夜道を歩いていると、どこからともなく「オッパショ、オッパショ」という声が聞こえてきたら、あなたはどうしますか?
それは「背負ってくれ」という意味なんです。
徳島県には、通りかかる人に声をかけて背負わせようとする不思議な石があったと伝えられています。
この記事では、徳島に伝わる怪石「オッパショ石」について、その伝承を詳しくご紹介します。
概要

オッパショ石は、徳島県徳島市に伝わる奇石の妖怪です。
現在は徳島市西二軒屋町と城南町の境にある焼香庵跡墓地に存在しています。
この石は元々、名のある力士の墓石(供養塔) だったと伝えられているんですね。
ところが、墓ができてから2〜3ヶ月ほど経った頃、この石が突然しゃべり出したというから驚きです。
「オッパショ、オッパショ」
この不思議な声は、徳島の方言で「背負ってくれ」 という意味。そこから「オッパショ石」と呼ばれるようになりました。
伝承
背負うと重くなる恐怖
オッパショ石には、恐ろしい特徴がありました。
オッパショ石の不思議な現象
- 夜、石の前を通る者に「オッパショ、オッパショ」と声をかける
- 言われるがままに背負うと、最初は軽く感じる
- しかし、次第にどんどん重さを増していく
この噂が広まると、石のそばを通る人はめっきり減ってしまったそうです。
何か得体の知れないものが取り憑いているのではないか…そんな恐怖を感じたのでしょう。
力自慢の男が石を割る
さて、この噂を聞きつけて、ある力自慢の男がオッパショ石のもとを訪れました。
「そんな話、本当にあるのか?」
半信半疑で石の前に立つと、噂どおり「オッパショ、オッパショ」と声が聞こえてきたのです。
「何が『背負ってくれ』だ、背負ってやろうじゃないか」
気丈な男は石を背負いました。確かに最初は軽い。しかし、次第に重くなってきます。
これは何かが取り憑いている——そう直感した男は、我慢できなくなり、石を力任せに地面に叩きつけました。
すると、落ちた拍子に石は真っ二つに割れてしまったのです。
それ以来、オッパショ石が声を出すことは二度となかったといいます。
現在のオッパショ石
この石は現在も焼香庵跡墓地に残っています。
現在の状態
- 真っ二つに割れたまま保存されている
- セメント(コンクリート)で繋げられている
- 路傍を見下ろす場所に置かれている
割れた姿のまま今に伝わっているというのは、伝説の証拠のようで興味深いですね。
阿南市にも似た伝説が
実は、徳島県阿南市柳島大出にも似たような話が残っています。
こちらでは、夜にある場所を通ると地蔵が「おっぱしょー」と声をかけてくるというもの。
ある者が夜遊びの帰りにこれを体験し、地蔵を柳島大出に投げ込んだという伝説があるそうです。
「背負ってくれ」と語りかける石や地蔵の話は、徳島県内で広く信じられていたのかもしれません。
まとめ
オッパショ石は、徳島県に伝わる声を発する不思議な怪石です。
重要なポイント
- 徳島市の焼香庵跡墓地にある力士の墓石が起源
- 「オッパショ」は「背負ってくれ」という意味の方言
- 背負うと最初は軽いが、次第に重くなる
- 力自慢の男に叩きつけられて真っ二つに割れた
- それ以来、声を出さなくなったと伝えられる
- 現在もセメントで繋げられた状態で残っている
石が語りかけてくるという発想は、日本の妖怪伝承の中でも珍しいものです。
もし徳島を訪れる機会があれば、この不思議な石を見に行ってみてはいかがでしょうか。
ただし、もし「オッパショ」と聞こえても、背負わない方が賢明かもしれませんね。


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