南太平洋の島国パプアニューギニアで、真夜中に不気味な光を放ちながら空を飛ぶ巨大な生物を見たら、あなたはどう思うでしょうか?
現地の人々は、それを「ローペン」と呼び、今でも恐れています。
翼竜のような姿で墓を掘り起こし、死肉を貪るという恐ろしい習性を持つこの生物は、果たして本当に存在するのでしょうか。
この記事では、1940年代から目撃が相次ぐパプアニューギニアの未確認生物「ローペン」について、その神秘的な姿や驚くべき特徴、興味深い伝承を詳しくご紹介します。
概要

ローペンは、パプアニューギニアとその周辺の島々で目撃される翼竜型の未確認生物(UMA)です。
名前は現地の言葉で「空飛ぶ悪魔」を意味していて、地域によってデュアー、ワワナル、クンデュア、セクロバリといった様々な呼び名があります。でも、どの名前も基本的に「恐ろしい空を飛ぶもの」という意味なんですね。
1940年代から本格的に目撃報告が始まり、特に1944年にアメリカ兵が目撃したことで世界的に知られるようになりました。翼竜のような外見と、夜になると体を光らせる不思議な特性から、「絶滅したはずの翼竜の生き残り」という説も出ているんです。
現地の人々にとっては昔から知られた存在で、墓を荒らしたり、家畜を襲ったりする恐ろしい生き物として語り継がれています。
姿・見た目
ローペンの姿は、まさに太古の翼竜がそのまま現代に蘇ったような外見をしているんです。
ローペンの身体的特徴
- 体長:1~9メートル(個体差が大きい)
- 翼を広げた大きさ:3~7メートル
- 皮膚の色:黒褐色、または赤褐色
- 体毛:全身に毛がない(羽毛もなし)
頭部の特徴がとても印象的で、ワニのような細長いくちばしに鋭い歯が並んでいます。後頭部には短い毛が生えていて、これがとさかのように見えることもあるそうです。この頭の形から、大型翼竜のプテラノドンに似ているという意見も多いんですね。
翼はコウモリのような皮膜状になっていて、その翼の中央には3本の指があり、それぞれに鋭い爪がついています。尾は長く、先端が菱形になっているという目撃証言もあります。
興味深いのは、目撃者によって大きさの報告にかなり差があること。小さいものでは1メートル程度、大きいものでは9メートルを超えるという報告もあるんです。これは複数の個体がいるのか、それとも成長段階の違いなのか、謎は深まるばかりです。
特徴
ローペンには、普通の動物とは明らかに違う特殊な能力や習性があります。
最大の特徴:夜間の発光現象
ローペンの最も不思議な特徴は、夜になると体が光るということなんです。
現地では「ローペンライト」と呼ばれていて、発光パターンには2つのタイプがあります:
- 全身が光るタイプ:体全体がぼんやりと光を放つ
- 腹部が光るタイプ:お腹の部分だけが明るく光る
さらに、約5秒周期で明滅することもあるといいます。この発光能力は、約1億4千万年前に生息していた翼竜ランフォリンクスも持っていたとされる特性と一致するんですね。
食性と行動パターン
ローペンの食べ物についても、ちょっと怖い話があります。
普段は魚や果実を食べているとされますが、最も恐れられているのは死肉を好むという習性です。特に有名なのが:
- 埋葬したばかりの墓を掘り起こして死体を食べる
- 葬列を襲うこともある
- 動物の死骸を探して食べる
- 時には生きた家畜(ブタなど)を襲う
昼間は洞窟などに潜んでいて、活動するのは主に夜。この夜行性の習性も、人々の恐怖を増幅させる要因になっているようです。
伝承

