【最強の猿妖怪】孫悟空(そんごくう)とは?石から生まれた斉天大聖の姿と伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

石の卵から生まれ、天界を震え上がらせた猿の妖怪がいるのをご存知でしょうか?

如意棒を振り回し、筋斗雲で空を飛び、七十二変化で姿を自在に変える。そんなスーパーヒーローのような存在が、実は最初はとんでもない暴れん坊だったんです。

中国の四大奇書『西遊記』の主人公として、今も世界中で愛される孫悟空。三蔵法師のお供として旅をする姿は有名ですが、実はその前に天界で大暴れして、お釈迦様に封印されていたことはご存知でしたか?

この記事では、東アジアで最も有名な妖怪の一つ「孫悟空」について、その誕生から成仏までの波乱万丈な物語をやさしく解説します。

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概要

孫悟空(そんごくう)は、中国の古典小説『西遊記』の主人公として登場する猿の大妖怪です。

もともとは東勝神州の花果山にあった霊石から生まれた石猿で、仙術を学んで七十二変化の術を身につけ、如意金箍棒という伸縮自在の武器を手に入れて天界で大暴れ。その後、釈迦如来に封印されましたが、500年後に三蔵法師のお供として西天取経の旅に出ることになります。

暴れん坊から始まり、最終的には「闘戦勝仏」という仏の位を授かるまでに成長する、まさに波乱万丈な妖怪なんですね。

系譜

石から生まれた特別な存在

孫悟空の出自はとても特殊です。普通の猿ではなく、天地開闢から天地の精気を吸い続けた霊石が割れて生まれた存在なんです。

『西遊記』第七回では、孫悟空の本体は実は「光明一顆摩尼珠」(光り輝く宝珠)だと明かされています。つまり、もともと神聖な宝物だったということですね。

師弟関係と義兄弟

孫悟空の人間関係(?)も興味深いものがあります。

師匠:須菩提祖師(すぼだいそし)

  • 西牛賀州の仙人で、孫悟空に仙術を教えた恩師
  • 「孫悟空」という名前を授けた人物

義兄弟:七大聖

  • 牛魔王(長兄)
  • 蛟魔王、鵬魔王、獅駝王、獼猴王、𤟹狨王
  • みんなで「大聖」を名乗った妖怪仲間

姿・見た目

独特な外見

『西遊記』での孫悟空の姿は、実はそんなにかわいくありません。

原作での描写によると:

  • 「毛臉雷公嘴」(毛むくじゃらの顔に雷神のような口)
  • 「七高八低孤拐臉」(でこぼこした顔)
  • 黄色い目と飛び出た額
  • 牙が外に突き出ている

身長については諸説ありますが、人間と同じくらいか、やや小さいくらいとされています。

装備品

孫悟空といえば、特徴的な装備品がありますね。

主な装備

  • 鳳翅紫金冠(ほうしきんかん):羽飾りの付いた金の冠
  • 鎖子黄金甲(さしこうごんこう):金の鎖でできた鎧
  • 藕絲歩雲履(ぐうしほうんり):雲の上を歩ける靴
  • 如意金箍棒(にょいきんこぼう):伸縮自在の棒

特徴

超人的な能力

孫悟空の能力は、まさに規格外です。

主要な神通力

  • 七十二変化:72種類の変身術(実際は無限の変化を表す)
  • 筋斗雲(きんとうん):一回の宙返りで10万8千里(約5万4千km)を飛ぶ
  • 分身の術:体毛を抜いて無数の分身を作る
  • 火眼金睛(かがんきんせい):妖怪の正体を見破る目
  • 不死身の体:刀も斧も効かない鋼鉄の体

性格の変化

物語の中で、孫悟空の性格は大きく変化していきます。

初期

  • 傲慢で暴れん坊
  • 自信過剰で反抗的
  • 「斉天大聖」を自称するほどの自尊心

取経の旅以降

  • 三蔵法師を守る忠実な弟子
  • 仲間思いで正義感が強い
  • 知恵と機転を利かせる賢さ

伝承

天界での大暴れ(大鬧天宮)

孫悟空の最も有名なエピソードは、天界で大暴れした「大鬧天宮(だいどうてんぐう)」です。

暴れるまでの経緯

  1. 天界から「弼馬温」(馬の世話係)に任命される
  2. 地位の低さに怒って天界から逃走
  3. 斉天大聖」を自称して反乱
  4. 天界の桃園の仙桃を食べ尽くす
  5. 太上老君の金丹(不老不死の薬)を全部食べる
  6. 天兵10万人と大戦争

結局、二郎真君と太上老君の協力でようやく捕まりますが、八卦炉で焼かれても死なず、逆に火眼金睛を身につけてパワーアップ。最後は釈迦如来の手のひらから逃げられず、五行山に500年間封印されることになります。

西天取経の旅

500年後、観世音菩薩の計らいで三蔵法師の弟子となり、豬八戒、沙悟浄、白龍馬とともに天竺への旅に出ます。

旅での活躍

  • 八十一の災難を乗り越える
  • 白骨夫人、牛魔王、紅孩児など強敵と戦う
  • 三蔵法師を妖怪から守り抜く
  • 知恵と武力で仲間を救う

最終的に取経を成功させ、その功績で「闘戦勝仏」という仏の位を授かります。

出典・起源

文学作品での変遷

孫悟空は時代とともに姿を変えてきました。

主な登場作品

  • 宋代『大唐三蔵取経詩話』:白衣の秀才姿の「猴行者」として登場
  • 元代『西遊記雑劇』:「通天大聖」として登場
  • 明代『西遊記』(呉承恩):現在知られる孫悟空の完成形

諸説ある原型

孫悟空のモデルについては、いくつかの説があります。

主な起源説

  1. ハヌマーン説:インドの叙事詩『ラーマーヤナ』の猿神がモデル
  2. 無支祁説:中国神話の水神で猿の姿をした妖怪が原型
  3. 悟空法師説:唐代の実在の僧侶(731-812年)から名前を借用
  4. 福建猴神説:福建省の猿神信仰が影響

どの説も決定的ではありませんが、様々な要素が混ざり合って今の孫悟空が生まれたと考えられています。

まとめ

孫悟空は、石から生まれた猿の妖怪から、最終的に仏となるまでの壮大な成長物語の主人公です。

重要なポイント

  • 霊石から生まれた特別な存在で、本体は摩尼珠
  • 七十二変化筋斗雲など超人的な能力を持つ
  • 斉天大聖を自称して天界で大暴れ
  • 五行山に500年間封印された後、三蔵法師の弟子に
  • 八十一の災難を乗り越えて闘戦勝仏になる

暴れん坊から守護者へ、そして最後は仏へ。孫悟空の物語は、どんな存在でも努力と経験によって成長し、悟りを開くことができるという希望のメッセージでもあるんですね。

現代でも『ドラゴンボール』の孫悟空をはじめ、世界中で愛されるキャラクターとして生き続けている孫悟空。
その魅力は、強さだけでなく、失敗を重ねながらも成長していく人間味(?)あふれる姿にあるのかもしれません。

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