たせている場合もあります。
IARC(国際年齢評価連合)
IARC(International Age Rating Coalition)は、2013年に設立された国際的な年齢評価の枠組みです。
ESRB、PEGI、オーストラリア分類委員会、韓国のGRACなど、世界各国のレーティング機関が参加しています。
IARCは、デジタル配信ゲームやモバイルアプリに対して、質問票に基づいて自動的に複数の地域のレーティングを付与する仕組みを提供しています。
Nintendo eショップやPlayStation Storeでは、IARC汎用レーティングが表示されるゲームもあります。
年齢制限の実効性と課題
年齢制限の守られ方
CEROの年齢区分は、Z区分を除いて法的拘束力がないため、対象年齢未満の人がゲームを購入・プレイすることを法律で禁止しているわけではありません。
しかし、多くの販売店ではZ区分のゲームを購入する際に年齢確認を行っており、実質的に18歳未満への販売が制限されています。
一方で、A〜D区分のゲームについては、対象年齢未満の人でも購入できる場合が多く、保護者の判断に委ねられています。
現実のプレイヤー層との乖離
近年、CEROレーティングで定められた対象年齢と、実際のプレイヤー層に乖離が生じているケースが増えています。
例えば、C区分(15歳以上対象)の『フォートナイト』やD区分(17歳以上対象)の『Apex Legends』は、小学生の間でも人気が高く、YouTubeやSNSでは未就学児がプレイしている様子も見られます。
これは、保護者がレーティング制度を知らない、またはレーティングを重視していないことが原因の一つと考えられています。
ゲームメーカーやハードメーカーは、ペアレンタルコントロール機能を提供するなどの対策を行っていますが、保護者側の認識と対応が課題となっています。
オンラインゲームの課題
CEROの対象年齢は、ゲーム本編の表現内容に基づいて決定されます。
しかし、オンラインゲームでは、他のプレイヤーとのコミュニケーションや、ユーザー生成コンテンツなど、審査時には存在しない要素が含まれます。
これらの要素については、CEROの対象年齢の範囲外となり、レーティング制度では十分にカバーできないという課題があります。
保護者ができること
レーティングマークを確認する
ゲームを購入する際は、必ずパッケージに表示されている年齢区分マークとコンテンツアイコンを確認しましょう。
これにより、ゲームにどのような表現が含まれているかを事前に把握できます。
ペアレンタルコントロールを活用する
Nintendo Switch、PlayStation、Xboxなどの家庭用ゲーム機には、ペアレンタルコントロール機能が搭載されています。
この機能を使うことで、以下のような制限を設けることができます。
- 年齢区分に基づいてゲームの起動を制限する
- プレイ時間を制限する
- オンライン機能を制限する
- 課金を制限する
ペアレンタルコントロールを適切に設定することで、子どもが不適切なゲームをプレイするリスクを減らすことができます。
子どもと一緒にゲームを楽しむ
子どもがどのようなゲームをプレイしているか把握するために、一緒にゲームを楽しむことも有効です。
実際にゲームの内容を見ることで、年齢に合っているかどうかを判断しやすくなります。
また、子どもとゲームについて話し合うことで、適切なゲームの楽しみ方や、ゲーム内での行動について教える機会にもなります。
まとめ
ゲームに年齢制限が設けられている理由は、過激な表現から子どもを守り、保護者が適切な判断をするための情報を提供し、ゲーム業界の健全な発展を促進するためです。
日本では、CERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)が、ゲームの表現内容を審査し、A、B、C、D、Zの5つの年齢区分を設定しています。
これらの区分は、Z区分を除いて法的拘束力はありませんが、保護者がゲームを選ぶ際の重要な判断材料となっています。
海外でもESRB(北米)やPEGI(欧州)など、同様のレーティング制度が設けられており、国際的にゲームの年齢区分が標準化されつつあります。
ゲームを楽しむ際は、年齢区分マークやコンテンツアイコンを確認し、子どもの年齢や成長段階に合った適切なゲームを選ぶことが大切です。
保護者は、レーティング制度を理解し、ペアレンタルコントロール機能を活用することで、子どもが安全にゲームを楽しめる環境を整えることができます。


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