投扇興の点数一覧|銘定表の見方と源氏物語形式の得点を解説

神話・歴史・伝承

扇子を投げて的を倒すゲーム「投扇興(とうせんきょう)」を知っていますか?

京都の舞妓さんのお座敷遊びとして有名ですが、実は江戸時代に庶民の間で大流行した日本の伝統的な遊びなんです。
投扇興の面白いところは、扇子・的・台が作り出す「形」によって点数が決まること。
その形には源氏物語の巻名がつけられていて、最高100点から減点まで、実に多彩な得点パターンがあります。

この記事では、投扇興の点数一覧と銘定表の見方について、初心者にもわかりやすく解説します。


スポンサーリンク

投扇興ってどんな遊び?

基本的な遊び方

投扇興は、2人で対戦する日本の伝統ゲームです。

遊び方はとてもシンプル。
「枕」と呼ばれる桐の箱の上に「蝶」と呼ばれる的を立て、その蝶めがけて扇子を投げます。
投げた後の扇子・蝶・枕が作り出す形によって点数が決まり、交互に10回程度投げて合計点を競うというルールになっています。

使う道具

投扇興で使う道具は主に3つです。

  • 蝶(ちょう):イチョウの葉のような形をした的。鈴がついていることが多い
  • 枕(まくら):蝶を乗せる桐製の箱
  • 扇子(せんす):投扇興専用の軽い扇子

投扇興用の扇子は通常の扇子より軽く作られています。
骨の数を減らして薄くすることで、ふわりと飛ぶように設計されているんです。


銘定(めいてい)とは?

形に名前がある

投扇興では、扇子・蝶・枕が作り出す形を「銘(めい)」と呼びます。

この銘には、源氏物語54帖の巻名や百人一首の歌にちなんだ名前がつけられています。
たとえば、蝶が落ちて扇子と離れた状態は「花散里(はなちるさと)」、蝶の上に扇子が被さった形は「夕霧(ゆうぎり)」といった具合です。

銘と点数の対応表を「銘定(めいてい)」または「点式(てんしき)」と呼び、各流派がそれぞれの銘定を持っています。

流派によって点数が違う

投扇興には其扇流、都御流、浅草投扇興の会、日本投扇興連盟など、さまざまな流派や団体があります。

重要なポイントとして、同じ銘でも流派によって点数が大きく異なることがあります。
たとえば「花散里」は、浅草では1点ですが都御流では0点。
「野分」のマイナス点も、流派によって30点引きから50点引きまで幅があるんです。

以下では、主に源氏物語形式の代表的な銘定を紹介します。


投扇興の点数一覧【源氏物語形式】

無得点・過料(マイナス)の銘

まずは点数が入らない、または減点になってしまう銘から見ていきましょう。

銘名読み方点数形の説明
手習てならい無点蝶は倒れず、扇が地に落ちる
花散里はなちるさと0〜1点蝶が落ちたが、扇・蝶・枕がバラバラ
コツリこつり過料1点扇の要側が枕に当たる
野分のわき過料30〜50点枕を倒してしまう

「手習」は蝶に当たらなかった場合の銘で、源氏物語53帖にちなんだ名前です。
「初心者の練習」という意味が込められているんですね。

「野分」は最悪の結果。台座ごと倒してしまうと大幅な減点になってしまいます。
流派によっては50点もの過料になるため、どんな名人でも挽回は困難です。


低得点の銘(1〜5点)

蝶は倒れたけれど、形があまり美しくない場合の銘です。

銘名読み方点数形の説明
関屋せきや1〜2点蝶は倒れず、扇が枕にもたれる
藤袴ふじばかま2〜4点関屋の状態で、扇の要が上を向いて立つ
行幸みゆき3点蝶が地に落ち、扇が枕にもたれる
松風まつかぜ3〜8点蝶が枕の上で倒れる
あおい5点関屋の状態で扇の両端が上がる
総角あげまき5点蝶が落ち、扇が親骨部分のみで立つ
末摘花すえつむはな5点蝶が立っている特定の形

中得点の銘(6〜20点)

