天部一覧|仏教の守護神たちを総まとめ【30柱以上を網羅】

神話・歴史・伝承

お寺で「毘沙門天」「弁財天」「大黒天」といった名前を見たことはありませんか?

これらはすべて、仏教における「天部(てんぶ)」と呼ばれる神々の名前です。

もともとはインドの神話に登場する神々でしたが、仏教に取り入れられて仏法を守る存在となりました。
四天王や七福神の一部も、実はこの天部に属しています。

「名前は聞いたことあるけど、どんな神様なの?」「種類が多すぎて整理できない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、仏教の守護神である天部の神々を、グループごとにわかりやすく一覧形式でご紹介します。


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天部ってどんな存在?

天部(てんぶ)は、サンスクリット語の「デーヴァ(deva)」を漢訳した言葉です。
「デーヴァ」は「神」を意味し、ギリシャ神話のゼウスやキリスト教のデウスと同じ語源を持っています。

仏教では、仏像の階層として以下のように分類されます。

階層尊格特徴
第1位如来(にょらい)悟りを開いた最高の存在
第2位菩薩(ぼさつ)悟りを求めて修行中の存在
第3位明王(みょうおう)怒りの姿で人々を導く存在
第4位天部(てんぶ)仏法を守護する神々

天部は如来・菩薩・明王に次ぐ存在で、仏法と仏教徒を守る役割を担っています。


天部の2つのタイプ

天部の神々は、大きく2つのグループに分けられます。

貴顕天部(きけんてんぶ)

貴族のような優雅な姿をした天部です。

  • 男神形:梵天、帝釈天など
  • 女神形:吉祥天、弁財天など

武装天部(ぶそうてんぶ)

甲冑を身につけた武将のような姿の天部です。

  • 武将形:四天王、十二神将など
  • 鳥獣形:迦楼羅天(鳥の顔)など
  • 鬼神形:風神、雷神など

最も重要な天部|梵天・帝釈天

天部の中でも最上位に位置する2柱の神々です。
お釈迦様の説法を勧め、仏教成立に深く関わったとされています。

名前読み方サンスクリット名役割・特徴
梵天ぼんてんブラフマー宇宙創造の神。お釈迦様に説法を勧めた
帝釈天たいしゃくてんインドラ天界の王。須弥山の頂上に住む

この2柱は「梵釈」と並び称され、釈迦如来の脇侍として祀られることが多いのが特徴です。


四天王

仏教の世界観で須弥山の中腹に住み、東西南北の四方を守護する4柱の神々です。
お寺のお堂の四隅に立っている姿をよく見かけます。

方位名前読み方サンスクリット名持ち物・特徴
持国天じこくてんドゥリタラーシュトラ刀を持つ
増長天ぞうちょうてんヴィルーダカ剣を持つ
西広目天こうもくてんヴィルーパークシャ筆と巻物を持つ
多聞天たもんてんヴァイシュラヴァナ宝塔と槍を持つ

多聞天は単独で祀られる場合「毘沙門天(びしゃもんてん)」と呼ばれ、七福神の一柱としても有名です。


十二天

密教で重視される12柱の護法神です。
八方(東西南北と四隅)に天地の2天、日月の2天を加えた構成になっています。

八方天(はっぽうてん)

方位名前読み方起源・特徴
帝釈天たいしゃくてんインドラ神。天界の王
東南火天かてんアグニ神。火を司る
焔摩天えんまてんヤマ神。冥界の王
西南羅刹天らせつてんラークシャサ。鬼神の王
西水天すいてんヴァルナ神。水を司る
西北風天ふうてんヴァーユ神。風を司る
毘沙門天びしゃもんてんクベーラ神。財宝と北方を守護
東北伊舎那天いしゃなてんシヴァ神の化身

天地・日月の天

区分名前読み方起源・特徴
天(上方)梵天ぼんてんブラフマー神。天上を守護
地(下方)地天じてんプリティヴィー神。大地を守護
日天にってんスーリヤ神。太陽を司る
月天がってんチャンドラ神。月を司る

