【太陽の光で石になる妖精】トロールとは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

山を歩いていて、不思議な形の岩を見つけたことはありませんか?

北欧の人々は、それは太陽の光を浴びて石になってしまったトロールかもしれないと考えていました。夜になると動き出し、時には人間を助け、時にはいたずらをする不思議な存在。巨人から小人まで、その姿は実に様々だったんです。

この記事では、北欧神話に登場し、今なお愛される妖精「トロール」について、その多様な姿や特徴、興味深い伝承を分かりやすくご紹介します。

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概要

トロール(Troll)は、北欧、特にノルウェーの伝承に登場する妖精の一種です。

元々は北欧神話に登場する「霜の巨人族(ヨトゥン)」の末裔とされ、神々と壮絶な戦いを繰り広げた巨人でした。

しかし時代が下るにつれて小人化し、今では地域によって巨人から小人まで様々な姿で語り継がれているんです。

面白いことに、トロールはただの怪物ではありません。金銀財宝を持ち、魔法を使い、時には人間を助けることもある複雑な存在。

北欧では「丘の民」や「隠された民」とも呼ばれ、人里離れた場所でひっそりと暮らしていると信じられています。

姿・見た目

トロールの姿は地域によって驚くほど違います。まさに千差万別なんです。

巨人型トロール

  • 大きさ:山のように巨大
  • 容姿:醜く毛むくじゃら、鉤爪を持つ
  • 特徴:人間を食べることもある恐ろしい存在

小人型トロール

  • 大きさ:人間の子供程度
  • 容姿:背中にこぶ、大きな鉤鼻
  • 服装:赤い三角帽、革のエプロン
  • 特徴:老人のような姿だが実は長寿

地域別の姿

ノルウェーでは、女性のトロールは美しく長い赤毛を持つといわれています。一方、デンマークでは白く長いあごひげを生やした小人の老人として描かれることが多いんです。

アイスランドでは一つ目の巨人、フィンランドでは池に住む邪悪な存在として知られています。このように、同じトロールでも国や地域によって全く違う姿をしているのが特徴的ですね。

特徴

トロールには、他の妖精とは違う独特な特徴があります。

主な能力と性質

太陽の光で石になる
トロールの最大の弱点は太陽の光です。日光を浴びるとたちまち石に変わってしまうため、夕暮れから明け方までしか活動できません。北欧の山々にある奇妙な形の岩は、太陽の光を浴びたトロールだという言い伝えもあるんです。

騒音を嫌う
トロールは静かな環境を好み、特に教会の鐘の音を極端に嫌います。これは祖先の霜の巨人族が、雷神トールの雷に苦しめられた記憶が残っているからだとか。教会に鐘が設置されると、その地域からトロールがいなくなってしまうといわれています。

魔法の力
トロールは様々な魔法を使えます。姿を消す「隠れ帽子」を持っていたり、人間に怪力を与えたり、嘘つきを罰したりする力があるんです。薬草を使った治療にも詳しく、呪術の達人でもあります。

二面性のある性格
トロールは人間に対して親切にも残酷にもなります。助けてくれた人間には金銀財宝で恩返しをしますが、裏切られると恐ろしい復讐をすることも。まさに「恩には恩を、仇には仇を」という性格なんですね。

伝承

トロールにまつわる伝説は、北欧各地に数多く残されています。

チェンジリング(取り替え子)

トロールの悪癖として有名なのが「チェンジリング」です。人間の赤ちゃんを盗み、代わりにトロールの赤ちゃんを置いていくという恐ろしい習慣。

トロールの子供は最初は普通に見えますが、成長するにつれて暴れ回り、家のものを壊し、食べ物をたくさん食べるのに大きくなりません。困った親が対処法として、卵の殻でお湯を沸かすような奇妙なことをすると、トロールの子供は驚いて逃げ出し、人間の子が戻ってくるといわれています。

恩返しの物語

ある老婆がトロールと「糸を紡ぐ」契約を結び、約束を守っている間は金銀で豊かに暮らしていました。しかし約束を破った途端、すべての財産が石に変わってしまったという話があります。

また、トロールの出産を手伝った人間の産婆には、お礼として宝石や金銀を惜しみなく与えたという伝承も。トロールは恩義を忘れない存在でもあるんです。

三つの目を共有するトロール

ノルウェーの民話には、三人のトロールが一つの目玉を順番に使い回すという奇妙な話も登場します。この目玉を奪えば、トロールを出し抜くことができるという知恵比べの物語として語り継がれています。

起源

トロールという存在の起源は、北欧神話の時代まで遡ります。

霜の巨人族ヨトゥンから小人へ

トロールの祖先は、北欧神話で神々と戦った「霜の巨人族(ヨトゥン)」だといわれています。オーディンやトールといった神々と壮絶な戦いを繰り広げた強大な存在でした。

しかし、キリスト教が広まるにつれて、これらの巨人は次第に小さくなり、妖精のような存在に変化していきました。これは古い信仰が新しい宗教に取り込まれていく過程で起きた変化だと考えられています。

実在の民族との関係

興味深いことに、トロールの生息地域は、北欧の先住民族サーミ人の生活圏と重なっています。一部の研究者は、トロール伝説の起源が、ゲルマン系民族と非ゲルマン系のサーミ人との接触から生まれたのではないかと指摘しているんです。

現代への影響

20世紀になると、トロールは文学や映画の世界で新たな命を吹き込まれました。

トールキンの『ホビットの冒険』に登場する巨大なトロール、トーベ・ヤンソンの「ムーミントロール」など、様々な形で現代に受け継がれています。

ノルウェーでは今でも、物がなくなると「トロールのいたずら」と言いますし、お土産屋さんにはトロール人形がたくさん並んでいます。

古い伝承が現代でも生き続けているんですね。

まとめ

トロールは、北欧神話の巨人から生まれた多様な姿を持つ妖精です。

重要なポイント

  • 北欧神話の霜の巨人族の末裔
  • 巨人から小人まで地域によって姿が異なる
  • 太陽の光で石になる弱点がある
  • 教会の鐘の音を嫌い静かな場所を好む
  • 金銀財宝を持ち魔法を使える
  • 人間に対して親切にも残酷にもなる二面性
  • チェンジリング(取り替え子)を行う
  • 恩義を大切にし、裏切りを許さない

トロールは単なる怪物ではなく、人間と同じように家族を持ち、喜怒哀楽を持つ存在として描かれています。

時に恐ろしく、時に愛らしい。そんな複雑な魅力が、今でも多くの人々を惹きつけているのかもしれませんね。

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