石川県の能登半島には、猿が鬼になったという不思議な伝説があります。
仲間から追い出された猿が、恨みを抱いて恐ろしい鬼に変化。村人たちを苦しめ続けたけれど、最後は神様の矢で退治されたという物語です。
しかも、その伝説は今も地名や神社に残っているんですよ。
この記事では、石川県能登地方に伝わる妖怪「猿鬼」について詳しくご紹介します。
猿鬼ってどんな存在なの?
猿鬼は、石川県の能登地方、特に旧・柳田村(現在の能登町)に伝わる猿の姿をした鬼です。
もともとは普通の猿だったんですが、あまりに乱暴でケンカばかりしていたため、仲間から追い出されてしまいました。
その恨みから鬼になってしまったという、ちょっと悲しい妖怪なんです。
猿鬼の特徴
- 普通の猿よりはるかに大きな体
- 全身が真っ赤
- 頭に1本の角が生えている
- 岩井戸神社の裏の岩穴に住んでいた
猿鬼は小鬼たちを引き連れて、田畑を荒らしたり、人を襲ったりして村人たちを苦しめていました。
伝承
猿鬼の物語は、仲間外れから始まります。
猿から鬼への変化
昔、能登の山に一匹の猿がいました。
でも、この猿は性格が荒っぽく、いつも他の猿とケンカばかり。
とうとう群れから追い出されてしまったんです。一匹ぼっちになった猿は、仲間への恨みをつのらせ、いつしか恐ろしい猿鬼に変化してしまいました。
村への襲撃
鬼となった猿は、人間の村を襲うようになります。
小鬼たちを従えて山から下りてきては、農作物を奪い、家畜を盗み、時には人間も襲いました。村人たちは恐怖に怯える日々を送ることになったんです。
氏神による退治
困り果てた村人たちは、神社の氏神に助けを求めました。
氏神は弓の名手で、猿鬼退治に立ち上がります。猿鬼は素早くてなかなか捕まえられませんでしたが、ついに氏神の放った矢が猿鬼の目に命中!
見事に退治されました。
地名の由来
猿鬼にまつわる伝説は、今も地名として残っています。
猿鬼伝説が残した地名
- 当目(とうめ):矢が猿鬼の目に当たった場所
- 黒川(くろがわ):死んだ猿鬼の黒い血が川となって流れた場所
また、猿鬼の霊を慰めるために岩井戸神社が建てられ、伊夜比咩神社には退治された猿鬼の角とされるものが今も保存されているそうです。
まとめ
猿鬼は、仲間外れの悲しみから生まれた能登地方の妖怪です。
猿鬼の重要ポイント
- 乱暴で群れから追い出された猿が鬼に変化
- 真っ赤な体に角を持つ恐ろしい姿
- 村人を苦しめたが氏神の矢で退治された
- 当目や黒川など地名の由来として残る
- 岩井戸神社や伊夜比咩神社に伝説が伝わる
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