形が整ってきて、見た目にも美しい銘が増えてきます。

銘名読み方点数形の説明
朝顔あさがお7点蝶が扇の骨の上に乗る(朝顔の花に見立て)
鈴虫すずむし7点蝶が扇の骨の下にいる(虫籠に見立て)
夕霧ゆうぎり8点蝶の上に扇が被さる(霧に見立て)
夕顔ゆうがお8点蝶が落ち、扇が蝶の下に入る
薄雲うすぐも8点扇が枕にもたれ、蝶が扇の下にある(雲と月に見立て)
須磨すま10点蝶が落ち、扇が枕にもたれる特定の形
花宴はなのえん12〜15点蝶が枕から宙吊りになる
若紫わかむらさき15点落ちた蝶の特定の美しい形
竹河たけかわ15点蝶が落ち、扇が両端上がりで立つ
紅梅こうばい20点蝶が立ち、扇が枕と蝶に支えられて立つ
明石あかし20点扇と蝶が特定の美しい配置になる

「夕霧」は比較的出やすい高得点の銘として人気があります。
扇が蝶を覆う姿を「霧」に見立てるという、なんとも風流な発想ですね。


高得点の銘(21点以上)

難易度が高く、滅多に出ない貴重な銘です。

銘名読み方点数形の説明
浮舟うきふね30点蝶が扇の上に立つ(扇を船、蝶を帆に見立て)
澪標みおつくし35〜55点扇が枕に乗り、蝶が倒れている
桐壺きりつぼ75点扇が枕に乗り、落ちた蝶が立っている
夢浮橋ゆめのうきはし100点落ちた蝶が立ち、枕と蝶に扇がかかって浮いている

最高得点の「夢浮橋」は、まさに夢のような形。
蝶が立ったまま、扇子が枕と蝶の両方にかかって地面につかない状態です。
経験豊富な愛好家でも一生に一度見られるかどうかという、幻の銘なんです。

「浮舟」は扇子を船に、的を帆に見立てた銘で、テレビ番組で俳優が出したことで話題になりました。
30点という高得点に、会場がどよめいたそうです。


流派別の点数比較

同じ銘でも流派によって点数が異なる例を見てみましょう。

銘名浅草投扇興都御流(京都)美扇流
手習無点(コツリで-1点)無点無点
花散里1点0点3点
松風3点8点8点
夕霧8点8点
野分過料30点過料50点過料50点

このように、流派ごとに点数設定が異なるため、どの銘定を使うかによって試合展開が大きく変わります。
投扇興を体験する際は、その場のルールを確認することが大切ですね。


銘定の種類

投扇興の銘定には、大きく分けて以下の種類があります。

源氏物語形式

最もポピュラーな形式で、源氏物語54帖の巻名が銘につけられています。
宮脇賣扇庵(みやわきばいせんあん)の点式が多くの団体でベースとなっており、投扇興の銘定の標準形といえます。

百人一首形式

日本投扇興連盟などが採用している形式で、百人一首の歌から銘を取っています。
31種類程度に集約されており、源氏物語形式より覚えやすいのが特徴。
「秋風」「千鳥」といった銘があります。

地域独自の形式

岡山の後楽園投扇興など、地域にゆかりのある名前を使う団体もあります。


投扇興を体験するには

投扇興に興味を持った方は、以下の場所で体験できます。

京都

  • 宮脇賣扇庵(扇子専門店で体験可能)
  • 白竹堂(予約制で体験会開催)

東京・浅草

  • 浅草投扇興保存振興会(定期的に例会を開催)
  • お座敷遊び体験イベント

全国各地

  • 日本投扇興連盟加盟団体
  • 各地の文化イベントや和の体験教室

道具一式はオンラインショップでも購入できるので、自宅で練習することも可能です。


まとめ

投扇興の点数は、扇子・蝶・枕が作り出す形の美しさと難易度によって決まります。

覚えておきたいポイント

  • 銘には源氏物語の巻名がつけられている
  • 最高得点は「夢浮橋」の100点
  • 「野分」(枕を倒す)は大幅減点
  • 流派によって点数が異なる
  • 難しく美しい形ほど高得点

扇子がふわりと舞い、的を倒す様子はとても優雅。
江戸時代から続く日本の伝統遊戯を、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

点数を覚えて遊べば、より深く投扇興の世界を楽しめるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました