日本の神獣一覧|神話や伝承に登場する霊獣・瑞獣を徹底解説

神話・歴史・伝承

ゲームやアニメで「麒麟」「鳳凰」「八咫烏」といった名前を聞いたことはありませんか?

これらはすべて、日本で古くから信仰されてきた神獣と呼ばれる存在です。

神獣とは、神に仕えたり、神そのものとして崇められたりする霊的な動物のこと。神社の入り口で見かける狛犬や、稲荷神社のキツネも、実は神獣の一種なんです。

「名前は聞いたことあるけど、どんな生き物なの?」「それぞれの違いがよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本神話や中国由来の伝承に登場する神獣たちを、わかりやすい一覧形式で詳しく紹介します。


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日本の神獣って何?

神獣の定義

神獣とは、神話や伝承において神聖な存在として扱われる動物のことを指します。

日本における神獣は、大きく分けて以下の3種類に分類できます。

  • 神使(しんし):神様の使者として神意を伝える動物
  • 霊獣・瑞獣:吉兆をもたらすとされる伝説上の動物
  • 神そのもの:動物の姿をした神様

神使は「神の使い」や「御先(みさき)」とも呼ばれ、神社で飼育されたり、像として祀られたりしています。稲荷神社の狐や春日大社の鹿が代表的な例ですね。

なぜ動物が神聖視されたの?

古代の日本人は、自然のあらゆるものに神が宿ると考えていました。

これを八百万の神(やおよろずのかみ)の思想と呼びます。動物にも神のような力が宿ると信じられていたため、特定の動物が神使として選ばれるようになったのです。

動物が神使になった理由はさまざまで、神話に登場したことや、神様の行動と動物の習性が一致したことなどが挙げられます。


日本神話に登場する神獣

まずは、古事記や日本書紀に登場する日本オリジナルの神獣から見ていきましょう。

八咫烏(ヤタガラス)── 導きの神鳥

基本情報

項目内容
読み方やたがらす
特徴三本足を持つ大きなカラス
象徴導き、太陽
主な神社熊野本宮大社(和歌山県)

どんな神獣?

八咫烏は、日本神話において最も有名な神鳥のひとつです。

「咫(あた)」は長さの単位で、「八咫」は「とても大きい」という意味。つまり「とても大きなカラス」という名前なんです。

三本の足にはそれぞれ意味があり、天(神)・地(自然)・人を表すとされています。

有名なエピソード

神武天皇が九州から大和(現在の奈良県)を目指して東征した際、熊野の険しい山中で道に迷ってしまいます。

そのとき、天照大御神が遣わした八咫烏が道案内をして、神武天皇を無事に大和国まで導いたのです。

現代への影響

八咫烏は現代でも広く親しまれています。

  • サッカー日本代表のシンボルマーク
  • 陸上自衛隊の情報部隊のシンボル
  • 熊野三山の象徴

熊野本宮大社では、八咫烏を熊野の神の使いとして今も大切に信仰しています。


ヤマタノオロチ── 八つの頭を持つ大蛇

基本情報

項目内容
読み方やまたのおろち
特徴八つの頭と八つの尾を持つ巨大な蛇
象徴自然の脅威、洪水
関連神社八重垣神社、須佐神社(島根県)

どんな神獣?

ヤマタノオロチは、世界各地に残るドラゴン伝説と同じように、日本神話に登場する最強クラスの怪物です。

その姿は恐ろしいものでした。八つの頭と八つの尾を持ち、体は八つの谷と八つの峰にまたがるほど巨大。目は赤く、背中には苔や杉の木が生えていたといいます。

有名なエピソード

高天原を追放されたスサノオノミコトが出雲国(現在の島根県)にたどり着いたとき、泣いている老夫婦と美しい娘クシナダヒメに出会います。

聞けば、毎年ヤマタノオロチがやってきて娘を食べてしまうとのこと。最後の一人であるクシナダヒメも狙われているというのです。

スサノオは八つの酒樽を用意し、酒に酔って眠ったオロチを退治しました。このとき、オロチの尾から出てきた剣が、三種の神器のひとつ草薙剣(くさなぎのつるぎ)です。


神使(神の使い)となる動物たち

神社でよく見かける動物像のほとんどは、その神社の祭神に仕える神使です。

代表的な神使を紹介しましょう。

狐(キツネ)── 稲荷神の使い

基本情報

項目内容
仕える神稲荷神(ウカノミタマノカミ)
象徴豊穣、商売繁盛
主な神社伏見稲荷大社(京都府)

なぜ狐なの?

