七大聖とは?孫悟空と6人の義兄弟をわかりやすく解説

神話・歴史・文化

「七大聖」という言葉、聞いたことはありますか?
これは中国の古典小説『西遊記』に登場する、7人の妖怪王たちのことなんです。

主人公の孫悟空もそのひとり。
天界をひっくり返すほどの大暴れをする前、悟空はなんと6人の妖怪と義兄弟の契りを結んでいました。

この記事では、七大聖のメンバー全員を詳しく紹介していきます。

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七大聖ってどんな存在?

七大聖は、孫悟空が花果山で妖怪王として名を上げていた頃に結成されたグループです。

悟空が須菩提祖師のもとで修行を終え、不老不死の力を手に入れた後のこと。
世界中を旅して名のある妖怪たちと交流するうちに、気の合う6人の妖王と出会いました。

彼らは意気投合して義兄弟となり、それぞれが「○○大聖」と名乗るようになります。
「大聖」というのは「偉大なる聖者」という意味で、天界の神々に対抗するかのような大それた称号なんですね。

なぜ孫悟空が末っ子?

面白いのは、あの最強の孫悟空が7番目——つまり末っ子だということ。

「え、一番強いのに?」と思いますよね。
実は、七大聖の序列は強さではなく年齢順で決められているんです。

中国の伝統的な価値観では、年長者を敬うことがとても重視されます。
だから結義(義兄弟の契り)を結ぶときも、年齢が上の者から順番に並ぶのが当たり前でした。

石から生まれた孫悟空は、妖怪としての「年齢」では他のメンバーより若かったというわけです。

七大聖メンバー紹介

それでは、年長順に7人のメンバーを見ていきましょう。

長兄:牛魔王(平天大聖)

七大聖の盟主であり、物語後半で再登場する重要キャラクターです。

その名の通り、正体は巨大な白い牛。
孫悟空と互角に戦える実力の持ち主で、『西遊記』最強クラスの妖怪として知られています。

牛魔王には有名な家族がいます。
妻は芭蕉扇を持つ鉄扇公主(羅刹女)、息子は三昧真火を操る紅孩児。
どちらも取経の旅で孫悟空の前に立ちはだかる強敵です。

火焔山のエピソードでは、息子の紅孩児を観音菩薩に連れていかれた恨みから、かつての義弟・悟空と激しく対立することになります。
天界・仏界・冥界の三界連合軍でようやく鎮圧されたというのだから、その強さは折り紙付きですね。

次兄:蛟魔王(覆海大聖)

「覆海」は「海をひっくり返す」という意味。
蛟(みずち)は龍の一種とされる生き物で、北海龍王の血を引くとも言われています。

ただし正統な龍ではなく、蛇との混血という説もあり、龍族からは認められない存在だったとか。
そのコンプレックスから「いつか海を支配してやる」という野望を抱いていたようです。

残念ながら物語本編では結義の場面以降、ほとんど登場しません。
一説では、天界の怒りを買って捕らえられたとも言われています。

三兄:鵬魔王(混天大聖)

「混天」は「天を乱す」という意味の、これまた大胆な称号です。

鵬(おおとり)は中国神話に登場する巨大な鳥で、その翼は何千里にも及ぶとされます。
飛行能力は孫悟空の觔斗雲に匹敵するほどだったと言われています。

興味深いのは、物語後半に登場する獅駝嶺の金翅大鵬との関係。
金翅大鵬は孫悟空の変化の弱点を見抜くなど、まるで旧知の仲のような描写があるんです。

一部のファンの間では「鵬魔王と金翅大鵬は同一人物では?」という説も唱えられています。

四兄:獅駝王(移山大聖)

「移山」、つまり「山を動かす」大聖です。

獅子の妖怪で、その起源には謎が多いキャラクター。
獅子はもともと中国に生息しておらず、仏教とともにインドから伝わった動物です。
そのため、獅駝王自体にも異国的な神秘性が漂っています。

こちらも結義以降は本編に登場しませんが、名前から察するに怪力の持ち主だったのでしょう。

五兄:獼猴王(通風大聖)

