夜空を見上げて「あの星は何だろう?」と思ったこと、ありませんか?
古代から現代まで、そんな疑問を追い求めてきた人たちがいます。
天文学者たちは、ときには命の危険を冒しながら、宇宙の謎を解き明かしてきました。
地球が宇宙の中心だと信じられていた時代に「太陽の周りを回っている」と主張したり、ブラックホールという想像を絶する天体の存在を予言したり。
彼らの勇気ある挑戦が、今の私たちの宇宙観を作り上げたんですね。
この記事では、歴史を変えた天文学者たちを時代ごとに紹介します。
後半には網羅的な一覧表も用意しているので、気になる天文学者を探してみてください。
天文学の始まり|古代の天文学者たち
天文学は人類最古の科学のひとつです。
古代の人々は星の動きを観察し、暦を作り、航海に利用していました。
ヒッパルコス(紀元前190年頃〜紀元前120年頃)
古代ギリシャの天文学者で、「古代最大の天文学者」と呼ばれています。
1080個の星を記録した星表を作成し、歳差運動(地球の自転軸がゆっくり動く現象)を発見しました。
三角法の基礎も築いたとされ、数学と天文学の両方で大きな足跡を残しています。
彼の観測データは、後の天文学者たちの土台になったんですね。
クラウディオス・プトレマイオス(83年頃〜168年頃)
古代ローマ時代の天文学者です。
地球を宇宙の中心とする「天動説」を完成させ、著書『アルマゲスト』にまとめました。
今では地動説が正しいとわかっていますが、プトレマイオスの理論は約1400年間も天文学の基礎とされていました。
間違った理論でも、それが科学の発展に貢献したという面白い例ですね。
ルネサンス期の革命|宇宙観を覆した天文学者たち
16〜17世紀、天文学は大きな転換期を迎えます。
地球中心の宇宙観から、太陽中心の宇宙観へ。
この革命を起こした天文学者たちを見ていきましょう。
ニコラウス・コペルニクス(1473年〜1543年)
ポーランドの天文学者で、「地動説の父」として知られています。
太陽を中心に地球や他の惑星が回っているという理論を提唱しました。
当時はキリスト教会が天動説を支持していたため、この主張は非常に危険でした。
コペルニクスは自分の理論をまとめた『天体の回転について』を臨終の床で出版したとされています。
ガリレオ・ガリレイ(1564年〜1642年)
イタリアの天文学者で、「望遠鏡天文学の父」と呼ばれています。
自作の望遠鏡で木星の4つの衛星(ガリレオ衛星)を発見し、金星の満ち欠けを観察しました。
これらの観測はコペルニクスの地動説を裏付けるものでしたが、それを公言したガリレオは宗教裁判にかけられ、終身軟禁となってしまいます。
「それでも地球は回っている」という言葉が有名ですが、実際に言ったかは定かではありません。
科学と信仰の対立を象徴する人物ですね。
ヨハネス・ケプラー(1571年〜1630年)
ドイツの天文学者です。
惑星は円軌道ではなく楕円軌道を描くという「ケプラーの惑星運動の法則」を発見しました。
この3つの法則は、後のニュートンの万有引力の法則の基礎になります。
ケプラーは師匠ティコ・ブラーエの膨大な観測データを分析して、この法則を導き出したんですね。
アイザック・ニュートン(1643年〜1727年)
イギリスの物理学者・天文学者です。
万有引力の法則を発見し、惑星の運動を数学的に説明しました。
りんごが木から落ちるのを見て万有引力を思いついたという話は有名ですが、実際はもっと複雑な思考過程があったようです。
ニュートンの理論は200年以上にわたって物理学と天文学の基礎となりました。
望遠鏡の時代|新たな発見の連続
18〜19世紀になると、望遠鏡の性能が飛躍的に向上します。
天文学者たちは次々と新しい天体を発見していきました。
ウィリアム・ハーシェル(1738年〜1822年)
ドイツ出身でイギリスで活躍した天文学者です。
1781年に天王星を発見し、初めて太陽系の惑星を追加した人物となりました。
自作の望遠鏡は当時世界最大級の性能を誇り、赤外線の発見もしています。
妹のキャロライン・ハーシェルも優れた天文学者で、彗星を8個発見しました。
