古代エジプト文明には、多くの神々が登場します。
その中でも最も崇拝された存在と言えるのが、太陽神「ラー」です。
今回は、エジプト神話の核心とも言える「ラー」について、その特徴や物語を分かりやすくご紹介します。
名前の意味

「ラー(Ra)」という名前には、「太陽」や「光」そのものという意味があります。
古代エジプトでは、ラーの名が昼の空に輝く太陽そのものを象徴していたんです。
ラーは「ラー・アトゥム」と呼ばれることもあり、「アトゥム」は創造の神。
ポイント:
- 「ラー」は太陽そのものを神格化した名前
- 「アトゥム」は始まりの神で、ラーと習合(融合)した
系譜
ラーは宇宙の創造神であり、多くの神々の「祖」ともいえる存在です。
エジプト神話では、彼が原初から現れ、神や人間を生み出した。
その後、ラーは次のような神々を生み出しました:
- シュウ(風の神)
- テフヌト(水と湿気の女神)
この二柱から、
- ゲブ(大地の神)
- ヌト(天空の女神) が生まれ、
さらに彼らの子どもたちがオシリス、イシス、セト、ネフティスという重要な神々になります。
姿・見た目

ラーの姿は、人間の体に隼(または鷹)の頭を持つ姿で描かれることが多いです。
その頭の上には、太陽円盤とコブラがのっています。
また、ウアス笏やアメス杓、アンクを持っている。
神格・神性
ラーは、太陽神・創造神・王の守護神という、いくつもの役割を持った神様です。
主な神性は以下のとおりです:
- 太陽神:昼に空を旅し、光と生命をもたらす
- 創造神:最初に現れた神で、他の神々や世界を生み出した
- 王権神:ファラオ(王)はラーの息子とされ、権威の源とされた
また、時代が下るとラーは他の神と融合して「アメン・ラー(Amun-Ra)」などの形でも信仰されます。
神話

ラーにまつわる神話の中でも、特に有名なものを3つご紹介します。
セクメト誕生と人類粛清の神話
ラーが老いて人間に侮られたとき、怒りからセクメトという戦いの女神を生み出し、人間を罰しようとした。
他の神々に諌められ、ラーはセクメトを酔わせて止めたとされる。
太陽の船と冥界の旅

ラーはヌトから生まれ、昼の空を旅する。
夜には、太陽の船に乗って冥界を航行し、巨大な蛇「アペプ(アポピス)」と戦います。
最後には、ヌトの中に戻り、次の朝にまた生まれる。
この話は太陽の運行を表現している。
ホルスとの継承神話
ラーは、自分の役割をホルスに引き継がせる場面もあり、ホルスが新しい太陽神として崇拝されるきっかけになりました。
ちなみに、その神話でラーは、オシリスに恐喝され、イシスに支配されます。
このあたりの時代からラーの権威はかなり落ちていたのです。
まとめ
ラーは、単なる太陽の神ではありません。
- 太陽・創造・守護という多面的な役割を持ち
- ハヤブサの頭の姿で象徴され
- 多くの神々の祖として君臨する
その影響力は、エジプト王朝全体におよび、かつては神々の王として崇められていた。
しかし、時代が進むにつれて、次世代の神々に信仰が移り変わっていった。
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