「無限ライフで遊びたい」「強くなった状態でゲームを始めたい」——そんな夢を、アルファベット数文字を打ち込むだけで叶えてくれた伝説のデバイスが Game Genie(ゲームジニー) です。
1990年代初頭に登場し、世界中で500万台を売り上げたチートデバイスの元祖を徹底解説します。
Game Genieの基本情報
Game Genie(ゲームジニー) は、家庭用ゲーム機でチートを行うための周辺機器です。
イギリスのゲーム会社 Codemasters(コードマスターズ) が開発し、アメリカの玩具メーカー Lewis Galoob Toys(ルイス・ガルーブ・トイ) が販売しました。
ゲームカートリッジと本体の間に挟んで接続し、専用のアルファベットコードを入力することでゲームデータを一時的に書き換えてチートを有効にします。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発 | Codemasters(イギリス) |
| 販売 | Lewis Galoob Toys(アメリカ) |
| 発表 | 1990年5月 |
| 販売台数 | 世界累計500万台 |
| 対応ハード | NES / SNES / ゲームボーイ / メガドライブ / ゲームギア |
Game Genieが生まれた背景
1980年代後半、イギリスのCodemastersはNES(海外版ファミコン)向けのゲームを開発しようとしました。
ところが任天堂はサードパーティへのライセンス付与に厳格で、Codemastersはライセンスを取得できませんでした。
そこでCodemastersは独自にNESのセキュリティを解析し、未ライセンスでゲームを動かす方法を研究します。
その過程で「カートリッジのデータを途中で書き換えれば、ゲームの挙動を自在に変えられる」という仕組みを発見。
これがGame Genieの誕生につながりました。
Galoob社のルイス・ガルーブの息子がGame Genieを試したとき、マリオが通常より高くジャンプする様子に魅了されたというエピソードも残っています。
仕組み:どうやってチートするのか
Game Genieの仕組みはシンプルです。
通常、ゲームを起動するとゲーム機のCPUはカートリッジのROMからデータを読み込みます。
Game Genieはカートリッジとゲーム機の間に割り込み、CPUがROMを読もうとした瞬間に 別のデータを代わりに返す ことでゲームの挙動を変えます。
ゲームのプログラムを直接書き換えるのではなく、読み取りの際に「横から差し替える」という方法なので、ゲームソフト本体には一切傷がつきません。
電源を切れば元通りです。
コードの構造
プレイヤーが入力するのは アルファベット数文字からなるコード です。
このコードには以下の情報が含まれています。
- ROMのアドレス(どのデータを書き換えるか)
- 置き換える値(何に書き換えるか)
たとえば「無限ライフ」のコードなら「残機の数が入っているアドレスを参照しようとしたとき、常に99を返す」という指定が行われる仕組みです。
対応ハードと展開
最初にNES向けとして1990年に発売され、その後次々と対応ハードが拡大しました。
NES(海外版ファミコン) が第一弾で、アメリカ・カナダで発売されました。
その後 SNES(スーパーファミコン)、ゲームボーイ、メガドライブ(Genesis)、ゲームギア 向けも順次リリースされています。
なお、セガのハード向けGame Genieはセガから正式ライセンスを受けた製品でした。
一方、任天堂ハード向けはライセンスなしの製品であり、これが後に法廷闘争へ発展します。
任天堂との法廷闘争
NES向けGame Genieが発売されると、任天堂は著作権侵害を理由にGaloob社を提訴しました。
アメリカ国内での販売が差し止め命令を受ける一方、カナダでは販売が継続されました。
Game Genieは当時のゲーム雑誌広告で “Thank You Canada!” というメッセージを掲載したことでも知られています。
最終的に裁判所は「Game Genieは著作権法に違反しない」と判断し、任天堂の訴えは退けられました。
ゲームデータを複製しているわけではなく、読み取りの際に一時的にデータを差し替えているだけであることが、合法と判断された根拠のひとつとされています。
この判決は「ゲーム改造ツールの合法性」を巡る重要な先例となりました。
Game Genieとエミュレータ
Game Genieが登場してからずっと後の時代になっても、その影響は続いています。
NESやスーファミなどのエミュレータの多くがGame Genieコードに対応しており、実機がなくてもコードを入力してチートを楽しむことができます。
当時の実機では一度に3〜6本程度しかコードを使えませんでしたが、エミュレータでは膨大な数のコードが利用可能になっています。
後継製品・類似デバイス
Game Genieの後継的な存在として、さまざまなチートデバイスが登場しました。
プレイステーション・セガサターン時代には プロアクションリプレイ(Pro Action Replay) が代表的な製品として普及しました。
また GameShark(ゲームシャーク) もアメリカで広く使われたチートデバイスです。
2012年以降は Hyperkin という周辺機器メーカーが「Game Genie」のブランド名を取得し、現代向けのチートシステムを販売しています。
まとめ
Game Genieは1990年に登場したチートデバイスの元祖です。
カートリッジと本体の間に挟み込み、CPUのROM読み取りを横から差し替えることでチートを実現するシンプルかつ独創的な仕組みで、任天堂との法廷闘争を乗り越え世界500万台を売り上げました。
現代のエミュレータでもそのコード形式が引き継がれており、レトロゲームの世界では今なお存在感を持つ歴史的デバイスです。
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