「聖剣伝説」という名前を聞いて、懐かしさを感じる人は多いのではないでしょうか。
1991年にゲームボーイで産声を上げたこのシリーズは、30年以上の時を経て今なお新作がリリースされ続けています。
最初は『ファイナルファンタジー』の外伝として登場したのに、いつの間にか独立したブランドへと成長していたんですね。
この記事では、聖剣伝説シリーズがどのように誕生し、どんな変遷を辿ってきたのかを振り返っていきます。
聖剣伝説とは?シリーズの基本情報
聖剣伝説は、スクウェア・エニックス(旧スクウェア)が手がけるアクションRPGシリーズです。
2024年時点でシリーズ累計販売本数は900万本を超えています。
シリーズを通して「マナ」と呼ばれる神秘的な力と、それを象徴する「聖剣」や「マナの樹」が物語の軸になっているのが特徴です。
また、「大切な人との死別」「失う悲しみ」をテーマにした切ないストーリーも、このシリーズならではの魅力といえるでしょう。
生みの親である石井浩一氏は、このテーマについて「映画『ニュー・シネマ・パラダイス』が原点」と語っています。
誕生の背景:FFの外伝として始まった物語
石井浩一という天才クリエイター
聖剣伝説を語る上で欠かせないのが、シリーズの生みの親・石井浩一氏の存在です。
石井氏は1986年にアルバイトとしてスクウェアに入社しました。
面接時の坂口博信氏(FFの生みの親)の第一印象は「どこのチンピラかと思った」だったそうですが、石井氏が持参したノートのイラストを見て圧倒され、即採用となったといいます。
実は石井氏、FFシリーズの初期3作にも深く関わっていました。
FFの横視点の戦闘画面は彼のアイデアですし、チョコボやモーグリのデザインも手がけています。
「もうFFはやりたくない」から生まれた新シリーズ
『ファイナルファンタジーIII』まで関わった後、石井氏は「もうFFはやりたくない」と感じるようになりました。
本来はアクションゲームを作りたかったんですね。
そこで坂口氏から「ゲームボーイなら自由に作っていい」と言われ、オリジナル企画として聖剣伝説の制作がスタートしました。
黄金期:初期3作品の軌跡(1991年〜1995年)
聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜(1991年)
記念すべき第1作は、1991年6月28日にゲームボーイで発売されました。
タイトルに「ファイナルファンタジー外伝」と付いていることからもわかるように、当時はFFシリーズの派生作品という位置づけでした。
販売本数は約45万本。
見下ろし型のアクションRPGで、パズル要素も盛り込まれていました。
音楽を担当したのは伊藤賢治氏。
後にスクウェアの大作シリーズに関わる多くのスタッフがこの作品から巣立っていきました。
聖剣伝説2(1993年)
シリーズの人気を決定づけた名作が、1993年8月6日発売の『聖剣伝説2』です。
実はこの作品、もともとは『ファイナルファンタジーIV』として企画されていたもの。
スーパーファミコン用CD-ROMで発売される予定でしたが、諸事情により『聖剣伝説2』として世に出ることになりました。
ちなみに、当時カットされた要素の一部は後の『クロノ・トリガー』で活用されたといわれています。
『聖剣伝説2』で特筆すべきは、革新的なゲームシステムです。
フィールド上でシームレスに戦闘が始まる「モーションバトル」。
武器や魔法を素早く選択できる「リングコマンド」。
最大3人同時プレイが可能なマルチプレイ機能。
これらの要素が、アクションRPGの金字塔として高く評価されました。
音楽を担当した菊田裕樹氏の神秘的なサウンドも、作品の魅力を大きく引き上げています。
聖剣伝説3(1995年)
1995年9月30日、シリーズ最後のスーパーファミコン作品『聖剣伝説3』が発売されました。
6人の主人公から3人を選んでパーティを組む「トライアングルストーリー」システムが最大の特徴です。
選んだキャラクターによってストーリー展開が変わるため、何度も遊べる作りになっていました。
グラフィックはSFC最高水準で、ファミ通クロスレビューでシルバー殿堂を獲得。
菊田裕樹氏の音楽も健在で、シリーズファンからは今でも最高傑作との呼び声が高い作品です。
ただし、この作品は長らく日本国内専売でした。
海外のファンが正式にプレイできるようになったのは、2019年の『聖剣伝説コレクション』英語版からです。
新たな挑戦:プレイステーション時代(1999年〜2003年)
聖剣伝説 LEGEND OF MANA(1999年)
初期3作の後、4年のブランクを経て登場したのが『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』です。