シャルル・メシエ(1730年〜1817年)
フランスの天文学者で、彗星ハンターとして知られています。
彗星を探す際に紛らわしい天体をリスト化した「メシエカタログ」を作成しました。
このカタログには110個の天体(銀河、星雲、星団など)が含まれており、現在も天文愛好家に広く使われています。
アンドロメダ銀河はM31、オリオン大星雲はM42という具合に、Mナンバーで呼ばれているんですね。
20世紀の天文学|宇宙の真の姿を解き明かす
20世紀になると、天文学は急速に発展します。
宇宙の膨張、ブラックホールの存在、暗黒物質の発見など、驚くべき事実が次々と明らかになりました。
エドウィン・ハッブル(1889年〜1953年)
アメリカの天文学者です。
銀河が宇宙の彼方へ遠ざかっていること、つまり宇宙が膨張していることを発見しました。
それまで「宇宙は静的で変化しない」と考えられていたため、この発見は衝撃的でした。
ハッブル宇宙望遠鏡は彼の名前にちなんで命名されています。
カール・セーガン(1934年〜1996年)
アメリカの天文学者で、科学コミュニケーターとしても有名です。
テレビシリーズ『コスモス』は60か国以上で放送され、5億人以上が視聴しました。
ボイジャー探査機に搭載されたゴールデンレコード(地球の音や画像を収めたレコード)の制作にも携わっています。
「我々は星の子供である」という言葉が印象的ですね。
スティーヴン・ホーキング(1942年〜2018年)
イギリスの理論物理学者・天文学者です。
ブラックホールから放射が出るという「ホーキング放射」を理論的に予言しました。
21歳でALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、全身麻痺となりましたが、車椅子と音声合成装置を使って研究を続けました。
著書『ホーキング、宇宙を語る』は世界的ベストセラーになっています。
女性天文学者の貢献
歴史的に天文学は男性中心の分野でしたが、多くの女性天文学者が重要な貢献をしてきました。
ここでは代表的な女性天文学者を紹介します。
ヘンリエッタ・スワン・リービット(1868年〜1921年)
アメリカの天文学者です。
変光星の周期と明るさの関係を発見し、後に「リービットの法則」と呼ばれるようになりました。
この発見により、天文学者は遠い星や銀河までの距離を測定できるようになったんですね。
ハッブルもリービットの法則を使ってアンドロメダ銀河までの距離を測定しました。
セシリア・ペイン=ガポーシュキン(1900年〜1979年)
イギリス出身でアメリカで活躍した天文学者です。
星が主に水素とヘリウムでできていることを明らかにしました。
当初この発見は信じられませんでしたが、後に正しいと証明されます。
1956年、ハーバード大学で初めて女性の学部長になりました。
ジョスリン・ベル・バーネル(1943年〜)
イギリスの天文学者です。
大学院生のときにパルサー(電波を発する中性子星)を発見しました。
この発見でノーベル賞が授与されましたが、受賞したのは指導教授だけで、発見者の彼女は受賞できませんでした。
この件は科学界で大きな議論を呼び、女性科学者への評価の問題を浮き彫りにしたんですね。
現代の天文学|新時代の探求者たち
現代の天文学は、望遠鏡技術の進歩とコンピューターの発展により、かつてない精度で宇宙を観測できるようになっています。
ブラックホールの撮影、系外惑星の発見、宇宙の加速膨張の観測など、驚くべき成果が続々と生まれています。
ニール・ドグラース・タイソンは科学コミュニケーターとして活躍し、天文学の魅力を広く伝えています。
ジル・ターターはSETI(地球外知的生命体探査)研究所の共同設立者として、地球外生命の探索を続けています。
日本でも多くの天文学者が活躍していますが、国際的な協力体制が進む現代では、国籍を超えた研究が主流になっているんですね。
主要な天文学者一覧表
ここまで紹介した天文学者に加え、歴史上重要な貢献をした天文学者を時代別にまとめました。
