クトゥルフ神話に登場する不気味な生き物たちを知っていますか?
その中でも「シャンタク鳥」は、象よりも大きな体を持ち、宇宙空間すら飛び越える恐ろしい怪鳥として知られています。
ドリームランド(幻夢境)という夢の世界に棲み、外なる神々の乗り物として使われることも多い存在なんです。
「TRPGで名前は聞いたけど、どんな生き物?」「ビヤーキーとの違いは?」と疑問に思う方もいるでしょう。
この記事では、シャンタク鳥の外見や能力、初出作品、天敵、そして現代作品での登場例まで、わかりやすく解説していきます。
シャンタク鳥の基本情報

概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語表記 | Shantak / Shantak-bird |
| 分類 | 奉仕種族 |
| 生息地 | ドリームランド(幻夢境)、レン高原付近 |
| 初出作品 | 『未知なるカダスを夢に求めて』(1926-1927年執筆) |
| 作者 | H.P.ラヴクラフト |
シャンタク鳥は、クトゥルフ神話に登場する架空の飛行生物です。
「鳥」と名がつきますが、地球上のどんな鳥やコウモリとも似ていません。
主にドリームランドという夢の世界に生息しており、外なる神ナイアーラトテップに仕える奉仕種族として描かれています。
外見の特徴
シャンタク鳥の姿は、一言でいえば「悪夢の怪鳥」です。
主な外見的特徴
- 体の大きさ:象よりも巨大
- 頭部:馬のような形をしている(たてがみ付き)
- 翼:コウモリのような翼を持つ
- 体表:羽毛ではなく鱗に覆われている
- 鱗の質感:非常に滑りやすい
- 鳴き声:すりガラスを引っかくような不快な音
ラヴクラフトは原作で次のように描写しました。
地上で知られているどんな鳥ともコウモリとも違っていた……なぜなら体は象より大きく、頭は馬のようだったからだ
鱗がとても滑りやすいため、シャンタク鳥に乗るのは非常に困難とされています。
うっかりすると振り落とされてしまうでしょう。
シャンタク鳥の生態と能力
生息地
シャンタク鳥は、ドリームランド北方のインクアノクという都市の近くに棲んでいます。
具体的には、広大な縞瑪瑙(しまめのう)の採石場にある洞窟が彼らの巣です。
また、レン高原付近の山岳地帯でも目撃されることがあります。
この地域の人々を時には助けてくれることもあるようで、明らかに知性を持っている存在なんです。
飛行能力
シャンタク鳥の最も恐ろしい能力は、その飛行力にあります。
飛行に関する特徴
- ドリームランド内を自由に移動できる
- 宇宙空間を飛行することが可能
- 時空を超えた移動もできる(とされる)
つまり、シャンタク鳥に乗れば理論上どこへでも行けてしまいます。
ただし、これには恐ろしいリスクが伴うことを忘れてはいけません。
危険性:アザトースの宮廷への連行
シャンタク鳥を乗り物として利用する者もいますが、油断は禁物です。
もし乗り手がシャンタク鳥に侮られると、そのまま宇宙の中心にある魔王アザトースの宮廷まで運ばれてしまうといわれています。
アザトースは「盲目白痴の神」と呼ばれる最高位の外なる神であり、その宮廷にたどり着けば正気を保つことは不可能でしょう。
作中でも、ニャルラトテップがランドルフ・カーターをシャンタク鳥に乗せ、アザトースの元へ送り込もうとする場面が描かれています。
シャンタク鳥が仕える神々
ナイアーラトテップとの関係
シャンタク鳥は、主にナイアーラトテップ(這い寄る混沌)に仕える奉仕種族です。
ナイアーラトテップは外なる神々の使者であり、1000以上の化身を持つとされる存在。
シャンタク鳥は彼の従者たちの移動手段として利用されることが多いのです。
その他の主人
ナイアーラトテップ以外にも、シャンタク鳥が仕える神格は存在します。
| 神格名 | 関係性 |
|---|---|
| ナイアーラトテップ | 主な主人、移動手段として使役 |
| ゴル=ゴロス(グロス=ゴルカ) | 鳥の神、シャンタク鳥の始祖クームヤーガが仕える |
| レンの商人たち | 家畜として飼育 |
かつて「古きもの」の乗用にも使役されていたという説もあります。
シャンタク鳥の天敵:ナイトゴーント
ナイトゴーントとは?
