あなたは「不倫」や「浮気」がどれほど重い罪か、考えたことがありますか?
仏教の世界では、こうした邪淫(じゃいん)の罪を犯した者が死後に堕ちる恐ろしい地獄があるんです。
それが「衆合地獄(しゅごうじごく)」。八大地獄の中で3番目に位置するこの地獄では、想像を絶する責め苦が永遠に続くとされています。
この記事では、仏教の地獄観における衆合地獄について、その恐ろしい実態をやさしく解説していきます。
衆合地獄ってどんな地獄?

基本情報
衆合地獄は、八大地獄(はちだいじごく)の中で上から3番目に位置する地獄です。
「堆圧地獄(たいあつじごく)」という別名もあり、その名の通り「多くのものが合わさって圧迫する」という意味があるんですね。
どんな罪で堕ちるの?
衆合地獄に堕ちる条件は以下の3つです:
- 殺生(せっしょう):生き物を殺すこと
- 偸盗(ちゅうとう):他人のものを盗むこと
- 邪淫(じゃいん):不適切な性的行為
特に3つ目の「邪淫」が加わることで、この地獄に堕ちることになります。
邪淫とは、具体的には不倫、浮気、強制わいせつなど、正しくない性的な行いのことを指します。
恐怖の責め苦〜どんな苦しみが待っている?
1. 鉄の山に挟まれて押し潰される
衆合地獄で最も有名な責め苦がこれです。
罪人たちは両側から迫ってくる巨大な鉄の山の間に追い込まれ、ぺしゃんこに押し潰されます。まるで餅つきの餅のようにつぶされ、血や肉が飛び散るという恐ろしい光景が繰り広げられるんです。
しかも、死んでもすぐに生き返らされ、同じ苦しみが永遠に続くのです。
2. 刀葉林(とうようりん)の罠
この地獄には「刀葉林」という恐ろしい森があります。
美女の誘惑
木の上に絶世の美女が現れて、罪人を誘惑します。「あなたを慕ってここまで来たのに、どうして抱いてくださらないの?」と甘い声で呼びかけるんです。
カミソリの葉
ところが、その木に登ろうとすると、葉っぱが全て鋭いカミソリのようになっていて、登るたびに全身がズタズタに切り裂かれます。
永遠の繰り返し
やっとの思いで木の上にたどり着くと、なんと美女は木の下にいるんです。降りようとすると、また葉に切られ…この苦しみが永遠に繰り返されるという、まさに地獄の責め苦です。
3. その他の恐ろしい責め苦
- 鉄の臼でつかれる:巨大な臼の中に入れられ、杵でつかれる
- 鉄の巨象に踏まれる:巨大な鉄の象に踏みつぶされる
- 猛獣に食われる:鬼、獅子、虎、狼などに肉を食いちぎられる
- 熱い銅の川に投げ込まれる:溶けた銅が流れる川で煮られる
特に重い罪への罰
未成年への性的虐待を行った者には、さらに恐ろしい罰が待っています。
自分の子供が鬼に鉄の杖で傷つけられる光景を見せつけられ、その苦しみは肉体的な痛み以上の精神的な拷問となるのです。
どれくらい長く苦しむの?
衆合地獄での寿命は、人間界の時間に換算すると約106兆5800億年という、気の遠くなるような長さです。
この計算方法は複雑ですが、簡単に言うと:
- 人間界の200年が夜摩天(やまてん)という天界の1日
- その夜摩天の2000年が衆合地獄の1日
- 衆合地獄での寿命は2000歳
つまり、人間の感覚では永遠とも思える時間、苦しみ続けることになるんです。
苦しみの程度は?
衆合地獄の苦しみは、その上の地獄である黒縄地獄の10倍とされています。
お釈迦様は地獄の苦しみについて「どんなたとえを使っても説明できない」と言われましたが、あえて例えるなら「毎日300本の槍で貫かれる苦しみを豆粒とすれば、地獄の苦しみはヒマラヤ山のようなもの」だそうです。
衆合地獄に付随する十六小地獄
実は衆合地獄の周りには、さらに細かい条件で分けられた16の小地獄があります。
例えば:
- 悪見処:他人の子供に性的虐待を行った者が堕ちる
- 大量受苦悩処:異常な方法で性行為を行った者が堕ちる
- 多苦悩処:同性間で性行為をした者が堕ちる
- 朱誅処:動物を相手に性行為を行った者が堕ちる
それぞれの小地獄では、罪に応じた特別な責め苦が用意されているんです。
まとめ
衆合地獄は、殺生・偸盗に加えて邪淫の罪を犯した者が堕ちる恐ろしい地獄です。
重要なポイント
- 八大地獄の第3番目に位置する
- 不倫や浮気などの邪淫が主な堕獄条件
- 鉄の山での圧殺や刀葉林での切り裂きが代表的な責め苦
- 苦しみは106兆年以上続く
- 死んでも生き返って同じ苦しみが繰り返される
- 周囲に16の小地獄があり、さらに細かい罪に対応
仏教では、これらの地獄の教えは単なる脅しではなく、正しい行いの大切さを説くためのものとされています。特に邪淫の罪は、相手だけでなく自分自身も深く傷つける行為。現世での行いが来世に影響するという因果応報の教えは、私たちに倫理的な生き方の重要性を教えてくれているのかもしれませんね。


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