稲荷神社の狐が神使となった理由には諸説あります。

有力な説は、稲荷神が穀物の神であり、田畑を荒らすネズミを退治する狐が、農業の守護者として崇められたというもの。

また、「稲荷」という言葉が「稲が成る」から転じたとされ、稲穂の色である黄金色の狐が神聖視されたともいわれています。

特に白狐(びゃっこ)は、稲荷神の使いの中でも最も神聖な存在とされ、豊穣や商売繁盛のご利益をもたらすと信じられています。

全国に約3万社ある稲荷神社では、今でも狐の像が参道や拝殿に置かれています。


鹿(シカ)── 春日神の使い

基本情報

項目内容
仕える神武甕槌大神(タケミカヅチノオオカミ)ほか
象徴神聖、長寿
主な神社春日大社(奈良県)

なぜ鹿なの?

春日大社と鹿の関係は、日本神話にさかのぼります。

古事記によると、天照大神が「国譲り」の使者を任命する際、伝令役として派遣されたのが天迦久神(アメノカクノカミ)でした。

「迦久」は「鹿児(かこ)」、つまり鹿の子供を意味することから、天迦久神は鹿の神と考えられています。

この神話に基づき、武甕槌大神の神使は鹿とされるようになりました。

奈良の鹿は「神鹿(しんろく)」として保護され、現在も約1,200頭が奈良公園で自由に暮らしています。


猿(サル)── 山王神の使い

基本情報

項目内容
仕える神山王神(大山咋神など)
象徴厄除け、縁結び
主な神社日吉大社(滋賀県)

なぜ猿なの?

日吉大社がある比叡山には、古くから猿が多く生息していました。

「猿」は「去る」や「勝る」に通じることから、魔が去る(厄除け)何よりも勝る(勝運)という縁起の良い動物とされています。

また、猿は「申(さる)」とも書き、干支の申年に生まれた人の守護神ともされています。


蛇(ヘビ)── 水と財運の象徴

基本情報

項目内容
仕える神弁財天、大物主神など
象徴水の霊力、再生、財運
主な神社大神神社(奈良県)、江島神社(神奈川県)

なぜ蛇なの?

蛇は脱皮を繰り返すことから、再生不老不死の象徴とされてきました。

また、水辺に棲むことから水の神の使いとも考えられ、農業に欠かせない水をもたらす存在として崇められています。

日本書紀には、大物主神が蛇の姿で妻のもとに通ったという話も残っています。

白蛇は特に神聖視され、弁財天の使いとして財運をもたらすと信じられています。財布に蛇の抜け殻を入れるとお金が貯まるという俗信も、ここから来ているんです。


その他の主な神使

動物仕える神主な神社象徴
八幡神宇佐神宮、鶴岡八幡宮平和、勝利
天神(菅原道真)太宰府天満宮、北野天満宮学問、誠実
天照大御神伊勢神宮夜明け、太陽
大口真神三峯神社、武蔵御嶽神社厄除け、魔除け
松尾大神松尾大社長寿、不老
大国主神出雲大社、調神社縁結び、飛躍
熊野大神熊野三山導き
速玉男命福岡神社(鳥取県)航海安全

四神(しじん)── 四方を守護する神獣

四神は、中国から伝わった思想で、東西南北の四方を守護する霊獣のことです。

日本でも古くから取り入れられ、平城京や平安京の都市設計にも影響を与えました。キトラ古墳や高松塚古墳の壁画にも四神が描かれており、古代日本での信仰の深さがうかがえます。

