太陽って、どこの国でも神様として崇められていたって知っていますか?
エジプトでも、日本でも、南米でも——古代の人々にとって、太陽は命そのものでした。
毎日昇っては沈み、暖かさと光をもたらす太陽。これを神様と見なすのは、ある意味当然だったのかもしれませんね。
この記事では、世界各地で信仰されてきた太陽の神様たちを一覧形式で紹介します。
太陽神とは?
太陽神(たいようしん)は、太陽そのものを神格化した存在のこと。
古代より世界各地で崇拝され、多くの神話や宗教において中心的な役割を果たしてきました。
太陽は生命の源です。
農作物を育て、暗闇を照らし、時間の流れを示す——だからこそ、太陽神は単なる自然神ではなく、創造神や最高神として扱われることも多いんですね。
興味深いのは、世界中で独立して太陽信仰が生まれたという点。
国際的な交流がほとんどなかった時代に、まったく異なる文化圏で同じように太陽を神として崇めていたんです。
太陽神は男?女?
太陽神といえば男神のイメージが強いかもしれません。
実際、エジプトのラー、ギリシャのヘーリオス、インカのインティなど、有名どころは確かに男神が多いんです。
でも実は、もともと太陽神は女神の方が主流だったという説もあります。
日本の天照大御神、北欧のソール、バルト神話のサウレなど、太陽を女神とする神話も少なくありません。
一部の神話学者は「ギリシャやエジプトの男神が有名になりすぎて、太陽神=男神というイメージが定着してしまった」と指摘しています。
オーストラリアの先住民神話では、ほとんどの文化で太陽は女性として描かれているんですよ。
代表的な太陽の神様
世界には数多くの太陽神が存在しますが、ここでは地域ごとに代表的な神様を紹介します。
エジプト神話の太陽神
ラー
古代エジプト最高神の一柱。
鷹の頭を持ち、太陽円盤を冠として戴く姿で描かれます。
ラーは毎日、太陽の船に乗って空を旅すると信じられていました。
昼は天空を、夜は冥界を航海し、朝になるとまた東から昇ってくる——この旅が太陽の日周運動を表しているんですね。
エジプトのファラオ(王)たちは、自らをラーの子孫と称しました。
ホルス
鷹の頭を持つ空と太陽の神。
王権の象徴でもあり、ファラオはホルスの化身とされていました。
アテン
太陽円盤そのものを神格化した存在。
ファラオのアクエンアテンが唯一神として崇め、宗教改革を行ったことで知られています。
日本神話の太陽神
天照大御神
日本神話における最高神の一柱で、太陽の女神。
皇室の祖先神とされ、伊勢神宮に祀られています。
有名なのが「天岩戸隠れ」の神話。
弟のスサノオの乱暴に怒った天照大御神が、岩戸に隠れてしまったため、世界が真っ暗闇に。
困った神々が宴会を開いて天照大御神を誘い出し、ようやく世界に光が戻った——という物語です。
ギリシャ神話の太陽神
ヘーリオス
ギリシャ神話の太陽神。
黄金の馬車に乗って毎日空を駆け、太陽を運んでいたとされます。
「太陽の神といえばアポローン」と思う方も多いでしょう。
でも実は、古代ギリシャで太陽神とされていたのはヘーリオスの方なんです。
アポローンが太陽神と同一視されるようになったのは、後の時代のこと。
現代ギリシャ語で「太陽」を意味する言葉も、ヘーリオスに由来しています。
アポローン
音楽・芸術・予言の神として知られますが、後に太陽神としても崇められるようになりました。
インド神話の太陽神
スーリヤ
ヒンドゥー教の太陽神。
七頭の馬が引く戦車に乗って空を駆けるとされます。
スーリヤは善悪すべてを見通す全知の神として、『リグ・ヴェーダ』でも讃えられています。
サヴィトリ
黎明の太陽を司る神。
朝日とともに世界を目覚めさせる力を持つとされていました。
中南米の太陽神
インティ(インカ神話)
インカ帝国の太陽神で、最高神の一柱。
インカの皇帝は、インティの子孫とされていました。
インティへの信仰は非常に篤く、帝国各地に壮麗な神殿が建てられました。
あの有名なマチュピチュも、インティを祀る聖地の一つだったんです。
金はインティの汗と考えられていたため、神殿は金で飾られていました。
トナティウ(アステカ神話)
アステカ神話の太陽神。
「第五の太陽」と呼ばれ、人間の生贄によって力を保つと信じられていました。