女神系の天部

天部には美しい女神も多く含まれています。
福徳をもたらす存在として、古くから信仰されてきました。

名前読み方サンスクリット名ご利益・特徴
吉祥天きちじょうてんラクシュミー美と幸福の女神。毘沙門天の妃
弁財天べんざいてんサラスヴァティー音楽・学問・財福の女神。七福神の一柱
訶梨帝母かりていもハーリティー鬼子母神。子どもと安産の守護神
摩利支天まりしてんマーリーチー陽炎の女神。戦勝の守護神
伎芸天ぎげいてん芸能・技芸の女神

弁財天は七福神の中で唯一の女性で、琵琶を持った天女の姿で描かれます。


その他の重要な単独天部

福徳・財宝の神

名前読み方サンスクリット名ご利益・特徴
大黒天だいこくてんマハーカーラ財福・五穀豊穣。七福神の一柱
歓喜天かんぎてんガネーシャ象の頭を持つ。夫婦和合・子宝
荼枳尼天だきにてんダーキニー狐に乗る天女。稲荷信仰と融合

護法・守護の神

名前読み方サンスクリット名ご利益・特徴
金剛力士こんごうりきしヴァジュラパーニ仁王。寺門を守護する二体一対の像
韋駄天いだてんスカンダ足の速い守護神。禅宗の寺院で祀られる
深沙大将じんじゃたいしょう玄奘三蔵を守護した砂漠の神
大自在天だいじざいてんマヘーシュヴァラシヴァ神の別名。宇宙の支配者

時間・自然の神

名前読み方サンスクリット名ご利益・特徴
閻魔天えんまてんヤマ冥界の王。死者を裁く
風神ふうじんヴァーユ風を司る鬼神
雷神らいじんヴァジュラ雷を司る鬼神

八部衆(天龍八部衆)

釈迦如来に従う8種類の護法神です。
もともとはインドの神々でしたが、釈迦の教えに帰依して守護神となりました。

名前読み方サンスクリット名特徴
てんデーヴァ天界に住む神々の総称
りゅうナーガ蛇神。水や雨を司る
夜叉やしゃヤクシャ鬼神。財宝を守護
乾闘婆けんだつばガンダルヴァ音楽の神。香りを食べる
阿修羅あしゅらアスラ戦いの神。帝釈天と争った
迦楼羅かるらガルーダ鳥の姿の神。毒蛇を食べる
緊那羅きんならキンナラ半身半獣の音楽神
摩睺羅伽まごらかマホーラガ大蛇の神

奈良・興福寺の八部衆像は、阿修羅像が特に有名です。


十二神将

薬師如来を守護する12柱の武神です。
十二支と結びつき、各方位と時間帯を守護します。

名前読み方干支守護する方位
宮毘羅大将くびらたいしょう子(ねずみ)
伐折羅大将ばさらたいしょう丑(うし)北北東
迷企羅大将めきらたいしょう寅(とら)東北東
安底羅大将あんていらたいしょう卯(うさぎ)
頞儞羅大将あにらたいしょう辰(たつ)東南東
珊底羅大将さんていらたいしょう巳(へび)南南東
因達羅大将いんだらたいしょう午(うま)
波夷羅大将はいらたいしょう未(ひつじ)南南西
摩虎羅大将まこらたいしょう申(さる)西南西
真達羅大将しんだらたいしょう酉(とり)西
招杜羅大将しょうとらたいしょう戌(いぬ)西北西
毘羯羅大将びからたいしょう亥(いのしし)北北西

奈良・新薬師寺の十二神将像は、奈良時代の作品として国宝に指定されています。


二十八部衆

千手観音を守護する28柱の神々です。
三十三間堂では、千手観音像の前に二十八部衆と風神雷神が安置されています。

主要な二十八部衆

名前読み方特徴
大梵天王だいぼんてんおう梵天と同一
帝釈天王たいしゃくてんおう帝釈天と同一
大弁功徳天だいべんくどくてん吉祥天・弁財天と同一
難陀龍王なんだりゅうおう八大龍王のリーダー
沙羯羅龍王しゃがらりゅうおう海底の龍王
阿修羅王あしゅらおう帝釈天と戦った戦神
迦楼羅王かるらおう鳥の姿の神
緊那羅王きんならおう音楽の神
摩醯首羅王まけいしゅらおう大自在天(シヴァ神)と同一
金色孔雀王こんじきくじゃくおう孔雀明王と同一視される
密迹金剛士みっしゃくこんごうし仁王の吽形
那羅延堅固王ならえんけんごおう仁王の阿形
婆藪仙人ばすせんにん仏法を守護する仙人
摩和羅女まわらにょ観音信者を守る女性

