アニメ好きの間でよく飛び交う「覇権アニメ」という言葉。
SNSやアニメ系まとめサイトで目にする機会は多いけれど、「そもそもどういう意味なの?」と疑問に感じている人も少なくないはず。
この記事では、「覇権」という言葉の定義・由来・判断基準の変化を、アニメ文化の歴史とあわせてわかりやすく解説します。
「覇権アニメ」の意味と定義
「覇権アニメ(はけんアニメ)」とは、一定の期間において最も人気を集めたアニメ作品を指す言葉です。
ただし、その「人気」を何で測るかによって、定義が大きく2つに分かれています。
狭義の定義:円盤売上による客観的な指標
もともと「覇権アニメ」は、2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)の「売りスレ(アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ)」で生まれたネット用語です。
売りスレでは、各クールの深夜アニメについてBD(ブルーレイ)とDVDの累計平均売上枚数を比較し、1位になった作品を「覇権アニメ」と呼んでいました。
「累計平均」とは、リリースされた全巻の売上枚数を平均した数値のことで、全何巻構成かが異なる作品同士を公平に比較するための指標として用いられています。
この文脈における覇権には、以下の2種類があります。
- クール覇権:冬(1〜3月)・春(4〜6月)・夏(7〜9月)・秋(10〜12月)の各クールで1位になった作品
- 年間覇権:クール覇権の中でもっとも売上が高かった作品、つまり1年間でトップに立った作品
広義の定義:話題性・社会的影響力
現在では、「覇権アニメ」という言葉はより幅広い意味で使われています。
Weblio辞書の実用日本語表現辞典では、「同時期(同クール)に放送されたアニメ作品のうち最大の話題作であり人気作となった作品を意味する」と定義されています。
つまり、円盤の売上にかかわらず、SNSでの拡散力・配信再生数・原作の売上・メディアの注目度などを総合的に見て「そのクールでもっとも盛り上がった作品」に対して使われるケースが増えているのです。
「覇権」という言葉の由来と歴史
語源:2010年秋の売りスレから広まった
「覇権」という言葉がアニメ界隈で使われるようになったのは、2010年秋ごろのことです。
アニプレックスの広報担当・高橋祐馬氏が、ニコニコ生放送の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』紹介番組の中で「覇権」という言葉を使ったことがきっかけとされています。
これが売りスレで話題となり、その後アニメファン全体に広まっていきました。
覇権争いが意識されたきっかけ:ハルヒとギアスの激突
「どの作品が覇権を取るか」という議論が盛んになったのは、2006年に『涼宮ハルヒの憂鬱』と『コードギアス 反逆のルルーシュ』が同じ年度にヒットを記録し、年間覇権を争うようになってからです。
アニメまとめサイトがこれを盛んに取り上げたことで、覇権争いの文化がネット上に定着していきました。
覇権の判断基準はどう変わった?
円盤時代(2000年代〜2010年代前半)
この時期は、円盤の売上枚数が人気の絶対的な指標でした。
作品の人気を客観的な数字で比べられるという点で、覇権の判定がシンプルでわかりやすかった時代でもあります。
円盤売上の観点での代表的な作品をまとめると、以下のようになります。
| 年 | 年間覇権(円盤売上) |
|---|---|
| 2006年 | コードギアス 反逆のルルーシュ |
| 2009年 | 化物語 |
| 2010年 | けいおん!! |
| 2011年 | 魔法少女まどか☆マギカ |
| 2013年 | 進撃の巨人 |
| 2022年 | リコリス・リコイル |
※上記は円盤累計平均売上をもとにした目安であり、複数の情報源でも定義や集計方法が異なるため、あくまで参考値として掲載しています。
なお、歴代の円盤売上という観点では「けいおん!!(第2期)」が1巻あたりの平均売上枚数で特に高い数値を記録したことで知られています。
配信時代(2010年代後半〜現在)
Netflixや Amazon Prime Video、dアニメストアといった動画配信サービスが普及したことで、円盤を購入せずにアニメを楽しむスタイルが主流になりました。
その結果、円盤売上だけでは作品の本当の人気を測ることが難しくなっています。
たとえば、『鬼滅の刃』は劇場版の興行収入でアニメ映画歴代1位を記録するほどの社会現象を起こしましたが、円盤売上の集計上は必ずしも覇権の数値と一致しない側面があります。
現在の覇権の判断には、以下のような複数の指標が組み合わせて使われる傾向にあります。
- SNSでの話題量・拡散力
- 動画配信サービスでの再生数・レビュー数
- 原作コミックや小説の売上増加
- グッズ・コラボ展開の規模
- 海外配信での人気
「覇権アニメ」と「神アニメ」の違い
「覇権アニメ」とよく混同されるのが「神アニメ」という言葉です。
この2つは似ているようで、実はニュアンスが異なります。
覇権アニメは、その時期にもっとも売れた・もっとも話題になったという「人気・規模」の指標です。
視聴者数や話題量で判断されるため、品質よりもインパクトや拡散力が重視される傾向にあります。
一方、神アニメは作品の内容や演出・脚本の完成度に対する評価で、個人的な感動や満足度が基準になることが多いです。
Weblio辞書でも「抜群に内容が素晴らしかった」という評価を込める場合は「神アニメ」を使い、「覇権アニメ」とは呼ばない、と説明されています。
つまり、覇権アニメ=神アニメとは限らないし、神アニメ=覇権アニメとも限りません。
円盤売上は振るわなかったけれど視聴者の心に長く残る「神アニメ」も、数多く存在しています。
「覇権落ち」「覇権常連」などの関連用語
覇権アニメに関連する言葉もあわせて紹介します。
- 覇権落ち:覇権常連と見られていた人気作品が、そのクールの1位を逃すこと
- 覇権常連:毎クールのように話題をさらい、覇権を争う位置に来ることが多い作品・シリーズのこと
- 覇権候補:放送前や放送序盤から「このクールの覇権を取るのでは?」と話題になっている作品
まとめ
「覇権アニメ」とは、もともと2ちゃんねるの売りスレで生まれた言葉で、各クールの円盤売上1位の深夜アニメを指す用語でした。
2010年秋ごろからネット全体に広まり、現在では「そのシーズンでもっとも話題になった・人気を集めた作品」という広い意味でも使われています。
動画配信サービスの普及によって覇権の定義自体も揺れており、売上・再生数・SNS話題量など複数の指標を組み合わせて語られるようになっています。
「覇権」という称号は今もアニメファンの間で熱く議論され、毎クールの楽しみのひとつとして定着していると言えるでしょう。
参考情報源:
- ニコニコ大百科「覇権アニメとは」
- pixiv百科事典「覇権アニメ」(2025年12月5日確認)
- Weblio辞書「覇権アニメ(はけんアニメ)の意味や使い方」
- ラノベライブラリ「歴代【覇権アニメ】の作品名と売上一覧」(2024年10月2日)

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