興味のある天文学者を探してみてください。
古代〜中世の天文学者
| 名前 | 国・地域 | 生没年 | 主な業績 |
|---|---|---|---|
| タレス | ギリシャ | 紀元前624年頃〜紀元前546年頃 | 日食の予言、天文学への哲学的アプローチ |
| ピタゴラス | ギリシャ | 紀元前570年頃〜紀元前495年頃 | 宇宙の数学的秩序の提唱 |
| エウドクソス | ギリシャ | 紀元前408年頃〜紀元前355年頃 | 同心天球説の提唱 |
| アリストテレス | ギリシャ | 紀元前384年〜紀元前322年 | 天動説の哲学的基礎の確立 |
| アリスタルコス | ギリシャ | 紀元前310年頃〜紀元前230年頃 | 地動説の最初の提唱者 |
| エラトステネス | ギリシャ | 紀元前276年〜紀元前195年 | 地球の大きさの測定 |
| ヒッパルコス | ギリシャ | 紀元前190年頃〜紀元前120年頃 | 星表の作成、歳差運動の発見 |
| クラウディオス・プトレマイオス | ローマ | 83年頃〜168年頃 | 天動説の完成、『アルマゲスト』の著述 |
| 張衡 | 中国 | 78年〜139年 | 渾天儀の改良、地動儀の発明 |
| アリヤバータ | インド | 476年〜550年 | 地球の自転の提唱、惑星運動の計算 |
ルネサンス期〜17世紀の天文学者
| 名前 | 国 | 生没年 | 主な業績 |
|---|---|---|---|
| ニコラウス・コペルニクス | ポーランド | 1473年〜1543年 | 地動説の提唱、『天体の回転について』の著述 |
| ティコ・ブラーエ | デンマーク | 1546年〜1601年 | 精密な天体観測、超新星の観測 |
| ヨハネス・ケプラー | ドイツ | 1571年〜1630年 | 惑星運動の3法則の発見 |
| ガリレオ・ガリレイ | イタリア | 1564年〜1642年 | 望遠鏡による天体観測、木星の衛星の発見 |
| クリスティアーン・ホイヘンス | オランダ | 1629年〜1695年 | 土星の環の正体の解明、タイタンの発見 |
| ジョヴァンニ・カッシーニ | イタリア/フランス | 1625年〜1712年 | 土星の衛星の発見、カッシーニの間隙の発見 |
| アイザック・ニュートン | イギリス | 1643年〜1727年 | 万有引力の法則、反射望遠鏡の発明 |
| エドモンド・ハレー | イギリス | 1656年〜1742年 | ハレー彗星の軌道計算と周期の予測 |
18世紀〜19世紀の天文学者
| 名前 | 国 | 生没年 | 主な業績 |
|---|---|---|---|
| シャルル・メシエ | フランス | 1730年〜1817年 | メシエカタログの作成、19個の彗星の発見 |
| ウィリアム・ハーシェル | ドイツ/イギリス | 1738年〜1822年 | 天王星の発見、赤外線の発見 |
| キャロライン・ハーシェル | ドイツ/イギリス | 1750年〜1848年 | 8個の彗星の発見、星雲の発見 |
| ピエール=シモン・ラプラス | フランス | 1749年〜1827年 | 太陽系の安定性の証明、星雲説の提唱 |
| ジュゼッペ・ピアッツィ | イタリア | 1746年〜1826年 | 最初の小惑星ケレスの発見 |
| フリードリヒ・ベッセル | ドイツ | 1784年〜1846年 | 恒星の年周視差の最初の測定 |
| ウィリアム・ヘンリー・ピッカリング | アメリカ | 1858年〜1938年 | 土星の衛星フェーベの発見 |
| アニー・ジャンプ・キャノン | アメリカ | 1863年〜1941年 | 恒星のスペクトル分類システムの確立 |
20世紀前半の天文学者
| 名前 | 国 | 生没年 | 主な業績 |
|---|---|---|---|
| ヘンリエッタ・スワン・リービット | アメリカ | 1868年〜1921年 | 変光星の周期光度関係の発見 |
