童話や物語で「人を食べる恐ろしい鬼」が登場したら、それはきっとオーガのことでしょう。
ヨーロッパに古くから伝わるこの怪物は、巨大な体と恐ろしい食欲で人々を震え上がらせてきました。
でも実は、力は強くても頭はあまり良くないという弱点もあるんです。
この記事では、ヨーロッパの代表的な人食い鬼「オーガ」について、その恐ろしくも興味深い正体をご紹介します。
概要
オーガは、ヨーロッパの神話や民話に登場する人食い巨人の怪物です。
「オグル」や「オーグル」とも呼ばれ、日本語では「鬼」と訳されることが多いんですね。
女性のオーガは「オーグリス」や「オグレス」と呼ばれます。
オーガの基本情報
- 凶暴で残忍な性格
- 人間の肉が大好物(特に子どもを狙う)
- 巨大な体と強靭な肉体
- 知性は低く、人間に騙されやすい
意外なことに、オーガには腹話術の才能があるとも言われています。
洞窟や屋敷で声をこだまさせて、動物の鳴き声を真似たりできるんだそうです。
起源
オーガという言葉が文献に登場したのは、12世紀頃のフランスでした。
語源にはいくつかの説があります。
最も有力なのは、ローマ神話の死の神「オルクス」から来ているという説です。
オルクスは壁画では髭を生やした巨人として描かれていました。
地域による呼び名の違い
- フランス語:ogre(オグル)
- 英語:ogre(オーガー)
- イタリア語:orco(オルコ)
17世紀にシャルル・ペローが「長靴をはいた猫」などの童話でオーガを登場させたことで、ヨーロッパ全土に広く知られるようになりました。
姿・見た目
オーガの姿は、とにかく大きくて恐ろしいんです。
オーガの外見的特徴
- 人間よりはるかに巨大な体
- 大きな頭と膨らんだ腹
- 豊かな髪の毛とぼうぼうのあごひげ
- 強靭な筋肉質の肉体
絵画では、まるで山のような大男として描かれることが多いですね。その巨体は人間を一口で飲み込めそうなほど大きいとされています。
特徴
オーガには恐ろしい習性と、意外な弱点があります。
恐ろしい習性
- 人食い:人間の肉、特に幼い子どもの肉を好む
- 村襲撃:村を襲って人をさらう
- 変身能力:動物や物に姿を変えられる
意外な弱点
- 知能が低い:賢くないため、人間に騙されやすい
- 回復が遅い:怪我をすると治りが遅い
- 臆病な面:引っ込み思案で臆病な一面も
北欧のスカンジナビア地方では、オーガはトロールと関連付けられ、山の城に住んで莫大な財宝を持っていると考えられていました。
伝承
オーガが登場する有名な物語をご紹介しましょう。
「長靴をはいた猫」のオーガ
シャルル・ペローの童話に登場するオーガは、変身能力を持っていました。
しかし、猫に騙されてネズミに変身したところを食べられてしまいます。
知能の低さが災いした典型的な例ですね。
勇者による退治物語
多くの児童文学では、オーガにさらわれたお姫様を救出する勇敢な騎士の話が語られています。
強大な力を持つオーガですが、知恵と勇気で人間が打ち勝つことができるんです。
各地の類似の存在
- 日本の鬼:外見や人食いの習性が似ている
- 北欧のトロール:巨体と財宝を持つ点が共通
- ギリシャ神話のキュクロプス:巨人で人食いという点で類似
現代では、映画「シュレック」のような作品では、オーガは恐ろしいだけでなく、心優しい一面も持つキャラクターとして描かれることもあります。
まとめ
オーガは、ヨーロッパの人々が長年恐れてきた人食い鬼です。
重要なポイント
- ヨーロッパ全土に伝わる人食い巨人
- 凶暴で残忍だが知能は低い
- 特に子どもの肉を好む恐ろしい習性
- 変身能力や腹話術の才能も持つ
- 人間の知恵で倒せる存在
- 童話や物語で重要な悪役として登場
強大な力を持ちながらも、賢い人間には勝てない。
それがオーガの運命なのかもしれませんね。
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