アステカでは、太陽が毎日昇るためには人間の心臓と血が必要だと考えられていたんです。
北欧・バルト神話の太陽神
ソール(北欧神話)
北欧神話の太陽の女神。
馬に引かれた戦車に乗って、毎日空を駆けていたとされます。
興味深いのが、ソールは常に狼に追いかけられているという設定。
この狼スコルがソールに追いつき、太陽を飲み込んでしまうと、世界の終わり「ラグナロク」が訪れると予言されているんです。
日食は、狼がソールに近づいたときに起こると考えられていました。
サウレ(バルト神話)
リトアニアやラトビアで信仰されていた太陽の女神。
銅の車輪を持つ戦車に乗り、疲れを知らない馬に引かれて空を駆けていたといいます。
夕方になると、サウレは馬を海で洗い、銀の門をくぐって海の向こうの城へと帰っていく。
そして朝になると、また東から昇ってくる——そんな物語が伝えられています。
バルト神話では、サウレは生命と豊穣をもたらす最も重要な神の一柱でした。
メソポタミア・中東の太陽神
シャマシュ(メソポタミア神話)
古代バビロニアの太陽神。
正義と法の守護者としても崇められ、あの有名な「ハンムラビ法典」もシャマシュの名のもとに制定されました。
シャプシュ(ウガリット神話)
カナン地域で崇められた太陽の女神。
地上と冥界を行き来できる力を持つとされていました。
その他の地域
羲和(中国神話)
中国神話では、羲和という女神が十個の太陽の母とされています。
毎日一つずつ太陽を空に昇らせる役割を担っていました。
マリナ(イヌイット神話)
イヌイット神話の太陽の女神。
弟の月神と追いかけっこをしているため、太陽と月が交互に空に現れるのだといいます。
グノウェー(アボリジニ神話)
オーストラリア先住民の神話に登場する太陽の女神。
失われた息子を探して今も空を歩き続けているため、毎日太陽が昇るのだとされています。
太陽神と権力
太陽神が最高神や創造神とされることが多いのには、理由があります。
太陽は万物を照らし、すべてを見通す存在。
古代の王たちは、この太陽神の力を借りて統治の正統性を主張したんですね。
エジプトのファラオ、日本の天皇、インカの皇帝——いずれも太陽神の子孫を称しました。
「私は神の血を引いている」と宣言することで、民衆を統治する権威を得ていたわけです。
太陽信仰は、単なる自然崇拝ではなく、政治的な意味合いも強かったということですね。
世界の太陽の神様 一覧表
ここでは、本文で紹介した神々を含め、世界各地の主要な太陽神をまとめます。
男神
| 名前 | 読み方 | 由来 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ラー | ラー | エジプト神話 | 最高神の一柱。鷹の頭を持つ |
| ホルス | ホルス | エジプト神話 | 鷹の頭を持つ空と太陽の神。王権の象徴 |
| アテン | アテン | エジプト神話 | 太陽円盤そのもの。アクエンアテン王の改革 |
| アメン | アメン | エジプト神話 | ラーと習合してアメン・ラーに |
| ヘーリオス | ヘーリオス | ギリシャ神話 | 黄金の馬車で空を駆ける古代の太陽神 |
| アポローン | アポローン | ギリシャ神話 | 音楽・芸術の神。後に太陽神と同一視 |
| ヒュペリーオーン | ヒュペリーオーン | ギリシャ神話 | ティターン族の太陽神 |
| スーリヤ | スーリヤ | ヒンドゥー教 | 七頭の馬が引く戦車に乗る |
| サヴィトリ | サヴィトリ | ヒンドゥー教 | 黎明の太陽神 |
| ミトラ | ミトラ | ヒンドゥー教 | 契約と光の神 |
| インティ | インティ | インカ神話 | インカ帝国の最高神。金はその汗 |
| トナティウ | トナティウ | アステカ神話 | 第五の太陽。生贄によって力を保つ |
| シャマシュ | シャマシュ | メソポタミア神話 | 正義と法の守護者。ハンムラビ法典 |
| ウトゥ | ウトゥ | シュメール神話 | シャマシュの原型 |
| ダグ | ダグ | 北欧神話 | 昼を擬人化した神 |
| バルドル | バルドル | 北欧神話 | 光と美の神 |
| フレイ | フレイ | 北欧神話 | 豊穣と太陽の神 |