| カール・シュヴァルツシルト | ドイツ | 1873年〜1916年 | ブラックホールの数学的記述 |
| ハーロー・シャプレー | アメリカ | 1885年〜1972年 | 銀河系の大きさと太陽の位置の決定 |
| エドウィン・ハッブル | アメリカ | 1889年〜1953年 | 宇宙の膨張の発見、銀河の分類 |
| セシリア・ペイン=ガポーシュキン | イギリス/アメリカ | 1900年〜1979年 | 星の化学組成の解明 |
| ジョージ・ガモフ | ロシア/アメリカ | 1904年〜1968年 | ビッグバン理論の提唱 |
| フレッド・ホイル | イギリス | 1915年〜2001年 | 元素合成理論の構築 |
| フリッツ・ツヴィッキー | スイス/アメリカ | 1898年〜1974年 | 暗黒物質の存在の示唆、超新星の研究 |
20世紀後半〜現代の天文学者
| 名前 | 国 | 生没年 | 主な業績 |
|---|---|---|---|
| カール・セーガン | アメリカ | 1934年〜1996年 | 科学コミュニケーション、地球外生命探査 |
| ヴェラ・ルービン | アメリカ | 1928年〜2016年 | 暗黒物質の存在の証拠の提示 |
| スティーヴン・ホーキング | イギリス | 1942年〜2018年 | ブラックホール理論、ホーキング放射 |
| ジョスリン・ベル・バーネル | イギリス | 1943年〜 | パルサーの発見 |
| ジル・ターター | アメリカ | 1944年〜 | SETI研究の推進 |
| ロジャー・ペンローズ | イギリス | 1931年〜 | ブラックホール形成理論(2020年ノーベル物理学賞) |
| ラインハルト・ゲンツェル | ドイツ | 1952年〜 | 銀河中心の超大質量ブラックホールの発見(2020年ノーベル物理学賞) |
| アンドレア・ゲズ | アメリカ | 1965年〜 | 銀河中心の超大質量ブラックホールの発見(2020年ノーベル物理学賞) |
| ミシェル・マイヨール | スイス | 1942年〜 | 系外惑星の最初の発見(2019年ノーベル物理学賞) |
| ディディエ・ケロー | スイス | 1966年〜 | 系外惑星の最初の発見(2019年ノーベル物理学賞) |
| ニール・ドグラース・タイソン | アメリカ | 1958年〜 | 科学コミュニケーション、ヘイデン・プラネタリウム館長 |
日本の主要な天文学者
| 名前 | 生没年 | 主な業績 |
|---|---|---|
| 渋川春海 | 1639年〜1715年 | 日本初の国産暦「貞享暦」の作成 |
| 伊能忠敬 | 1745年〜1818年 | 天文測量による日本地図の作成 |
| 木村栄 | 1870年〜1943年 | Z項の発見(緯度変化の研究) |
| 平山清次 | 1874年〜1943年 | 小惑星族の発見 |
| 小柴昌俊 | 1926年〜2020年 | ニュートリノ天文学の創始(2002年ノーベル物理学賞) |
| 佐藤勝彦 | 1945年〜 | インフレーション宇宙論の提唱 |
| 梶田隆章 | 1959年〜 | ニュートリノ振動の発見(2015年ノーベル物理学賞) |
まとめ
- 天文学は人類最古の科学で、古代から多くの天文学者が宇宙の謎に挑んできた
- コペルニクス、ガリレオ、ケプラーが地動説を確立し、ニュートンが万有引力で惑星の運動を説明した
- ハッブルは宇宙の膨張を発見し、宇宙観を一変させた
- ホーキングはブラックホール理論で宇宙物理学に革命をもたらした
- リービット、ペイン、ルービンなど、女性天文学者も重要な貢献をしてきた
- 現代の天文学は、望遠鏡技術とコンピューターの発展により、かつてない発見を続けている
天文学者たちは、ときには命をかけて真実を追求してきました。
彼らの好奇心と勇気が、私たちの宇宙観を形作ってきたんですね。
夜空を見上げるとき、そんな歴史を思い出してみてください。


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