今回は、北欧神話に登場する謎多き神「ロキ」についてお話しします。
名前の意味
まず、「ロキ（Loki）」という名前から見ていきましょう。
ロキの名前の意味ははっきりしていません。
いくつかの説がありますが、最も有力な「閉ざす者」「終える者」という意味に由来するという説です。
他にも「火」や「結び」に関係するという説もあります。
ロキは神と巨人の境界に立つ特別な存在
ロキは、アース神族（オーディンやトールら）の仲間として行動しますが、出自は異なります。
ロキの家系
- お父さん：ファルバウティ（巨人）
- お母さん：ラウフェイ
- 妻：シギュン
- 子：ナリ, ヴァーリ、フェンリル, ヨルムンガンド, ヘル、スレイプニル
面白いのは、ロキが巨人族（ヨトゥン）の血を引きながらも、オーディンと義兄弟の誓いを交わし、アース神族の一員として振る舞うという特異な立場にあることです。
つまり、ロキは「神の仲間でもあり、巨人の仲間でもある存在」として、北欧神話における「境界をまたぐ者」なんです。
姿と性格
ロキの姿と性格について紹介する。
ロキの一般的なイメージ
- 美しい顔
- 気が変わりやすい
- 狡猾で邪悪
- よく嘘をつく
- 両性具有
- 変身能力があるため、動物や女性にも化ける
ロキは火のように移ろいやすく良い面も悪い面もあり、後世の物語では「トリックスター（いたずら者）」の代表格になっています。
混沌をもたらすトリックスター神
ロキは「〇〇の神」と言い切るのが難しい、非常に特殊な存在なんです。
あえて言うなら、「混沌をもたらす存在」＝トリックスター神です。
ロキの主な能力と役割
- 変身の神 → 魚、馬、鳥、女性など、自在に姿を変える
- 嘘と策略の神 → 巧みな言葉で神々を混乱させる
- トリックスター → 災厄をもたらすが、危機を解決することもある
つまり、ロキは**「善悪を超えた存在」**であり、**物語を動かす「カオスの化身」**といえるでしょう。
まるで、クラスをかき回すけれど、時々みんなを助けてくれる、不思議な同級生のような存在ですね。
「ロキの面白い話はないの？」そう思った方、続きをお読みください。
神話
ロキの神話は数多くありますが、「災いの原因であり、同時に解決者でもある」というパターンが多く見られます。
「スレイプニルの誕生」
「巨人との契約とロキの大失態」の物語
- 神々がアースガルズ（神々の国）に城壁を作ることになった
- ある巨人が「期限内に完成させたら、フレイヤと太陽と月をくれ」と申し出た
- 神々は「無理だろう」と思ってOKした
- ところが、巨人の馬スヴァジルファリが超働き者だった
- このままでは本当に完成してしまう！
- 困った神々がロキに助けを求めた
- ロキは雌馬に変身してスヴァジルファリを誘惑した
- おかげで工事が遅れて、巨人との約束は破綻
- でも、ロキが妊娠してスレイプニルを出産した
災厄の誕生
ロキがアングルボザの心臓を食べて、「ヨルムンガンド」「フェンリル」「ヘル」を産んだとされている。
３人の子たちは災いをもたらすと予言され、ヨルムンガンドとヘルは予言を恐れた神々によって追放される。
唯一、フェンリルだけは、（生まれたばかりの頃は）普通の狼だったのでアースガルズで養育されることになった。
「バルドルの死」
- 光の神バルドルが「すべての物から害を受けない」加護を得た
- ロキが「ヤドリギだけは除外された」と知った
- 盲目の神ホズをそそのかしてヤドリギの矢を打たせた
- バルドルが死んでしまった
- 神々の世界が悲しみに包まれた
この話がラグナロクの発端となります。
また、バルドルを甦らせようとした神々の邪魔をしたのもロキ。
罰
- ロキがバルドルの死に関与したことが判明
- 神々がロキに罰を与える
- 地下の巨岩に縛り付けられる
- 上から蛇の猛毒が滴り落ちる
- 妻シギュンが桶で猛毒を受け止める
- 一杯になった桶の中を捨てに行っている間、ロキに猛毒がかかる
- シギュンが戻ってくるまで毒の苦痛にもがき苦しむ
この罰をロキはラグナロクまで受けることになる。
「ラグナロク（終末戦争）」
最終的に、ロキは神々と敵対し、巨人軍を率いて世界の終わりを引き起こすことになります。
ロキの娘ヘルも死者たちを引き連れて、神々を攻める。
この戦いで、オーディンはフェンリルに食われ、トールもヨルムガンドと戦って命を落とすという、壮絶な結末を迎えます。
ロキ自身はヘイムダルと相打ちになる。
まとめ
ロキについて、いかがでしたか？
今回のおさらい
- ロキは「閉じる者」とされる名前
- 父は巨人族、神々とは義兄弟の特殊な立場
- 変身・嘘・策略に秀でるトリックスター
- バルドルの死、ラグナロクなど大事件の中心人物
ロキは、北欧神話の中でも最も多面性を持つ存在です。
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