「カット」「トリミング」「クロップ」は、どれも何かを「切り取る」操作に使われる言葉です。
しかし動画編集・写真編集・カメラ撮影の3つの場面でそれぞれ意味が変わるため、「どれも同じでは?」と混乱しやすいのが実情です。
この記事では、カット・トリミング・クロップの定義の違いを、場面ごとに整理して解説します。
3つの言葉の基本的な違い
まず、どの場面にも共通する大まかな意味の違いを整理します。
| 用語 | 切り取る対象 | 主な場面 |
|---|---|---|
| カット(Cut) | 動画の時間軸の一部分(中間部分)を取り除く | 動画編集 |
| トリミング(Trimming) | 動画の冒頭・末尾の不要部分を削る/写真の不要な空間を切り取る | 動画編集・写真編集 |
| クロップ(Crop) | 映像・画像のフレーム(枠)の外周部を切り取って表示範囲を変える | 動画編集・写真編集・カメラ |
3つはすべて「切り取り」を意味しますが、何を・どのように切り取るかがそれぞれ異なります。
動画編集における3つの違い
カット(Cut)とは
動画編集におけるカットとは、クリップ(映像素材)の中間部分を取り除く操作です。
2か所で映像を分割し、不要な中間部分を削除して前後のクリップをつなぎ合わせます(AVS Video Editor公式ブログ・Flixier公式より)。
たとえば、インタビュー動画の途中で話者がつまずいた10秒間を削除してなめらかにつなぐ、という使い方がカットの典型例です。
カットは映像のどの場所でも行えるのが特徴で、動画編集の最も基本的な操作のひとつです。
トリミング(Trimming)とは
動画編集におけるトリミングとは、クリップの冒頭または末尾を削って再生時間を調整する操作です(AVS Video Editor公式ブログ、Filmora解説記事より)。
たとえば、15分の収録動画から必要な10分だけを切り出す、録画開始直後の余分な数秒を削る、といった操作がトリミングにあたります。
カットとの違いをひと言でまとめると次のとおりです。
- トリミング:クリップの端(冒頭・末尾)を削る
- カット:クリップの中間部分を切り除く
なお、ソフトウェアによってはカットとトリミングを同じ機能として扱うものもあるため、UI上の名称で混乱することがあります。
クロップ(Crop)とは
動画編集におけるクロップとは、映像のフレーム(画面の枠)の外周を切り取って表示範囲を変える操作です(iMovie解説記事・Filmora公式より)。
時間軸を変えるカット・トリミングとは異なり、クロップは空間軸(映像の見え方)を変える操作です。
具体的な使用場面は次のとおりです。
- 映像の端に映り込んだ通行人や撮影機材を隠す
- 動画上下の黒帯(レターボックス)を削除する
- 横向きで撮影した動画をSNSの正方形フォーマットに合わせる
- 引きで撮影した映像の一部をクローズアップして使う
動画編集の3操作まとめ
| 操作 | 変化する軸 | 何を切り取るか |
|---|---|---|
| カット | 時間軸 | クリップの中間部分 |
| トリミング | 時間軸 | クリップの冒頭・末尾 |
| クロップ | 空間軸 | フレームの外周(上下左右) |
写真編集における違い
写真のトリミングとは
写真編集におけるトリミングは、撮影後の画像から不要な周辺部分を切り取って構図を整える操作です。
フィルム時代から使われてきた言葉で、暗室で印画紙への焼き付け範囲を調整していた作業に由来します(カメライオン「トリミングについてのあれこれ」より)。
写真のトリミングでは、切り取る位置・サイズ・縦横比(アスペクト比)を自由に指定できます。
主な目的は次のとおりです。
- 余計なものが写り込んでいる周辺部を削除する
- 被写体を画面中央に引き寄せて構図を改善する
- 16:9や1:1など特定のアスペクト比に合わせる
トリミングをすると画素数が減るため、元画像の解像度が高いほど、トリミング後も高画質を保てます。
写真のクロップとは(英語と日本語での違い)
日本の写真用語では「トリミング」と呼ばれる操作を、英語では「crop(クロップ)」と表現することがほとんどです。
Adobe PhotoshopやLightroomなど英語圏のソフトウェアでは「Crop Tool(切り抜きツール)」と表示されており、日本語版では「切り抜きツール」または「トリミング」と訳されています。
つまり写真編集の文脈では、日本語の「トリミング」≒英語の「クロップ(Crop)」と考えて大きな問題はありません(価格.comクチコミ掲示板・カメライオンより)。
カメラ(撮影時)における「クロップ」
デジタルカメラでは、「クロップ」がさらに特殊な意味を持ちます。
カメラのクロップとは、撮影時にイメージセンサー(撮像素子)の一部の領域だけを読み出して記録する機能です(photo-cafeteria.com「トリミングとクロップの違い」より)。
フルサイズセンサーのカメラでAPS-Cクロップを使うと、センサーの中央部のみを使うため画角が狭くなり、望遠効果が得られます。
ニコンD2Xで初めて採用された機能で、当時は読み出しデータ量を減らして連写速度を向上させる目的がありました(カメライオン・カメラと写真の辞書より)。
カメラのクロップとトリミングの違い
| 比較項目 | カメラのクロップ | 写真のトリミング |
|---|---|---|
| いつ行うか | 撮影中(カメラ内) | 撮影後(PCや編集ソフトで) |
| 切り取る範囲 | センサーサイズ・位置が固定 | 任意のサイズ・位置を自由に指定 |
| 保存されるデータ | 切り取った範囲分のみ保存 | 全データを保存してから後で切り取る |
| 主な目的 | 望遠効果・連写速度向上 | 構図の調整・アスペクト比変更 |
まとめ:場面別の整理表
| 場面 | カット | トリミング | クロップ |
|---|---|---|---|
| 動画編集 | 中間部分を削除 | 冒頭・末尾を削除 | フレームの外周を削除 |
| 写真編集 | ほぼ使わない | 画像の不要な周辺を切り取る(英語ではcrop) | 日本語では「トリミング」とほぼ同義 |
| カメラ撮影 | ほぼ使わない | 使わない | センサーの一部だけを読み出す機能 |
3つの言葉は「切り取る」という点では共通していますが、時間軸の操作か・空間軸の操作か、また撮影前・撮影中・撮影後のどの段階で行う作業かによって使い分けられています。
使っているソフトやカメラのメーカーによって呼称が統一されていないこともあるため、どの軸を操作しているのかを意識すると混乱しにくくなります。
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