シャンタク鳥には、非常に恐れている存在がいます。
それがナイトゴーント(夜鬼)です。
ナイトゴーントは、旧神ノーデンスに仕える黒い怪物。
顔がなく、角を生やし、ゴムのような翼を持つ不気味な存在として描かれています。
なぜ恐れるのか?
面白いことに、TRPGのステータスを比較すると、シャンタク鳥のほうがナイトゴーントより強いんです。
それなのにシャンタク鳥はナイトゴーントを見ると逃げ出してしまいます。
この恐怖の理由は明確には語られていません。
ただ、両者がかつて宇宙の同じ場所に棲んでいた可能性が示唆されており、その頃の本能が残っているのかもしれません。
人間がゴキブリを理由なく怖がるのと似た感覚なのでしょうか。
シャンタク鳥の始祖「クームヤーガ」
クームヤーガとは?
シャンタク鳥の中で最も年長で偉大な個体がクームヤーガ(Quumyagga)です。
リン・カーターの作品『深淵への降下』などに登場し、シャンタク鳥種族の始祖とされています。
クームヤーガの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目 | 一つ目(緑色) |
| 足 | 一本足 |
| 地位 | レッサー・オールド・ワン(小神) |
| 主人 | 鳥の神グロス=ゴルカ |
| 居住地 | レン高原の山頂、またはアンタークトス山の深淵 |
通常のシャンタク鳥とは異なり、クームヤーガは神格に近い存在として扱われています。
シャンタク鳥の卵
貴重な食材?
シャンタク鳥の卵は、ドリームランドでは貴重な食材として珍重されています。
卵の特徴
- 巨大なサイズ
- 非常においしい(とされる)
- 入手は極めて困難
卵の入手が難しい理由
シャンタク鳥の卵を手に入れるのは命がけです。
- 巣が断崖絶壁の高所にある
- 親鳥が卵を激しく守る
- 多くの命が失われてきた
それでもこの卵を求めて冒険する者が後を絶たないほど、味は格別だといわれています。
初出作品『未知なるカダスを夢に求めて』
作品概要
シャンタク鳥が初めて登場したのは、ラヴクラフトの中編小説『未知なるカダスを夢に求めて』(The Dream-Quest of Unknown Kadath)です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 執筆時期 | 1926年秋〜1927年1月22日 |
| 発表 | 1943年(ラヴクラフトの死後) |
| 主人公 | ランドルフ・カーター |
| ジャンル | ドリームサイクル(夢の国シリーズ) |
この作品はラヴクラフトのドリームサイクルの中で最も長い物語であり、ファンタジー冒険譚としての性格も持っています。
物語でのシャンタク鳥
物語の中で、主人公ランドルフ・カーターは何度かシャンタク鳥と遭遇します。
主な登場シーン
- インクアノクの採石場付近で捕らえられる
- レン高原を越える移動手段として利用される
- ニャルラトテップの策略でシャンタク鳥に乗せられ、アザトースの宮廷へ送られそうになる
最終的にカーターは、シャンタク鳥がアザトースの元へ向かっていることに気づき、機転を利かせて脱出することに成功します。
「外世界からの漁師」との関係
同一種族説
クトゥルフ神話には「外世界からの漁師」(Fishers from Outside / あの世からの漁夫)という生物も登場します。
リン・カーターの作品では、この外世界からの漁師とシャンタク鳥は同一種族の別名とされました。
ハイパーボリア大陸のヴーアミ族が、シャンタク鳥をこう呼んでいたというのです。
TRPGでの扱い
一方、クトゥルフ神話TRPGでは両者は別種の生物として扱われています。
| 種族 | 特徴 |
|---|---|
| シャンタク鳥 | 馬頭、鱗の翼、象より大きい |
| 外世界からの漁師 | 一本足の鳥型、グロス=ゴルカに仕える |
設定は作者や作品によって異なるため、どちらの解釈を採用するかはシナリオ次第といえるでしょう。
シャンタク鳥とビヤーキーの違い
クトゥルフ神話には「ビヤーキー」という別の飛行生物も存在します。
混同されやすいので、違いを整理しておきましょう。
| 項目 | シャンタク鳥 | ビヤーキー |
|---|---|---|
| 体の大きさ | 象より大きい | 人間よりやや大きい程度 |