ローペンにまつわる目撃談や伝承は、第二次世界大戦中から現代まで続いています。
1944年の歴史的目撃事件
最も有名な目撃事例は、1944年にウンボイ島で起きました。
オーストラリア軍に配属されていたアメリカ兵のドウェイン・ホキソンが、ジャングルで信じられない光景を目撃したんです。彼が見たのは、8メートルを超える巨大な怪鳥がブタを追いかけて飛び立つ姿でした。その生物は、コウモリのような翼と長いくちばしを持っていたといいます。
ウンボイ島での恐怖体験
パプアニューギニアの中でも、特にウンボイ島は目撃が多発する場所として知られています。
2001年4月には、マロング村で衝撃的な事件が起きました。村人の葬儀が行われ、亡くなった人を墓地に埋葬したその夜、何者かが土を掘り返している音が聞こえたんです。村人たちが確認に行くと、そこには死体を貪るローペンの姿があったというのです。
同じ2001年の2月には、ランゾン島で魚を獲っていた漁師も巨大な怪物を目撃しています。
古い航海図にも記録が
実は、ローペンの存在は近代になってから知られたわけではありません。
研究家のジェームズ・スウィーが著書『海怪物の歴史』で紹介した古い航海図には、パプアニューギニア海域に「コウモリに似た翼と長いくちばしを持つ怪物」の警告が記されていたんです。その航海図には3体の怪物の姿が描かれ、船乗りたちに注意を促していました。
現地での様々な呼び名と伝承
パプアニューギニアの各部族では、それぞれ独自の呼び名と伝承があります:
- 墓荒らしとして恐れられる
- 撒き餌漁のときに襲撃してくる
- 人を襲うこともある凶暴な性質
- 災いをもたらす不吉な存在
どの部族でも共通しているのは、ローペンを「恐ろしい存在」として認識していることです。
起源
ローペンの正体については、主に2つの説が提唱されています。
説1:オオコウモリ説
最も現実的な説として、オオコウモリの誤認という考え方があります。
確かにウンボイ島を含むパプアニューギニアには、大型のオオコウモリが生息しています。翼を広げると1メートルを超える個体もいて、夜行性という点も共通しているんですね。
でも、この説には大きな問題点があります:
- オオコウモリは草食で、死肉を食べない
- 最大でも翼長3メートルには届かない
- 体が光るという報告と合わない
- くちばしや歯の形状が全く違う
説2:翼竜の生き残り説
もう一つの説は、もっとロマンがあって興味深いものです。それは絶滅したはずの翼竜が生き残っているという説なんです。
研究者たちは、ローペンの特徴から2種類の翼竜の可能性を指摘しています:
ランフォリンクスとの共通点:
- 長い尾を持つ
- 暗闇で発光する性質があったとされる
- 体のサイズが近い
プテラノドンとの共通点:
- 頭部のとさかのような突起
- くちばしの形状
- 大型の個体サイズ
2003年には、未確認生物学の第一人者である動物学者カール・シュカーが学会で「翼竜が生存している可能性がある」と発表し、大きな話題になりました。
なぜ今も謎なのか
ローペンの正体が解明されない理由はいくつかあります:
- 目撃証言の内容にばらつきがある
- 夜間の目撃が多く、詳細が不明瞭
- パプアニューギニアの奥地は調査が困難
- 写真や物的証拠がほとんどない
ただし、2000年代に入ってからインターネットを通じて過去の目撃例や写真が紹介されるようになり、研究は少しずつ進んでいるようです。
まとめ
ローペンは、パプアニューギニアに潜む謎多き翼竜型の未確認生物です。
重要なポイント
- 現地の言葉で「空飛ぶ悪魔」を意味する恐怖の存在
- 翼竜のような外見で、体長1~9メートルの巨体
- 夜になると体が光るという特殊な能力を持つ
- 死肉を好み、墓を掘り起こす恐ろしい習性
- 1944年のアメリカ兵の目撃で世界的に知られる
- オオコウモリ説と翼竜の生き残り説で議論が続く
- 現在も目撃報告が続いている
もし本当に翼竜が生き残っているとしたら、それは生物学の常識を覆す大発見になるでしょう。パプアニューギニアの密林には、まだまだ私たちの知らない生物が潜んでいるのかもしれませんね。
次に南太平洋を訪れる機会があったら、夜空に光る不思議な生き物を探してみるのも面白いかもしれません。ただし、現地の人々の警告は真剣に受け止めた方がよさそうです。


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