フロリダの湿地帯を歩いていると、突然、目を開けていられないほどの悪臭に襲われることがあるそうです。
腐った卵とカビの生えたチーズ、ヤギの糞を混ぜたような強烈な臭い…それは、沼地に住む謎の類人猿「スカンクエイプ」が近くにいる証拠かもしれません。
約200年も前から目撃され続けるこの不思議な生物は、今でもフロリダの人々を驚かせています。
この記事では、悪臭漂う未確認生物「スカンクエイプ」の姿や特徴、数々の目撃談について詳しくご紹介します。
概要

スカンクエイプは、アメリカ・フロリダ州のエバーグレーズ国立公園を中心に、19世紀初頭から目撃されている未確認生物(UMA)です。
名前の由来は、その最大の特徴である「スカンク(skunk)のような悪臭を放つ類人猿(ape)」から来ています。
北部で目撃される有名な未確認生物「ビッグフット」の親戚や南部版とも呼ばれ、フロリダの民間伝承に深く根付いた存在なんです。ただし、ビッグフットよりも体格が小さめで、何より悪臭という独特の特徴を持っているのが大きな違いですね。
約200年にわたって目撃報告が続いており、現在でも時々その姿が目撃されています。
姿・見た目
スカンクエイプの外見は、オランウータンに似た類人猿のような姿だとされています。
スカンクエイプの身体的特徴
- 体長:約2メートル(5~7フィート)
- 体毛:赤褐色~暗褐色の長い毛で覆われている
- 歩き方:人間のように二足歩行ができる
- 足のサイズ:約35~45センチ
- 体重:150キロ以上と推測される
- 体格:がっしりとした筋肉質な体つき
目撃者によると、全身がもじゃもじゃの赤褐色の体毛に覆われていて、遠くから見ると大きなサルのように見えるそうです。
ビッグフットと比べると一回り小さめですが、それでも人間よりはるかに大きく、迫力のある体格をしているんですね。
特徴
スカンクエイプの最も印象的な特徴は、なんといっても強烈な悪臭です。
悪臭の詳細
目撃者たちが口を揃えて語るその臭いは:
- 腐った卵
- カビの生えたチーズ
- ヤギの糞
- スカンクの分泌液
これらが混ざったような、目を開けていられないほどの刺激臭だそうです。
面白いことに、この臭いは最初から強烈というわけではなく、スカンクエイプが目撃者に気づいたり、刺激を受けたりすると、さらに強くなるといわれています。まるでスカンクが敵を追い払うために臭いを発するのと同じように、防御手段として使っているのかもしれませんね。
食性と行動
糞の分析から、スカンクエイプはリマビーンズ(ライマメ)などの豆類を主食としていることが分かっています。
ただし、豆だけでなく:
- リンゴなどの果物
- サツマイモ
- オオバコ
- 肉類(シカなどの動物)
も食べるとされ、雑食性の可能性が高いんです。
性格については、基本的には人間を避ける傾向がありますが、時には攻撃的な行動を取ることもあるそうです。ペットの犬や猫、家畜を襲ったという報告もあり、決して無害な存在ではないようですね。
伝承
スカンクエイプの目撃談は、実に200年以上の歴史があります。
初期の目撃記録
1818年、フロリダ州アパラチコーラの地元新聞に、「人間サイズのサル」が食料貯蔵庫を襲い、漁師たちをつけ回したという記事が掲載されました。これが文献に残る最古の記録の一つです。
1942年には、スワニー郡で運転中の男性が、藪から飛び出してきた謎の生物に車を襲われる事件が起きました。その生物は車の横に掴まり、ドアや足踏み板を半マイル(約800メートル)も叩き続けたというから驚きですね。
1960~1970年代の目撃多発期
この時期、フロリダ州東部で目撃情報が相次ぎました。
1963年、アラチュア郡のある家族が、夜に窓から家の中を覗き込む類人猿のような生物に何度も遭遇したと報告しています。
1970年代には、パームビーチ郡の保安官代理2名(マーヴィン・ルイスとアーニー・ミルナー)が、森の中で類人猿のような生物に追跡され、発砲したという事件がありました。彼らは踏み倒された有刺鉄線のフェンスから体毛を回収したそうです。
1971~1975年にかけて、ブロワード郡周辺で夜間の目撃が続出しました。目撃者たちは、5~7フィート(約1.5~2.1メートル)の暗赤色から黒い毛を持つ類人猿のような生物を報告し、地元警察も調査に乗り出しました。ある警官は車でスカンクエイプをひいたと報告し、地元住民は捜索隊まで結成したんです。
1990年代以降の重要な目撃例
1997年、エバーグレーズのツアーガイド、デビッド・シーリーがリマビーンズを使った餌場を設置したところ、複数の目撃が報告されました。この年の大規模な洪水で、多くの動物が高台に集まったことが、目撃増加の原因かもしれません。
同年、オチョピー消防署長ヴィンス・ドアーが、道路を横切る直立した姿の生物を撮影しました。その後2週間で、50人以上がビッグサイプレス国立保護区内で同様の目撃を報告したんです。
