廃墟になった病院に忍び込んだことはありますか?
もし友達が忘れ物を取りに一人で戻っていったら、あなたはどう感じるでしょうか。
そして数日後、その廃墟から「お宅の息子さんをお預かりしています」という電話がかかってきたら…。
これは日本各地で語り継がれる、背筋が凍るような都市伝説なんです。
この記事では、廃病院を舞台にした恐怖の都市伝説「お預かりしています」について詳しくご紹介します。
概要

「お預かりしています」は、京都府宇治市の廃病院を舞台にした日本の都市伝説です。
渡辺節子他編集の怪談集『夢で田中さ〜ん』に収録されている話で、廃墟探索(いわゆる「肝試し」)にまつわる恐怖体験として広く知られています。
この話の特徴は、廃墟となった病院から電話がかかってくるという点なんですね。
通常、電話回線は解約されているはずの廃墟から連絡が来るという、非現実的な展開が恐怖を倍増させています。
廃墟探索の危険性を警告する話としても語られることが多く、若者たちの間で肝試しや心霊スポット巡りが流行した時期に、特に広まった都市伝説だと言えます。
伝承

この都市伝説には、いくつかのバリエーションがありますが、基本的なストーリーは共通しています。
基本的なストーリー
登場人物と舞台
- 五人の少年たち
- 京都府宇治市にある廃墟の病院
- 地下の霊安室(遺体を安置する部屋)
物語の流れ
ある日、五人の少年たちが肝試しのために廃病院に忍び込みました。
彼らは地下にある霊安室まで入っていきましたが、特に怖い出来事も起きなかったため、そのまま外へ出て帰ることにしたんです。
ところが、病院を出た後、そのうちの一人が忘れ物をしたことに気づきました。
他の四人は先に帰っていましたが、その少年は一人で忘れ物を取りに病院へ戻っていったのです。
消えた少年
しかし、その少年は家に帰ってきませんでした。
一晩経っても、二晩経っても戻ってこない。
家族は心配し、友人たちにも連絡を取りましたが、誰も少年の行方を知りませんでした。
恐怖の電話
そして数日後、少年の家に一本の電話がかかってきたのです。
「こちらは○○病院です。お宅の息子さんをお預かりしています」
電話の主は、あの廃墟になったはずの病院を名乗っていました。
不審に思った家族がすぐに警察に通報。警察が廃病院を調査したところ、霊安室から少年の遺体が発見されたというのです。
話のポイント
この都市伝説で特に恐怖を感じさせる要素がいくつかあります。
電話がかかってくる不自然さ
廃墟になった病院は、当然ながら電気も水道も止められています。
電話回線も解約されているはずなのに、そこから電話がかかってくるという矛盾。
これが非現実的な恐怖を生み出しているんですね。
「お預かりしています」という表現
病院が患者を「お預かりする」という表現は、一見すると丁寧で事務的な言い方です。
しかし、廃墟から、しかも亡くなった子供について使われると、途端に不気味さが増します。
まるで霊安室が少年を「患者」として受け入れたかのような印象を与えるのです。
一人で戻った設定
友達と一緒なら怖くても、一人だと危険――この教訓的な要素も含まれています。
肝試しや廃墟探索の危険性を若者に伝える役割も果たしているんですね。
類似する伝承
実は、この話には逆パターンの都市伝説も存在します。
「幽霊屋敷」型の話
- 肝試しで廃墟から何かを持ち帰る
- 後日、その廃墟から電話がかかってくる
- 「持っていったものを返してください」と言われる
この話では、人間が廃墟から何かを持ち去る設定なんです。
「お預かりしています」では逆に、廃墟側が人間を預かるという立場の逆転が起きています。
この対比が興味深いところで、どちらの話も「廃墟から電話がかかってくる」という共通点を持ちながら、一方は盗まれたものの返還要求、もう一方は命を奪われるという、まったく異なる結末を迎えるんですね。
伝承の背景
この都市伝説が生まれた背景には、いくつかの社会的要因があります。
廃墟ブームと肝試し文化
1990年代から2000年代にかけて、若者の間で廃墟探索が流行しました。
心霊スポット巡りや肝試しが娯楽として認識され、危険な場所に立ち入る若者が増えたんです。
実際の危険性
廃墟は建物の老朽化により、崩落や転落の危険があります。
また、不法侵入による法的問題も発生します。
この都市伝説は、そうした現実的な危険性を「超自然的な恐怖」として表現し、警告する役割を果たしているとも言えます。
病院という特殊な場所
病院、特に霊安室は、死と直接関わる場所です。
多くの人が最期を迎えた場所として、特別な畏怖の念を持たれやすいんですね。
廃墟になってもなお、その「死の記憶」が残っているという恐怖が、この話の核心にあります。
まとめ
「お預かりしています」は、廃墟探索の危険性を伝える日本の代表的な都市伝説です。
重要なポイント
- 京都府宇治市の廃病院を舞台にした都市伝説
- 肝試しに行った少年が行方不明になる
- 数日後、廃墟から「お預かりしています」と電話がかかってくる
- 警察が調査すると霊安室で遺体が発見される
- 廃墟から電話がかかるという非現実的な恐怖が特徴
- 廃墟探索の危険性を警告する教訓的な側面を持つ
- 『夢で田中さ〜ん』(渡辺節子他編集)に収録
この都市伝説は、単なる怖い話を超えて、廃墟への安易な立ち入りに警鐘を鳴らす意味も持っています。
好奇心だけで危険な場所に近づくことの恐ろしさを、超自然的な形で表現した物語なのです。


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