この記事では、北欧神話のニョルズについて詳しく解説します。
名前の意味
「ニョルズ(Njörðr)」という名前の正確な意味は、実は研究者の間でもはっきりしていません。
一説では「力」という意味だと考えています。
系譜・家族関係

ニョルズは「ヴァン神族」という神さまのグループの重要人物です。
ヴァン神族とアース神族の違い
北欧神話には、二つの大きな神族があります:
アース神族
- オーディン、トール、バルドルなどが所属
- 戦いや知恵を重視する
- アースガルズという場所に住んでいる
ヴァン神族
- ニョルズ、フレイ、フレイヤが所属
- 自然や豊かさ、平和を重視する
- ヴァナヘイムという場所に住んでいた
ニョルズの家族構成
息子:フレイ
- 豊穣と平和の神さま
- 黄金のイノシシに乗って移動する
- とても優しい性格で人気がある
娘:フレイヤ
- 愛と美と魔法の女神さま
- 猫の戦車に乗って空を飛ぶ
- 強くて美しい女神
奥さん:スカジ
- 山と狩りの女神さま
- 後で詳しくお話ししますが、ちょっと複雑な関係
神族同士の仲直り
昔、ヴァン神族とアース神族は戦争をしていました。
でも、戦いに疲れた両方の神族は、平和条約を結ぶことにしたんです。
その時、お互いに大切な神さまを交換することになりました。ニョルズは息子のフレイと娘のフレイヤと一緒に、アース神族のもとに行くことになったんです。
これは「人質」というより、「文化交流」や「友好の証」という意味が強かったと考えられています。
ニョルズはどんな姿をしているの?

ニョルズは、派手さはありませんが、とても品格のある神さま。
基本的にはひげを生やした美丈夫で、彼の足は最も美しい。
神格・役割
ニョルズは戦いの神ではありませんが、人々の生活に直接関わる大切な力をたくさん持っています。
主な神格・役割
- 海
- 航海
- 漁業
- 風
- 富と商業の神として
- 豊穣
- 平和の使者
ニョルズは海・風・富を司る神さまで、その神格からとても人気がありました。
有名な神話
ニョルズの有名な神話について見ていきます。
ヴァン神族とアース神族の和平
長い間続いていた神族同士の戦争が終わったとき、神族はお互いに人質交換をすることになりました。
ニョルズは、結婚していた妹を置いていき、彼女との間の子どもたち(フレイ・フレイヤ)と一緒に人質としてアース神族に送られました。
この話から、ニョルズ、フレイ、フレイヤは、ヴァン神族でありながらアース神族たちと過ごしているのです。
スカジとの結婚

これは、ニョルズの最も有名な神話です。
物語の始まり
スカジという女性がいました。彼女は山の巨人の娘で、狩りがとても上手な女神でした。
ところが、彼女のお父さんが神々に殺されてしまったんです。
怒ったスカジは、仕返しをしようと神々のところにやってきました。
結婚の提案
神々は戦いを避けるため、スカジに謝罪と賠償を申し出ました。
その一つが、「神々の中から好きな人を選んで結婚する」という条件でした。
でも、一つだけルールがありました。
スカジは相手の足しか見ることができず、足だけで選ばなければならなかったんです。
間違った選択
スカジは神々で最も美しく優秀な王子バルドルを狙っていました。
それでスカジは、一番美しい足を持つ人を選んだのですが・・・その足の持ち主はニョルズでした。
「きっと美しい神バルドルの足に違いない」と思っていたスカジでしたが、実際はニョルズだったので驚きました。
しかし、約束通りニョルずと結婚することになりました。
2人の好み

結婚後、二人には大きな問題が起こりました。
それは2人の好みが全く違ったのです。
スカジの好み
- 山の静かで涼しい場所が好き
- 狩りや雪山での生活を愛している
ニョルズの好み
- 海の近くの暖かい場所が好き
- 船や漁業の生活を愛している
好みの違えば住みたい場所も違う。
2人は、自分たちの住居で大いに揉めました。
妥協案の失敗
二人は妥協しようとしました。
9日間は山で、9日間は海で過ごすことにしたんです。
でも、お互いに相手の住む場所では眠れませんでした:
- スカジ:「海鳥の鳴き声がうるさくて眠れない」
- ニョルズ:「オオカミの遠吠えが怖くて眠れない」
別れ
結局、二人は別れることにしました。
スカジは山に戻り、ニョルズは海に戻りました。
まとめ
ニョルズについてまとめていきましょう。
基本情報
- 名前の意味:一説では「力」
- 所属:ヴァン神族(後にアース神族に加わる)
- 家族:息子フレイ、娘フレイヤ、元妻スカジ
見た目の特徴
- 美丈夫
- 立派なひげを生やしている
- 神々で最も美しい足
神格
- 海と航海を守る
- 風を司る
- 商売と漁業を繁栄させる
有名な神話
- アース神族に人質として送られる
- スカジとの結婚と平和的な別れ
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