| ダジボーグ | ダジボーグ | スラヴ神話 | 太陽と豊穣の神 |
| ベレヌス | ベレヌス | ケルト神話 | ガリアの太陽神 |
| ルー | ルー | ケルト神話 | 光と技芸の神 |
| キニチ・アハウ | キニチ・アハウ | マヤ神話 | ジャガーの姿も取る |
| 太陽星君 | たいようせいくん | 道教 | 太陽を司る星神 |
| 天火明命 | あめのほあかり | 日本神話 | 太陽神の性格を持つ |
| タマ・ヌイ・テ・ラー | タマ・ヌイ・テ・ラー | マオリ神話 | 太陽の擬人化 |
女神
| 名前 | 読み方 | 由来 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 天照大御神 | あまてらすおおみかみ | 日本神話 | 日本神話の最高神。皇室の祖神 |
| 稚日女尊 | わかひるめ | 日本神話 | 天照大御神の別名、または妹神 |
| ソール | ソール | 北欧神話 | 狼に追われながら空を駆ける |
| サウレ | サウレ | バルト神話 | リトアニア・ラトビアの太陽女神 |
| アリンナ | アリンナ | ヒッタイト神話 | アリンナ市の守護女神 |
| シャプシュ | シャプシュ | ウガリット神話 | カナン地域の太陽女神 |
| セクメト | セクメト | エジプト神話 | ライオンの頭を持つ女神 |
| バステト | バステト | エジプト神話 | 猫の姿の女神 |
| 羲和 | ぎか | 中国神話 | 十の太陽の母 |
| マリナ | マリナ | イヌイット神話 | 弟の月神と追いかけっこをする |
| グノウェー | グノウェー | アボリジニ神話 | 失われた息子を探し続ける |
| イヒ | イヒ | オーストラリア先住民神話 | 世界に光をもたらした |
| アイネ | アイネ | アイルランド神話 | 夏と太陽の女神 |
| エーオース | エーオース | ギリシャ神話 | 暁の女神 |
| トカプチュプカムイ | トカプチュプカムイ | アイヌ神話 | 太陽の神 |
| 摩利支天 | まりしてん | 仏教 | 陽炎を神格化した |
| ベイウェ | ベイウェ | サーミ神話 | サーミ人の太陽女神 |
太陽神と現代
太陽神への信仰は、現代でも形を変えて残っています。
日本では今でも伊勢神宮で天照大御神が祀られ、新年には初日の出を拝む習慣があります。
クリスマスが12月25日なのも、実はローマ帝国の太陽神「ソル・インウィクトゥス(不敗の太陽)」の祭日が起源なんです。
太陽への畏敬の念は、人類普遍のものなのかもしれませんね。
参考情報
この記事の作成にあたり、以下の情報源を参照しました。
主要な参考資料
- Wikipedia「太陽神」 – 太陽神の概要と世界各地の例
- Wikipedia「太陽神一覧」 – 世界の太陽神の包括的リスト
- Wikipedia “Solar deity” – 太陽崇拝の歴史と文化的背景
- Wikipedia “List of solar deities” – 詳細な太陽神のリスト
- Britannica “Sun worship” – 太陽崇拝の学術的解説
さらに詳しく知りたい方へ
- World History Edu “12 Most Famous Solar Deities” – 代表的な太陽神の詳細
- History Cooperative “Sun Gods” – 太陽神の神話とエピソード
- 東京大学 太陽神論 – 日本の太陽神に関する学術研究
まとめ
世界の太陽の神様について、一覧形式で紹介してきました。
ポイントをおさらいしましょう:
- 太陽神は世界各地で独立して生まれた
- 男神が多いが、女神の例も少なくない
- 太陽神は最高神や創造神とされることが多い
- 古代の王たちは太陽神の子孫を称して権威を得た
- 太陽信仰は形を変えて現代にも残っている
国や文化は違っても、太陽への畏敬の念は共通していたんですね。
夜明けの光に感動したり、夕日の美しさに心を打たれたりする気持ちは、古代の人々も私たちも同じ。
太陽の神様たちの物語は、人類と太陽との長い関わりの歴史そのものなのかもしれません。





コメント