2000年の最も有名な事例は、「ミヤッカのスカンクエイプ写真」です。匿名の高齢女性がサラソタ郡保安官事務所に、自宅の裏でリンゴを盗んでいた大型の毛むくじゃらの生物の写真2枚を送りました。
この写真はあまりにも鮮明だったため:
- 着ぐるみを着た人間ではないか
- オランウータンではないか
- リプリーズ博物館のビッグフット像に似ている
などの議論が起こりました。ただし、2枚の写真で生物の姿勢や表情が異なることから、単純な捏造ではないという意見もあるんです。
被害報告
1990年代後半から2000年代前半にかけて:
- オレンジ畑の季節労働者が謎の生物に襲われて死亡
- 犬や猫などのペットが殺される事件
- シカの死体が発見され、肝臓だけが食べられていた
- 牧場の馬や牛が襲われた
これらの事件がスカンクエイプの仕業ではないかと考えられています。
先住民の伝説
暗号動物学者(未確認動物を研究する人)たちによると、フロリダのセミノール族やミコスキー族には、「Esti Capcaki(エスティ・カプカキ)」という伝説の生物がいるそうです。
この名前は「毛深い巨人」や「毛むくじゃらの背の高い男」という意味で、悪臭を放つ、力が強く、人目を避ける生物として語られてきました。スカンクエイプは、こうした先住民の伝承と深いつながりがあるのかもしれませんね。
起源
スカンクエイプの正体については、いくつかの説があります。
オランウータン説
最も支持されているのが、逃げ出したオランウータン説です。
2000年の写真を分析した未確認動物研究家ローレン・コールマンは、写真の生物とオランウータン、特にスマトラ・オランウータンの特徴が非常に似ていると指摘しました。
ただし、スマトラ・オランウータンの生息地は東南アジアなので、フロリダにいるとすれば:
- 動物園から逃げ出した
- 密輸されたペットが野生化した
- 違法に飼われていた個体が放された
などの可能性が考えられます。
この説の弱点は、200年も前から目撃されていることを説明できない点です。当時、オランウータンを飼育している施設がフロリダにあったかどうかは疑問ですからね。
ギガントピテクス生き残り説
もう一つの有力な説が、絶滅した巨大類人猿ギガントピテクスの生き残りというものです。
ギガントピテクスは:
- 約500万年前~10万年前に生息
- 主に中国、インド、ベトナムで化石が発見
- 推定身長約3メートル
- 現在は絶滅したとされる
もしギガントピテクスが絶滅せずに生き残り、何らかの方法でアメリカ大陸に渡っていたとしたら…という大胆な仮説です。
ただし、この説にも問題があります。ギガントピテクスの化石はアジアでしか見つかっておらず、アメリカに渡った証拠は全くありません。また、推定身長3メートルに対して、スカンクエイプは約2メートルと小さいんですね。
未知の霊長類説
人類学者ロバート・カーターや霊長類学者エドワード・ラムーは、スカンクエイプがまだ発見されていない新種の類人猿である可能性を指摘しています。
既知のどの生物とも完全には一致しない特徴を持っていることから、科学的にまだ記録されていない霊長類かもしれないというわけです。
近年、スカンクエイプの巣と思われる場所から糞や体毛が発見され、DNA鑑定が進められているそうです。もし未知の動物のDNAが検出されれば、この説を裏付ける重要な証拠になりますね。
懐疑的な見解
一方、懐疑的な研究者たちは:
- フロリダクロクマの誤認:特に疥癬(かいせん:皮膚病)で毛が抜けた個体を見間違えた
- でっち上げや悪ふざけ:着ぐるみを使った偽の目撃報告
- 野生動物の見間違い:薄暗い場所での見間違いや思い込み
などの可能性を指摘しています。
アメリカ国立公園局は、スカンクエイプを悪ふざけ(hoax)とみなしており、公式には存在を認めていません。
まとめ
スカンクエイプは、200年以上にわたってフロリダの人々を驚かせ続けている謎の生物です。
重要なポイント
- フロリダ州エバーグレーズ国立公園を中心に19世紀初頭から目撃
- 体長約2メートル、赤褐色の体毛を持つ類人猿のような姿
- 最大の特徴は強烈な悪臭(腐った卵、カビチーズ、ヤギの糞の混合臭)
- 豆類を主食とする雑食性で、時に攻撃的な行動も
- 1960~1970年代と1990年代後半に目撃が多発
- 正体はオランウータン、ギガントピテクス、未知の霊長類など諸説あり
- フロリダ先住民の伝説とのつながりも指摘される
- 科学的には存在が証明されていない
糞や体毛のDNA鑑定が進められている現在、スカンクエイプの正体が明らかになる日が来るかもしれません。それまでは、フロリダの沼地を訪れる人々にとって、この悪臭を放つ謎の生物は、恐怖と好奇心の対象であり続けるでしょう。


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