二十八部衆はそれぞれが500の眷属を率いているとされ、総勢14,000もの神々が千手観音を守護していることになります。


七福神と天部の関係

七福神のうち、以下の3柱が天部に属しています。

名前天部としての名前起源
毘沙門天多聞天(四天王)インド神話のクベーラ
弁財天弁財天インド神話のサラスヴァティー
大黒天大黒天インド神話のマハーカーラ

残りの恵比寿・福禄寿・寿老人・布袋は、日本の神様や中国の道教に由来しています。


天部 完全一覧【30柱以上】

最上位の天部

名前読み方分類
梵天ぼんてん単独
帝釈天たいしゃくてん十二天

四天王

名前読み方方位
持国天じこくてん
増長天ぞうちょうてん
広目天こうもくてん西
多聞天(毘沙門天)たもんてん

十二天

名前読み方司る領域
梵天ぼんてん天(上方)
帝釈天たいしゃくてん東方
火天かてん東南
焔摩天えんまてん南方
羅刹天らせつてん西南
水天すいてん西方
風天ふうてん西北
毘沙門天びしゃもんてん北方
伊舎那天いしゃなてん東北
地天じてん地(下方)
日天にってん太陽
月天がってん

女神系天部

名前読み方ご利益
吉祥天きちじょうてん美・幸福
弁財天べんざいてん音楽・学問・財福
訶梨帝母(鬼子母神)かりていも安産・子育て
摩利支天まりしてん戦勝・開運
伎芸天ぎげいてん芸能・技芸
荼枳尼天だきにてん商売繁盛

その他の単独天部

名前読み方特徴
大黒天だいこくてん財福・五穀豊穣
歓喜天(聖天)かんぎてん夫婦和合・子宝
金剛力士こんごうりきし寺門守護
韋駄天いだてん走りの神
閻魔天えんまてん冥界の王
大自在天だいじざいてん宇宙の支配者
鳩摩羅天くまらてん戦いの神
深沙大将じんじゃたいしょう旅の守護
妙見菩薩みょうけんぼさつ北極星の化身
風神ふうじん風を司る
雷神らいじん雷を司る

八部衆

名前読み方種族
天衆てんしゅう天界の神
龍衆りゅうしゅう龍神
夜叉衆やしゃしゅう鬼神
乾闘婆衆けんだつばしゅう音楽神
阿修羅衆あしゅらしゅう戦神
迦楼羅衆かるらしゅう鳥神
緊那羅衆きんならしゅう半身半獣
摩睺羅伽衆まごらかしゅう大蛇神

まとめ

天部は、仏教の世界で仏法と信者を守護する神々の総称です。

もともとはインドのバラモン教やヒンドゥー教の神々でしたが、仏教に取り入れられて護法善神となりました。

グループ主な天部役割
梵天・帝釈天梵天、帝釈天天部の最上位
四天王持国天、増長天、広目天、多聞天四方の守護
十二天帝釈天、毘沙門天など12柱密教の護法神
女神系吉祥天、弁財天、鬼子母神など福徳をもたらす
八部衆阿修羅、迦楼羅など8種族釈迦如来の眷属
十二神将宮毘羅大将など12柱薬師如来の眷属
二十八部衆28柱の神々千手観音の眷属

天部の神々は、お寺の本堂や門で私たちを見守っています。

興味を持った天部がいたら、ぜひお寺を訪れて実際に仏像を見てみてください。
それぞれの表情や持ち物から、その神様の性格や役割が見えてくるはずです。

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