四神の一覧

神獣方角季節象徴
青龍(せいりゅう)成長、発展
朱雀(すざく)繁栄、情熱
白虎(びゃっこ)西守護、金運
玄武(げんぶ)長寿、安定

青龍(せいりゅう)── 東を守る龍

特徴と姿

青龍は、東の方角を守護する龍の姿をした神獣です。

その名の通り青色(または緑色)の体を持ち、長い体をくねらせて空を駆ける姿で描かれます。

春の季節を司り、木の属性を持つとされています。五行思想では「木」は成長や発展を意味するため、青龍は出世運発展の象徴とされています。

日本での信仰

平安京では、東を流れる鴨川が青龍に見立てられました。

京都の八坂神社では、毎年「青龍会」という行事が行われ、龍の舞が奉納されています。


朱雀(すざく)── 南を守る霊鳥

特徴と姿

朱雀は、南の方角を守護する赤い翼を持つ鳥の姿をした神獣です。

「朱鳥(しゅちょう)」とも呼ばれ、鳳凰と混同されることもありますが、厳密には別の存在です。

夏の季節を司り、火の属性を持ちます。情熱や名声、人気運を象徴するとされています。

日本での信仰

奈良県のキトラ古墳には、見事な朱雀の壁画が残されています。

また、平安京では南にあった巨椋池(おぐらいけ)が朱雀に見立てられていました。


白虎(びゃっこ)── 西を守る虎

特徴と姿

白虎は、西の方角を守護する白い虎の姿をした神獣です。

古代中国では、虎が500歳を超えると白虎に変化すると信じられていました。

秋の季節を司り、金の属性を持ちます。守護や金運、勝利を象徴するとされています。

日本での信仰

平安京では、西に延びる山陰道が白虎に見立てられました。

会津の「白虎隊」の名前も、この神獣に由来しています。若い隊士たちが白虎のような勇猛さを持つようにという願いが込められていたのです。


玄武(げんぶ)── 北を守る亀蛇

特徴と姿

玄武は、北の方角を守護する神獣で、亀に蛇が絡みついた独特の姿をしています。

もともとは「玄冥(げんめい)」と呼ばれ、冥界を行き来する神と考えられていました。「玄」は黒、「武」は防御に優れた武神という意味です。

冬の季節を司り、水の属性を持ちます。長寿、健康、安定を象徴するとされています。

なぜ亀と蛇?

古代中国では、亀は雌しかいないと考えられていました。そのため、頭の形が似た蛇とつがいになる必要があるとされ、この独特の姿が生まれたといわれています。

日本での信仰

平安京では、北にある船岡山が玄武に見立てられました。


黄龍・麒麟── 中央を司る長

四神に加えて、五行思想の「土」に対応する中央の神獣が存在します。

それが黄龍(こうりゅう)または麒麟(きりん)です。

黄龍は黄金色の龍で、四神を束ねる長とされています。古代中国では黄色は皇帝の色であり、最も高貴な色でした。

麒麟は、仁徳のある君主が現れたときに姿を見せるとされる聖獣です。日本では、キリンビールのロゴで有名ですね。


四霊(しれい)── めでたい瑞獣たち

四霊は、中国の古典『礼記』に記された四種類の霊妙な瑞獣のことです。

四神とは異なり、方角ではなく吉兆を象徴する存在として崇められています。

四霊の一覧

霊獣読み方統べる動物象徴
応龍おうりゅう鱗を持つ動物(魚類など)変幻、知恵
鳳凰ほうおう羽を持つ動物(鳥類)平安、徳
麒麟きりん毛を持つ動物(獣類)信義、仁
霊亀れいき甲羅を持つ動物(甲殻類)吉凶の予知

