【復讐の妖術使い】滝夜叉姫(たきやしゃひめ)とは?平将門の娘が鬼女となった悲劇を解説!

神話・歴史・伝承

父を殺された娘が、復讐のために妖術を身につけて朝廷に立ち向かう……まるで映画のような話が、平安時代の日本にあったって知っていますか?

滝夜叉姫(たきやしゃひめ)」は、平将門の娘として生まれ、父の無念を晴らすために妖術使いとなった伝説の女性です。彼女が呼び出した巨大な骸骨は、後に「がしゃどくろ」という妖怪の原型にもなったんですよ。

歌川国芳の有名な浮世絵『相馬の古内裏』にも描かれ、今も多くの人々の心を捉えて離さない滝夜叉姫。

この記事では、父への愛と復讐心から鬼女となった滝夜叉姫について、その姿や妖術、そして悲劇的な物語をわかりやすくご紹介します。

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概要

滝夜叉姫は、平安時代の武将・平将門(たいらのまさかど)の娘とされる伝説上の妖術使いです。

本来の名前は五月姫(さつきひめ)または滝姫(たきひめ)といい、父の死後に復讐の鬼となって「滝夜叉姫」と名乗るようになりました。

滝夜叉姫の基本情報

  • 本名:五月姫(さつきひめ)、滝姫(たきひめ)
  • 父親:平将門
  • 活動地域:下総国(現在の茨城県・千葉県)
  • 時代:平安時代(10世紀頃)
  • 種族:人間から鬼女へ変化
  • 特殊能力:妖術(死者の蘇生、骸骨の召喚など)

実は滝夜叉姫の物語は、史実と創作が混ざり合っています。

『元亨釈書』に記された平将門の娘・如蔵尼という実在の人物をモデルに、江戸時代の作家・山東京伝が読本『善知安方忠義伝』で創作した部分が加わって、現在の滝夜叉姫伝説ができあがったんです。

姿・見た目

滝夜叉姫の姿は、美しい女性から恐ろしい鬼女まで、状況によって変化します。

人間時代の姿

  • 平将門の娘らしい気品ある姿
  • 美しい女性として描かれることが多い

鬼女となった後の姿

  • 怨念に満ちた恐ろしい表情
  • 妖術を使う際は妖気を放つ
  • 歌川国芳の浮世絵では凄みのある美女として描かれる

特に有名なのが、歌川国芳の『相馬の古内裏』に描かれた姿です。

巨大な骸骨を背に、堂々と立つ滝夜叉姫の姿は、美しさと恐ろしさを併せ持つ印象的な描写となっています。

特徴

滝夜叉姫の最大の特徴は、強力な妖術を使えることです。

滝夜叉姫の妖術

  • 死者を蘇らせる
  • 骸骨の妖怪を召喚する
  • 怨霊を操る
  • 妖魔を従える

これらの妖術は、貴船明神から授かったものだといわれています。

妖術を得た経緯

  1. 父・平将門が討たれて一族が滅ぼされる
  2. 生き残った五月姫が怨念を募らせる
  3. 貴船明神の社に丑三つ時に参る(丑の刻参り)
  4. 満願の21夜目に貴船明神の荒御霊の声を聞く
  5. 妖術を授けられ、滝夜叉姫となる

貴船明神は京都にある神社で、丑の刻参りで有名な場所です。深夜に白装束で釘を打つという呪いの儀式を21日間続けたことで、神から妖術を授かったんですね。

伝承と起源

滝夜叉姫の物語は、歴史的事実と後世の創作が複雑に絡み合っています。

天慶の乱と平将門の死

939年から940年にかけて、平将門は関東で朝廷に反乱を起こしました。これが天慶の乱です。

将門は一時期「新皇」を名乗り、関東に独立国家を作ろうとしましたが、平貞盛と藤原秀郷(田原藤太)によって討たれてしまいます。

滝夜叉姫の復讐劇

父の死後、生き残った五月姫は復讐を決意します。

復讐の経緯

  1. 下総国(茨城県・千葉県)の相馬の城に戻る
  2. 夜叉丸や蜘蛛丸などの手下を集める
  3. 朝廷転覆の反乱を企てる
  4. 朝廷が先手を打って討伐軍を派遣
  5. 大宅中将光圀と山城光成が攻めてくる
  6. 巨大な骸骨の妖怪を召喚して応戦
  7. 激闘の末に敗北

最期についての諸説

滝夜叉姫の最期については、いくつかの説があります。

様々な最期

  • 死して平将門のもとに昇天した
  • 尼寺に入って生涯を過ごした
  • 自害して五月姫の姿に戻った
  • 憤死した後、穏やかな顔を取り戻した

茨城県つくば市の東福寺近くには、滝夜叉姫の墓とされる小さな塚が今も残っています。地元では「滝夜盛姫(たきやもりひめ)」とも呼ばれているそうです。

起源:如蔵尼から滝夜叉姫へ

歴史的には、平将門には如蔵尼という娘がいたことが『元亨釈書』に記されています。

福島県磐梯町の恵日寺にある如蔵尼の墓碑には「将門の死後に再興を図ったが失敗し出家した」と刻まれているんです。この実在の人物が、後の滝夜叉姫伝説の元になったと考えられています。

江戸時代になると、山東京伝が『善知安方忠義伝』でこの話を脚色し、妖術使いとしての滝夜叉姫像が確立しました。

まとめ

滝夜叉姫は、父への愛と復讐心が生んだ悲劇の妖術使いです。

滝夜叉姫の重要ポイント

  • 平将門の娘・五月姫が復讐の鬼女となった
  • 貴船明神から妖術を授かった
  • 巨大な骸骨を召喚して朝廷軍と戦った
  • 歌川国芳の『相馬の古内裏』で有名に
  • 実在の如蔵尼がモデルとなった伝説

滝夜叉姫の物語は、単なる復讐譚ではありません。

父を慕い、一族の無念を晴らそうとした女性の悲しい物語でもあるんです。

現代では、滝夜叉姫が呼び出した骸骨が「がしゃどくろ」という妖怪の原型となり、ゲームやアニメなどでも人気のキャラクターとして生き続けています。

1000年以上前の歴史的事件が、今も私たちの想像力をかき立て続けているのは、滝夜叉姫の物語が持つ普遍的な魅力の証といえるでしょう。

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