1999年7月15日、プレイステーション向けに発売されました。
この作品は従来のシリーズとは大きく路線が変わりました。
「アーティファクト」と呼ばれる工芸品を地図上に置くと、町や森が現れる「ランドメイク」システム。
プレイヤー自身が世界を作り上げていくという、かなり実験的な内容でした。
絵本のような美しい2Dグラフィックと、下村陽子氏による幻想的な音楽が高く評価されています。
新約 聖剣伝説(2003年)
2003年8月29日、ゲームボーイアドバンスで『新約 聖剣伝説』が発売されました。
これは初代のリメイク作品ですが、ストーリーやシステムが大幅に変更されており、ほぼ別のゲームといえる内容でした。
「FF外伝」という肩書きは外れ、聖剣伝説シリーズ独自の世界観に合わせた設定に変更されています。
激動の時代:World of Manaプロジェクト(2006年〜2007年)
複数プラットフォームへの展開
2005年のE3で「THE WORLD of MANA」プロジェクトが発表されました。
これは聖剣伝説をさまざまなプラットフォームで展開しようという野心的な計画でした。
2006年3月:聖剣伝説DS CHILDREN of MANA(ニンテンドーDS)
2006年10月:聖剣伝説 FRIENDS of MANA(携帯電話)
2006年12月:聖剣伝説4(PlayStation 2)
2007年3月:聖剣伝説 HEROES of MANA(ニンテンドーDS)
短期間に4作品もリリースするという、かなりアグレッシブな展開でした。
聖剣伝説4の挑戦と評価
『聖剣伝説4』は『聖剣伝説3』以来、11年ぶりのナンバリングタイトルでした。
シリーズ初のフル3D作品で、初めてキャラクターボイスも採用されています。
「原点回帰」をテーマに、マナの女神と聖剣がいかにして誕生したかという物語が描かれました。
主題歌は坂本龍一氏が担当するなど、力の入った作品でした。
発売から10日で22万9000本を売り上げ、PS2のトップセラーになりましたが、従来のシリーズとは大きくゲームシステムが変わったことで、ファンからの評価は分かれました。
このプロジェクト終了後の2007年4月、石井浩一氏はスクウェア・エニックスを退社し、株式会社グレッゾを設立して独立しています。
復活の狼煙:リメイクとリマスターの時代(2016年〜2021年)
聖剣伝説コレクション(2017年)
シリーズ25周年を記念して、2017年6月1日にNintendo Switchで『聖剣伝説コレクション』が発売されました。
初代、2、3の3作品をまとめて収録した移植版です。
2019年には海外向けに『Collection of Mana』として発売され、『聖剣伝説3』が初めて海外でプレイできるようになりました。
聖剣伝説2 SECRET of MANA(2018年)
2018年2月15日、『聖剣伝説2』のフル3Dリメイク版がPS4、PS Vita、Steamで発売されました。
キャラクターボイスの追加やグラフィックの刷新が行われましたが、オリジナルファンからは賛否両論の評価となりました。
聖剣伝説3 TRIALS of MANA(2020年)
シリーズ復活の決定打となったのが、2020年4月24日発売の『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』です。
1995年の名作を3Dフルリメイクした作品で、グラフィックの向上、キャラクターボイス、アレンジ楽曲、エンディング後の追加エピソードなど、現代向けに大幅にパワーアップしています。
世界累計出荷・DL販売本数は100万本を突破。
この成功が、後の完全新作につながることになります。
聖剣伝説 LEGEND OF MANA HDリマスター(2021年)
2021年6月24日、『LEGEND OF MANA』のHDリマスター版がNintendo Switch、PS4、Steamで発売されました。
絵本のような美しい2Dグラフィックがそのまま高解像度化され、エンカウントなし設定の追加など、遊びやすさも向上しています。
新たな時代へ:聖剣伝説 VISIONS of MANA(2024年)
18年ぶりの完全新作
2024年8月29日、『聖剣伝説 VISIONS of MANA』がPS5、PS4、Xbox Series X|S、Steamで発売されました。
『聖剣伝説4』から実に18年ぶりとなる完全新作です。
「原点回帰した王道ファンタジーRPG」を掲げ、愛をテーマにした物語が展開されます。
セミオープンフィールドで広大な世界を冒険し、精霊の力を借りた立体的なバトルが楽しめる内容となっています。
評価と反響