| 足の数 | 2本 | 4本 |
| 主な主人 | ナイアーラトテップ | ハスター |
| 生息地 | ドリームランド | 宇宙空間 |
| 羽毛/鱗 | 鱗 | 翼膜(皮膜) |
ビヤーキーは宇宙空間を高速で移動でき、召喚呪文で呼び出されることが多い存在です。
対してシャンタク鳥は、ドリームランドを中心に活動する怪鳥という違いがあります。
クトゥルフ神話TRPGでのデータ

ステータス(7版準拠)
TRPGでシャンタク鳥を登場させる際の参考データです。
| 能力値 | 数値 |
|---|---|
| STR | 4D6+20 |
| CON | 2D6+6 |
| SIZ | 4D6+36 |
| INT | 1D6 |
| POW | 3D6 |
| DEX | 2D6+3 |
| 移動 | 6 / 飛行30 |
| 耐久力 | 約32 |
| 装甲 | 9ポイント(厚い皮膚) |
攻撃と正気度
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 噛みつき | 55%、ダメージ2D6+ダメージボーナス |
| ダメージボーナス | +4D6 |
| 正気度喪失 | 0/1D6 |
正気度喪失は比較的少なめですが、その巨体と異形の姿は十分に恐怖を与えるでしょう。
シナリオでの使い方
シャンタク鳥は、さまざまな形でシナリオに組み込むことができます。
使用例
- 夜な夜な町に現れる謎の巨大生物として登場
- 異世界から紛れ込んだ怪物として調査対象に
- ドリームランドを舞台にした冒険の移動手段
- ナイアーラトテップの従者とセットで登場
ラスボスにも、シナリオの一要素にもなれる便利な神話生物といえます。
現代作品への影響
ゲームでの登場
シャンタク鳥は、さまざまなゲーム作品に登場しています。
主な登場作品
| 作品名 | 登場形態 |
|---|---|
| Fate/Grand Order | 敵モンスター(紫色の馬面、白い石の装飾) |
| ドラゴンクエストモンスターズ2 | 「シャンタク」という名前の鳥系モンスター |
| ファイナルファンタジーX-2 | モンスターとして登場 |
ドラクエモンスターズでは、原作の「高い知性を持ち主人に仕える」という設定が反映されているのか、「ベホマラー」を覚える優秀なモンスターとして登場しました。
アニメ・ライトノベル
『這いよれ!ニャル子さん』には、シャンタク鳥をモチーフにした「シャンタッ君」というキャラクターが登場します。
原作の外見をデフォルメした可愛らしいデザインで、クトゥルフ神話の怪物をコメディタッチで描いた作品ならではのアレンジです。
まとめ
シャンタク鳥は、クトゥルフ神話のドリームランドを代表する怪物の一つです。
押さえておきたいポイント
- 象より大きく、馬のような頭を持つ怪鳥
- 羽毛ではなく滑りやすい鱗に覆われている
- ナイアーラトテップなど外なる神々に仕える奉仕種族
- 宇宙空間を飛行でき、油断するとアザトースの宮廷に連れて行かれる
- 天敵はナイトゴーント(理由は不明だが極端に恐れる)
- 始祖クームヤーガは一つ目一本足の神格的存在
- TRPGではラスボスにもサブにもなれる使い勝手の良い神話生物
ドリームランドを舞台にしたシナリオや、ナイアーラトテップが絡む物語では、シャンタク鳥は欠かせない存在です。
その巨体と異形の姿は、探索者たちに宇宙的恐怖の一端を垣間見せてくれるでしょう。
ただし、決して侮ってはいけません。
気づいたときには、あなたも魔王アザトースの宮廷へ向かっているかもしれないのですから。
関連用語
- ドリームランド(幻夢境):人間が夢を通じて訪れることができる異世界
- ナイアーラトテップ:外なる神、「這い寄る混沌」とも呼ばれる
- アザトース:宇宙の中心に座す盲目白痴の神
- ナイトゴーント(夜鬼):旧神ノーデンスに仕える黒い怪物、シャンタク鳥の天敵
- ランドルフ・カーター:ラヴクラフト作品に登場する夢見人の主人公
- レン高原:ドリームランドの危険な地域
- インクアノク:縞瑪瑙の産地として知られるドリームランドの都市
- 奉仕種族:神格に仕える下級の存在たち


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