ヒンドゥー神話『ラーマーヤナ』に登場する女神シーター。
この記事では、シーターについてわかりやすく解説します。
系譜

シーターは、王族に育てられましたが、人間の母からは生まれていません。
家系・系譜:
- 養父: ジャナカ王(ヴィデーハ国の王)
- 養母: スナヤナ王妃(または「スニータ」とも)
- 本当の親: 大地(ブーミ・デーヴィ)=地母神
- 夫:ラーマ(ヴィシュヌの化身)
ある日、ジャナカ王が土地を耕していると、地中から光り輝く赤ちゃん(シーター)が現れたと伝えられています。
王はこれを「神の贈り物」として娘に迎え、大切に育てました。
シーターはヒンドゥー教で豊穣と美の女神ラクシュミーの化身とも考えられています。
ヴィシュヌ神の妻であるラクシュミーが、ヴィシュヌの化身ラーマの妻として地上に現れたのがシーターということになります。
神格・神性
シーターは、大地の女神の娘で、「ラクシュミー」の化身とされます。
そのため、彼女は単なる王妃ではなく、神聖な存在なんです。
また、彼女は、美と献身の女神として信仰されている。
神話

シーターの人生は、『ラーマーヤナ』という叙事詩で描かれています。
ここでは、彼女の試練と献身に満ちた物語をダイジェストでご紹介します。
- 聖弓大会でラーマと結婚
ジャナカ王はシーターが結婚適齢期になったとき、スワヤンヴァラ(花婿選びの儀式)を行います。シヴァ神の弓を引くことができた者がシーターの夫になれるというルールでした。ラーマが強大な弓を折り、2人は夫婦となりました。 - 森への追放に同行
宮廷内の陰謀により、ラーマが14年間の森への追放を命じられたとき、シーターは安全な宮殿生活を捨て、自らも共に森での生活を選びました。 - 誘拐と幽閉(ラーヴァナによる拉致)
森での生活中、シーターは悪魔王ラーヴァナに連れ去られます。ランカーに幽閉されるも、心を乱さず貞操を守り抜きました。一年間にわたる幽閉の間、ラーヴァナの求婚をすべて拒否し続けました。 - 火の試練(アグニ・パリクシャ)
ラーマが悪魔王ラーヴァナを倒してシーターを救出した後、彼女の貞節が疑われました。
彼女は潔白を証明するため炎の中に身を投じるが、火に焼かれず純潔を証明しました。 - 出家と帰還(双子の母となる)
王国に戻った後も、国民の疑念の声を受けてラーマのもとを離れる(追放される)ことになります。
森で双子の息子(ラヴとクシャ)を産み育てることになりました。 - 大地へ帰る(夫婦の別れ)
考えを変えたラーマはシーターを迎えに行った。
そこでシーターは「もし私が純潔なら、母なる大地よ、私を受け入れてください」と祈りました。
すると母なる大地が割れて開き、シーターはそのまま地中へと帰っていきました。
シーターはラーマを愛し続け貞節を守りぬいたが、貞節を疑われた。
その疑いを晴らすために夫と別れることになったのです。
Ex.バルス!
バルス!で有名な『天空の城ラピュタ』。
この作品に登場するシータのモデルは、『ラーマーヤナ』のシーター。
まとめ
シーターは、美しく献身的な神の化身です。
- ヴィシュヌの化身ラーマの妻
- 大地から生まれ、王族に育てられたブーミ・デーヴィの娘で、ラクシュミーの化身
- 『ラーマーヤナ』では苦難を乗り越え愛を貫いたヒロイン
- 最後は大地へ帰る
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