「通風」は「風の便りを知る」という意味で、情報通であることを示しています。

獼猴(びこう)は大型の猿のこと。
孫悟空と同じ猿系の妖怪ですが、別の種類ですね。

ちなみに『西遊記』第58回には「六耳獼猴」という偽悟空が登場しますが、獼猴王との関係は不明です。
同じ「獼猴」でも別の存在と考えられています。

六兄:禺狨王(駆神大聖)

「駆神」は「神をも追い払う」という、これまた挑発的な称号。

禺狨(ぐしゅう)は尾の長い猿の一種で、他の猿を襲って食べることもあるという凶暴な性質を持つとされています。

七大聖の中でも最も謎に包まれた存在で、結義の場面以外にはまったく登場しません。
その後どうなったのか、完全に不明のままです。

末弟:美猴王/孫悟空(斉天大聖)

そして7番目が、おなじみの孫悟空です。

「斉天」は「天に等しい」という意味。
他の兄たちの称号と比べても、一番デカいことを言っていますね。

花果山の水簾洞で生まれた石猿は、修行によって七十二変化や觔斗雲といった術を身につけました。
天界で大暴れし、釈迦如来に五行山の下に封印されてから500年後、三蔵法師の弟子となって天竺への旅に出ます。

最終的に「闘戦勝仏」という仏号を得て、七大聖の中で唯一「成仏」を果たしたキャラクターです。

七大聖のその後

気になるのは、孫悟空以外の6人がどうなったかですよね。

実は、牛魔王以外の5人は本編でほとんど再登場しません。
結義の場面で顔を見せただけで、その後の消息は完全に不明。

これには「物語の構成上、省略された」という現実的な理由もありますが、ファンの間では様々な考察がされています。

  • 天界との戦いで討たれた
  • 孫悟空が封印された後、散り散りになった
  • 別の土地で妖怪として暮らしている

牛魔王だけは火焔山のエピソードで堂々と再登場し、かつての義弟と激突。
最終的には天界の軍に捕らえられ、仏教に帰依して「大力王菩薩」となったとされています。

現代文化への影響

七大聖は、現代のゲームや漫画にも多大な影響を与えています。

有名なところでは、任天堂の「クッパ」。
マリオシリーズの宿敵クッパは、実は牛魔王をモデルにしているんです。
デザイナーの宮本茂氏が、1960年のアニメ映画『西遊記 鉄扇公主の巻』から着想を得たと語っています。

また、近年の中国産ゲーム『黒神話:悟空』をはじめ、七大聖をモチーフにした作品は数多く生まれています。

七大聖一覧表

序列王号読み方大聖号読み方正体備考
1牛魔王ぎゅうまおう平天大聖へいてんたいせい白牛盟主。火焔山で再登場
2蛟魔王こうまおう覆海大聖ふくかいたいせい蛟(みずち)龍の血を引くとされる
3鵬魔王ほうまおう混天大聖こんてんたいせい鵬(おおとり)飛行能力が高い
4獅駝王しだおう移山大聖いさんたいせい獅子異国的な起源を持つ
5獼猴王びこうおう通風大聖つうふうたいせい獼猴(大型の猿)情報通の意味
6禺狨王ぐしゅうおう駆神大聖くしんたいせい狨(尾長猿)最も謎に包まれた存在
7美猴王びこうおう斉天大聖せいてんたいせい石猿孫悟空。のちに闘戦勝仏

まとめ

七大聖についてのポイントをおさらいしましょう。

  • 『西遊記』で孫悟空が大暴れする前に結んだ7人の義兄弟
  • 序列は強さではなく年齢順で決まっている
  • 長兄の牛魔王は『西遊記』最強クラスの妖怪
  • 孫悟空以外の5人は、本編でほぼ再登場しない謎の存在
  • 現代のゲームや漫画にも影響を与えている

結義を交わしたはずの兄弟たちが、物語が進むにつれてバラバラになっていく——。
ちょっと切ない要素もありますが、だからこそ「大暴れした青春時代」と「修行の旅」の対比が際立つのかもしれませんね。

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