レビュー集積サイトMetacriticでは74点(100点満点)を獲得。
美麗なグラフィック、広めのセミオープンワールド、アクションRPGとしての完成度が評価されました。
Steamでは「やや好評」(77%が好評)の評価を得ています。
シリーズの音楽を支えた作曲家たち
聖剣伝説の魅力を語る上で、音楽は欠かせない要素です。
シリーズを彩った主な作曲家を紹介します。
伊藤賢治氏
初代『聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜』、『聖剣伝説4』、『新約 聖剣伝説』などを担当。
菊田裕樹氏
『聖剣伝説2』『聖剣伝説3』を担当。
神秘的で幻想的なサウンドは、今でも多くのファンに愛されています。
下村陽子氏
『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』を担当。
絵本のような世界観に寄り添う、美しい楽曲を生み出しました。
聖剣伝説シリーズ作品一覧
| 発売日 | タイトル | 対応機種 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1991年6月28日 | 聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜 | ゲームボーイ | シリーズ第1作 |
| 1993年8月6日 | 聖剣伝説2 | スーパーファミコン | リングコマンド初搭載 |
| 1995年9月30日 | 聖剣伝説3 | スーパーファミコン | トライアングルストーリー |
| 1999年7月15日 | 聖剣伝説 LEGEND OF MANA | PlayStation | ランドメイクシステム |
| 2003年8月29日 | 新約 聖剣伝説 | ゲームボーイアドバンス | 初代リメイク |
| 2006年3月2日 | 聖剣伝説DS CHILDREN of MANA | ニンテンドーDS | World of Mana作品 |
| 2006年10月18日 | 聖剣伝説 FRIENDS of MANA | 携帯電話 | 日本限定配信 |
| 2006年12月21日 | 聖剣伝説4 | PlayStation 2 | 初のフル3D作品 |
| 2007年3月8日 | 聖剣伝説 HEROES of MANA | ニンテンドーDS | リアルタイムストラテジー |
| 2016年2月24日 | 聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜 | PS Vita/iOS/Android | 初代の3Dリメイク |
| 2017年6月1日 | 聖剣伝説コレクション | Nintendo Switch | 初期3作収録 |
| 2018年2月15日 | 聖剣伝説2 SECRET of MANA | PS4/PS Vita/Steam | 2の3Dリメイク |
| 2020年4月24日 | 聖剣伝説3 TRIALS of MANA | PS4/Switch/Steam | 3のフルリメイク |
| 2021年6月24日 | 聖剣伝説 LEGEND OF MANA HDリマスター | PS4/Switch/Steam | HDリマスター版 |
| 2024年8月29日 | 聖剣伝説 VISIONS of MANA | PS5/PS4/Xbox/Steam | 18年ぶりの完全新作 |
※モバイル向けの『CIRCLE of MANA』『RISE of MANA』『ECHOES of MANA』などは既にサービス終了。
まとめ
聖剣伝説シリーズの歴史を振り返ると、以下のようなポイントが見えてきます。
- FFの外伝として1991年に誕生し、2作目から独自路線へ
- 初期3作(1991年〜1995年)が黄金期として高く評価
- 『LEGEND OF MANA』以降は実験的な作品も多く賛否両論
- World of Manaプロジェクト後に生みの親・石井浩一氏が独立
- 『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』のヒットでシリーズ復活
- 2024年に18年ぶりの完全新作『VISIONS of MANA』が登場
30年以上の歴史の中で、浮き沈みを経験しながらも愛され続けてきた聖剣伝説。
マナの樹と聖剣を巡る物語は、これからも新しいファンを獲得しながら続いていくことでしょう。
懐かしい作品をプレイし直すもよし、リメイクから入るもよし。
この機会に、聖剣伝説の世界に触れてみてはいかがでしょうか。


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