龍(りゅう)── 水を司る最高位の霊獣

特徴と姿

龍は、東アジアで最も崇拝されてきた霊獣です。

その姿は「九似」と呼ばれ、角は鹿、頭は駱駝、目は鬼、耳は牛、体は蛇、鱗は鯉、爪は鷹、手は虎に似ているとされます。

水を支配する力を持ち、雨を降らせて農作物を育てる恵みの存在として信仰されてきました。

日本での信仰

日本では、龍は龍神として各地で祀られています。

  • 戸隠神社(長野県):九頭龍大神
  • 箱根神社(神奈川県):九頭龍神社
  • 江島神社(神奈川県):龍宮

神社の手水舎(てみずや)で龍の口から水が出ているのを見たことがあるでしょう。これは龍が水の神であることを表しています。


鳳凰(ほうおう)── 平和をもたらす霊鳥

特徴と姿

鳳凰は、聖天子が現れる前兆として姿を見せるとされる伝説の鳥です。

「鳳」がオス、「凰」がメスを表し、雌雄そろった鳳凰は永遠の愛のシンボルとされています。

その姿は、くちばしは鶏、あごは燕、首は蛇、前半身は麒麟、後半身は鹿、背中は亀に似ているとされます。

日本での信仰

日本では、平等院鳳凰堂(京都府)の屋根に金銅製の鳳凰が置かれています。この鳳凰は、現在の1万円札の裏面にも描かれていますね。

金閣寺の屋根にも鳳凰が鎮座しており、平和と繁栄の象徴として大切にされています。


麒麟(きりん)── 仁徳の象徴

特徴と姿

麒麟は、仁の心を持つ君主が生まれると姿を現すとされる聖獣です。

その姿は鹿に似て大きく、背丈は5メートルほど。顔は龍に似て、牛の尾と馬の蹄を持ちます。体には鱗があり、毛は黄金色に輝いています。

性格は非常に穏やかで、草の芽を踏まず、虫も殺さないとされています。

日本での信仰

日本では、麒麟の彫刻が神社仏閣の装飾として見られます。

  • 大杉神社(茨城県):麒麟門
  • 宇倍神社(鳥取県):麒麟獅子舞

また、日本橋(東京都)の欄干には麒麟の像が置かれており、東京のシンボルのひとつとなっています。


霊亀(れいき)── 長寿と吉凶予知の象徴

特徴と姿

霊亀は、吉凶を予知する力を持つとされる神聖な亀です。

1000年以上生きた亀は霊亀になるとされ、甲羅には苔が生え、尾には藻がまとわりつくといいます。

「鶴は千年、亀は万年」という言葉があるように、亀は長寿の象徴として古くから崇められてきました。

日本での信仰

奈良時代には「霊亀」という元号が使われたほど、霊亀は縁起の良い存在でした。

神社の手水鉢や灯籠の台座に亀の彫刻が見られることも多く、長寿と安定を願う信仰が今も続いています。


その他の神獣・霊獣

狛犬(こまいぬ)── 神社の守護者

特徴と姿

狛犬は、神社の入り口に置かれる一対の像で、魔除けの力を持つとされています。

もともとはライオンをモデルにしたものですが、古代日本人はライオンを見たことがなかったため、犬に似た独自の姿になりました。

通常、右側が口を開けた「阿形(あぎょう)」、左側が口を閉じた「吽形(うんぎょう)」となっています。「阿吽」は万物の始まりと終わりを表しています。


天狗(てんぐ)── 山の神の使い

特徴と姿

天狗は、深い山に棲むとされる神秘的な存在です。

赤い顔に長い鼻、翼を持ち、修験者のような服装をしています。山の神の使いとして、修験道と深く結びついています。

もともとは、山奥で厳しい修行を積んだ修験者を、里の人々が天狗とみなしたことが起源とされています。

主な神社

  • 古峯神社(栃木県)
  • 出羽三山神社(山形県)
  • 秋葉神社(静岡県)

日本の神獣 完全一覧表

日本神話に登場する神獣

名前読み方特徴象徴
八咫烏ヤタガラス三本足の大きなカラス導き、太陽
ヤマタノオロチヤマタノオロチ八つの頭を持つ大蛇自然の脅威
因幡の白兎イナバノシロウサギ大国主神を助けた兎縁結び

主な神使(神の使い)

動物仕える神主な神社ご利益
稲荷神伏見稲荷大社商売繁盛、五穀豊穣
鹿武甕槌大神春日大社国家安泰
山王神日吉大社厄除け、縁結び
弁財天、大物主神大神神社、江島神社財運、水の恵み
八幡神宇佐神宮勝運、平和
天神(菅原道真)太宰府天満宮学業成就
天照大御神伊勢神宮開運
大口真神三峯神社厄除け、盗難除け
松尾大神松尾大社長寿、酒造繁栄
大国主神出雲大社縁結び
大黒天出雲大社財運
毘沙門天信貴山朝護孫子寺勝運
摩利支天各地の摩利支天社勝運、開運

四神(方角を守る神獣)

名前読み方方角季節属性
青龍せいりゅう青/緑
朱雀すざく
白虎びゃっこ西
玄武げんぶ
黄龍/麒麟こうりゅう/きりん中央土用

四霊(瑞獣)

名前読み方姿象徴日本での代表例
応龍おうりゅう翼を持つ龍変幻、知恵神社の彫刻
鳳凰ほうおう五色の霊鳥平安、徳平等院鳳凰堂
麒麟きりん鹿に似た聖獣信義、仁日本橋の像
霊亀れいき長寿の亀吉凶予知神社の彫刻

その他の神獣・霊獣

名前読み方特徴見られる場所
狛犬こまいぬ獅子に似た守護獣全国の神社
天狗てんぐ長鼻の山の神使古峯神社など
河童かっぱ水辺に棲む水神各地の伝承

まとめ

日本の神獣たちは、単なる伝説上の生き物ではありません。

古代の日本人が自然や神々への畏敬の念を込めて作り上げた、信仰と文化の結晶なのです。

神獣が象徴するもの

  • 八咫烏:困難な道を切り開く導きの力
  • 狐・鹿・蛇:神と人をつなぐ使者としての役割
  • 四神:世界の秩序と調和を守る力
  • 鳳凰・麒麟:平和な世と仁徳ある統治者の出現

これらの神獣は、現代でもゲームやアニメ、漫画などに登場し、私たちの文化に深く根付いています。

神社を訪れたとき、狛犬や狐の像、龍の彫刻に注目してみてください。それぞれに込められた意味を知ると、参拝がより深い体験になるはずです。

興味を持った神獣がいたら、ぜひその神社を訪れてみてください。神話の世界に思いを馳せながら参拝すると、きっと新たな発見があるでしょう。

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