今回は、古代エジプト神話の守護女神「ワジェト(ウアジェト)」についてお話しします。
「ワジェトって初めて聞いた」「コブラの神さまなの?」そんな方も多いでしょう。
実は、ワジェトはとても重要な女神なんです。
ファラオの頭についているあの有名なコブラの飾りが、まさにワジェトなんですよ!
ワジェトの名前は「緑の者」という意味
まず、「ワジェト(Wadjet)」という名前から見ていきましょう。
古代エジプト語で「緑の者」という意味があります。
古代エジプト国家そのものを象徴する女神

ワジェトは、特定の「父」や「母」がいる神ではありません。
むしろ、エジプト国家そのものの象徴として存在していました。
ワジェトと関連する神々
- 下エジプトの守護神 → ナイル川下流地域を守る
- ネクベトとペア → 上エジプトの守護神(ハゲワシの女神)と対になる
- 太陽神ラーの「目」 → 王と神々を守る力の源
面白いのは、ワジェト(下エジプト)とネクベト(上エジプト)のペアが、エジプト全体の統一を象徴していたことです。
つまり、ワジェトは単なる地域の神ではなく、国全体を守る大切な存在だったんですね。
「ワジェトってどんな見た目なの?」気になりますよね。
美しく神秘的なコブラの女神

ワジェトの見た目は、エジプト神話の中でも最も象徴的な姿の一つです。
ワジェトの特徴的な姿
- コブラの姿
- 人間の体にコブラの頭
- 頭上に赤冠や太陽円盤がある
- 王の額に巻きついた蛇(ウラエウス)
特に有名なのが、ファラオの額についている蛇の飾り「ウラエウス」です。
これは単なる装飾品ではなく、王を神が守護している証とされていました。
つまり、ファラオの頭についているコブラは、まさにワジェトの力が宿っているとされていたんです。
神格・役割
ワジェトは、神格・役割についても見ていきます。
ワジェトの主な役割
- 王の守護神 → ファラオの額に宿り、王たちを守護する
- 太陽神ラーの目 → 敵を撃退する
- 国家統一の象徴 → ネクベトと一緒に、エジプト統一の象徴となる
古代エジプトは、上と下で分かれていて、後に1つになりました。
この際、上エジプトのネクベト、下エジプトのワジェトがセットになったんです。
オシリス神話

ワジェトには、オシリス神話で興味深い物語があります。
オシリス神話:
- セトがオシリスを殺害し、死体をバラバラにする
- オシリスの妻イシスがワジェトに息子ホルスを預け、夫の死体探しの旅を始める
- セトがオシリスの子を探す
- ワジェトは自分の領域にホルスを隠し、彼を守った
敵であるセトからホルス(未来の王)を守ったわけです。
まとめ
ワジェトについて、いかがでしたか?
今回のおさらい
- ワジェトは「緑の者」という意味
- 下エジプトの守護神で、国家の象徴的存在
- コブラの姿や、人の体にコブラの頭が特徴
- 王の額の「ウラエウス」として表される
- 太陽神ラーの目として、ファラオを守る力を持つ
- ネクベトとペアで、エジプト全体を守護
- オシリス神話でホルスを敵から守る
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