宇宙を守る神・ヴィシュヌとは?その意味・姿・神話をわかりやすく解説!

神話・歴史・伝承

ヒンドゥー教の世界では、宇宙を創り・守り・壊す三人の偉大な神々がいます。

その中で、世界の秩序と平和を守る役割を担っているのが「ヴィシュヌ神」です。青い肌と四本の腕を持つこの神様は、

ヒンドゥー教の中でも特に人気のある神として、何千年もの間、多くの人々に崇められてきました。

この記事では、そんなヴィシュヌ神について、中学生にもわかりやすく解説していきます。

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名前の意味

ヴィシュヌ(Vishnu)」という名前は、古代インドの言語であるサンスクリット語で「広がる」「変満する」という意味を持っています。

他にも「行き渡る」や「浸透する」などを意味するという説もあります。

どの名前の意味も「世界のあらゆる場所に存在している神」を表しています。

どこにいても、何をしていても、ヴィシュヌは私たちを見守っているという考えが、この名前には込められています。

三大神(トリムルティ)

ヴィシュヌは、ヒンドゥー教における三大神(トリムルティ)のひとりで、以下のような役割を持っています:

  • ブラフマー(創造の神):宇宙を創り出す役割
  • ヴィシュヌ(維持の神):創られた宇宙を守り、維持する役割
  • シヴァ(破壊の神):古いものを壊し、新しい創造のために場を準備する役割

この三柱は、宇宙の「はじまり・今・おわり(創造・維持・破壊)」をつかさどるバランスの中心です。

つまりヴィシュヌは、「宇宙の安定」を守る、とても重要なポジションにいるわけですね。

ヴィシュヌは、「人類と宇宙の秩序の保護者」として位置づけられています。

ヴィシュヌの妻はラクシュミーという女神で、富・美・豊穣の象徴とされています。

ヴィシュヌの化身が地上に現れる時、ラクシュミーの化身が配偶者として登場します。

ラクシュミーがとてつもなく綺麗で、誰も独占できない女神。

彼女を手に入れるために多くのアスラや神々が躍起になったが、全員が彼女に逃げられたという伝承が残されている。

姿・見た目

https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=34878733

ヴィシュヌの見た目は、青い肌神々しい装飾が特徴です。

ヴィシュヌの主な特徴

  • 青い肌
  • 4本の腕
  • 持ち物
    • 円盤(スダルシャナ・チャクラ)
    • ホラ貝(パーンチャジャニャ)
    • 棍棒(カウモーダキー)
    • 蓮の花

ヴィシュヌは時に「ガルーダ」という神鷲に乗って描かれます。
また、ヴィシュヌはしばしば「アナンタ」という巨大な蛇の上に横たわる姿で描かれることもあります。

ラクシュミーと一緒に立っている姿もあります。

神格・神性

ヴィシュヌの神格は、なんといっても「世界の維持」です。

世界の均衡が崩れた時に現れ、秩序を修復するのが特徴です。

例えば、ヴィシュヌには「ダシャーヴァターラ」と呼ばれる代表的な10の化身があります。

この化身たちは、時代や世界が乱れたときに、地上へと現れて問題を解決します。
ヴィシュヌは「道徳的・宗教的秩序(ダルマ)を守るために必要なときにはいつでも、自らの一部を顕現させる」と言われています。

代表的な化身(アヴァターラ)

  • マツヤ(魚):大洪水から世界を救った
  • クールマ(亀):乳海攪拌(にゅうかいかくはん)の際に宇宙の山を支えた
  • ヴァラーハ(猪):海の底に沈んだ地球を持ち上げた
  • ナラシンハ(人獅子):人々を魔神から守った
  • ヴァーマナ(小人):三歩で宇宙(天・地・冥界)を渡る
  • パラシュラーマ(斧を持つラーマ):悪い王たちを退治した
  • ラーマ:『ラーマーヤナ』の主人公
  • クリシュナ:『マハーバーラタ』に登場する英雄
  • ブッダ:仏教の開祖と重ねられる場合もある
  • カルキ:カリ・ユダに現れ世界を創る(まだ現れていない)

神話

ヴィシュヌが活躍する神話は数えきれないほどありますが、代表的な物語をひとつご紹介します。

乳海攪拌(にゅうかいかくはん)

これは、神々と悪魔(アスラ)たちが、不死の霊薬(アムリタ)を手に入れるために、海をかき混ぜるお話です。

この物語では、神々が協力して不死の霊薬を手に入れるために働きます。

ヴィシュヌは巨大な亀「クールマ」に姿を変え、マンダラ山を背負って支えることで神々の手助けをした。

また、霊薬をめぐって争いが起こりそうになったとき、美しい女性「モーヒニー」に変身して、巧みにアスラを誘惑して霊薬を手にするという機転も見せています。

3歩で世界を跨ぐ

Ks.mini – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18544759による

アスラ王バリが全宇宙を支配するほどの力を得て傲慢になると、ヴィシュヌは小さな僧侶ヴァーマナの姿で現れる。

バリが力を誇示するため「望むものを与えよう」と言うと、ヴァーマナは「3歩分の土地」を要求。

承諾後、ヴァーマナは、1歩で地上、2歩で天界、3歩目で冥界を踏みしめ、バリの過ちを正す。

バリは冥界で暮らすことになる。

ガルーダとの出会い

天界からの帰路、英雄ガルーダは神ヴィシュヌと出会い、その勇敢さに感動したヴィシュヌから「望むものを与える」と告げられる。

ガルーダはアムリタなしでの不死を願い、それが認められる。

さらにガルーダはヴィシュヌの乗り物になることを誓い、以後ヴィシュヌの神鳥となる。

この際、ヴィシュヌからナーガ(蛇族)を食べる許可も得て、ガルーダは母の敵であるナーガを糧とするようになった。

この物語は、ガルーダが天界に行って、神々を倒しながらアムリタを取ってきた帰り。

まとめ

ヴィシュヌは、ヒンドゥー神話の中でも特に人気と信仰の厚い神さまです。

  • 名前の意味は「どこにでも存在すること」を表している
  • 宇宙の維持(安定と調和)をつかさどる神
  • 青い肌、4本腕、多くの象徴的な持ち物
  • 化身を通じてさまざまな形で世界と人々を助ける

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